日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
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56 巻 , 12 号
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総説
報文
  • 貝沼 やす子, 田中 佑季
    56 巻 (2009) 12 号 p. 620-627
    公開日: 2010/01/31
    ジャーナル フリー
    (1) 米ペーストには粒径が6μm付近のでんぷん微粒子の存在が殆どを占めていた.米粉は粒径10~100μmにかけて広く分布していた.また,米ペーストの吸水率は50~60%と強力粉より少なかったのに対し,米粉は100%を超えており,強力粉より大きかった.
    (2) パン生地のファリノグラム解析において,米ペースト添加生地はコントロール生地と同等程度の硬さであったが,米粉添加生地はコントロールより明らかに硬かった.
    (3) 走査型顕微鏡観察では,米ペースト添加パン生地はコントロールパン生地に比べるとグルテン形成が少なくなっているものの,米粉添加パン生地よりもグルテンが形成されており,でんぷん粒とよく絡み合っていた.米ペースト添加パン生地は発酵させた際の体積増加率がコントロールパン生地より大きかったが,米粉添加パン生地は明らかに小さかった.
    (4) 米ペースト添加パンは米粉添加パンよりもパンの膨化状態・内相の品質・テクスチャーが改善されており,コントロールパンに近い,柔らかくきめの整った良好なパンとなっていた.
    (5) 米ペースト添加パンは米粉添加パンよりも低温に保存した場合のパンの硬化が抑制されており,コントロールパンと同等の変化を示した.
    これらのことから,米をペースト状にし,そのままパン生地に添加するという新たな米添加パンの調製法は,米の調理特性を活かした有用性のある調製法であると考えられる.また,パン以外の小麦粉調理で代替利用できる可能性も秘めており,米粒,米粉に次ぐ,米の新たな活用法としての有効性が期待できる.現時点では研究室規模の実験であったが,今後は実用化に向けて米ペーストを効率的に製造できる機器の開発,米ペーストを添加した業務用生地の調製法などの検討を行っていく予定である.
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  • 有山 愛, 森 由佳, 稲野 美穂, 灘本 知憲
    56 巻 (2009) 12 号 p. 628-638
    公開日: 2010/01/31
    ジャーナル フリー
    ココア摂取がヒト体表温を上昇させる影響を検討した.被験者は健康な女子学生(18-24歳)とし,体表温と抹消部の血流量を測定指標とした.測定は22℃±0.5℃,湿度50%±5%の恒温恒湿環境下,4通りの異なった条件で行った.結果は次の通りである.
    (1) 実験1では,60℃に加温されたピュアココア飲料による影響を,栄養組成を揃えた飲料,水と比較した.ピュアココアは手首,足首,足指先に,体表温上昇傾向を示した.
    (2) 実験2では,37℃に維持したピュアココア飲料と栄養組成を揃えた飲料を比較した.その結果,ピュアココアは手首に体表温維持傾向を示した.
    (3) 実験3では,60℃脱脂ココア飲料と栄養組成を揃えた飲料を比較した.脱脂ココアは額における体表温上昇作用(p<0.05)と手指における体表温維持作用(p<0.05)を示した.また,同様の傾向は,腹と腰にも示された.
    (4) 実験4では,実験3と同じ飲料を用いて就寝前状況を想定した実験を行った.脱脂ココアは栄養組成を揃えた飲料と比較し,腰・足首・足指先で体表温上昇作用(p<0.05)を示した.
    以上の結果より,ココア摂取はヒト体表温上昇作用または維持作用があることが示された.また,その効果は脱脂ココアで特に顕著に観察された.
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  • 内田 あゆみ, 陶 慧, 荻原 淳, 赤尾 真, 熊谷 日登美, 松藤 寛, 竹永 章生, 櫻井 英敏
    56 巻 (2009) 12 号 p. 639-646
    公開日: 2010/01/31
    ジャーナル フリー
    ジャンボリーキ鱗片から得られた泡粉末と比較のために鱗片末およびクルクミンを用いてGaINにより誘発される急性肝障害およびEtOHによって惹起される慢性肝障害モデルラットに対する影響を調べた.また同時に,推定関与成分として生鱗片からサポニンの単離・同定を試みた.その結果,ジャンボリーキの泡粉末および鱗片末は,GaIN,およびEtOHのラットへの投与実験において急性肝障害時の機能低下を抑制すること,またアルコール吸収を抑制することにより慢性肝障害を予防することを明らかにした.そして,その関与成分として既知のステロイドサポニンである(25R)-spirost-5-ene-2α,3β-diol-3-O-{O-β-D-glucopyranosyl-(1→2)-O-[β-D-xylopyranosyl-(1→3)]-O-β-D-glucopyranosyl-(1→4)-β-D-galactopyranoside},(C50H80O23,MW : 1048),カラタビオサイドAの存在を提示した.
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技術論文
  • 宮田 裕次, 野田 政之, 玉屋 圭, 林田 誠剛, 徳嶋 知則, 西園 祥子, 松井 利郎, 田中 隆, 田丸 靜香, 田中 一成
    56 巻 (2009) 12 号 p. 647-654
    公開日: 2010/01/31
    ジャーナル フリー
    有効利用されていない三番茶葉とビワ葉を混合した新たな発酵茶の製造法を検討した.緑茶製茶機械の粗揉機を利用して三番茶葉に70℃の熱風を当て,茶温を40℃以下に保ち20分間攪拌して茶葉を萎凋させた.次に揉捻機を用いて萎凋した三番茶葉にビワ葉を全量の10%添加し揉捻することで,カテキンの酸化重合が促進され,味,香りに優れ,浸出液の色が鮮やかな紅色を呈する品質の高い混合発酵茶が製造できた.用いる三番茶葉は,二番茶摘採日から通常の三番茶葉の最適摘採時期と同じ35日頃に摘採したものが最適である.
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研究ノート
  • 沖 智之, 佐藤 麻紀, 吉永 優, 境 哲文, 菅原 晃美, 寺原 典彦, 須田 郁夫
    56 巻 (2009) 12 号 p. 655-659
    公開日: 2010/01/31
    ジャーナル フリー
    11品種の有色サツマイモ(白色 : 3,黄色 : 2,橙色 : 2,紫色 : 3)の凍結乾燥品から高速溶媒抽出装置を用いて抽出液を調製し,DPPHラジカル消去能とORACを測定した.サツマイモのDPPHラジカル消去活性は肉色が白,黄,橙では同程度であったが,紫サツマイモは他の肉色のサツマイモと比べて約10倍高い活性を示した.ORAC値もDPPHラジカル消去活性と同様な傾向であり,ETとHATを反応原理とする2つの評価系で紫サツマイモが高い抗酸化活性を示した.20品種・系統の紫サツマイモにおいて,主要アントシアニンの含量とORAC値との間に正の相関(R=0.833)が認められ,アントシアニンがORAC法での主要な抗酸化成分であると判断された.また,紫サツマイモのDPPHラジカル消去活性がORAC値と高い相関(R=0.894)を示したことから,DPPHラジカルを用いた評価法がORAC値を見積もるための方法として利用できると考えられた.
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  • 宮本 敬久, 中山 素一, 重宗 尚文, 徳田 一, 松下 知世, 古田 可菜子, 目加田 瑶子, 本城 賢一
    56 巻 (2009) 12 号 p. 660-664
    公開日: 2010/01/31
    ジャーナル フリー
    緑茶抽出物(GTE)の食品保存への利用について検討した.酢酸,NaClに加えてGTEを添加した調味液で一晩漬けたキュウリ浅漬けの冷蔵中の生菌数の変化を調べた.その結果,3.5% NaCl単独では抗菌効果がなく,0.1% GTEと3.5% NaClの併用効果も低かった.単独および2者の併用では静菌効果の認められなかった0.1%酢酸,2% NaClおよび0.05% GTEの3者を含む調味液で一晩漬けたキュウリの浅漬けでは,漬け込み開始から7日間の冷蔵期間中の生菌数は初発菌数以下に抑制された.人為的に接種した腸管出血性大腸菌の増殖も,0.1%酢酸を含む調味液で処理すると7日間抑制された.以上より,キュウリに対しては,併用効果の認められないNaClと酢酸濃度の組み合わせでも,GTEを添加することで効果的に浅漬けの保存性を向上させ得ることが示された.
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技術用語解説
  • 島田 朗
    56 巻 (2009) 12 号 p. 665
    公開日: 2010/01/31
    ジャーナル フリー
    糖尿病とは,インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝症候群である.糖尿病は,成因と病態の両面から,1型,2型,その他の特定の機序・疾患によるもの,妊娠糖尿病の四つに分類される(表1).その一つが,2型糖尿病である.2型糖尿病には,インスリン分泌低下を主体とするものと,インスリン抵抗性が主体で,それにインスリンの相対的不足を伴うものなどがある(表2).欧米においては,肥満に伴うインスリン抵抗性から糖尿病状態に至る場合が多いのに対して,我が国においては,肥満がなくインスリン分泌が低下して糖尿病状態に至る例も珍しくない.2型糖尿病の場合は,口渇,多飲,多尿,といった典型的な糖尿病症状を認めない場合も多く,最近では無症状で健康診断にて偶然発見されることが多い.高血糖状態が長期間続くと,以下に述べる(慢性)合併症の出現に繋がる.糖尿病の三大合併症は,細小血管障害である,網膜症,腎症,神経障害である.また,大血管合併症として,脳血管障害,冠動脈疾患,下肢閉塞性動脈硬化症などがあるが,これらは,糖尿病に必ずしも特有の合併症ではないが,非糖尿病患者に比べて2~4倍頻度が高く,患者の生活の質を低下させるのみならず,生命予後を規定する疾患群として重要である.2型糖尿病の治療の基本は,食事療法(標準体重1kgあたり25-30kcal/日),運動療法であるが,前述の合併症,あるいは,他の合併疾患の状態を考慮する必要がある.特に,腎症が存在する場合は,一般に塩分やタンパク質の摂取量についても制限が必要になる.これらの治療によっても血糖コントロールが不十分な場合,経口糖尿病薬の適応となる.現在,我が国では,スルフォニル尿素薬,速効型インスリン分泌促進薬,ビグアナイド薬,インスリン抵抗性改善薬,アルファグルコシダーゼ阻害薬の五つのジャンルが使用可能である.薬剤選択にあたっては,インスリン分泌能やインスリン抵抗性の状態など個人個人の2型糖尿病の病態に加え,各薬剤の副作用などを考慮して選択する.また,インスリン療法は,以前は最終手段であった時代もあるが,現在では,比較的早期から導入し,代謝状態が安定した後は中止するなど,考え方が変化している.インスリン療法のゴールデンスタンダードは,頻回注射法であるが,最近では初期のインスリン導入法として,経口糖尿病薬に基礎インスリンを併用する方法も見直されている.
    なお,2型糖尿病の発症予防の試みは,欧米を中心に行われているが,食事,運動などの生活習慣への介入により発症が抑制されるのみならず,上述のビグアナイド薬によるインスリン抵抗性の改善やアルファグルコシダーゼ阻害薬による食後高血糖への介入も発症予防に有用である可能性が示唆されている(ただし,保険適用外であることに注意).
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