日本食品科学工学会誌
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56 巻 , 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
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総説
報文
  • 山口(村上) 友貴絵, 廣瀬 潤子, 藤居 亙, 成田 宏史
    56 巻 (2009) 2 号 p. 64-71
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    大麦粉から純化したLTPを抗原としてポリクローナル抗体を作製し,大麦LTP特異的サンドイッチELISAを構築した.本ELISAのLTP定量範囲は0.1~10ng/mLであり,小麦LTPに対しては若干交差したが(0.003%),えん麦,はと麦,ライ麦には交差しなかった.また,酢や味噌,ビールなどの発酵食品中にもLTPの存在が確認できた.同一品種のビールにおいては,製造工場や製造日が異なってもLTP含量はほぼ一定であった.
    LTPはビールの泡の形成や安定性に寄与していると言われている一方,ビールアレルゲンとして問題となっている.したがって,本定量系がビールをはじめとする大麦飲料の品質管理の評価系として有効利用できる可能性が示された.
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  • 折笠 貴寛, 高川 知也, 椎名 武夫, 田川 彰男
    56 巻 (2009) 2 号 p. 72-78
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    乾燥野菜の吸水速度および体積膨張を把握するため,空隙率の異なるナス,ダイコンおよびニンジンを試料として,含水率の経時変化,見かけ密度,真密度の測定を行い,得られた空隙率が吸水速度,体積変化に及ぼす影響を調べたところ,以下の知見を得た.
    (1) 各試料の吸水過程における含水率変化は,拡散方程式の無限平板モデルにより説明できる.
    (2) 各試料の吸水過程における拡散係数DはArrhenius型の温度依存性に従った.この関係を基に吸水過程における活性化エネルギを求めたところ,ナスの値が最も小さく,ダイコンおよびニンジンと比べて吸水しやすいことが推察された.
    (3) 各試料の比容積は,含水率の増加に伴い一次関数的に増加するが,同一の含水率における比容積はほぼ同じ値をとる.
    (4) ナスの空隙比は吸水過程の進行に伴い下に凸の緩やかな曲線を描きながら減少したが,ダイコンとニンジンの空隙比は吸水開始直後に急激に低下した.
    (5) 試料空隙は体積変化よりも吸水速度に大きく影響を及ぼす.
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  • 齋藤 三季, 井澤 弘美, 戸羽 隆宏, 柴田 浩夫, 長田 恭一
    56 巻 (2009) 2 号 p. 79-84
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    5週齢Sprague-Dawly(SD)系雄ラットに0.5%コレステロールと5%りんご鹿角霊芝(AAFGL)を含む飼料を14日間与え,AAFGLによる脂質代謝調節作用を検証した.その結果,AAFGL投与ラットでは,白色脂肪組織重量が対照群と比べて減少する傾向にあった.血圧はAAFGL摂取で対照群よりも低くなり,血液流動性はAAFGL摂取群が対照群よりも良い傾向にあった.肝臓と血清総コレステロール濃度は対照群と比べてAAFGL摂取で低下する傾向にあった.血清HDL-コレステロール濃度は対照群と比べて有意に上昇し,AAFGL群の動脈硬化指数は有意に低下した.肝臓トリグリセリド濃度はAAFGL摂取により低下する傾向にあった.糞中の酸性と中性ステロイド排泄量は対照群よりもAAFGL群が増加傾向を示した.このように,AAFGLは肥満予防作用ならびに脂質代謝調節作用を示す可能性が示唆された.
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  • 吉田 順子, 添田 博, 菊池 英夫, 神山 かおる, 早川 文代
    56 巻 (2009) 2 号 p. 85-94
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    シュウマイの中でも最も生産量の多い肉シュウマイに焦点を当て,8種類の肉シュウマイの評価用語および評価方法を設定し,各試料の官能特性を明らかにした.その結果,以下の結果を得た.
    (1) 分析型パネルによる評価用語収集により135語が得られた.専門家パネル4人によって用語を整理し,第一次用語リスト61語を作成した.
    (2) 第一次用語リストについて,パネリスト全員に5段階のカテゴリー尺度を用いて試料を評価させた.クラスター分析の結果,61語は20のクラスターに分類された.クラスター分析結果について専門家パネルによる討議を行い,最終的にシュウマイの評価用語を選定し,19語を決定した.
    (3) 分散分析の結果,19用語中18語に試料間の有意差が見られた.ジューシー感が強いと,油っぽさが強い傾向がみられたが,一部例外もみられた.有意差のある評価項目間の相関係数の数は,肉の味が最も多かった.肉の味は,肉のくさみ,肉粒の大きさ,弾力感と正の相関があった.従って,肉の味の強さは,様々な評価項目と相関性が高く,肉シュウマイの評価では中核的な項目であることが推察された.
    (4) データを一元的に把握するために主成分分析を行った.その結果,第5軸までが意味のある主成分として抽出された.第1軸は「肉の存在感」,第2軸は「味付けの濃さ」,第3軸は「肉汁の量」と解釈した.試料の主成分得点と評価項目の因子負荷量を用いて散布図を作成したところ,それぞれの試料の特徴を読み取ることのできる肉シュウマイの官能特性マッピングを得た.
    (5) 8試料以外の肉シュウマイでも,得られた評価方法が適用できるのか否かを検討するために,新たに7種類の肉シュウマイの評価を行なったところ,同様の傾向がみられ,広範囲の肉シュウマイの品質特性を客観的に把握できることがわかった.
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  • 小川 智史, 木村 英人, 新見 愛, 地阪 光生, 勝部 拓矢, 横田 一成
    56 巻 (2009) 2 号 p. 95-102
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    (1) トチノキ種皮よりポリフェノールを熱水で抽出し,Diaion HP-20, Chromatorex ODS 1024T, そしてSephadex LH-20のカラムクロマトグラフィーで分離したF1,F2,F3のそれぞれの画分をMALDI-TOF/MSで分析した.その結果,主成分は,縮合型タンニンであり,F2で19mer, F3で23mer以上のポリマーとして存在することが明らかになった.
    (2) トチノキ種皮のタンニンは,単結合のBタイプの架橋に加えて,二重結合により架橋したAタイプのインターフラバン結合を多数,有していた.また,構成単位は,ガロイル基により修飾されていない(+)-カテキン,もしくは(−)-エピカテキンであった.
    (3) トチノキ種皮に由来するポリフェノール成分について,糖質消化酵素に対する阻害作用を検討した.その分画成分は,α-グルコシダーゼおよびα-アミラーゼに対して強い阻害活性を示した.これらは,血糖値の急激な上昇を緩和する機能性食品素材として期待できる.
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技術論文
  • 沢村 信一, 原口 康弘, 安田 正俊, 松坂 修二
    56 巻 (2009) 2 号 p. 103-107
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    抹茶の流動性試験の結果をまとめると以下のようになる.
    (1) 石臼抹茶,ボールミル抹茶,微粉抹茶の流動開始振動加速度はほぼ同じであった.粗粉抹茶は,流動を開始するのに強い外力を要した.
    (2) ボールミル抹茶は,流動開始振動加速度と終了加速度が近接しており,非常に流動性が良かった.
    (3) 石臼抹茶は,帯電しやすく流動性は低かった.帯電は湿度と関連しており,抹茶を取り扱うときはある程度の湿度を保つ方ことで流動性が良くなる.
    (4) 抹茶は帯電制御によって流動性が向上するので,抹茶を扱うプロセスには除電設備を備えるのが望ましい.
    (5) Carr流動性指数では,粉砕方法の異なる抹茶の差は小さかったが,本粉粒体流動性試験装置を用いることによって,抹茶の流動性の違いを明確に評価できた.
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  • 服部 賢志, 船木 紀夫, 法邑 雄司
    56 巻 (2009) 2 号 p. 108-113
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    無機元素分析によるアスパラガスの産地判別の可能性を検討した.日本産及び外国産のアスパラガス64点について,13元素(Mg,Al,Ca,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Rb,Sr,Mo及びBa)をICP-MSにより定量した.分析値の主成分分析から分布に産地ごとの傾向が認められた.さらに後進ステップワイズ法により選択した6元素(Co,Sr,Ca,Rb,Mo及びCu)の濃度を用い,日本産と外国産を判別する線型判別関数を構築した.線形判別関数の有効性についてクロスバリデーション法により検証したところ,日本産97%及び外国産90%の的中率を示し,産地判別の可能性が示唆された.
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研究ノート
技術用語解説
  • 大森 英之
    56 巻 (2009) 2 号 p. 118
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    エコフィードとは,「国内で発生した食品製造副産物,加工屑,余剰食品,調理残さ及び食べ残しを一定程度原料とする飼料」のことであり,「エコロジーでエコノミカルな飼料」という意味である.また,エコフィード/ECOFEEDは社団法人配合飼料供給安定機構により商標登録されている(2007年6月).
    日本の畜産業は食品産業から排出される製造副産物や食品残さ等の食品循環資源を飼料として有効に利用してきた.その代表がいわゆる残飯養豚である.しかし残飯は成分が不安定で腐敗しやすく,多給すると豚の成長や肉質に悪影響を及ぼす危険があった(厚脂,軟脂,脂肪の黄化,不快臭等).一方,輸入飼料を原料とする配合飼料はハンドリングも良く,良好な成長と肉質が得られるため,畜産物の需要の増大とともにその利用が進んでいった.その結果,我が国の飼料自給率は,25%にまで低下している.そのような状況の下で,輸入飼料価格が急騰したことにより,国内の畜産農家は大変厳しい状況に置かれている.
    平成13年5月に施行された食品リサイクル法により,食品関連事業者は食品廃棄物の再生利用が義務付けられ,食品循環資源の飼料化は重要な課題として取り組まれるようになった.また平成19年の改正においては,再生利用のなかで飼料化が最優先に位置づけられた.
    平成17年3月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画では,平成27年度までに飼料自給率を35%にまで高めることが目標とされている.この目標の達成のために,農林水産省は「全国食品残さ飼料化行動会議」を設置して食品循環資源の飼料化の推進に取り組んでいる.現在,日本国内における食品残さの発生量は約1135万トン,そのうち飼料化されている量は約250万トンであるが,これを倍増させることが目標である.
    エコフィードの製造および販売には安全性の確保が最も重要である.これに関しては,飼料安全法および家畜伝染病予防法の遵守と,平成18年8月に制定された「食品残さ利用飼料の安全性確保のためのガイドライン」に沿った飼料化が求められる.
    エコフィードの原料となる食品残さの水分含量は一般的に高く,飼料として利用するためには腐敗を防ぎ,保存性を高める必要がある.エコフィードの種類と技術は主に乾燥飼料化,リキッド飼料化,サイレージ化の3つに分けられる.これらの技術にはそれぞれ長所と短所があり,原料の種類や家畜の飼養条件に応じて使い分ける必要がある.
    乾燥飼料化は熱源を利用して原料の水分を減らし,腐敗を防いで長期保存を可能とする技術である.広域流通が可能となる,従来の給餌システムがそのまま利用できる等のメリットがあるが,乾燥にかかるコストが問題となる.乾燥方式には,乾熱乾燥,発酵乾燥,ボイル乾燥,油温減圧乾燥方式などがある.
    リキッド飼料化は,主に豚用のエコフィードに用いられる技術である.原料となる食品残さや製造副産物を,水や高水分の食品残さ(牛乳など)と混合し,液状の飼料として給与する.乾燥飼料化と比較して調製に要するエネルギーが少なくてすむ反面,従来の給餌システムが利用できないため,施設改修のための初期投資が必要となる.ギ酸等の有機酸を添加することにより飼料のpHを低下させ,雑菌の増殖を抑制することにより保存性を高めることができる.またリキッド飼料を乳酸発酵し,乳酸によりpHを低下させて保存性を高めたものが発酵リキッド飼料である.保存期間は約1~2週間程度である.
    サイレージ化は,ビール粕や豆腐粕等高水分の原料を密封し,乳酸発酵により雑菌の増殖を抑制して保存性を高める技術である.密封の不備による不良発酵やカビの発生,開封後の二次発酵による変敗に注意する必要がある.保存期間はリキッド飼料よりも長いが,乾燥飼料と比べると短い.
    多様な食品循環資源を原料とするエコフィードは,その成分も多様であり,その特徴を生かした畜産物生産が可能である.脂肪含量が多い原料については,配合飼料への一部混合,脂肪の少ない原料との組み合わせ,制限給餌などにより脂肪の給与量を抑えることで,適度にやわらかい,特徴的な豚肉を生産できる.また,パン屑を多給することにより筋肉内に脂肪(サシ)が入ることが知られており,これを利用した霜降り豚肉の生産も行われている.
    エコフィードに関する取り組みは,我が国の環境問題と食料自給率向上の2つの大きな課題の解決につながるものであり,今後さらなる広がりが期待される.
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