日本食品科学工学会誌
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55 巻 , 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
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報文
  • 小田原 誠, 荻野 裕司, 瀧澤 佳津枝, 木村 守, 中村 訓男, 木元 幸一
    55 巻 (2008) 3 号 p. 81-86
    公開日: 2008/04/30
    ジャーナル フリー
    大麦黒酢,大麦糖化液,酢酸を高血圧自然発症ラット(SHR)に与え,大麦黒酢が血圧に与える影響について調べた.その作用機序の検討としてin vitroにおけるアンジオテンシンI変換酵素(ACE)阻害活性の測定を行った.また,酸度とエキス分を等しくした大麦黒酢と米黒酢について,SHRを用いた単回投与試験を行い,血圧降下作用を比較した.
    (1)単回投与試験,連続投与試験のいずれにおいても,大麦黒酢は蒸留水(対照)と比較して有意に血圧を降下させることが示された.これにより,大麦黒酢は血圧降下作用を有することが明らかとなった.
    (2)連続投与試験において,酢酸だけでなく大麦糖化液においても血圧降下作用が認められたことから,大麦黒酢の血圧降下作用は,酢酸と大麦由来の成分の両方によるものと考えられた.
    (3)大麦糖化液ならびに中和した大麦黒酢においてACE阻害活性が認められたことから,大麦黒酢には大麦由来の血圧降下作用物質が含まれ,ACEを阻害することで血圧上昇を抑制していることが示された.
    (4)酸度とエキス分が等しくなるように調製した大麦黒酢と米黒酢について,SHRを用いた単回投与試験を行った.大麦黒酢と米黒酢はどちらも対照と比較して有意に血圧が降下しており,今回の実験では大麦黒酢の方が血圧降下の程度が高かった.このことから,大麦黒酢は米黒酢と同等以上の血圧降下作用を有することが示された.
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  • 高杉 美佳子, 喜多川 知子, 加藤 雅子, 前田 典子, 永田 紀子, 丹羽 絢子, 島田 和子
    55 巻 (2008) 3 号 p. 87-94
    公開日: 2008/04/30
    ジャーナル フリー
    16種類の市販茶(アマランサス,ウラジロガシ,カキドオシ,ギムネマ,クマザサ,シジュウム,タヒボ,科不明甜茶,バラ科甜茶,ドクダミ,杜仲茶,ハトムギ,ビワ茶,ヨモギ,緑茶,ルイボスティー)抽出物の抗アレルギー効果をラット腹腔細胞からのロイコトリエンB4 (LTB4)放出抑制作用を指標として検討した.LTB4は5-リポキシゲナーゼの酸化作用により生成することから,茶類の抗酸化成分として知られている総ポリフェノール量,フラボノール量,タンニン量を測定した.また,抗酸化性としてDPPHラジカル消去活性を調べ,LTB4放出抑制作用とポリフェノール類含量,DPPHラジカル消去活性の相関を解析した.総ポリフェノール量はシジュウム,バラ科甜茶,ルイボスティー,ウラジロガシ,緑茶,市販甜茶,ビワ茶抽出物に多く含まれていた.フラボノール量はシジュウム抽出物に,タンニンはバラ科甜茶とシジュウム抽出物に特に多く含まれていた.LTB4の放出については緑茶およびバラ科甜茶抽出物はほぼ完全にLTB4放出を抑制し,カキドオシ,シジュウム,ウラジロガシ抽出物はLTB4放出量を50%以下に抑制した.LTB4相対放出量とDPPHラジカル消去活性,ポリフェノール類含量との相関を解析した結果,LTB4相対放出量とDPPHラジカル消去活性および総ポリフェノール量には強い負の相関があり,LTB4放出抑制作用があった茶抽出物ではその相関がさらに強くなった.これらの結果は,LTB4放出抑制作用における茶ポリフェノールの重要性を示唆するものであり,その作用機構の一つとしてアラキドン酸ペルオキシラジカルの消去が考えられる.
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  • 平澤 マキ, 志村 晃一, 清水 章子, 村 清司, 徳江 千代子, 荒井 綜一
    55 巻 (2008) 3 号 p. 95-101
    公開日: 2008/04/30
    ジャーナル フリー
    アボカドの食物繊維やポリフェノールの機能性を明らかにするために,その構成成分と特性を解析した.使用したアボカドは水溶性食物繊維5.23±0.53g,不溶性食物繊維11.3±0.71g(可食部100g当たり/無水物)を含んでいた.不溶性食物繊維はペクチン画分 : ヘミセルロース画分 : セルロース画分はそれぞれ20.6% : 43% : 36.4%であり,不溶性食物繊維は膨潤性が大きく,色素吸着能はローズベンガルにおいて高い値を示した.水溶性食物繊維は鉄吸着能も高く,WSPは優れた鉄保持能力をもつことが示唆された.
    また,アボカドの抗酸化性は果皮が最も強く,次いで種子,果肉の順であった.果皮にはポリフェノールが多く存在し,種子,果肉は少ないことが認められた.ポリフェノールの組成をGC-MSで測定したところ,カテキン,エピカテキン,クロロゲン酸類が同定され,これらが抗酸化性に寄与していると考えられる.果皮は未利用資源として新たな食品機能性素材に利用されることが期待される.
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  • 辻田 隆廣, 高久 武司
    55 巻 (2008) 3 号 p. 102-108
    公開日: 2008/04/30
    ジャーナル フリー
    カンキツ類の未熟果,成熟果果皮及びじょうのう膜に含まれる脂肪分解活性を測定し,比較検討した.未熟果と成熟果の果皮及びじょうのう膜に脂肪分解活性が認められたが,果汁には認められなかった.未熟果の活性が最も高く,じょうのう膜は果皮の約30%であった.果皮ではフラベドがアルベドより約3倍高い活性が認められた.田中の分類によるダイダイ区(イヨカン,アマナツ等)やミカン区(ウンシュウミカン,ポンカン等)のカンキツには強い脂肪分解活性が認められたが,ライム区(タヒチライム等),シトロン区(レモン等)及びザボン区(土佐ブンタン,グレープフルーツ等)のカンキツには強い脂肪分解活性は認められなかった.以上のことより,カンキツの種類により脂肪分解活性は大きく異なり,未熟果,果皮及びじょうのう膜でもその傾向は同じであった.未熟果のシネフリン含量と脂肪分解活性の間には正の相関関係が認められた.
    以上のことより,カンキツジュース製造過程の廃棄物である搾汁粕(果皮やじょうのう膜)は,抗肥満作用やコレステロール低下作用を有する機能性食品素材としての利用が考えられる.
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技術論文
  • 寺沢 なお子, 今井 希美, 野阪 皆水, 鯨 幸夫
    55 巻 (2008) 3 号 p. 109-116
    公開日: 2008/04/30
    ジャーナル フリー
    果房段位,熟度,および根域制限による水ストレスがトマトの品質およびラジカル消去活性に及ぼす影響について調べ,以下の知見を得た.
    (1)制限区のトマト重量は対照区に比べて小さかった.
    (2)糖度,還元糖含有量,還元型アスコルビン酸含有量は,熟度の進行および果房段位の上昇に伴って増加する傾向にあった.またいずれも対照区より制限区の方が含有量が高かった.また,還元糖含有量はゼリーより果肉の方が,還元型アスコルビン酸量は果肉よりゼリーの方が高かった.
    (3)硝酸含有量は,熟度の進行に伴って減少し,果房段位の上昇に伴って増加する傾向にあった.また果肉では制限区より対照区の方が含有量が高かった.
    (4)滴定酸含量は,熟度の進行に伴って減少する傾向にあった.また果肉よりゼリーの方が酸含量が高かった.
    (5)ラジカル消去活性は,熟度の進行および果房段位の上昇に伴って上昇する傾向にあった.また対照区より制限区の方が活性が高かった.市販試料の活性は他の試料よりも低かった.
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研究ノート
  • 重田 有仁, 青山 康司, 岡崎 尚, 松井 利郎, 難波 憲二
    55 巻 (2008) 3 号 p. 117-120
    公開日: 2008/04/30
    ジャーナル フリー
    静水圧の微生物増殖抑制効果を利用したイカ肝臓の自己消化分解エキスの製造について検討した.
    (1)温度45~55℃,処理時間24~48時間で比較的高いT-N濃度,F-N濃度の分解エキスを得ることができた.静水圧は分解にほとんど影響しなかったことから,微生物の増殖を抑制可能な最低圧力である60MPaとした.
    (2)60MPa,50℃,48時間自己消化させた分解エキスのGlu,Asp等の遊離アミノ酸濃度は,市販の魚醤油と同等以上で呈味性に優れており,本法のイカ肝臓を用いた調味料製造方法としての可能性が示唆された.
    (3)イカ肝臓に含まれるCdは,分解エキス化によってやや減少したが,Cdの除去についてさらに検討する必要があった.
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技術用語解説
  • 小野 和広
    55 巻 (2008) 3 号 p. 121
    公開日: 2008/04/30
    ジャーナル フリー
    1.過熱水蒸気の特徴
    最近,過熱水蒸気を調理や乾燥,焼成といった食品の加工や食材の殺菌などへ利用する方法が注目されている.
    過熱水蒸気とは,飽和水蒸気をさらに加熱して得られる水蒸気ガスのことであり,大気圧では100℃よりも高い蒸気を指す.その特徴として,(1)被加熱物の水分を乾燥させる熱媒体としての利用が可能,(2)過熱水蒸気中では極低酸素雰囲気となるため,酸化の少ない加熱が可能,(3)初期凝縮による潜熱の伝達と水蒸気自体の熱容量により迅速な表面加熱が可能,等が挙げられる.
    過熱水蒸気はボイラーで発生させた飽和水蒸気を2次加熱することにより得られるが,その方法にはオイル燃焼方式,ガス燃焼方式,電気加熱方式等がある.
    食品加工への応用にあたっては上記の(2),(3)が特に着目されている.伊與田らは熱工学的観点から,食材を過熱水蒸気雰囲気に投入してからの過程を,(1)凝縮過程,(2)蒸発復元過程,(3)蒸発乾燥過程からなる「凝縮から蒸発への反転過程」と整理している1).加熱初期では試料表面に水蒸気の凝縮による水層が存在し,湿った状態で潜熱の形で熱が伝達され,これが食材などの短時間での表面殺菌に利用できる.さらに,その後の食材表面に形成された水層が蒸発する過程では,農産物の長期貯蔵に関連の深い自己酵素の失活などを効率的に行うことが可能である.
    食品の加工や殺菌に利用する場合,これらの特性を理解し,目的に応じてうまく処理条件を調節する必要がある.
    2.調理加工への応用
    前述した過熱水蒸気の特徴を活かした新しい製造技術は,インスタント食品や茶葉の乾燥,水産加工品2)等,多くの分野での実用化が検討されている.また,食品の機能性や安全性に関連する高品質化が求められる中,低酸素状態での加熱処理が食品成分にどのような影響を与えるかについても検討が進められている.
    最近,過熱水蒸気を組み込んだ一般家庭用電気調理器具が上市され,関心が高まっているが,その利点として,一般的なオーブンに比べ,加熱ムラやパサつきが少ない,焼成時間が短い,油脂の酸化が少ない等の他,脱油の効果も大きいことが特徴とされている.フライ食品や畜肉加工品等において効果的な脱油が認められているが,一方で工業規模での連続的な処理においては,脱油した油の装置内からの回収,排出の点で課題が指摘され3),また,機能性成分の保持効果,酵素活性への影響等,過熱水蒸気による調理加工特性はまだ十分に解明されていない部分も多い.今後さらに検討が進められることにより,これまでにない特徴を有する食品加工技術として実用化されていくことが期待される.
    3.殺菌への応用
    湿熱状態で迅速な加熱が可能な過熱水蒸気処理は,香りや色調,食感などを保持したい素材の殺菌には有効である.一部では,水蒸気密度を高くし高温で短時間殺菌を行うため加圧過熱水蒸気を用いた殺菌処理がシステム化され,香辛料をはじめ穀類や乾燥農産物等の殺菌に利用されている.
    加圧下でなく常圧においても冷凍食材やサケ,スルメ等の水産乾製品4),その他において表面殺菌処理の検討がなされている.筆者等は漬物原料野菜やソバ抜き実を対象に常圧過熱水蒸気処理による殺菌効果を検討した結果,生菌数の少ない浅漬や,地域特産品として日持ちの良い生そばの製造に有効であることを認めている5)
    さらに最近,高温の微細水滴を含んだ過熱水蒸気による農産物の一次加工処理システム等も開発され6),ポテトサラダの製造等で実用化されている.
    今後は,製造現場の状況にあった処理装置の開発が進み,食品分野での過熱水蒸気利用の一層の進展が期待される.
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