日本食品科学工学会誌
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56 巻 , 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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報文
  • 西原 浩, 緒方 恭子, 谷 喜雄, 山田 幸子, 平野 博之, 小牧 久時
    56 巻 (2009) 5 号 p. 255-260
    公開日: 2009/07/01
    ジャーナル フリー
    C. tropicalis pK233をイノシトール欠如培地でエタノールを加えて培養すると仮性菌糸型で増殖するとともに菌体内成分の漏洩量が増加することから,この菌体培養液の抗酸化能を,エタノール無添加増殖菌体(酵母型)の培養液と比較した.エタノール無添加培地では増殖後急激にORPが低下し,その後徐々に増加した.一方,エタノール添加培地では増殖後ORPが低下し,その後も増加しなかった.エタノール無添加培地に比べて,エタノール添加培地の培養液は強いDPPHラジカル消去能とO-2消去能を示した.本菌はイノシトール含有培地にエタノールを加えると酵母型で増殖するが,イノシトール欠如培地と同様に強い活性酸素消去能を示したので,菌の形態に関係なく,エタノールが本菌の抗酸化能物質の生産を促したものと思われる.
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  • 井上 悠季, 笹井 美友紀, 志賀 清悟, 森高 初惠
    56 巻 (2009) 5 号 p. 261-270
    公開日: 2009/07/01
    ジャーナル フリー
    寒天ゲルとゼラチンゲルの摂取量および咀嚼回数が,食塊の咽頭部通過時における移動速度と食塊の力学特性に及ぼす影響を,超音波パルスドップラー法,テクスチャー測定ならびに官能評価により検討し,以下の結果を得た.
    寒天ゲルの硬さは,摂取量が少なく,咀嚼回数が多くなるほど低下し,ゼラチンゲルの硬さは口腔内停滞時間の長い,30回と50回咀嚼で低下し,摂取量の影響は小さかった.
    最大速度について,寒天ゲルで高い値を示したのは5回咀嚼の9gと12gにおいてであり,ゼラチンゲルでは,50回咀嚼の3gと6gであった.
    これらの結果には,寒天ゲルでは主に咀嚼によって破砕された食片の大きさと量が影響しており,ゼラチンゲルでは咀嚼後の融解の程度が主に影響していると推察された.
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  • 四宮 陽子, 宮脇 長人
    56 巻 (2009) 5 号 p. 271-279
    公開日: 2009/07/01
    ジャーナル フリー
    食料自給率40%の2002年と60%の1970年の食事を国民栄養調査結果などの資料に基づいて再現し,食品構成や栄養バランスおよび食料消費に伴うCO2排出量の比較を行った.
    1. 1970年は和・洋・中の料理の種類に関わらず,ご飯とみそ汁,漬物がベースという食事パターンが多かった.2002年は主食の米が減少し,主菜の肉類や魚介類が豊富に増加し,副菜も季節,産地を問わず贅沢に多様化した.
    2. PFCバランスを比較すると1970年の方が理想バランスに近く,2002年はたんぱく質と脂質が増加し,炭水化物が減少していた.
    3. 献立から計算された1日平均CO2排出量は,1970年907g/日に対して,2002年は2743g/日と約3倍に増加し,その差は環境省のCO2削減目標値1人1日1kgを大幅に超えた.この増加の原因は摂取量増加と自給率低下の両方が考えられる.
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  • 内田 あゆみ, 荻原 淳, 熊谷 日登美, 赤尾 真, 松藤 寛, 櫻井 英敏, 関口 一郎
    56 巻 (2009) 5 号 p. 280-285
    公開日: 2009/07/01
    ジャーナル フリー
    ジャンボリーキ(大粒ニラネギ)と他のネギ属について,スルフィドおよびスルフィド基質成分を比較した結果,ジャンボリーキは,ニンニクやGHガーリックとは異なり,リーキに近似することが判明した.
    すなわち,ジャンボリーキから生成するスルフィドとしてM-SS-M(1.7mg/kg wet wt),M-SS-Pe(15.7mg/kg wet wt kg),P-SS-Pe(7.5mg/kg wet wt),M-SSS-M(21.5mg/kg wet wt),M-SSS-P(10.0mg mg/kg wet wt),M-SSS-Pe(14.0mg/kg wet wt),alk(en)yl CS0として,MCS0(4.1±0.5mg/kg wet wt),PCSO(0.1±0.3mg/kg wet wt)およびPeCSO(2.4±0.4mg/kg wet wt)が検出され,その総量はタマネギ,およびリーキと類似していた.
    またスルフィド基質前駆体物質であるGlu-alk(en)yl Cの検索を試みたところ,Glu-PEC(87mg/kg wet wt)が単離,同定された.
    従って,ジャンボリーキの低臭気発現機構は,リーキと同様に,基質前駆体物質のGlu-PECがγ-グルタミルトランスペプチダーゼによりS-E-1-プロペニルシステイン(PEC)となり,これが酸化される結果,スルフィド基質であるPeCSOが形成され,もともと存在するalk(en)yl CSOと共にアリイナーゼ(C-Sリアーゼ)によりジアルキルチオスルフィフィネートを経由でスルフィドが形成されるものと推定された.
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技術論文
  • 中村 優, 内野 昌孝, 佐藤 広顕, 高野 克己
    56 巻 (2009) 5 号 p. 286-290
    公開日: 2009/07/01
    ジャーナル フリー
    比重の異なるジャガイモの生鮮時および蒸煮後のペクチン量とペクチンの分解に関与するPG活性量について検討を行った.内在する酵素の作用を阻害するために1mM HgCl2溶液にて処理し,蒸煮後の残存乾物重量を測定したところ,未処理よりも煮崩れの度合いが小さくなった.また,蒸煮後のジャガイモの硬さとペクチンの減少率およびPG活性量に高い相関性を確認した.精製酵素を低比重試料に作用し蒸煮したところ,ペクチンの分解率が増大し,蒸煮後の硬さが低下した.
    本研究により,比重によって異なる内在PG活性量の加熱過程中における作用がペクチンを分解し,細胞間の接着性の違いが,ジャガイモの煮崩れに影響を及ぼすことが明らかになった.
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  • 横江 未央, 川村 周三
    56 巻 (2009) 5 号 p. 291-298
    公開日: 2009/07/01
    ジャーナル フリー
    近年は,米の品種改良と市場における品種の更新が進んでいるため,現在わが国で流通している米の食味を従来の食味推定式で推定することは困難と思われる.そこで,近年開発された理化学測定法を用いて市販粳精米の食味推定式の作成を試みた.その結果,以下のことが明らかとなった.
    (1) 市販粳精米を対象とした官能評価では総合評価は外観と香りの影響を大きく受け,硬さと粘りの影響は相対的に小さかった.
    (2) 官能評価における炊飯米外観(または精米外観)と香り,硬さ,粘りを説明変数とし総合評価を推定したときの決定係数は約0.65であった.
    (3) 官能評価の各評価項目を理化学測定で推定したときの決定係数は精米外観,炊飯米外観,硬さ,粘りのそれぞれで0.59,0.55,0.41,0.38であった.
    (4) 食味総合評価を目的変数とし,透光度,千粒重,容積重,L6圧縮量の4変数を説明変数とした食味推定式の決定係数は0.64であった.この4変数を説明変数とし,食味総合評価の判別分析を行ったところ,判別的中率が73%であり,食味により精米をグループ分けするには有効であると考える.
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  • 陳 介余, 張 函, 八木 雄介
    56 巻 (2009) 5 号 p. 299-306
    公開日: 2009/07/01
    ジャーナル フリー
    ジャガイモの品質を迅速的かつ総合的に評価方法の開発を最終目的とし,ジャガイモの水分,炭水化物,アミロース,タンパク質および灰分含量,さらに調理・加工適性に関わる糊化粘度特性の非破壊同時測定に対する近赤外分光法の利用の可能性について検討した.
    インタラクタンス法で測定した近赤外スペクトルからPLS回帰分析によってジャガイモの主要成分および糊化粘度特性を予測する検量線を作成し,その予測精度の検証を行った.その結果,水分,炭水化物,アミロースおよびタンパク質の主要成分および糊化粘度特性は,予測値と実測値との相関係数はいずれも高く,スペクトルとの間に密接な関係が示された.その予測精度を表す予測標準誤差SEPは,水分で0.87%,炭水化物で0.95%,アミロースで0.6%,タンパク質で0.15%,最高粘度値で30RVU,最終粘度値で34RVU,ブレークダウンで24RVU,セットバックで22RVUとなり,いずれも相対的に高精度の予測結果が得られた.しかしながら,灰分に関しては十分な精度で検量線を作成することができなかった.
    以上のことから,近赤外分光法を利用すれば,ジャガイモの主要成分および糊化粘度特性を非破壊的に測定でき,ジャガイモの品質を迅速的かつ総合的に評価できることが示唆された.
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技術用語解説
  • 中田 哲也
    56 巻 (2009) 5 号 p. 307-308
    公開日: 2009/07/01
    ジャーナル フリー
    フード・マイレージとは,イギリスのNGOによるフードマイルズ運動(なるべく身近でとれた食料を消費することによって食料輸送に伴う環境負荷を低減させていこうという市民運動)の考え方を参考に,農林水産省農林水産政策研究所において開発された指標である.その計算方法は,食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせ累積するという単純なもので,例えば10トンの食料を50km輸送する場合のフード・マイレージは10×50=500t・km(トン・キロメートル)となる.また,これに二酸化炭素排出係数(1tの貨物を1km輸送した場合に排出される二酸化炭素の量)を乗ずることにより,食料の輸送に伴う環境負荷の大きさを定量的に把握することが可能となる.
    農林水産政策研究所では,2001年に日本を含む主要国の輸入食料のフード・マイレージを初めて試算した.その後,2003年に計測方法を改善した上での計測結果によると,2001年におけるわが国の食料輸入総量は約5800万トンで,これに輸送距離を乗じ累積した輸入食料のフード・マイレージの総量は約9千億t・kmとなる(図1).これは,韓国・アメリカの約3倍,イギリス・ドイツの約5倍,フランスの約9倍と際立って大きい.品目別にみると,食生活の変化により輸入が急増した飼料穀物(とうもろこし等)や油糧種子(大豆,菜種等)が大きな部分を占めていることが分かる.
    そして,このフード・マイレージに輸送手段毎の二酸化炭素排出係数を乗ずると,輸入食料がわが国の港に到着するまでに排出される二酸化炭素の量は約17百万トンと試算され,これは,国内における食料輸送(輸入品の国内輸送分を含む.)に伴う排出量の約2倍に相当する.
    地球環境にかける負荷が小さな食生活を送るためには,なるべく近くでとれた食料を消費すること,つまり「地産地消」が重要である.近年,多くの地域で地産地消の取組が盛んとなっている.これらは新鮮で安心感のある食品の入手,現金収入の確保など消費者,生産者双方のニーズを反映したものであるが,フード・マイレージの考え方を応用すると,輸送に伴う環境負荷を低減させるという面でも有意義と言える.
    例えば同じ献立でも,伝統野菜など地元産食材を使った場合の食材の輸送に伴う二酸化炭素排出量は,市場で国産食材を調達した場合と比べ約17分の1,市場で輸入食材も含めて調達した場合と比べ約47分の1に縮小されるとの試算もある.
    ただし,輸送に伴う環境負荷は輸送手段による差が大きいこと(例えば鉄道はトラックの約10分の1)そもそもフード・マイレージは輸送段階のみに着目した指標であることに留意が必要である.このことから,フード・マイレージは食料の環境負荷を示す指標としてはカーボン・フットプリントに比べ限界があり,慎重に取り扱う必要があるといえる.ただ,食材の使用量と産地(輸送距離)さえ判れば誰でも簡単に計算でき,かつ,なるべく身近な場所でとれたものをといった実践にも結びつけやすいことから,自分の身近な食生活が地球環境問題と関わっていることに気づくツールとしては有効であり,さらに旬産旬消,なるべく食べ残しはしないといった食行動につながっていくことが期待される.
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