日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
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57 巻 , 12 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
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報文
  • 田幸 正邦, 武田 真治, 照屋 武志, 玉城 志博
    57 巻 (2010) 12 号 p. 495-502
    公開日: 2011/01/31
    ジャーナル フリー
    著者らは沖縄県で約300年間食されている褐藻類の1種のナガコンブから複数のフコイダンを分離し,それらの化学特性を調べた.ナガコンブから0.1mol/L塩酸で多糖を抽出し,塩化セチルピリジニウムで部分精製を行った.得られた部分精製多糖を陰イオン交換クロマトグラフィーで分画し,4つの画分(LA-1, LA-2, LA-3およびLA-4)を得た.LA-1, LA-2, LA-3およびLA-4の化学組成比には差異が認められたが,いずれの画分もL-フコースおよび硫酸を有していた.LA-1, LA-2, LA-3およびLA-4の分子量はそれぞれ27.7×104, 1.0×104, 0.8×104および1.9×104であった.主要な画分であるLA-2とその脱硫酸化物の1H-NMRスペクトルを解析した結果,(1→3)-結合α-L-フコピラノシル残基を主鎖とし,主鎖の一部のα-L-フコピラノシル残基のC2位に(1→2)-α-L-フコピラノシル残基が結合し,さらにこれらのα-L-フコピラノシル基のC4位が硫酸化されている構造が示唆された.画分LA-3とLA-4はフコイダンとガラクタン硫酸が混在したものであることが分かった.
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  • 佐川 敦子, 金子 仁美, 寺島 真美恵, 志賀 清悟, 森高 初惠
    57 巻 (2010) 12 号 p. 503-516
    公開日: 2011/01/31
    ジャーナル フリー
    咀嚼・嚥下機能低下者に対応する食品の基礎的研究として,固体分散ペーストの摂食量が咽頭部通過時の食塊の移動速度に与える影響について超音波パルスドップラ法,嚥下造影法および官能評価により検討し,以下の結果を得た.
    機器測定においてはキサンタンガムペースト添加を除く他の試料において摂食量が増加すると硬さは高くなる傾向がみられた.官能評価においてはグアーガム,キサンタンガムペースト添加試料は摂食量の影響を受けにくかったが,摂食量が増加すると付着しやすさの評価は高くなった.
    食塊の最大移動速度は5回咀嚼,30回咀嚼ともに,水添加,澱粉ペースト添加は,摂食量が増加するに従って速くなる傾向がみられ,摂食量の影響を受けやすい試料であったが,グアーガム,キサンタンガムペースト添加試料は,摂食量に影響を受けず,ほぼ一定の速度であった.通過時間においては,食塊が液体的な場合は摂食量の増加に伴い通過時間が長くなる傾向がみられたが,食塊が固体的で粘稠な場合は,液体的試料よりも摂食量増加の影響を受けにくかった.固体分散ペーストの摂食量の影響は,添加するペーストの力学特性値が関与する可能性が高いと推察された.
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  • 金野 亮, 三浦 靖
    57 巻 (2010) 12 号 p. 517-524
    公開日: 2011/01/31
    ジャーナル フリー
    特別なハードウェアやソフトウェアがなくても白黒濃淡画像を簡便に2値化して気孔図形を取得する手法として開発した‘多重2値化イメージング(MBI)法’について,穴径が一定であるが深さが異なる,および穴の深さが一定であるが穴径が異なる食パン内相模擬板を用いて,しきい値の設定根拠を検討した.そして,本手法の適用性を検証するために,食パンの気孔図形を本手法により作成し,汎用画像処理・解析ソフトウェアを用いて気孔特徴量を求めて山型食パンと角型食パンの気孔構造の違いを検討して以下の結果を得た.
    (1) MBI法の概略は,256階調の輝度値ヒストグラムから定式的に9個のしきい値を設定し,それぞれのしきい値で得られた中間2値化画像から不要な画像要素を除去して補正した2値画像を合成(論理和)することである.
    (2) 穴の輝度値は穴の深さに関連していると思われた.しかし,256階調の白黒濃淡画像の輝度値ヒストグラムから穴径を識別できなかった.したがって,設定すべきしきい値の数は,穴の直径や深さのパターン数に依存するのではなく,気孔画像の濃淡が10段階であることに由来すると推測した.
    (3) MBI法により市販食パンの内相すだちの良好かつ矛盾しない2値化画像が得られた.
    (4) 山型食パンでは,領域T1(断面の上部左側部),領域M1(断面の中部左側)および領域B2(断面の底部中央部)で,全ての気孔特徴量がほぼ同等であった.領域M2(断面の中部中央部)では,他の領域に比べて気孔数が少なく,気孔面積率,Y-フェレ径および楕円率が大きく,垂直方向を長軸とする気孔が多く存在していた.領域B3(断面の底部右側部)では,気孔数が最大であり,気孔面積率およびX-/Y-フェレ径が最小であった.
    (5) 角型食パンでは,領域M1の気孔面積率が領域T1と比較して大きく,垂直方向に成長した気孔が多く存在した.領域B2ではX-フェレ径が最大,Y-フェレ径が最小であり,ローフ中部および上部と比較して気孔数が増加した.領域M2では,気孔面積率が最大となり,領域M1に比較してX-フェレ径が大きく,Y-フェレ径が小さく,気孔の配向性に違いが見られた.領域B3では,気孔数が最大,X-/Y-フェレ径が最小であった.
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  • 渡辺 純, 沖 智之, 竹林 純, 山崎 光司, 津志田 藤二郎
    57 巻 (2010) 12 号 p. 525-531
    公開日: 2011/01/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,AOAC Internationalの基準に基づき,代表的な抗酸化物質を用いて抗酸化能測定法であるH-ORAC法の室間共同試験を行い,精度の調査を行った.室間共同試験には5種((+)-カテキン,Trolox, trans-フェルラ酸,ヘスペレチン,コーヒー酸)の抗酸化物質溶液および粉末を用いた.その結果,RSDrは溶液試料で5.9~13.2%,粉末試料で5.4~10.4%であり,RSDRは溶液試料で16.2~61.4%,粉末試料で16.9~33.2%であった.Trolox検量線の上限濃度である50μMから算出したHorRat値は溶液試料で1.48~5.62,粉末試料で1.54~3.03であり,本室間共同試験によって妥当性が確認されたとは言い難かった.室間再現性低下の要因として,プレートリーダーの特性に起因するウェル間での蛍光強度変化の差異挙げられ,これを低減することがH-ORAC法の室間再現性向上に重要と考えられた.
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  • 大内 和美, 青柳 康夫
    57 巻 (2010) 12 号 p. 532-538
    公開日: 2011/01/31
    ジャーナル フリー
    野生・栽培キノコ195種の熱水およびエタノール抽出物についてα-アミラーゼ,α-グルコシダーゼに対する阻害活性のスクリーニングを行なった.
    強いα-アミラーゼ阻害を示したのはニオウシメジ,クロハツ,アミガサタケであった.また,強いα-グルコシダーゼ阻害を示したのはツバフウセンタケ,ニセアシベニイグチ,ウスフジフウセンタケ,キヌガサタケ,コウモリタケ,クロカワであった.α-グルコシダーゼ阻害の強かったキノコ6種についてLCMSより阻害成分の検索を行なったところ,ツバフウセンタケ,ニセアシベニイグチ,ウスフジフウセンタケ,キヌガサタケよりα-ノジリマイシン,7-o-β-D-グルコピラノシル-α-ホモノジリマイシンが検出された.さらに,定量を行なったところ,2種のノジリマイシン類縁体の合計量ではニセアシベニイグチが最も多く,次いでツバフウセンタケ,ウスフジフウセンタケがほぼ同量で,キヌガサタケが最も少なかった.これはスクリーニングにおける阻害の強さとも一致しており,この4種のキノコではノジリマイシン類縁体がα-グルコシダーゼ阻害作用の主成分であることを支持していた.クロカワ,コウモリタケではノジリマイシン類縁体は検出されず,他の水溶性阻害成分の存在が示唆された.
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技術論文
  • 清水 康弘, 今田 隆文, 大野 友道, 張 慧利, 下村 講一郎
    57 巻 (2010) 12 号 p. 539-545
    公開日: 2011/01/31
    ジャーナル フリー
    今回の検討で,スイゼンジナ色素はアントシアニン色素の中でも,極めて耐光性・耐熱性に優れた色素であり,一般にアントシアニン色素の退色が著しい中性に近いpH域においても高い安定性を示す色素であることが明らかになった.また,実際の飲料に応用した際にも高い安定性を示した.これまでにもセイヨウアサガオ,キキョウなどに高度にアシル化され,安定性に優れたアントシアニンが含まれていることが報告されているが10) ,これらは食経験の無い花弁に含まれているものである.一方,スイゼンジナは本邦において古くから伝統野菜として食されており,さらに今回示したように復帰突然変異原性を持たないことから,安全でイメージの良い食用天然色素として利用できる可能性が高いものと考えられる.
    スイゼンジナ色素の色調はアカキャベツ色素およびムラサキイモ色素に比較的近いものであった.2009年の食品添加物の国内市場において,アントシアニン色素に占めるアカキャベツ色素の割合は約27%,ムラサキイモ色素は約16%である15) .市場において大きな割合を占める両色素に近い色調を有することから,新規食用天然色素として大きな可能性が期待できる.
    以上のように,スイゼンジナは優れたアントシアニン色素の原料植物として利用できることが示唆された.しかしながら,スイゼンジナは本研究で比較対象としたアカキャベツ等に比べて色素含量が低いという問題がある.この課題の解決に向けて,著者らはスイゼンジナアントシアニンの生合成に関与する遺伝子解析にも着手している16) 17) .これによって,スイゼンジナのアントシアニン産生メカニズムを解明し,効率的なスイゼンジナアントシアニンの蓄積を達成することで,本色素の産業利用が可能となることが期待される.
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技術用語解説
  • 北村 義明
    57 巻 (2010) 12 号 p. 546-547
    公開日: 2011/01/31
    ジャーナル フリー
    グリーンケミストリーは一般的に「環境にやさしい化学」ととらえられているが,米国環境保護局(EPA)のPaul T. Anastas(現Yale大学)らにより「物質を設計し,合成し応用するときに有害物をなるべく使わない,出さない化学」とより明確に定義されている.具体的には,化学物質の使用に際して,原料,反応剤・合成変換法,反応条件,最終生成物・目的分子の設計等のあらゆる段階において,環境負荷の低減を図り,それを実践する化学,学問,思想である.その基本理念は,1998年にAnastasにより下表の12箇条としてとりまとめられている1)
    米国で1990年に成立した環境汚染保護法が発令されたのを契機に,環境保護局(EPA)を中心に「危険性・有害性のより低い化学製品や化学プロセス」について検討が活発となった.1995年のクリントン大統領の「The Presidential Green Chemistry Challenge」計画の推進表明をはじめ1997年からのGreen Chemistry and Engineering Conferenceの開催等,政府主導による産学官全体での取り組みに発展した.また欧州でも同時期に同様の活動が始まり,1997年イタリアで開催された国際会議「The Green Chemistry : Challenging Perspective」を契機に,EUと各国政府,産業界での取り組みが活発化した.
    日本では,この米国の取り組みに加え,リサイクル等による省資源での持続的社会構築をうたったOECDによる「OECDサステイナブルケミストリープログラム」に対応して,2000年3月に産官学の連携による「グリーン・サステイナブルケミストリーネットワーク」が発足し,以後,グリーン・サステイナブルケミストリー(GSC)として取り組まれている.GSCの技術体系とその研究領域は図のように,グリーン原料,グリーンプロセス,グリーン製品,グリーンリサイクルの4つの大きな分野とそれぞれを構成する項目に分類されている.
    「グリーン原料」は,農林水産物やその副産物等の各種バイオマス資源が主なものとなり,これらから産業素材,各種化成品,医療素材,食品素材,バイオマスエネルギー等への変換が検討されている.「グリーンプロセス」では,より環境に優しい代替反応試薬・反応経路の検討に加え,光・電磁波・超音波・高圧力等を利用した新たな有機反応プロセスが検討されている.また,新規無機触媒の開発や微生物・酵素を利用したバイオコンバージョン,溶媒としての超臨界流体の利用などもある.「グリーン製品」には,環境負荷がより少ない難燃剤や生分解性のバイオサーファクタント,生分解性プラスチック等が含まれる.「グリーンリサイクル」には,各種副産物のリサイクル技術だけではなく,資源のリデュース,リユース技術も含まれる.各要素技術の開発だけではなく,循環型経済社会の確立のために必要な物質のライフサイクル全体を通じた総合的な技術体系の確立とエネルギー消費・CO2排出の低減化とそのシステム化が必要である.また,人類活動等により汚染された土壌や水圏を修復するためのケミカルレメデーションやバイオレメデーション技術もGSCの重要な課題である.また,以上のように種々の取組による“グリーン”技術の開発が取り組まれているが,これらの有効性を評価する実効なグリーンインデックスの策定とその国際標準化も重要な課題の一つである.
    今後,これまでの工業化学の世界と,バイオテクノロジーやナノテクノロジーを始めとした各種異分野の先端技術等との融合により,より実効的なGSC技術が数多く創出されることと考えられ,グリーンケミストリーが循環型持続的社会構築に向けて果たす役割はますます大きくなるものと考えられる.
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