日本食品科学工学会誌
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56 巻 , 8 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
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総説
報文
  • 山口(村上) 友貴絵, 廣瀬 潤子, 本庄 勉, 成田 宏史
    56 巻 (2009) 8 号 p. 444-452
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    本研究は発酵食品における小麦使用量の評価系を開発することを目的として行った.ウエスタン解析において,小麦Lipid Transfer Protein(LTP)は食物アレルギー患者血清中のIgEと結合することから,アレルゲンタンパク質であることが示唆された.小麦粉から純化したLTPを抗原としてモノクローナル抗体を作製し,小麦LTP特異的サンドイッチELISAを構築した.本定量系のLTP定量範囲は3∼500pg/mLであり,ライ麦に対しては若干交差したが(0.2%),大麦,はと麦,えん麦には交差しなかった.市販小麦グリアジンELISA定量系はライ麦にも強く交差する上,発酵食品のような加水分解を受けた食品の定量に使えないという欠点がある.これに対して,本ELISA系を用いると,小麦添加ビール,醤油,味噌のような発酵食品中にもLTPの存在が確認できた.したがって,本小麦LTP定量系は発酵食品中の小麦使用量を評価する方法として有用であることが示された.
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  • 志塚 淳, 田川 彰男
    56 巻 (2009) 8 号 p. 453-462
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    PF法の野菜におよぼす影響,具体的には,色彩変化,硬度変化,水分減少量の調査および電気インピーダンスによる細胞膜の健全性評価を行い,さらに,電気インピーダンスと凍結温度の関係より,貯蔵適温の下限を推定して,PF法の適性を検討したところ,以下の知見が得られた.
    (1) −1∼−3℃付近で貯蔵することにより物理的性質の変化が抑制されたことから,野菜におけるPF法の有効性が示唆された.
    (2) 野菜のPF法における貯蔵温度の下限は冷却温度に対するインピーダンスの応答により推定できる可能性が得られた.
    (3) −1℃における長期貯蔵性の検討を行った結果,3週間程度は十分な状態で貯蔵することが可能であった.
    (4) 低温障害が発生しやすいキュウリにおいてもPF法を用いることにより,長期間貯蔵できる可能性が示唆された.
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研究ノート
  • 国正 重乃, 野口 智弘, 高野 克己
    56 巻 (2009) 8 号 p. 463-466
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    豆乳にNaClを添加することによるゆば膜形成および品質に与える影響について検討した.NaCl(0.05∼0.2M)添加によって,ゆば膜重量は増加した.増加には水分増加が大きく寄与し,NaClの添加によってゆば膜の保水性が高まった.非加熱豆乳ではNaCl添加で粒子径に変化は見られなかったが,加熱豆乳では粒子径が大きくなった.豆乳のタンパク質表面疎水性度およびSH基量は,NaCl添加によって増加傾向を示した.官能評価では,色と味については0.05M NaCl添加ゆば膜の方が好まれる傾向にあった.品質評価においても,NaCl添加ゆばは力学的に丈夫になり,また色の白いゆば膜となった.0.05M NaCl添加はゆばの品質向上に寄与していることが明らかとなった.
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技術用語解説
  • 宮澤 陽夫, 柴田 央
    56 巻 (2009) 8 号 p. 467
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    血管新生(angiogenesis)とは既存の血管から新しい血管が形成される現象を指す.固形腫瘍,糖尿病性網膜症,関節リウマチなどの病態の進行と血管新生が密接に関連することが知られるようになり注目されている.からだの中で血管は血管新生の促進因子と抑制因子の均衡が保たれているため,通常は静的な状態にある.しかし,その均衡が促進因子側に傾くと血管新生が惹起される.1970年代の初頭にFolkmanらは,腫瘍がある一定以上の大きさ(1-2mm3)になるには,栄養分と酸素を供給するために腫瘍周囲に血管新生が必要であることを示した1).この発見は,血管新生の抑制が制癌につながる可能性を示した点で画期的であった.その後,血管内皮細胞の培養系が確立され,血管新生を調節する機能分子が次々に同定された.また,欧米を中心に,血管新生の抑制を目的とした薬剤の臨床試験が進められ,血管新生抑制物質がいわゆる“血管新生病”を予防し治療する手段として注目されるようになった.
    腫瘍の血管新生に関しては,血管周皮細胞の欠如や減少によって,血管新生因子(とくにVEGF)の影響を常に受けやすい状態にある.そのため,未成熟な血管の新生と形成が,繰り返し腫瘍近傍で行われていると考えられている.腫瘍における血管新生の基本的な機序は,腫瘍から分泌されたVEGFが,内皮細胞膜上のVEGF受容体(VEGFR)に結合し,VEGFRのチロシンキナーゼドメインを活性化するとともに細胞内シグナル伝達を亢進し,これにより内皮細胞の増殖と遊走を刺激し,さらに管腔形成に至ると推定されている.したがって,血管新生を抑制する目的から,VEGF分泌の調節もしくはVEGFRの活性化の抑制が有望な研究標的になっている.この目的に対し有効な食品成分を見出せれば,血管新生病の予防のための新食品の開発が可能になる.これまでに,ウコンに含まれるクルクミン,緑茶のエピガロカテキンガレート,あるいはビタミンDについて抗血管新生作用が報告されている2).我々の研究室でも食品成分をスクリーニングして,ビタミンE同族体であるトコトリエノールや共役脂肪酸が抗血管新生作用を示すことを見出した3)∼5).トコトリエノールの作用機構としてVEGFR由来のPDKやAktといった生存シグナルの抑制,ASK-1やp38といったストレス応答シグナルの活性化を明らかとした.これらの物質は長い食経験から安全性が高く,血管新生病の予防という観点からは有効なツールになると思われる.
    なお,創傷の治癒や性周期に伴う生理的な血管新生は限られた部位と時期に見られる現象であり,病気に伴う血管新生とは異なる.また,血管新生が十分でないために,病状が悪化する場合(閉塞性動脈硬化症や狭心症)も知られる.
    今後は,抗血管新生効果をもつ食品成分のメカニズムを分子·細胞レベルで明らかにしていくことが,血管新生抑制作用を有する食品成分の研究において重要である.ニュートリゲノミクス的手法と疾患モデル動物を用いて作用機序を解明し,ヒト試験で効果を実証することにより,食品による病的血管新生の予防という新たなイノベーションを生み出すことが期待される.
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