日本食品科学工学会誌
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57 巻 , 1 号
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報文
  • 齋藤 智子, 小野寺 宗仲, 吉江 由美子, 八長 祐紀江, 田中 宗彦
    57 巻 (2010) 1 号 p. 1-11
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,ワカメやコンブの塩蔵に用いた飽和塩水から食用塩(以下,海藻加工塩)を調製した.これらの安全性を確認し,加工食品に使用した際に,その品質に及ぼす影響を成分分析ならびに官能評価により検討した.海藻加工塩の無機質組成等の成分分析を行ったところ,これら加工塩は海藻からの無機質成分の溶出により,元の原料塩よりも無機質(K, Ca)の多い塩となり,重金属を含まず,NaCl含量が97%以上であるというCODEX規格を満たしていることが確認された.海藻加工塩を食品に使用した時の呈味の発現を,官能検査で評価するに際し,試験対象試作品として,1%塩溶液,かまぼこ,塩漬け肉,塩漬けキュウリを作成した.それぞれの試料に見合う官能検査項目,定義,および尺度を決め,評点法により評価した.その結果,海藻加工塩は加工食品の総合評価において市販の食塩と比べて有意な差は認められず,海藻加工塩が,Caの多い塩として使用できることがわかった.
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  • 伊部 さちえ, 廣井 哲也, 乙部 和紀
    57 巻 (2010) 1 号 p. 12-19
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    C. elegansを用いて,納豆抽出物のin vivo抗酸化活性を次の2つの方法により検討した : (A)メチルビオロジェン(MEV)の生体内での活性酸素生成促進作用を利用し,抗酸化物質(測定試料)およびMEVを含む寒天培地でC. elegansのL1幼虫を同調培養し,正常な成熟期間内に成虫化した個体数を抗酸化活性の指標とする方法,(B)マイクロプレートを用いて抗酸化物質(測定試料)を含む液体培地でC. elegansを同調培養し,成熟後にMEVを加えて24時間ごとの生存率を抗酸化活性の指標とする方法.(A)の方法では,7種の納豆菌株によりそれぞれ調製した納豆および蒸煮大豆の抽出物について抗酸化活性を調べた.加えて,in vitroの抗酸化活性検定法(DPPHラジカル消去能およびSOD様活性)による検討もあわせて行い,それらの結果を比較した.in vitro法では,蒸煮大豆と納豆の活性間に有意差が認められ,発酵により抗酸化活性が高くなることが示された.ただし,(A)の方法とSOD様活性では菌株により活性は異なり,特に(A)の方法では一部の納豆に高い活性が認められた.続いて,最も高い活性を示した菌株を用いて,発酵時間による抗酸化活性の変化を調べた結果,製品として適する品質となる20時間の発酵が分岐点となって,活性が高まることが示された.(B)の方法では,(A)の検討で抗酸化活性が最も高いと判定された菌株について重点的に調べた.その納豆抽出物を部分精製したところ,分子量が14000以下でC18カラムに保持された画分に強い活性が確認された.この粗精製物および標準的な抗酸化物質である没食子酸を(B)の方法によりそれぞれ測定した結果,いずれも濃度に依存した抗酸化活性の上昇が認められた.
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  • 水 珠子, 長尾 慶子
    57 巻 (2010) 1 号 p. 20-25
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    (1) メレンゲのような卵白とショ糖との混合物で調製された泡沫系を対象に,105℃における間接加熱下での内部熱移動にかかわる一連のモデル加熱実験を行った.
    (2) 家庭用ハンドミキサーを用い,ローターの回転数を800rpm一定として室温でボウル内の上記混合物を90s,180s,240sおよび300sの起泡操作の結果,分散空気量(気泡体積分率)の異なる四種類の泡沫試料を得た.すなわち,起泡操作時間が長いほど分散空気量が増し,泡は微細化されるが,操作時間が300sを越えるとそれらは一定値にほぼ収束する.いずれも状態変化の早い試料であるので,以下の測定は全て調製後50min以内に実施した.
    (3) 定常流動下での流動曲線,および微小変形下でのクリープ挙動からそれぞれ求められる降伏値,定常流粘度,静的弾性率,静的粘度はいずれも起泡操作時間が長い試料ほど大きな値を示すことから,試料中の分散気泡量が増し,気泡が小さくなるほど粘稠で硬度のあるメレンゲ試料が生成することが示唆される.
    (4) 起泡操作時間の長い試料ほど非定常熱移動を律する熱拡散率の値が低くなるが,その原因は起泡操作時間が長くなるほどメレンゲ試料の熱伝導率が低く,定圧比熱容量が高くなる傾向が現われるためと考えられた.
    (5) 金属製容器内での加熱操作(pan-broiling)によるメレンゲ試料内部の温度上昇速度は,加熱面から試料内部x軸方向において遅延現象として解析可能な形式に従うことが認められた.この形式は,これまでに実施された種々の状態の食材を対象にした加熱下での熱移動測定の結果に一致する.
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技術論文
  • 加藤 登, 鈴木 康宏, 國本 弥衣, 北上 誠一, 村上 由里子, 新井 健一
    57 巻 (2010) 1 号 p. 26-31
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    ホッケ,スケトウダラ,およびそれらの混合すり身に0~3%の血漿(P)または卵白(A)粉末を加えた肉糊を25℃で15時間にわたって予備加熱し,さらに90℃で30分加熱して二段加熱ゲルを調製した.加熱ゲルの破断強度(BS)と破断凹み(bs)をレオメーターで測定し,ゲル剛性(Gs=BS/bs)を求め,比較した.
    0.5-1.0%のPとAを加えた加熱ゲル形成に対する影響は以下の点で類似していた.(1)同量のPとAを加えた加熱ゲルのBSとbsの最大値はほとんど同じだった.(2)予備加熱時間に依存して起こる二段加熱ゲルのBSとbsの時間的推移はPおよびAを加えても同じになった.(3)BSとGsの関係図で比べると,PとAを加えた加熱ゲルの物性上の特徴は,無添加の加熱ゲルのそれと類似していた.一方,3.0%のPまたはAを加えた加熱ゲルの物性の最大値および物性上の特徴はやや異なっていた.
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  • 富山 眞吾, 井伊 博行, 上原 倫子, 脇田 隆茂
    57 巻 (2010) 1 号 p. 32-39
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    食品原材料となる地下水の品質管理の問題が起きており,地下水起源を水質特徴などの科学的根拠に基づいて判別する技術が必要とされている.本研究は,岐阜県瑞穂市で食品原材料として採水している地下水を対象に,水素・酸素安定同位体等を用いて起源の推定を試みた.水質は周辺河川水と同様の重炭酸カルシウム型であり,周辺河川水と比較して若干Ca2+とHCO3に富む傾向にある.水素・酸素同位体比から,地下水の起源は揖斐川や根尾川上流および近傍河川にあることが推定される.水理概念の妥当性評価と地下水流れの予測を目的として行った3次元数値モデルによる地下水流動解析では,根尾川上流域(濃尾平野に注ぎこむ地点)から岐阜工場近隣に至る範囲において河川水により地下水が涵養され,混合しつつ南方に向かって流下する地下水流れが予測され,水素・酸素同位体比と陽・陰イオン濃度から推定される地下水流れと整合的である.水素・酸素安定同位体分析と数値解析により得られた結果は従来の知見と矛盾せず,地下水起源の特定法としての可能性が示唆された.
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研究ノート
  • 樋渡 一之, 成澤 昭芳, 保苅 美佳, 戸枝 一喜
    57 巻 (2010) 1 号 p. 40-43
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    γ-アミノ酪酸(GABA)含有米糠発酵エキスを配合した飲料の血圧上昇抑制作用を検証することを目的として,高血圧自然発症ラットを用いた実験を行った.ラットの体重1kg当たり10.1mgのGABAを含む飲料を1日1回強制経口投与し,8週間飼育した.GABAを含む飲料を摂取した群は対照飲料を摂取した群に対して3週目から低値を示した.試験7週目の血圧は,対照群の234mmHgに対して GABA摂取群は218mmHgであり,有意な低値であった.以上の結果より,GABA含有米糠発酵エキスを配合した飲料は,血圧上昇抑制作用を示すことが明らかとなった.
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  • 佐藤 明子, 渡辺 純, 後藤 真生, 石川(高野) 祐子
    57 巻 (2010) 1 号 p. 44-48
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    スモモ38品種・系統をヘキサン : ジクロロメタン(1 : 1)およびアセトン : 水 : 酢酸(70 : 29.5 : 0.5,AWA)で連続抽出を行い,得られたAWA抽出液を用いて,ORAC法およびDPPHラジカル消去活性法による抗酸化活性,ならびにフォーリン-チオカルト法による総ポリフェノール量を測定した.ORAC値は,ニホンスモモは2.49-7.06mmol TE/100g FWの範囲に,ドメスチカスモモは,1.53-5.71mmol TE/100g FWの範囲に分布していた.また,ニホンスモモおよびドメスチカスモモは,DPPHラジカル消去活性値(0.20-2.21mmol TE/100g FW)および総ポリフェノール量(45.7-247.4GAE mg/100g FW)もそれぞれr=0.717,r=0.803とORAC値と高い正の相関を示した.
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解説
  • 八巻 幸二
    57 巻 (2010) 1 号 p. 49-54
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    Experimental animal models are necessary to evaluate food functionality and drug effectiveness on human disease. In vitro experiments using effective enzymes and primary cultured cells or established cell lines are often utilized as first screening method for some functional assay. However final in vivo evaluation for the food function and drug action using animal model is essential. In this review, some spontaneous experimental animal models for human disease, stimulus-induced experimental models in rodents, some mutation model animal or gene transgenic animal model and gene knockout model animals are picked up and presented about the outlines. Especially experimental animal models about life-style related disease for human are described showing some references. On the other hand, we are looking for alternative method for experimental animals from general opinion about protection of all nature animals. It is expected that the new alternative evaluation methods for function of foods and drugs using new gene-technology and cyto-technology without experimental animals are developed in near future.
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技術用語解説
  • 田代 操
    57 巻 (2010) 1 号 p. 55
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    血液中の中性脂肪(トリアシルグリセロール,TG)濃度を血中中性脂肪値といい,測定試料に血清あるいは血漿を用いた場合,それぞれ血清中性脂肪値あるいは血漿中性脂肪値と呼ぶ.単位はmg/dlで表示する.TGは非極性脂質で水に全く溶けないため,血中ではリポタンパク質の成分として存在している.リポタンパク質は血中の脂質輸送体として機能しており,粒径と密度の違いから,カイロミクロン(CM),超低密度リポタンパク質(VLDL),中間密度リポタンパク質(IDL),低密度リポタンパク質(LDL),高密度リポタンパク質(HDL)の5種に分類できる.いずれもTGを含有しているが,そのうち食事由来の脂質の運搬を受け持つCM,および肝臓で合成された内因性脂質の運搬体であるVLDLは,TGを主構成成分としている.
    食事によって摂取される脂質のほとんどはTGであり,主にCMとして血中に現れる(食餌性脂血症).したがって,食後にはTGの上昇がみられ,また最小のTG値を得るには少なくとも7~8時間の絶食が必要なため,測定にあたっては採血時間に注意を払う必要がある.一般には,早朝空腹時採血としている.TGはリポタンパク質代謝動態の把握においてコレステロールと共に有用な指標であり,脂質代謝異常の検査としてファーストチョイスの一つでもある.
    血中中性脂肪の測定には酵素法である市販の臨床検査用測定キットが便利である.これは,リポタンパク質中のTGをリポタンパク質リパーゼによって加水分解し,生成するグリセロールにグリセロールキナーゼ,グリセロール3リン酸オキシダーゼを作用させ過酸化水素を生成せしめ,さらにペルオキシダーゼを介して定量的に色素を生じさす方法である.しかしながら,本法を血清や血漿以外の試料中TG測定に用いる場合は注意が必要である.すなわち,測定キットに含まれる様々な酵素に影響する成分が当該試料に存在していないことを確認する必要がある.
    日本動脈硬化学会では,動脈硬化性疾患の予防および治療の見地から,スクリーニングのための高脂血症(脂質異常症)診断基準を定めているが,TGに関しては空腹時の値が150mg/dl以上の場合を治療開始基準としている.なお,TGが高値を示すものには,家族性高リポタンパク血症,動脈硬化症,糖尿病,ネフローゼ症候群,甲状腺機能低下症,閉塞性黄疸がある.また低値を示すものには, βリポタンパク欠損症,甲状腺機能亢進症,肝硬変,吸収不良症候群がある.
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