日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
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55 巻 , 9 号
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総説
報文
  • 山崎 賀久, 奥野 智旦
    55 巻 (2008) 9 号 p. 410-415
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    ニンニク鱗茎の加温貯蔵により,ニンニク中の生理活性物質の一つであるS-アリル-L-システイン(S-allyl-L-cysteine, ALC)の蓄積効果が認められた.このALCは,ニンニク中の含有量が少なく,従来エタノール水溶液浸漬処理(aqEtOH処理)により得られている成分であるが,加温貯蔵では,aqEtOH処理の処理期間100日以上(常温)に対し,1~2週間でALC蓄積効果が得られた.加温貯蔵の温度は,45~75℃でALC蓄積効果が確認され,55℃ 2週間で最大のALC蓄積効果が得られた.加温貯蔵とaqEtOH処理による処理効果は,ニンニク鱗茎の休眠の有無に影響を受けた.休眠が覚醒したニンニクでの最大蓄積量は45℃ 12日間の加温,室温での101日間の浸漬でそれぞれ3.3mmolと1.5mmol/100g dry wt. であった.休眠中のニンニクでのりん片中の最大蓄積量は55℃ 2週間の加温,室温での91日間の浸漬でそれぞれ2.0mmolと4.0mmol/100g dry wt. であった.
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  • 田代 操, 澤田 小百合, 竹田 早希
    55 巻 (2008) 9 号 p. 416-420
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    TIの摂取は体内脂質代謝に変動を及ぼすとの仮説を検証するために,起源を異にする2種類のTIであるOMJPQとRBTIをそれぞれ0.2%含む飼料をWistar系の幼ラットに3週間与え,肝臓や血清における脂質含量の測定を含め動物に与える影響を調べた.
    その結果,体重増加量と飼料摂取量はC群に比べ両TI摂取群(OM群,RBTI群)に有意な差は示されず,TI摂取による生育抑制作用は認められなかった.一方,肝臓総脂質含量,肝臓中性脂肪含量については,C群に比べRBTI群で有意な低値を示し,また血清中性脂肪濃度については,C群に比べOM群とRBTI群で有意な低値を示した.また,膵臓重量,膵臓タンパク質量,膵臓酵素活性を測定したところ,C群に比べTI摂取群でいずれも高値傾向あるいは有意な高値を示し,TI摂取に伴う膵臓へのTrophic効果が観察された.
    以上より,食餌性のTIは体内脂質代謝に影響を与え,その結果として血清中性脂肪濃度を低下さすことが示された.またその作用はTIの有する膵臓外分泌機能亢進効果と深く関連することが示唆された.
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技術論文
  • 吉田 幹彦, 菱山 隆, 五十嵐 友二
    55 巻 (2008) 9 号 p. 421-427
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    ジベンゾイルチアミン(DBT)を含有する加工食品中のビタミンB1 (チアミン塩酸塩)総量を正確に測定する目的で,タカジアスターゼによる酵素分解後,さらにDBTをアルカリ加水分解し,遊離するチアミンをカラムスイッチング法にてプレカラム精製を行い,高速液体クロマトグラフ法にて定量する方法を検討した.
    (1)DBTをチアミンに完全にアルカリ加水分解させるため,システイン存在下,0.49mol/L水酸化ナトリウム溶液中,室温で30分間反応させる条件を確立した.なお,本条件下で加水分解後のチアミンが安定なことを確認した.
    (2)0.002~1.0μg/mlの濃度におけるチアミン塩酸塩標準溶液の直線性は,相関係数0.9999以上と良好であった.
    (3)DBT含有食品に対して,本試験法の相対標準偏差は2.2%,かつ差し引き添加回収率83~110%と良好な,繰り返し精度及び真度を確認した.
    (4)DBTを含まないビタミンB1含有食品について,本試験法の相対標準偏差は2.4%,かつ本試験法での定量値と公定法で得られた定量値を比較検討した結果,統計学的有意差を認めなかった(危険率5%).
    (5)定量下限は,クロマトグラムのS/Nより0.004mg/100gと推定されたことから,加工食品中のマトリックを考慮し,0.01mg/100gと設定することが妥当であろうと考えられた.
    以上より本試験法は,DBTの含有の有無に関わらず,加工食品中の総ビタミンB1を定量できることが示された.
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研究ノート
  • 高橋 義宣, 河原崎 正貴, 星野 躍介, 本多 裕陽, 江成 宏之
    55 巻 (2008) 9 号 p. 428-431
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    アンセリンは回遊魚や渡り鳥など持久力を必要とする動物の筋肉に多く存在することが知られており,マウスの強制遊泳試験によりその抗疲労効果が確認されている.サケ肉より抽出したアンセリン含有サケエキス(SEAns)を用いてヒト臨床試験を行い,疲労の低減に関する効果を検証した.SEAns摂取群は対照群と比較して,筋肉疲労の血中マーカーであるクレアチンホスホキナーゼおよび精神ストレスの血中マーカーであるコルチゾールの有意な減少,さらに運動継続時間の減少を抑制する傾向も確認された.以上の結果より,SEAnsには筋肉疲労,及び疲労感(精神ストレス)を低減する効果があると考えられた.
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技術用語解説
  • 坂本 宏司
    55 巻 (2008) 9 号 p. 432
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    1. 凍結減圧酵素含浸法とは
    含浸技術は,木材や不織布への樹脂含浸,無機粒子含浸など様々な工業分野で利用されている.食品分野では,加圧または減圧を利用した酵素や調味料などの含浸技術があるが,酵素含浸は食材表面の改質を目的としている場合が多い.また,圧力で食材内部に調味液などを染み込ませる加圧含浸装置が開発されているが,含浸の効率性,製造コスト,利用方法など解決すべき課題も多い.
    凍結減圧酵素含浸法(以下凍結含浸法と略す)は,高速含浸法という位置づけにあり,細胞間隙のみならず細胞内含浸も可能で,簡便なことから応用範囲は広い.本法は食材の単細胞化研究の過程で開発された.ペクチナーゼ溶液中で単細胞化すると細胞内外の浸透圧差による細胞の破壊や栄養成分の溶出は避けられないが,逆に酵素を食材内へ導入すれば細胞内成分は溶出しない.凍結含浸法は,含浸前に食材を凍結・解凍し組織に緩みを与えた後,減圧含浸することを基本操作としている.凍結・解凍は組織を膨張,収縮させる効果を有し,その後に減圧含浸処理することで組織は再膨張する.この時,組織内部にある気体の出口通路は広がり,含浸効率は劇的に高まる.操作は簡易で製造コストは低く技術導入しやすい面を持つ.凍結・解凍後に加圧含浸処理することでも時間をかければ含浸可能であるが,コスト,品質面,操作性で減圧含浸処理が有利である.
    2. 適用分野と応用例
    (1)介護食・消化器官術後食 : 介護食の形態には,流動状や刻み状のものが多く,QOL(quality of life)の視点でみると問題は多い.食品は色,味,香りに加え形状も重要な要素で,食欲の低下は摂食・嚥下障害者の低栄養化の一因ともなっている.ペクチナーゼ製剤を凍結含浸すると食材の形状を保持したまま硬さを制御することが可能となり,障害度に応じた新しい形態の介護食が製造できる.見た目が変わらないため,食欲増進効果は高く,離乳食や胃切除術後食としての利用も可能である.その他,(1)加熱調理工程がないので栄養成分が保持され,風味が良い,(2)低コスト・省エネルギー,(3)消化吸収性の改善,(4)ビタミン,ミネラル等同時含浸による栄養強化,(5)生デンプン含浸による離水防止と歩留まり向上などの特徴がある.
    (2)凍結含浸法の適用食材 : 適用可能食材は多いが,酵素失活が必須条件なので果実類ではパイナップルのように加熱してもおいしく食べられる食材に限定される.また,表皮を有する豆類の場合,含浸前に表面乾燥すれば酵素を導入することが可能で,介護食レベルまで軟化させるには,凍結含浸後の加圧加熱処理が有効である.肉類の場合,苦みやドリップを防止する技術も開発されており,硬い牛モモ肉をステーキとしておいしく食することができるようになる.
    (3)真空調理工程への応用 : 真空包装機を利用して,介護施設など小規模厨房施設内で凍結含浸食材を製造する技術が開発されている.この場合,酵素液量が制限される,包材内で食材を酵素液に浸漬したまま酵素反応を行うと表面崩壊が起こるといった問題点がある.解凍時に酵素液を食材表面に付着・浸透させた後,真空包装機で減圧含浸する方法が提案されている.衛生的,低酸素下調理,調味液の低減化など真空調理方式の利点に加え,複合食材を同時含浸可能,取り扱い易いといった副次的効果もある.
    (4)機能性の付加・増強 : 酵素による分解反応を利用して,食材内部に機能性成分を付加・増強させる技術が開発されている.例えば,多糖類やタンパク質の低分子化により水溶性食物繊維やペプチドを食材内部に生成させる技術やオリゴ糖生成酵素剤を含浸してオリゴ糖を豊富(10%程度)に含有するジャガイモを製造する技術が開発されている.
    (5)新規造影検査食 : 酵素と医療用造影剤を同時含浸させて,医療用造影検査食を作製する技術が開発されている.誤嚥が疑われる場合,嚥下造影検査が行われ,ゼリーなどに造影剤を混ぜ合わせた検査食が用いられている.しかし,これらの検査食は模擬的なものに過ぎず,本来の食物の摂食・嚥下状態を観察しているとは言えない.本検査食を用いると,咀嚼期から嚥下期に至る通常の摂食過程を観察できるようになる.また,食道,消化器官の状態も観察できるため,外科領域でも応用展開が可能である.
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