日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
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55 巻 , 4 号
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報文
  • 高橋 京子, 西銘 杏, 柿沼 美玲, 小板橋 淑恵, 菅谷 明日香, 谷藤 福子, 宮本 朋子
    55 巻 (2008) 4 号 p. 129-136
    公開日: 2008/05/31
    ジャーナル フリー
    沖縄県特産の調味料で泡盛とシマトウガラシ(Capsicum frutescens)から作られるコーレーグースについて,辛味と香気の特徴を知るため,市販のコーレーグース,シマトウガラシ,およびシマトウガラシを浸漬したエタノール水溶液の分析を行ない,以下の結果を得た.
    (1)辛味成分に関しては,HPLCを用いてcapsaicinとdihydrocapsaicinを定量したところ,市販コーレーグース9種類のうち8種では,capsaicinは0.037~0.058mg/ml, dihydrocapsaicinは0.011~0.026mg/mlで,組成比dihydrocapsaicin/capsaicin(DC/C)は0.23~0.57であった.原料のシマトウガラシでは,それぞれ,4.17mg/g dry weight, 2.22mg/g dry weight, 0.53であった.シマトウガラシを浸漬したエタノール水溶液の定量結果から,コーレーグース製品中のエタノール濃度が高いほど,capsaicinとdihydrocapsaicin濃度は高く,組成比(DC/C)が大きいことが示唆された.
    (2)コーレーグースの香気成分に関しては,固相マイクロ抽出(SPME)を用いたヘッドスペース分析により,泡盛の主要成分であるエタノール以外に,24成分が同定された.GC-Olfactometryにより分析したところ,寄与が高い成分は,2-isobutyl-3-methoxypyrazineと3-methyl-1-butanol,各種エステルであった.原料であるシマトウガラシと泡盛の両方ともに,香気に大きく関与していた.
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  • 老田 茂, 横田 聡
    55 巻 (2008) 4 号 p. 137-142
    公開日: 2008/05/31
    ジャーナル フリー
    コムギLTPに対する特異性が高い抗体を得るため,コムギLTPの17~27番アミノ酸からなる部分ペプチドを抗原に用いた.ウサギ血清から得られたIgGはコムギとライムギのLTPに強く結合したが,オオムギやエンバク,コメ,トウモロコシの水抽出タンパク質にはほとんど結合しなかった.コムギおよびライムギの水抽出タンパク質1μgに含まれるLTPが,イミュノブロッティング法により検出できた.精製コムギLTPは2ng以上で,イミュノブロッティング法および酵素免疫測定法により検出できた.
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  • 太田 尚子, 増田 宜子
    55 巻 (2008) 4 号 p. 143-150
    公開日: 2008/05/31
    ジャーナル フリー
    魚肉水溶性タンパク質濃縮物(WSPC)は不均質で水分散性の乏しいサスペンジョンであるが,脂肪酸塩を添加し室温でインキュベーションすることによりタンパク質二次構造の変化が認められた.脂肪酸塩誘導ゲル形成能を有するβ-LGとの1 : 1の混合系は常温下で保水性のある柔らかいゲルを形成し,それはβ-LG単独系に比べてより線形範囲の広い均質なゲル状凝集体であることが示唆された.混合タンパク質系におけるWSPCの役割はゲルネットワーク(ゲルの骨格)の構築ではなくβ-LG分子間力を弱め,脂肪酸塩・β-LG複合体と相分離することなく相まって系全体の乳化効果を高めることであると考えられる.本研究により,脂肪酸塩誘導食品タンパク質ゲルに新たなテクスチャーを付与するなどWSPCのテクスチャーモディファイヤーとしての付加価値が明らかになり,未利用タンパク質資源の1つであるWSPCの利用拡大の可能性が示された.
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  • 伊藤 康江, 細井 知弘, 宮尾 茂雄
    55 巻 (2008) 4 号 p. 151-157
    公開日: 2008/05/31
    ジャーナル フリー
    キュウリ浅漬保存時の浅漬中L. monocytogenesの菌数変化を解析する方法を検討した結果,抗生物質リファンピシン耐性L. monocytogenesの浅漬への人為的接種と,50μg/mlリファンピシンおよび指定選択剤(種々の抗生物質等含有)を規定の1/100量添加したPALCAM培地を使用して菌数測定する方法が適していた.本法でキュウリ浅漬に人為的に接種したリファンピシン耐性L. monocytogenesの生育挙動を検討した結果,4℃保存時には10日後まで初発菌数レベルが維持され,10℃保存時には7日後に初発菌数の約100倍に増加した.また,各種抗菌物質のうちキトサンの添加が10℃保存時のキュウリ浅漬中のL. monocytogenes菌数を有意に減少させ,L. monocytogenesの生育抑制に有効であった.
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  • 志塚 淳, 小川 幸春, 田川 彰男
    55 巻 (2008) 4 号 p. 158-163
    公開日: 2008/05/31
    ジャーナル フリー
    ダイコンのデハイドロフリージングにおいて,脱水,凍結,解凍の条件および方法に関して物理的性質の面から検討した結果,以下の知見を得た.
    (1)脱水後における電気インピーダンスの測定結果から,デハイドロフリージングの脱水条件として,乾式脱水法かつ低温乾燥が可能である減圧乾燥20℃[の適用の可能性がある.
    (2)硬度およびドリップ損失の観点から,脱水されたダイコンの凍結方法は水産物や畜産物と同様,急速凍結法が適当である.
    (3)脱水試料をブライン凍結した後に0℃[で解凍することにより,ドリップ損失が減少した.また,電気インピーダンスの測定結果から細胞の損傷を抑制できる可能性が得られた.
    (4)ドリップ損失の観点から,解凍温度は低温が適していると考えられるが,0℃[付近において更なる検討が必要である.
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  • 北岡 桃子, 岡村 暢子, 一瀬 博文, 後藤 雅宏
    55 巻 (2008) 4 号 p. 164-169
    公開日: 2008/05/31
    ジャーナル フリー
    FRIP法は,DNA中の既知のSNPsを検出する技術である.1つの品種に対して1組の蛍光ドナー/アクセプタープローブを用いることで,特定の種であるか否かを判別可能であり,解析時間も短く,高精度で解析できる特徴を持つ.
    本研究では,2色の蛍光プローブを用いたFRIP法により,太平洋産および大西洋産クロマグロの同時種判別技術を開発した.FITC標識した太平洋産クロマグロ識別用プローブおよびTAMRA標識した大西洋産クロマグロ識別用プローブを同一溶液中に混合した.6種のマグロサンプルからそれぞれ転写RNAを調製し,プローブとのハイブリダイゼーション反応を行ったところ,すべてのサンプルにおいて,一旦FRETによる蛍光の消光が確認された.さらに得られたDNA : RNAハイブリッド溶液にRNase Aを添加すると,ミスマッチの有無に応答して蛍光強度に変化が生じ,精度良く種を判別できた.
    同様の結果は,UV光を励起光として用いた目視判別用の濃縮反応液においても確認された.FRIP法は,簡易,迅速,高精度で安価な分析法として,様々な場面で利用されるものと期待される.
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技術論文
  • 沖谷 明紘, 大根田 弥生, 久保 友人, 石井 剛志, 鈴木 理世子, 粟田 隆之, 砂田 泰志, 山下 幸恵, 右田 光史郎, 松石 昌 ...
    55 巻 (2008) 4 号 p. 170-176
    公開日: 2008/05/31
    ジャーナル フリー
    (1) スルメイカ外套膜を真空調理したとき,官能による測定では煮えたものの食感をもつ,軟らかい煮イカが得られる加熱時間は,50℃と55℃では4~5時間,60℃では1~4時間であった.この加熱時間で皮(表皮の第3層と第4層の膜で構成)が消失したので筋肉内コラーゲンも可溶化したと推察された.
    (2) 60℃で1時間真空調理したイカ肉と80℃で1時間真空加熱したイカ肉の破断強度は,環状筋筋線維に直角および平行に破断したときのいずれの場合も前者のイカ肉の方が小さかったが,両イカ肉間の差は平行に破断したときの方が著しく大きかった.
    (3)SDS-PAGE分析の結果,加熱によってイカ肉の筋原線維からアクチンが不可逆的に離脱することが明らかとなった.この反応は60℃で著しく進行し,2時間後でもアクチンは可溶化したままであった.80℃でもこの反応はわずかに認められたが,可溶化アクチンの出現は2分までであった.
    (4)(2)と(3)の結果より,60℃で1時間真空調理した煮イカが80℃で1時間加熱した煮イカより軟らかい原因の1つとして,筋肉中で加熱によって起るアクトミオシンからのアクチンの離脱可溶化度合が,前者でより大きいことが推察された.
    (5)すべての結果から,真空調理スルメイカ筋肉のソフト化は筋肉内コラーゲンの可溶化と筋原線維からのアクチンの離脱可溶化現象によって惹起されると示唆された.
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  • 藤田 かおり, 蔦 瑞樹, 杉山 純一
    55 巻 (2008) 4 号 p. 177-182
    公開日: 2008/05/31
    ジャーナル フリー
    光計測によるカビ毒検知を試みた.本研究は光計測によるデオキシニバレノール(Deoxynivalenol, DON)の判別を可能にした初の試みであり,1)DON溶液の励起蛍光マトリクス(Excitation-Emission Matrix, EEM)計測,2)EEMの数値化,3)多変量解析によるDONの判別関数の算出,の3段階で実験を遂行し,以下の知見を得た.
    (1) これまで蛍光の検知が不可能とされていたDONにおいて,励起波長200~340nm/蛍光波長200~900nmの範囲でDON由来の蛍光が観察された.特に励起波長200~240nm/蛍光波長300nm, 励起波長250~300nm/蛍光波長250~350nm付近に観察されたピークはDON特有の蛍光ピークであると考えられた.
    (2)判別分析により,DONおよび純水の2グループの判別には,励起波長210nm/蛍光波長270nm, 励起波長240nm/蛍光波長620nm, 励起波長280nm/蛍光波長330nmの3つの変数が選択された.またこの変数を用いたDONの判別関数の正判別率は100%であり,誤判別がなかったことから,2つの溶液は3つの波長条件で十分に判別が可能であった.
    (3)さらにこれらのうち2波長条件において,DON溶液の蛍光強度が純水の値を上回っていたことから(p<0.01),今回算出されたモデル式が他の混合試料中でのDON判別に展開できる可能性が示唆された.
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研究ノート
  • 梶原 良, 中津 沙弥香, 塩野 忠彦, 柴田 賢哉, 石原 理子, 坂本 宏司, 武藤 徳男
    55 巻 (2008) 4 号 p. 183-185
    公開日: 2008/05/31
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラット(SHR)にモリンガ葉の10倍水抽出物を強制経口投与し,血圧上昇抑制効果について検討を行った.その結果,単回投与試験では血圧の有意な低下は認められなかったが,長期投与試験では,投与後25日目以降有意な血圧上昇抑制作用が認められた.また,モリンガ葉は,抗高血圧作用を有するGABAを高含有していた.モリンガ葉を長期間継続的に摂取することで高血圧発症を予防できる可能性があることが示唆された.
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  • 前橋 健二, 有留 芳佳, 股野 麻未, 山本 泰
    55 巻 (2008) 4 号 p. 186-190
    公開日: 2008/05/31
    ジャーナル フリー
    ゴーヤ料理にかつお節がしばしば使用されることに注目し,かつお節の苦味低減作用について検討した.
    (1)生ゴーヤおよびゴーヤチャンプルの苦味強度はかつお節をまぶすことによって著しく低下した.
    (2)苦味抑制効果はかつお節エキスよりもかつお節エキス調製後のだしがらに著しく認められ,ゴーヤエキスにかつお節だしがらを加えて乳鉢でよく混和したところ,その上清の苦味は大きく減少していた.
    (3) かつお節だしがらを詰めたカラムを作成しそれにゴーヤエキスを通したところ,ゴーヤ中の苦味成分はカラムに強く吸着し蒸留水では溶出されなかったが60%エタノールによって溶出された.
    これらの結果から,かつお節にはゴーヤ中の苦味物質を強く吸着する性質があることがわかり,この性質によりゴーヤに含まれる苦味成分を舌に感じさせなくすることがかつお節の脱苦味作用であると考えられた.
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速報
  • 中下 留美子, 鈴木 彌生子, 赤松 史一, 小原 和仁, 伊永 隆史
    55 巻 (2008) 4 号 p. 191-193
    公開日: 2008/05/31
    ジャーナル フリー
    日本国内で主に流通している国産,豪州産,米国産牛肉の産地判別の可能性を検討するため,炭素・窒素・酸素安定同位体比を測定した.その結果,炭素安定同位体比は,米国産牛肉(−12.6±1.0‰,平均値±標準偏差)が国産(−19.3±0.5‰)と豪州産(−22.1±1.5‰)より高い値を示し,酸素安定同位体比は,豪州産牛肉(+17.2±1.1‰)が国産(+10.4±1.0‰)および米国産(+10.8±1.1‰)より高い値を示した.以上のことから,炭素・酸素安定同位体比により国産牛肉と輸入牛肉との産地判別の可能性が示唆された.本手法はDNA解析による品種判別などと総合的に用いることにより有用な産地判別技術となりうる.
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技術用語解説
  • 金沢 和樹
    55 巻 (2008) 4 号 p. 194
    公開日: 2008/05/31
    ジャーナル フリー
    フコキサンチンは,炭素数40のイソプレノイド構造を骨格とするテトラテルペン類で,自然界に600種類余り存在するカロテノイドの一つである.カロテノイドのうち,化学構造に酸素を含むものをキサントフィルと細分類するが,フコキサンチンは褐藻が特異的に生産するキサントフィルで,1914年に発見,1969年に化学構造が決定された(図1).よく知られているキサントフィルに鮭のアスタキサンチン,マリーゴールド色素のルテイン,柑橘のβ-クリプトキサンチンなどがあり,いずれも鮮やかな黄色から橙色なので,古くから食品の着色料として利用されているが,フコキサンチンも鮮橙色である.
    褐藻は日本人が好んで食する海藻である.フコキサンチン含量は,生褐藻の場合,新鮮重100gあたりおおよそ,コンブ19mg,ワカメ11mg,アラメ7.5mg,ホンダワラ6.5mg,ヒジキ2.2mgである.日本人は干し海藻にすることが多いが,乾物にするとコンブ2.2mg,ワカメ8.4mg,他は検出限界以下となる.つまり酸化に不安定であるが,これは化学構造にアレン結合があるためと考えられている.褐藻を餌とする貝類のカキやホヤもフコキサンチンを多く含み,さらにアレンが安定なアセチレンとなったハロシンチアキサンチンを含んでいる.
    注目を浴びているフコキサンチンの生理機能の一つは発がん予防作用1)2)である.フコキサンチンがヒト前立腺がん細胞にアポトシースを誘導する作用は,カロテノイド類の中ではもっとも強い.また,結腸がんモデル動物に経口投与すると,前がん病変形成を有意に抑えた.作用機序は,p21WAF/Cip1というタンパク質の発現を促すことで,その下流のレチノブラストーマタンパク質をリン酸化するサイクリンDとキナーゼ複合体の活性を阻害し,レチノブラストーマタンパク質からの転写因子E2Fの遊離を抑えることであった.結果として,腫瘍細胞の細胞周期をG0/G1期で停止させ,腫瘍の増殖を抑えた.
    もう一つは宮下和夫らによる興味深い発見,肥満予防効果3)である.食餌フコキサンチンは,白色脂肪細胞に,ミトコンドリア脱共役タンパク質1の発現を促す.このタンパク質は,本来はATP生産に用いられるミトコンドリアの電気化学ポテンシャルを体熱として放出させる.結果としてフコキサンチンは,脂肪細胞の脂肪を体熱として消費させることで肥満を防ぐ.
    フコキサンチンは栄養素ではなく非栄養素である.栄養素は体内に加水分解吸収されて肝臓でエネルギー代謝されるが,非栄養素は加水分解吸収後,まず小腸細胞内で代謝を受ける.小腸細胞内代謝で官能基がグルクロン酸や硫酸抱合を受け,生理活性を示さない化学形態となり,多くは管腔側に排泄さる.したがって,非栄養素がヒト体内で機能性を発揮するか否かは,小腸細胞内でどのような代謝を受けるかによる.フコキサンチンの体内吸収率は数%であるが,小腸細胞吸収時に図1の右環のアセチル基がアルコールのフコキサンチノールに加水分解されるだけで体内吸収される.体内では一時的に脂肪細胞にとどまり,数十日ほどの体内半減期で尿に排泄される.また一部は肝臓で,左環がアマロシアザンチンAに代謝される.長尾昭彦らによると,この2つの代謝物が生理活性の本体である.フコキサンチンを生昆布量に換算して日に100kgを4週間与えても,その動物に異常は認められていない.他のキサントフィルにも過剰摂取毒性は今のところ報告されていない.フコキサンチンなどのキサントフィル類による,ヒトの生活習慣病予防に大きな期待が寄せられている.
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