日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
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55 巻 , 12 号
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総説
報文
  • 伊藤 友美, 安達 卓生, 小原 章裕, 山田 哲也
    55 巻 (2008) 12 号 p. 589-596
    公開日: 2009/01/31
    ジャーナル フリー
    3種の澱粉(ウルチ種およびモチ種とうもろこし,小麦)を不飽和度の異なる脂肪酸組成の3種のモノグリセリド(ステアリン酸,オレイン酸,リノール酸)中で加熱処理(150℃,1時間)し,その澱粉特性を調べた.その結果,
    (1) SEMで澱粉粒の外観は,どの澱粉試料も変化が見られず,糊化,膨化していなかった.
    (2) DSCの糊化特性では,多価不飽和脂肪酸モノグリセリド中で加熱処理した澱粉のピーク温度が低下し,エンタルピーも減少した.
    (3) RVAの粘度特性では,不飽和度が高いモノグリセリド中で加熱処理した澱粉ほど粘度低下が著しく,特にモチ種のとうもろこし澱粉では粘性がほとんど消失した.
    (4) ヨウ素澱粉反応では,不飽和度の高いモノグリセリド中で加熱処理した澱粉ほど,アミロースの分解が進んでいた.
    (5) GPCの分子量測定では,ステアリン酸モノグリセリドが軽度しか分解していないのに対し,リノール酸モノグリセリドでは,デキストリンにまで極端に分解していた.
    (6) 全ての測定において,ウルチ種のとうもろこし澱粉と小麦澱粉では挙動に差が見られた.
    これらの結果から,水分が殆ど存在しない条件下において,モノグリセリド中で加熱処理した澱粉は,外観では変化が見られないが,分子レベルではかなり分解し,特に脂肪酸鎖の不飽和度がこの分解に大きく関与していることが明らかとなった.
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  • 高木 尚紘, 北脇 涼子, 西村 侑子, 岩崎 充弘, 都築 公子, 堀内 理恵, 福田 滿
    55 巻 (2008) 12 号 p. 597-601
    公開日: 2009/01/31
    ジャーナル フリー
    オカラ豆乳混合物は乳酸発酵するとアルカリに安定な多糖類が若干増加し,胆汁酸吸着能が増加した.乳酸発酵オカラ豆乳をラットに投与すると未発酵オカラ豆乳に比較して糞中胆汁酸量と盲腸重量は増加した.また,乳酸発酵オカラ豆乳摂取によりラット盲腸内容物のプロピオン酸と酪酸量が増加した.乳酸発酵で生成したアルカリに安定な多糖類が腸内で微生物によって短鎖脂肪酸に変化したと推定される.
    胆汁酸吸着物質は0.1M NaOH溶液で発酵オカラ豆乳から抽出可能であったが,アルカリ抽出後に吸着能が低下した.また,抽出した胆汁酸吸着物質をゲルろ過クロマトグラフィーで分離すると吸着物質の主成分はタンパク質であったが,未発酵物と乳酸発酵物の間の吸着能の差は減少した.オカラ豆乳混合物の乳酸発酵による胆汁酸吸着能増加の原因は主に乳酸発酵過程で生成するアルカリに安定な不溶性多糖類と推定された.
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  • 岩井 浩二, 雜賀(江草) 愛, 早川 徹, 清水 宗茂, 高畑 能久, 森松 文毅
    55 巻 (2008) 12 号 p. 602-605
    公開日: 2009/01/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,鶏コラーゲンペプチド中に含まれ,強いACE阻害活性を有するオクタペプチドのSHRへの血圧降下作用および消化酵素による分解性について検討した.
    (1) オクタペプチドをSHRに4.5mg/kg体重で単回投与した結果,SHRの収縮期血圧値を有意に低下させた.
    (2) 試験管レベルでオクタペプチドは,ペプシンおよび,トリプシン/キモトリプシン,小腸上皮酵素に対して難消化性を示し,そのACE阻害活性は維持されていた.
    以上の結果から,鶏コラーゲンペプチドに含まれるオクタペプチドは,in vitroでのACE阻害活性を持つだけでなく,SHRの血圧降下作用を示すことが確認された.
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  • 土田 廣信, 水野 雅史, 木村 忠彦, 小原 章裕, 斉藤 史恵, 伊藤 友美
    55 巻 (2008) 12 号 p. 606-611
    公開日: 2009/01/31
    ジャーナル フリー
    アズキの製餡過程で生成する食品廃棄物である‘渋きり水’中にはポリフェノール配糖体,少糖類やサポニンなど生理活性を有する成分が多く含まれていると推察される.本論文では,国産で品種の異なるアズキから調製した‘渋きり水’のいくつかの食中毒原因菌,植物病原細菌及び植物生育促進細菌の生育に対する影響について検討を行った.‘渋きり水’は,食中毒原因菌であるStaphylococcus aures及び植物病原細菌Pseudomonas solancearumに対して強い抗菌活性を示し,植物生育促進根圏菌であるPseudomonas fluorescensに対しては,非常に弱い抗菌活性を示したが概観すると大きな影響を与えることはなかった.以上の結果より,食品廃棄物として処理されている‘渋きり水’が食中毒原因菌や植物病原細菌に対する抗菌成分の材料として再利用される可能性があることを示唆した.
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  • 水本 裕子, 大野木 宏, 水谷 滋利, 榎 竜嗣, 浅田 起代蔵, 杉元 康志, 加藤 郁之進
    55 巻 (2008) 12 号 p. 612-618
    公開日: 2009/01/31
    ジャーナル フリー
    ブナシメジ(Hypsizigus marmoreus)の酢酸エチル抽出物には強い抗腫瘍作用があり,培養がん細胞にアポトーシスを誘導すること,その活性成分はブナシメジに特有のポリテルペン(hypsiziprenol A9)であることをこれまでに明らかにしてきた.
    今回,我々はhypsiziprenol A9の抗腫瘍作用をさらに解明するためにアポトーシス誘導作用について詳細な検討をおこなった.
    hypsiziprenol A9は種々の培養がん細胞の増殖を強く抑制した.hypsiziprenol A9をHL-60(ヒト前骨髄性白血病細胞)に添加して4時間培養すると核の断片化が観察された.また,アガロースゲル電気泳動によってDNAラダーが検出され,フローサイトメトリーを用いた細胞周期解析によって経時的なhypodiploid細胞の増加が認められた.続いて,カスパーゼの活性を評価したところhypsiziprenol A9によって濃度依存的なカスパーゼ-2,-3,-8,-9の活性化が認められた.さらに,hypsiziprenol A9で処理したHL-60細胞において,ミトコンドリアの膜電位の低下が認められた.
    以上の結果から,hypsiziprenol A9はミトコンドリア膜電位の低下とカスパーゼの活性化を介してHL-60細胞にアポトーシスを誘導することが明らかとなった.
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  • 島村 智子, 黒田 さやか, 竹中 裕行, 柳下 宏, 池上 徹, 榊 啓二, 受田 浩之
    55 巻 (2008) 12 号 p. 619-624
    公開日: 2009/01/31
    ジャーナル フリー
    海洋深層水産業において活用方法が模索されていた濃縮海洋深層水の膜蒸留法による濃縮高塩分化を提案した.本膜蒸留装置では,疎水性多孔質PTFE膜を利用することにより,塩分濃度5.2%の濃縮海洋深層水から塩分濃度12.3%の濃縮高塩分化海洋深層水を製造することができた.また,膜蒸留装置の冷却源に海洋深層水を,温源に太陽光を利用することで,0.4t/day/m2のfluxで濃縮高塩分化海洋深層水を製造できる可能性を示した.さらに,本膜蒸留装置により製造した濃縮高塩分化海洋深層水に窒素とリンのみを添加することで,機能性食品素材として注目されている微細藻D. salinaの培養が可能であることを明らかとした.本研究の成果は,これまで廃棄されてきた濃縮海洋深層水を資源として利活用する道を示すものであり,今後の産業化に向けた取り組みが大いに期待される,
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  • 長田 裕子, 上村 佑也, 坂 智秀, 吉田 睦子, 西塔 正孝, 工藤 秀機, 國崎 直道, 五明 紀春
    55 巻 (2008) 12 号 p. 625-631
    公開日: 2009/01/31
    ジャーナル フリー
    Lactobacillus plantarum No. 14株を被験者28人に二重盲検法により摂取させ,そのスギ花粉症に対する効果を調べた.実施期間は2005年1~3月とし,No. 14株の凍結乾燥菌体を1日2.0×1010CFU, 3週間連続摂取させた.その結果,血液成分において群間に有意な差はなかったが,No. 14株摂取により総IgEの有意な減少が見られた.また摂取を終了した後でも総IgE, 好酸球数の上昇を抑制した.アレルギー症状に関しては鼻回数が摂取3週間目と後観察1週目で試験群がプラセボ群に対して有意に少なくなった.また,体脂肪率が摂取前後でプラセボ群は有意に上昇したのに対し,試験群は有意に減少した.このことからNo. 14株の摂取により花粉症が抑制され,体脂肪率が低減する可能性が示唆された.
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研究ノート
  • 河原崎 正貴, 秋田 涼子, 杉本 正裕, 江成 宏之, 山本 茂
    55 巻 (2008) 12 号 p. 632-636
    公開日: 2009/01/31
    ジャーナル フリー
    DNA-Na錠のアルコール代謝に対する影響について,健常な成人男性5名を対象としてアルコール負荷試験を行い,血中エタノール,アセトアルデヒドおよび酢酸濃度に対して統計解析を行った.その結果,血中エタノール濃度の動態は,両群において差異は認められず,DNA-Na錠を摂取することにより,アルコールの吸収阻害は生じていないと考えられた.またDNA-Na錠摂取群において,飲酒による紅潮,悪心の原因物質である血中のアセトアルデヒド濃度は,プラセボ錠摂取群と比較して有意な低値を示した.その代謝メカニズムについて,ラット肝ホモジネートを用いたin vitro評価系にて検討を行ったところ,DNA-Naが代謝,吸収されてヌクレオシド源となり,アセトアルデヒドから酢酸への代謝における補酵素ニコチンアミドアデニンヌクレオチド(NAD)の酸化-還元反応のサイクルに関与しているものと推察された.したがって,サケ白子由来DNA-Naは,悪酔い防止に役立つと期待される.
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  • 渡邉 裕之, 法邑 雄司, 堀田 博
    55 巻 (2008) 12 号 p. 637-639
    公開日: 2009/01/31
    ジャーナル フリー
    輸入通関時の科学的な原産地確認方法の開発のために,無機元素組成による輸入カボチャの産地判別について検討した.分析試料には,メキシコ,ニュージーランド及びトンガ産のカボチャの種子を用いた.関税無税のメキシコ産と有税の産地(ニュージーランド及びトンガ産)を判別する線形判別モデルを構築し,クロスバリデーションにより有効性を検証したところ,95%(41検体中39検体)と高い的中率が得られた.このことから無機元素組成による産地判別は,輸入通関時の原産地確認において有効である可能性が示唆された.
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  • 島村 智子, 松浦 理太郎, 森山 洋憲, 竹田 匠輝, 受田 浩之
    55 巻 (2008) 12 号 p. 640-644
    公開日: 2009/01/31
    ジャーナル フリー
    高知県長岡郡大豊町で生産されている碁石茶熱水抽出物のスーパーオキシドアニオン消去活性,カテキン類含量,ならびに没食子酸含量の製造工程中の変化を調べた.その結果,碁石茶のスーパーオキシドアニオン消去活性はその製造工程中,好気的発酵と嫌気的発酵で大きく増加することが判明した.また,カテキン類の大部分(EC,ECg,EGC,EGCg,GCg,GA)は好気的発酵工程中に最大となり,その後減少するのに対して,CとGCは嫌気的発酵工程において最大値に達し,碁石茶最終製品中に高い濃度で含まれることが明らかとなった.しかし,今回分析対象として定量したカテキン7種類,ならびに没食子酸の碁石茶最終製品のスーパーオキシドアニオン消去活性に対する寄与率は低かった.従って,好気的,および嫌気的発酵工程で生成される他の物質が主要な抗酸化物質である可能性が高いと考えられた.今後,関与成分の全容を明らかにすることで,高知県の貴重な地域資源である碁石茶に科学的知見が付与され,高付加価値化を図ることができるものと期待される.
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技術用語解説
  • 志堂寺 和則
    55 巻 (2008) 12 号 p. 645-646
    公開日: 2009/01/31
    ジャーナル フリー
    共分散構造分析は,構造方程式モデリング(SEM : structural equation modeling)とも呼ばれる統計解析技法である.近年,AMOS(SPSS社)など使いやすい優れたソフトウェアが利用できるようになってきたこともあり,社会・人文科学系では人気が高い.
    最大の特徴は,因果関係のモデルを自由に作って,それを検証することができることである.このモデルには計測されたデータだけでなく,研究者が想定した(実際には直接測定することのできない)構成概念も含めることができる.社会・人文科学系の研究者にとって,共分散構造分析を使う主眼はむしろ構成概念の分析にあり,共分散構造分析は構成概念間の因果関係を調べる手法と言ったほうが現実的な使い方に合っている.
    モデル構築が自由であるため,回帰分析や因子分析,分散分析といった多くの統計分析法は,共分散構造分析の下位モデルとして位置づけることができる.つまり共分散構造分析は単なる多変量解析のひとつとしてではなく,多くの統計手法を内包する大きな枠組みと考えることができる.
    図1に,ユーザビリティ(使いやすさ)が高い商品ほど魅力があるとされていることから筆者が考えたモデルの例を示した.このような図をパス図という.パス図では,直接データとして数値的に得られるものを観測変数といい四角で囲んで表し,構成概念を表す変数を潜在変数といい楕円で表すことが慣例となっている.そして原因から結果へ向けて矢印を引く.図中のeは誤差,dは攪乱(潜在変数に関わる誤差)である.
    重回帰分析でもパス図で変数間の関係を表すことがあるが,重回帰分析では潜在変数を扱うことができないため,観測変数間だけの表面的な検討となる.また,よく知られている多変量解析である因子分析は,観測変数(この例では5つ)からその背景にあると想定される因子をいくつか(この場合2つ)抽出するので,図2aのようなモデルを当初仮定している.因子間に引いた双方向矢印は因子間の相関である.因子分析の結果,関係が薄いとなった矢印を消すと,例えば図2bのようになったとする.図1と似ているが,潜在因子間が双方向矢印で結ばれていることからわかるように両者の因果関係は知ることができない.そして因子分析では,理論上この因子とこの因子には因果関係があるはずだと思っていても,それを反映した分析をおこなうことができない.
    共分散構造分析の基本的な考え方は,原因+誤差=結果という線形モデルである.もちろん原因は複数あっても差し支えない.その場合は,λ1*原因1+λ2*原因2+…+誤差=結果となる.λ1やλ2は重みである(パス図ではパス係数と呼ばれ,矢印に付与される).結果の部分が潜在変数の場合の式を構造方程式,観測変数の場合を測定方程式という.共分散構造分析の計算原理は,実際のデータの分散と共分散に,構造方程式と測定方程式から算出した分散と共分散がもっとも合うようにパラメータ(パス係数や各変数の分散等)を決定するというものである.計算方法として最小2乗法や最尤法等が使われているが,それについての解説はここでは省略する.
    推定したパラメータを持つモデルがどの程度信頼できるか(モデルの分散,共分散が実データの分散,共分散とどの程度一致しているか)を調べることができる.信頼性を示す指標として種々の指標が提案されているが,一般的には,まずモデルと実データの分散,共分散が等しいと帰無仮説を立ててχ2検定をおこなう.有意であれば,モデルは実データを適切に表現していないことになるので,そのモデルは問題があることになる.有意でなければ,モデルと実データは異なるとは言えないということになるので,一応,立てたモデルは正しいと考える.そして,次にいくつか提案されているGFI(goodness of fit index)やAGFI(adjusted goodness of fit index),RMSEA(root mean square error of approximation)などの適合度に関する指数の値を調べ,問題がなければモデルが適合していると判断する.
    このように共分散構造分析では,分析対象に関するモデルを立てて計算しχ2値や適合度指数を見て適否を判断するわけだが,実際にやってみると大抵は不適となる.そこで,研究者はモデルを立てては分析し直すというプロセスを繰り返すことになる.この努力の中で,新たな発見があり対象に対する見方が深まっていく.分析にあたっての苦労は多いが,これまでの統計手法にはない魅力を共分散構造分析は持っており,今後も共分散構造分析を用いた研究は増えていくと思われる.
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