日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
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56 巻 , 3 号
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報文
  • 小阪 英樹, 畠中 知子, 吉田 晋弥, 戸田 登志也
    56 巻 (2009) 3 号 p. 119-128
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    丹波地方を発祥とする極大粒黒大豆の在来種である丹波黒について,国内の主要産地で維持,管理されている系統(標準系統)と,その他の黒大豆品種を判別する方法を検討した.74組の大豆SSRプライマーから,標準系統と他品種黒大豆との間で明瞭な多型がみられる18組のプライマーを判別用プライマーとして選択した.この18組のプライマーを用い,丹波黒として市場流通している日本産および中国産種子を分析したところ,日本産はすべて標準系統と遺伝型が一致したが,中国産は異なる遺伝型が多くみられ,標準系統と一致した子実は13%しか存在しなかった.クラスター分析により中国産は丹波黒標準系統と遺伝的な距離が近いものから,育種,特性資料に基づく遺伝的類縁関係の遠い中生光黒,丹近黒と同程度のものまで,遺伝型は多様であった.本技術の加工食品への適用について検討したところ,煮豆,蒸し豆,煎り豆は子実と同様に判別が可能であったが,納豆では不可能であった.実際に市販加工品を分析したところ,産地が記載されていない製品,中国産の製品については丹波黒標準系統と遺伝的に異なる品種が混入していた.
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  • 松藤 寛, 佐々 怜一郎, 本間 友輝, 宮島 拓臣, 千野 誠, 山崎 壮, 島村 智子, 受田 浩之, 松井 利郎, 松本 清, 山形 ...
    56 巻 (2009) 3 号 p. 129-136
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    DPPHラジカル消去活性測定法を用いて,2成分間の活性に及ぼす効果(相乗効果,相加効果,相殺効果)について検討した.11種の酸化防止剤55通りの組み合わせでは,36通りにおいて統計上相乗効果,1通りで相殺効果と判定される結果が得られた.一方,24種の化合物276通りの組み合わせ(うち15通りは重複)では,74通りにおいて相乗効果,61通りで相殺効果が得られた.しかし,これらの多くの組み合わせによる効果は弱く,相加効果をわずかに上回る,あるいは下回る程度であり,2割以上の活性増強が認められた組み合わせは14通り,2割以下の活性低下が認められた組み合わせは33通りであった.一方,α-トコフェロールとの組み合わせのうち6通りで,p-クマル酸との組み合わせのうち4通りで2割以上の活性増強が観察され,バニリン酸との組み合わせのうち17通りで,p-クマル酸との組み合わせのうち12通りで2割以下の活性低下が観察された.
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  • 大原 浩樹, 伊藤 恭子, 飯田 博之, 松本 均
    56 巻 (2009) 3 号 p. 137-145
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    魚鱗コラーゲンペプチド(2.5g, 5g, 10g)の3用量の用量設定と豚皮コラーゲンペプチド(10g)の有効性確認を目的に,プラセボ群を設定して各々を4週間摂取して摂取前後の皮膚状態の変化を二重盲検法で比較した.その結果,魚鱗コラーゲンペプチド摂取によりその用量に応じて角層水分量の増加傾向が見られ,特に,30歳以上を対象とした層別解析で魚鱗コラーゲンペプチド5g以上の摂取により角層水分量の有意な増加が認められた.一方,豚皮コラーゲンペプチド摂取では有意な変化は得られなかった.この結果から,魚鱗コラーゲンペプチドの摂取は角層水分量の増加に有効であると考えられた.また,その他の評価項目(経表皮水分蒸散量,皮膚粘弾性,皮膚所見)に関しては,コラーゲンペプチド摂取に起因すると推定される変化は認められなかった.
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  • 小泉 美香, 内藤 成弘, 狩野 広美, 拝師 智之
    56 巻 (2009) 3 号 p. 146-154
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    磁場強度1Tesla(T)の永久磁石を用いて食品研究用に開発された小型MRIによるキュウリ果実のイメージを,形態観察と細胞の水の量と運動性測定という側面において,7T高分解能MRIのイメージと比較した.組織の水の分布と運動性については,MRIにおける基礎的測定法である緩和時間強調イメージによって解析した.キュウリ果実のイメージでは,果肉,胎座,種子および維管束など生理状態の異なる組織が明瞭に識別された.7T高分解能MRIのイメージは鮮明に形態を示す.しかし,シグナルのT2減衰が強いために胎座のような低水分領域の運動性が低い水の検出が困難であった.一方,1T小型MRIはシグナルのT2減衰が穏やかであるため,胎座の運動性が低い水を検出できた.シグナルのT1による回復は,1T小型MRIの方が7T高分解能MRIより速やかであった.よって,1T小型MRIは形態観察におけるイメージの鮮明さでは劣るものの,水の量と運動性測定においては広い範囲の運動性を持つ水を検出できる点,および,強いT1強調が得られる点で高分解能MRIより有利である.1T小型MRIは,水の量と運動性が広い範囲にまたがる食品の有効な研究手法であると考えられる.
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技術論文
  • 秋野 雅樹, 蛯谷 幸司, 今村 琢磨, 内山 智幸, 松嶋 景一郎, 原 博
    56 巻 (2009) 3 号 p. 155-162
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究において,我々は,中骨の食用化への利用を図るため,中骨のCa素材を開発し,ラットでのCa出納実験よりその消化吸収性を評価した.
    実験1において,Ca吸収は,FSBP群よりUSBP群で有意な高値が認められ,超微細化処理された中骨Ca素材がCa吸収を改善する効果が確認された.
    実験2において,Ca吸収は,USBP群よりSR-USBP群で有意な高値が認められ,骨タンパク質を含有した中骨Ca素材がCa吸収亢進作用を有することが示唆された.また,実験を通して超微細化サケ中骨粉末が,特級試薬レベルの炭酸カルシウムと比較しても遜色のない優れたCa素材であることが明らかとなった.
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  • 岩根 敦子
    56 巻 (2009) 3 号 p. 163-170
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    (1) 五訂増補の「南部せんべい」成分値は原材料の配合比から算出されており,市販品の実測値と異なることが予想され,特に無機成分含量はゴマや落花生の使用状況による変動が大きいと推測されるため実態を検討した.
    また,市販品「ゴマ入り」と「落花生丸粒入り」の実測値とその配合比から求めた計算値との比較考察を行った.
    (2) 「ゴマ入り」試料の灰分と各無機成分含量は五訂増補をかなり上回った.「落花生入り」2種の灰分は,五訂増補の2割程度上回り,「丸粒入り」のNa以外の無機成分含量もかなり上回った.「落花生入り」は,製造元や試料個別に主原料以外の副材料が加えられており,無機成分組成への影響は特定できなかった.
    (3) 「ゴマ入り」の実測値と計算値を平均値で比較すると,灰分の実測値は有意に高かった.Mg,Ca,P,Cu,Mn,Znの実測値と計算値は正相関を示した.「落花生丸粒入り」は,Mgの実測値は有意に高かった.Kの実測値と計算値は正相関を示した.
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研究ノート
  • 竹中 真紀子, 五月女 格, 七山 和子, 五十部 誠一郎
    56 巻 (2009) 3 号 p. 171-176
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    ジャガイモの各種加熱処理(過熱水蒸気,微細水滴を含んだ過熱水蒸気,高温空気および茹で加熱)における主要なポリフェノール化合物の変動を追跡した.ジャガイモの調理加熱中のポリフェノール化合物の保持には品温の履歴が大きく関与していた.また,ジャガイモ組織においてポリフェノール化合物は60℃付近から80℃付近で顕著に減少し,これはPPOとの反応によると考えられた.ジャガイモのポリフェノール化合物濃度およびPPO活性の高い部分は表層部に偏っており,ジャガイモの調理加熱において表層部の温度を速やかに80℃以上まで上昇させることでポリフェノール化合物を高く保持できることが示唆された.
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  • 田中(東) 幸雅, 松村 敦, 大野 克利, 石畑 公江, 米田 幸生, 山田 敏広
    56 巻 (2009) 3 号 p. 177-183
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    ふなずし8種類からLactobacillus属52株,Pediococcus属11株,合計63株(NLB101~163)の乳酸菌を分離した.これら分離株のコレステロール低下作用をin vitroおよびin vivo試験系で評価し,以下の結果を得た.
    (1) 生菌ではL. alimentarius NLB139,L. alimentarius NLB140およびL. plantarum NLB160が強いコレステロール吸着作用および胆汁酸吸着作用を示した.加熱死菌で強いコレステロール吸着作用および胆汁酸吸着作用を示したのは,L. paracasei NLB162およびL. paracasei NLB163であった.L. plantarum NLB136は,生菌,加熱死菌の両方で強いコレステロール吸着作用および胆汁酸吸着作用を示した.
    (2) 生菌で強いコレステロール吸着作用および胆汁酸吸着作用を示したL. plantarum NLB136は,人工消化液耐性が強く,胆汁酸脱抱合陰性であった.
    (3) コレステロール負荷マウスを用いて,L. plantarum NLB136(生菌),L. paracasei NLB162(加熱死菌)およびL. paracasei NLB163(加熱死菌)の血漿コレステロール値に対する作用を検討した結果,全株とも有意なコレステロール低下作用を示した.これらの中で,L. paracasei NLB163(加熱死菌)が最も強い作用を示した.
    以上より,ふなずし由来乳酸菌から選抜されたL. paracasei NLB163の加熱死菌は,新規なコレステロール低下作用を有する機能性食品素材となり得ることが期待される.
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報文
  • 田中(東) 幸雅, 松村 敦, 増田 康, 齋藤 正実, 小池田 崇史, 山田 敏広
    56 巻 (2009) 3 号 p. 184-190
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    境界域および軽度高コレステロール血症者を対象として,ふなずし由来L. paracasei NLB163加熱死菌含有カプセル摂取による血清コレステロール低下作用の検証を目的とした二重盲検プラセボ対照並行群間試験を実施した.被験者にNLB163加熱死菌凍結乾燥菌末100mgを含有するカプセル(NLB163カプセル)又は不含カプセル(プラセボカプセル)を1日6カプセル,6週間摂取させ,以下の結果を得た.
    (1) NLB163カプセル摂取により,摂取前に比べ,血清総コレステロール値は9.4%およびLDLコレステロール値は13.4%有意に減少し(各p<0.01,p<0.05),ほとんどの被験者でこれらの値の減少が認められた.
    (2) NLB163カプセル摂取による副作用と考えられるような血液学検査値,血液生化学検査値および理学検査値の異常はみられず,また,診察所見および自覚的所見において,NLB163摂取によると考えられる有害事象は認められなかった.
    以上より,L. paracasei NLB163加熱死菌は境界域および軽度高コレステロール血症者に対し,有効なコレステロール低下作用を示し,副作用を示さないと判断される.
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技術用語解説
  • 保井 久子
    56 巻 (2009) 3 号 p. 191
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    ヒトや動物には,外敵から身体を守るために免疫系が備わっている.多くのウイルスや病原菌の侵入口である粘膜面には効果的な「粘膜免疫」が存在し,抗原特異的分泌型IgA応答や細胞障害性T細胞(CTL)を誘導する.各粘膜は共通粘膜免疫機構(common mucosal immune system(CMIS))により関連をもち,ある粘膜組織で誘導されたIgA産生細胞やCTLは他の粘膜組織にも帰巣(ホーミング)する.とくに,分泌型IgA産生細胞は,腸管関連リンパ組織(GALT),鼻咽頭関連リンパ組織(NALT)および気管支関連リンパ組織(BALT)などの誘導組織(inductive site)で誘導され,実効組織(effector site)である腸管粘膜固有層,呼吸器粘膜固有層,乳腺,涙腺,唾液腺,泌尿生殖器にホーミングする.抗原により直接暴露された粘膜組織において最も強いホーミングがおこり,強い免疫応答がみられ,それに準じた免疫応答が隣接する粘膜組織でみられる.例外として抗原の経鼻投与では,呼吸器粘膜だけでなく,生殖器粘膜にも抗原特異的免疫応答が誘導される.
    腸管や鼻咽頭からの抗原は,それぞれパイエル板やNALT/BALTのM細胞に取り込まれ,マクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞に送られ,その後,B細胞およびT細胞に提示される.感作されたB細胞およびT細胞はホーミングを開始し,体内循環をし,各実効組織に到達する.B細胞が産生するIgAは,上皮細胞で産生される分泌片と結合して分泌型IgAとして各粘膜面に分泌される.そして,侵入したウイルス,細菌,細菌毒素,アレルゲンなどと免疫結合体を作り,これらを排除する1)
    多くの粘膜経由の感染症に対する最適な防御は粘膜面と全身系で免疫を誘導することである.抗原投与法と免疫応答との関係を図1に示した.従来の注射によるワクチンでは血中IgG抗体価で代表される全身系での免疫は誘導できるものの,分泌型IgAに代表される粘膜面での免疫は効果的に誘導できない.これに対して,腸管や鼻咽頭などの粘膜面をターゲットとして経口あるいは経鼻的な経粘膜に投与されたワクチン,いわゆる「粘膜ワクチン」では粘膜面での感染侵入防止と全身系免疫での防御の両方が誘導できる.現在,多くの粘膜ワクチンの開発が進められている.経口投与では,近隣の唾液,消化管,乳汁のIgAの上昇が大きい.経鼻投与では近隣の鼻,唾液,肺のIgA抗体の上昇が大きく,遠隔に存在する女性生殖器での抗原特異的分泌型IgAおよびCTLの誘導も報告されている.このことから,HIV(human immunodeficiency virus)の粘膜ワクチン開発には経鼻投与経路も考えられている.
    現在,国際的に認可されている粘膜ワクチンを表1に示した2).コレラやロタウイルスなどの胃腸感染症では投与方法として経口投与が選択される.一方,呼吸器感染症であるインフルエンザでは経鼻投与が選択されていることがわかる.しかし,現在日本で承認されているのは経口ポリオワクチンのみである.
    種々の感染症に合わせたワクチンの投与経路の選択は重要である.経口ワクチンは従来の注射によるワクチンや他の経粘膜投与法に比較して,投与の際に特別な医療器具を必要としないため,最も簡便かつ安全な投与方法といえる.しかし,経口的に投与された抗原は,大半が胃,腸などで消化作用を受けた後,パイエル板などの粘膜免疫誘導組織に到達するため,効果的な抗原特異的免疫応答を誘導するためには多量の抗原を必要とする.このため,ワクチンの抗原の安定性と粘膜免疫誘導組織へのワクチン抗原の効率の良い送達を得ることが経口ワクチンの開発において重要な鍵となる.一方,経鼻ワクチンは,NALTにより効率の良い抗原処理が行われ,酵素による分解が少ないため,少量の抗原で効果が得られるなどの利点を有している.今後,経鼻ワクチンについての研究を重ね安全性などを確認する必要があろう.
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