日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
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57 巻 , 8 号
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総説
  • 中村 敏英, 安藤 聡, 島 純
    57 巻 (2010) 8 号 p. 321-325
    公開日: 2010/10/02
    ジャーナル フリー
    Baker's yeast (Saccharomyces cerevisiae) is one of the most essential ingredients in bakery products. During the commercial baking process, baker's yeast is subjected to baking-associated stresses such as high-sugar concentrations, air-drying and freezing. These stresses significantly influence cell growth and fermentation. To avoid lethal damage, yeast cells need to adapt to the harsh environments. In order to clarify which genes are important for adaptation to stresses, a functional genomics analysis was carried out under stress conditions that simulated those occurring during the fermentation of dough and the production of dried yeast. Gene expression profiles indicated that many genes are involved in stress tolerance in yeast. In particular, it was suggested that the folding of intracellular proteins and the removal of denatured proteins play important roles in yeast cells under stress conditions. Additionally, it was suggested that the increased expression of genes involved in energy production is important for adaptation to stresses. We expect that these gene expression profiles accelerate improvements in the breeding of baker's yeast that has higher tolerance to stresses.
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報文
  • 上田 玲子, 荒木 徹也, 柴田 真理朗, 相良 泰行, 杉山 公教, 千葉 智
    57 巻 (2010) 8 号 p. 326-335
    公開日: 2010/10/02
    ジャーナル フリー
    代表的な市販生タラコ18品目(n=576)の官能評価および機器分析データに共分散構造分析を適用した結果,「外観評価」,「味・風味・食感評価」および両者を統合した「総合評価」の3つの因果モデルが得られた.また,官能評価値と機器分析値との相互関連性を検討するためには,機器分析値にウェーバー・フェヒナーの法則を適用し,その対数値を共分散構造分析の入力変数とすることが有効であることが分かった.なお,連続尺度である線尺度を採用することにより,カイ二乗検定の値がより大きくなる傾向が見られた.
    「総合評価」の因果モデルから,生タラコのおいしさは「外観主観」「口当たり」「味付け」の3つの因子から構成されることが明らかとなった.また,喫食前を想定した「外観評価」の因果モデルからは,外観全体の選好度に「主観因子」が影響を及ぼすことが分かった.他方,喫食状態を想定した「味・風味・食感評価」の因果モデルからは,外観を除いた総合的な選好度に「タラコらしい風味」「口当たり」「味付け」の3つの因子が影響を及ぼすことが明らかとなった.
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  • 小早川 知子, 松尾 和吉, 橋本 忠明, 築山 良一
    57 巻 (2010) 8 号 p. 336-345
    公開日: 2010/10/02
    ジャーナル フリー
    淡口醤油パラドックスともいえる淡口醤油の調理特性をあきらかにするため,淡口醤油と濃口醤油での「塩味」「かつおだし風味」「煮干だし風味」「昆布だし風味」の閾値を2点識別試験片側検定にて比較した.さらに,醤油とかつおだしを組み合わせた時の減塩効果についてプロビット解析により検討を行い,以下の知見を得た.
    (1) 「塩味」の閾値は喫食時を想定して設定した3種類(0.92%,1.28%,2.75%)すべての食塩濃度範囲で濃口醤油より淡口醤油の方が低いことが明らかとなった.
    (2) 「かつおだし風味」「昆布だし風味」の閾値は,食塩水,濃口醤油よりも淡口醤油が低い結果となった.
    (3) 「煮干だし風味」の閾値は,醤油使用量が多い5.6%濃口が最も低い結果となった.5%淡口醤油,5%濃口醤油の閾値に差は見られなかった.
    (4) 0.90%食塩水と同等の塩味の強さと感じる等価食塩濃度は2%,3%,6%のかつおだし溶液それぞれ0.903%,0.894%,0.843%となり,だし濃度が高くなるほど塩味を強く感じる傾向を示したが,95%の信頼限界域から判断して,濃厚な6%かつおだしにのみ減塩効果が認められ,通常のだし濃度3%以下では減塩効果はなかった.
    (5) 4%淡口醤油,4%濃口醤油そのものには減塩効果はなかった.
    (6) 3%かつおだしと4%醤油を併用した場合の0.90%食塩水との等価食塩濃度は,淡口醤油の場合0.872%,濃口醤油の場合0.891%と共に減塩の傾向を示したが,95%信頼限界域から判断して淡口醤油の場合のみ有意な減塩効果が認められた.
    以上より,調理に淡口醤油を使うことは,目的とする塩味に調節し易く,且つ,だし風味を効かせた低塩料理につながることが強く示唆される結果となった.
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  • 長野 正信, 上野 知子, 藤井 暁, 侯 徳興, 藤井 信
    57 巻 (2010) 8 号 p. 346-354
    公開日: 2010/10/02
    ジャーナル フリー
    黒酢は鹿児島で伝統的に造られてきた食品であり,多くの生理作用を有していることが知られている.本研究では,黒酢の発酵残渣である黒酢もろみ末の高血糖抑制効果についてII型糖尿病モデルマウスKK-Ayを用いて検討を行った.マウスは1週間の馴化飼育後3群にわけ,コントロール食としてCE-2を用い,試験食として0.5%黒酢もろみ末含有CE-2, 0.01%ピオグリタゾン含有CE-2を作製し51日間摂取させた.ピオグリタゾン群の血糖値は飼育10日目よりコントロール群に対して有意に低下し,黒酢もろみ末群の血糖値は飼育40日目よりコントロール群に対して有意に低下した.血中総コレステロール濃度,中性脂肪濃度は黒酢もろみ末群,ピオグリタゾン群いずれでも有意に低下したものの,肝臓中の中性脂肪含量は黒酢もろみ末群のみ有意に低下した.さらに,筋肉,肝臓,脂肪組織中のタンパク質発現を検討したところ,筋肉中のGLUT4の膜移行が黒酢もろみ末群およびピオグリタゾン群で有意に増加した.また,PPARαおよびリン酸化AMPKαも黒酢もろみ末群およびピオグリタゾン群で有意に増加した.一方,肝臓中では,IRβの発現が黒酢もろみ末群で有意に増加しており,そのリン酸化は黒酢もろみ末群およびピオグリタゾン群で有意に増加した.脂肪組織中のPPARγについて検討したところ,ピオグリタゾン群では有意に発現が亢進したが,黒酢もろみ末群では有意に減少した.以上より,黒酢もろみ末は高血糖抑制および高脂血症抑制に有用な食品であることが示唆された.
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技術論文
  • 山崎 慎也, 唐沢 秀行, 大日方 洋
    57 巻 (2010) 8 号 p. 355-360
    公開日: 2010/10/02
    ジャーナル フリー
    本研究では田村らによって開発されたアミノ酸パターン類似率を用いるそば粉配合割合推定方法をもとに,平均のそば粉のアミノ酸量を補正して原料そば粉のものに近似する項を導入した「改良法」を考案した.代表的なそば粉のアミノ酸量成分ベクトルをA,小麦粉をB, またそば試料をPとし,そば粉の平均のアミノ酸量を (AVERAGE) ai, 小麦粉の平均のアミノ酸量を (AVERAGE)bi, そば粉の蛋白質量をXa%,小麦粉をXb%,試料をXp%として計算すると,そば粉配合割合α′は
    α′=
    {∑(AVERAGEai)pi∑(AVERAGE bi2)−∑(AVERAGE ai)(AVERAGE bi)∑
    (AVERAGE bi)pi+[(XpXb)/Xa] [∑(AVERAGE ai)(AVERAGE bi) ∑
    (AVERAGE ai)pi−∑(AVERAGE ai2) ∑(AVERAGE bi)pi]}/
    {∑(AVERAGE ai)pi∑(AVERAGE bi2)+∑(AVERAGE ai)(AVERAGE bi)∑
    (AVERAGE bi)pi−(Xb/Xa)[∑(AVERAGE ai)(AVERAGE bi) ∑(AVERAGE ai)pi−∑(AVERAGE ai2) ∑(AVERAGE bi)pi]} と表せる.この式によって,そば粉の割合が50%以上のそば粉・小麦粉混合試料については標準偏差が±2%で,実際の配合割合に近い値で推定することが出来た.

    (View PDF for the rest of the abstract.)
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研究ノート
技術用語解説
  • 里見 正隆
    57 巻 (2010) 8 号 p. 366
    公開日: 2010/10/02
    ジャーナル フリー
    ヒスタミンは分子式C5H9N3,分子量111.14の活性アミンで,アミノ酸であるヒスチジンの脱炭酸反応で誘導される.無色,無臭で一般的な加熱調理では分解しない.人体では肥満細胞のほか,好塩基球やECL細胞(enterochromaffin-like cell)がヒスタミン産生細胞として知られている.血圧降下,血管透過性亢進,平滑筋収縮,血管拡張,腺分泌促進などの薬理作用があり,アレルギー反応や炎症の発現に介在物質として働く.生体内で普段は細胞内の顆粒に貯蔵されており,細胞表面の抗体に抗原が結合するなどの外部刺激により細胞外へ一過的に放出される.また,マクロファージ等の細胞ではヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)により産生されたヒスタミンを顆粒に貯蔵せず,持続的に放出することが知られている.食品中に蓄積されたヒスタミンを摂取すると,アレルギー様症状を呈するためアレルギー様食中毒と呼ばれている.
    1. アレルギー様食中毒
    アレルギー様食中毒の原因となるヒスタミンは,食品中のヒスチジンが,微生物により変換されて生じるもので,食品のなかでもサバやマグロなど,ヒスチジンを大量に含む赤身魚は原因食品となることが多い.原因物質を許容量以上食べると症状が出る食物アレルギーと異なり,アレルギー様食中毒は,魚介類が新鮮でヒスタミンが大量に含まれていなければ食中毒は起こらない.水産物のヒスタミン生成の原因となるのは主に腸内細菌,海洋細菌および乳酸菌で,鮮魚の場合は主に腸内細菌および海洋細菌,発酵食品の場合は乳酸菌による蓄積事例が報告されている.水産物のヒスタミン量についてCODEXをはじめ各機関で規制値を設けているが,我国では規制値を設定していない.毎年,学校給食等で20件程度の食中毒事例が報告され,患者数は500名程度,死亡例は報告されていない.原因食品として赤身魚加工品が多いとされている1)
    2. ヒスタミン生成菌
    ヒスタミン生成菌はヒスチジン脱炭酸酵素(EC.4.1.1.22)を有し,低pHストレスに応答してヒスタミンを生成すると考えられている.2種類のアイソザイムが知られており,補酵素にピリドキサル五リン酸(PLP)を要求するPLP依存型酵素と,活性中心がピルボイル基であるピルボイル酵素に分けられる.PLP依存型HDCはグラム陰性菌の他,哺乳類の肝臓等に存在し,ピルボイル型HDCはグラム陽性細菌にのみ存在する.
    (1) PLP依存型HDC
    分子量約170kDa,四量体で,補酵素としてPLPを要求する.Morganella morganiiを含む腸内細菌群や海洋性のPhotobacterium damselaeおよびP. phosphoreum等のグラム陰性菌が保有する2) .本酵素を有する細菌は鮮魚や加工水産物のヒスタミン蓄積の原因菌と考えられている.海洋由来のヒスタミン生成菌には好冷性のものも存在するため,冷蔵保存中でもヒスタミンが蓄積することがあり,注意が必要である.酵素および細菌ともに加熱により失活または,死滅する.
    (2) ピルボイル型HDC
    分子量約200kDa, α, βサブユニットで構成されるヘテロ六量体で,翻訳後一本のペプチド鎖がα, βサブユニットに切断され,αサブユニットにピルビン酸から誘導されるピルボイル基を修飾後,成熟酵素として機能すると考えられている.本酵素はLactobacillus属やOenococcus oenii等の乳酸菌,Staphylococcus sp., およびClostridium perfringensのようなグラム陽性菌に存在し,チーズ,ワイン等の農産発酵食品の製造において問題となる.水産発酵食品では好塩性乳酸菌Tetragenococcus spp. がヒスタミン生成菌として分離されている.
    鮮魚では温度管理が悪いと筋肉組織が速やかに崩壊し,体表や腸内の細菌が侵入する.通常は腐敗菌もヒスタミン生成菌とともに侵入して腐敗臭を発するため,ヒスタミンの蓄積が起こるより早く食用に適さないと判断できるが,ヒスタミン生成菌のみが増殖できる特殊な環境が揃うと,官能的に可食と判断できてもヒスタミンを大量に蓄積している状態になり,食中毒を引き起こすと考えられている.ヒスタミン蓄積の予防は通常の食中毒防止の3原則と同様,「つけない」,「増やさない」「やっつける」を実践することが大事である.
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