日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
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57 巻 , 6 号
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総説
報文
  • 大山 高裕, 阿久津 智美, 伊藤 和子, 渡邊 恒夫, 山崎 公位, 神山 かおる
    57 巻 (2010) 6 号 p. 232-237
    公開日: 2010/08/07
    ジャーナル フリー
    高齢者で咀嚼しにくいたくあんを試料として,皮の加工のもたらす力学特性,および咀嚼負担の変化を機器測定と咀嚼筋筋電位計測により検討した.機器による測定から,破断強度は各々の試料間で有意な差が認められ,皮切れ目で最も小さな値を示した.咀嚼筋筋電位計測の結果からは,若年者と高齢者の咀嚼の特徴の違いをみることができ,高齢者は,筋電位振幅,筋活動量の低さを咀嚼回数,咀嚼時間を増やして対応していると考えられた.加工方法の違いによる咀嚼負担の相違については,無加工のものと比較して皮無しで,咀嚼回数,咀嚼時間,筋活動時間,筋活動量が有意に小さな値を示し,今回の試料の中で最も咀嚼負担の少ない加工方法であると考えられた.皮に切れ目を入れたものも,無加工のものと比較して,筋電位振幅,筋活動時間,筋活動量で有意に小さな値を示したことから,咀嚼負担の軽減に効果があると推察された.
    また,世代と加工方法の交互作用が有意であった筋電位振幅について世代ごとの検討を行ったところ,高齢者では機器測定の破断荷重の測定結果と同様の序列を示し,両者に何らかの関係が推測される一方,若年者ではそのような傾向は見られず,加工の影響が咀嚼に与える影響には若年者と高齢者で違いがあることが推察された.
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  • 杉山 武裕, 藤田 かおり, 蔦 瑞樹, 杉山 純一, 柴田 真理朗, 粉川 美踏, 荒木 徹也, 鍋谷 浩志, 相良 泰行
    57 巻 (2010) 6 号 p. 238-242
    公開日: 2010/08/07
    ジャーナル フリー
    励起蛍光マトリクス(EEM)計測による,そば粉と小麦粉の混合割合推定の可能性を確認した.試料として,市販のそば粉と小麦粉を11種類の混合比で混ぜた混合粉試料を,励起波長200-900nm,蛍光波長200-900nmの範囲で測定した.計測で得られたEEMデータに対してPLS回帰分析を適用し,潜在ベクトル数=7で推定式を計算した.推定式の係数から,励起波長340-555nm,蛍光波長500-755nmの範囲に重要なEEMデータが含まれていることが分かった.この波長範囲に限定したEEMデータに対して再度PLS回帰分析を適用したところ,検量線の精度は波長範囲を限定していない場合とほぼ同等であった.さらに,計測時間を1試料あたり515秒から105秒に短縮できた.本研究によって,そば粉・小麦粉の簡易・迅速な混合割合の推定法としてEEM計測を適用できる可能性が存在することが示された.
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  • 柴田 真理朗, 杉山 純一, 蔦 瑞樹, 藤田 かおり, 杉山 武裕, 粉川 美踏, 荒木 徹也, 鍋谷 浩志, 相良 泰行
    57 巻 (2010) 6 号 p. 243-250
    公開日: 2010/08/07
    ジャーナル フリー
    パンの気泡構造を定量化するために,入手し易く,操作が簡便なイメージスキャナとパラメータの最適化を伴わない画像処理手法により,簡易かつ客観的に気泡を計測する手法を開発した.
    1) パン試料の画像から気泡を検出し易くするために,同一試料を上下左右の4方向から撮像した4枚の画像を,最も輝度の低い画像の輝度値をとるmin合成することにより,気泡が強調された画像を合成した.
    2) 画像全体から均一に気泡を検出するために,ブロック分割した領域ごとにOtsuの二値化手法を適用した.その際の最適なブロックサイズは20×20pixelであった.
    3) 検出された気泡部分をラベリングし平均気泡面積,平均周囲長,単位面積あたりの気泡数および気泡面積割合(全体に占める気泡面積の割合)を算出した.それらにt検定を適用した結果,すべての項目に対して有意な差が検出されたことから,2種類のパン試料の気泡構造の特徴の差は的確に抽出されたと考えられた.
    本研究で開発された方法は,簡易にデータを採取でき,フィルタに関するパラメータを試行錯誤で決定する必要がなく一定のアルゴリズムで気泡を計測可能な方法である.今後は,パンの粘弾性などのレオロジーと,本研究で得られた気泡パラメータの関連を解析することが期待される.
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技術論文
  • 山澤 正勝, 越野 昭一
    57 巻 (2010) 6 号 p. 251-256
    公開日: 2010/08/07
    ジャーナル フリー
    だしの濁りの生成原因とその原因成分を明らかにする目的で,各種節類およびそのだしの一般成分とだしの濁りとの関係を調べた.また,主たる原因成分と推察された脂質について,節およびだしにおける存在状態等を調べ,次の結果を得た.
    (1) だしの濁りと原料節の粗脂肪含量との間にはr=0.639,だしの濁りとだしの粗脂肪含量との間にはr=0.886の高い相関が認められ,濁りの主たる原因成分は脂質であると推定された.
    (2) だしの濁りに対して節の粗脂肪含量よりもだしの粗脂肪含量との相関係数が高いことから,粗脂肪の多い節のだしが必ずしも濁るわけではなかった.
    (3) だしをとることによる,節からだしへの脂質の移行量は1.5~3.3%にすぎなかった.
    (4) 削り節をSEMにより観察したところ,節中の脂質は主に脂肪球として筋繊維間に分布しており,だしをとることにより脂肪球は節よりだしに移行した.
    (5) だしの濁りの原因となる脂質の主成分はトリグリセライドおよびリン脂質と推察された.
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  • 鵜飼 光子, 亀谷 宏美
    57 巻 (2010) 6 号 p. 257-262
    公開日: 2010/08/07
    ジャーナル フリー
    乳児用成型ミルクを成分組成の異なるタンパク質性粉末食品数種と比較してESR測定を行った.乳児用ミルクは脱脂粉乳,コーヒー用粉末ミルク,乾燥全卵より強いESR信号強度を観測した.乳児用ミルクの緩和挙動から種類の異なるラジカル種の寄与が示唆された.構成成分の違いから考察すると,強い有機ラジカル種である,アスコルビン酸の含有量が乳児用ミルクにおいて突出しており,その寄与が推察された.乳児用ミルクでは成型でも粉末でも緩和挙動や緩和時間に差異は見られなかったので,成型処理により誘導されるラジカル種は粉末のものと同じであると考えた.すなわち,乳児用ミルクは,製法の違いによる新たなラジカル生成はないと考えた.
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研究ノート
  • 山田 貴子, 飯田 哲郎, 林 範子, 大賀 浩史, 大隈 一裕, 何森 健
    57 巻 (2010) 6 号 p. 263-267
    公開日: 2010/08/07
    ジャーナル フリー
    D-プシコースの体脂肪蓄積抑制効果に関して,ラットを用いて検討した.
    4週齢Wistar系雄性ラットに異性化糖食または異性化糖食にD-プシコースを1.3%,2.6%,3.9%,5.2%添加した飼料を5週間自由摂取させた.体重,摂餌量,脂肪重量および各種血液生化学的指標に及ぼす影響を検討した結果,D-プシコースを5.2%摂取した群は,異性化糖食と比較して,体重において有意な低値を示した.腎周囲脂肪および脂肪組織重量に関しては,用量依存的な低下が認められた.これらのことから,D-プシコースは異性化糖に対しても体脂肪蓄積抑制効果を示すと考えられた.
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  • 三好 恵理奈, 小関 泰平
    57 巻 (2010) 6 号 p. 268-272
    公開日: 2010/08/07
    ジャーナル フリー
    本研究ではOVAの加圧変性にともなうゲル形成実験をおこない,加圧処理により形成されたOVAゲルの特徴を加熱ゲルと比較することにより明らかにした.OVAは480MPa以上の加圧処理により変性するが,ゲルを形成するために必要なタンパク質濃度は7~9%と高く,加熱処理による場合(3~5%)の2倍程度のOVA濃度を必要とした.形成されたOVAの加圧ゲルは加熱ゲルよりも高い凝集性を示した.
    また,加圧OVAゲルの外観と硬さは,加熱OVAゲルとは異なり,変性条件(処理圧力)に依存していた.686MPaの処理により形成した加圧OVAゲルはやわらかく透明であったが,510MPaの処理では,686MPa処理による透明ゲルよりも明らかに硬い白濁ゲルを形成した.
    以上のことから,OVAの加圧ゲルは加熱ゲルとは大きく異なる特徴を示した.
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技術用語解説
  • 神山 かおる
    57 巻 (2010) 6 号 p. 273
    公開日: 2010/08/07
    ジャーナル フリー
    筋細胞(あるいは筋線維とも呼ぶ)が収縮活動するときに出される活動電位を筋電位と呼び,これを記録したものを筋電図という.古くから動物やヒトの生理学研究で用いられてきたが,近年,食品物性の研究にも応用され,食品を食べている時の咀嚼筋の筋活動が筋電位計測により解析されるようになった.
    筋電位には,針や細いワイヤー状の電極を筋細胞に直接刺して記録する方法と,目的とする筋肉上の皮膚に表面電極を貼り付けて導出する方法があるが,食品研究には,非侵襲的な後者が用いられることが多い.倫理的な問題が解決できても,痛みを伴う針電極では,普通の咀嚼運動が行いにくくなるためである.測定対象となる筋肉は,咀嚼筋の中でも,咬筋,側頭筋等の,顎を閉じたり,噛みしめたりするときに使われる閉口筋が一般的である.例は少ないが,開口筋や舌や頬の筋肉の筋電位を用いた研究もある.
    表面電極により得られた閉口筋の筋電位は,下顎を閉じる,すなわち噛みしめる動作毎に,筋活動が現れ,安静時や顎を開く時には,ほとんど電位が現れない.そこで,一回噛む毎の,筋電位振幅,筋活動時間を解析したり,食品咀嚼過程全体の咀嚼回数や咀嚼時間を計算したりできる.かたい食品を噛むときには,筋電位の振幅は大きくなるので,より強い咀嚼力を必要とする食品,噛みにくい食品が数値で表現される.また筋電位の時間積分値は,筋肉が行う仕事に相当するものと考えられており,咀嚼始めから嚥下までの筋電位を時間積分した値は,咀嚼仕事の感覚量とよく一致することが知られている.ヒトは咀嚼力が無理なく出せる,おおむね最大咬合力の20%くらいまでの範囲では,かたい食品ほど咀嚼力を上げるため,筋電位振幅が大きくなる傾向にある.それを越えると,一噛みの力を変えずに,咀嚼回数を増やしたり,咀嚼リズムを遅くしたりといった,時間で制御する咀嚼を行うようになるので,筋電位から食べにくい食品を検出することができる.
    食品の研究開発で用いられている機器による力学測定は,食べる前の食品の物理的状態を調べている.咀嚼中に,食品は小さく砕かれ,また唾液と混ぜられて,水分や温度も変わる.したがって咀嚼中に大きく変化する食品の力学特性により,時々刻々と変化していくヒトのテクスチャー感覚を表すためには,筋電位測定等のヒトの咀嚼計測は大変有効な手段である.食品による差は,咀嚼初期に大きく,咀嚼中に徐々に減少していくが,それでも異なる種類の食品では,嚥下できる状態になった食塊の物性も大きく違っている.
    また,テクスチャー感覚には,食品の硬さや粘性等の物性と,大きさや量の両要因が関係している.機器では後者の分析が難しいのに対し,筋電位データからは,一口に入れた食品量,切り方の影響等も解析できる.
    官能評価では他人の感覚は調べられないので,食べている人の個人差の解析をするには,筋電位等の咀嚼計測の方が向いている.咀嚼能力は,小児期に訓練によって発達し,高齢期になると加齢に伴う筋力低下,または歯の欠損や持病によって衰える.個人の咀嚼の特性を解析するために,咀嚼筋の筋電位は,歯科医学領域で長く活用されてきた.
    筋電位法の欠点としては,一般に食品間の差よりも個人間の差の方が大きいために,食品テクスチャーの分析を行いたい時には,解析に工夫が必要なことであろう.また,小児や高齢者等,テクスチャーを食べやすく制御した食品を要するような対象者では,若年成人に比べ咀嚼運動が不規則になりがちなため,より解析が困難である.
    筋電位測定値に大きな個人差があっても,同時に測定した一被験者による食品間の相対値は,年齢や性別,歯の状態が変わっても,比較的一致することが報告されている.当誌でも,食品テクスチャーや噛みにくさの解析に関して,最近論文が増えているが,筋電位は,装置も比較的安価で測定も難しくない,新しいテクスチャー解析のツールである.
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