日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
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58 巻 , 12 号
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報文
  • 山﨑 民子, 荒井 克仁, 松下 容子, 得字 圭彦, 川原 美香, 大庭 潔, 木下 幹朗, 大西 正男
    58 巻 (2011) 12 号 p. 567-575
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    ナガイモ根茎の脂溶性成分に神経細胞保護作用が報告されているが,ナガイモの脂質成分はこれまで未詳であった.今回,著者らは北海道十勝産ナガイモの凍結乾燥物を用いて脂質成分の化学的組成を調べるとともに,不ケン化物のヒト結腸がん細胞に対する作用を検討した.ナガイモの脂質成分は微量(0.4%)であったが,アシルグリセロール類と遊離脂肪酸の他に,2種の中性ステロール脂質(アシルステロールと遊離ステロール),5種の糖脂質[モノグリコシルジアシルグリセロール,ジグリコシルジアシルグリセロール(DGDG),ステロール配糖体とそのアシル化物およびグルコシルセラミド]および4種のリン脂質[ホスファチジルエタノールアミン(PE),ホスファチジルコリン(PC),ホスファチジルイノシトール(PI)およびホスファチジン酸(PA)]の存在を認めた.しかし,様々な生理機能が報告されているジオスゲンニンは検出されなかった.ナガイモの主要な脂質クラスはPA,DGDG,PCおよびPEであった.抗酸化性を示す脂質成分として3種のトコフェロール類が検出され,その総量は約2 μg/100 gであった.構成脂肪酸としては少なくとも17種が同定され,その中でリノール酸,パルミチン酸およびα-リノレン酸が多く,その他に同レベルのオレイン酸とシス-バクセン酸も検出された.主要な脂質クラスの構成脂肪酸の不飽和化指数は,ジャガイモなどと同様に,グリセロ糖脂質で高く,逆にPIとアシルステロール配糖体では低値であった.主要な構成ステロールは,いずれのステロール脂質においてもシトステロールとカンペステロールであった.ナガイモ不ケン化物はヒト結腸がん細胞(Caco-2細胞)に対して濃度依存的に増殖抑制作用を示し,その主たる活性はシトステロールであった.また,不ケン化物の添加によってCaco-2細胞に核の凝集や断裂化が見られ,アポトーシスが誘導されることが示唆された.
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  • 伊藤 満敏, 大原 絵里, 小林 篤, 山﨑 彬, 梶 亮太, 山口 誠之, 石崎 和彦, 奈良 悦子, 大坪 研一
    58 巻 (2011) 12 号 p. 576-582
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    有色素米8品種(赤米4種,紫黒米4種)と対照のコシヒカリについて,抗酸化能(活性酸素吸収能(ORAC)およびDPPHラジカル消去能)の測定,ならびにフォーリン-チオカルト法を用いた総ポリフェノール含量の測定を行った.有色素米の抗酸化能は総ORACが58.0-169.4 μmol TE/g-dry weight,DPPHラジカル消去能が10.8-52.2 μmol TE/g-dry weightの範囲であり,いずれも「コシヒカリ」の24.9および2.5 μmol TE/g-dry weightに比べて著しく高かった.総ポリフェノール含量とH-ORACおよびDPPHラジカル消去能には高い正の相関(r=0.984およびr=0.948,p<0.01)があり,H-ORACとDPPHラジカル消去能との相関性も高かった(r=0.946,p<0.01).また赤米からはプロアントシアニジンが,紫黒米からはアントシアニンが検出され,これらポリフェノール成分含量と抗酸化能との相関も高かった.5品種の有色素米において,収穫年の違いにより抗酸化能およびポリフェノール含量は増減したが,品種間の大小関係への影響は少なかった.以上の結果より,有色素米が抗酸化能の供給源として有用であり,その主要な抗酸化成分はポリフェノールであることが示唆された.
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  • 高橋 英樹, 文後 有里, 三國 克彦
    58 巻 (2011) 12 号 p. 583-590
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    α-リポ酸の辛味に対するCDの影響を調べるため,0.05% (w/v) α-リポ酸水溶液に糖質としてデキストリン,またはα-CD,β-CD,γ-CD,G2-β-CD®,イソエリート®Pを添加溶解した被験液の味を官能試験による辛味評価および電子味覚システムによる味強度の評価で検討した.電子味覚システムで得られたデータを,α-リポ酸の味強度,試料全体(α-リポ酸と糖質)の味強度として解析した.
     官能評価によって,0.05% (w/v) α-リポ酸水溶液の辛味は1.5% (w/v)量のα-CDまたはγ-CDの添加で有意に抑制されることがわかった.電子味覚システムによるα-リポ酸の味強度の評価では,3.0% (w/v)量の糖添加によりα-CD>G2-β-CD®> β-CD>デキストリン> γ-CD>イソエリート®Pの順で有意にα-リポ酸の味が抑制された.また,試料全体(α-リポ酸と糖質)の味強度の評価では,3.0% (w/v)量の糖添加によりα-CD> γ-CD=イソエリート®Pの順で有意に試料全体の味が抑制された.一方で,試験時の被験液の性状は,α-CDおよびγ-CDを添加したα-リポ酸水溶液では包接沈殿を形成したが,α-CD添加ではCD添加量の増加に伴った水溶液中のα-リポ酸濃度の低下は見られなかったが,α-CD添加量の増加と共に電子味覚システムによる味強度は低下した.
     以上のことから,α-リポ酸の辛味抑制はα-CDの添加で有意に効果が認められ,α-リポ酸とα-CDとの包接沈澱の形成と,水中におけるα-リポ酸とα-CDとの相互作用の二つの要因によりα-リポ酸の辛味が抑制されると考えられた.
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技術論文
  • 岸根 雅宏, 奥西 智哉
    58 巻 (2011) 12 号 p. 591-596
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    LAMP法を用いた簡易で迅速なコシヒカリの識別技術を開発した.コシヒカリを検出するプライマー(陽性プライマー)およびコシヒカリを除く品種を検出するプライマー(陰性プライマー)は,いもち病抵抗性遺伝子であるPi5-1とその感受性対立遺伝子の配列を用いて作製した.陽性および陰性プライマーによる上位48品種の増幅解析の結果,両プライマーは,それぞれコシヒカリもしくはコシヒカリ以外の品種を約90%の確度で検出可能であることが示された.また,粒サンプルからの迅速な識別を目指し,水酸化ナトリウムを用いた極簡易DNA抽出法の開発も合わせて行った.簡易法で抽出したDNAは,キットで精製したDNAとほぼ同等のLAMP増幅を行うことが可能であった.これらの手法を組み合わせ,コシヒカリとひとめぼれ(コシヒカリ以外の品種の代表)間における試料混入の検出を試みた結果,どちらのプライマーも1%の混入から検出可能であることが示された.
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  • 深井 洋一, 田中 廣彦, 内藤 成弘
    58 巻 (2011) 12 号 p. 597-603
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    市田柿の水分分布が関係するカビ発生について新たな知見を得る目的で,予め試験品として選別した健全品とカビ発生品の水分分布を磁気共鳴画像(MRI)法を用いて検討した.1個のカビ発生品を1個または3個の健全品と一緒にスピンエコー法を用いて,0.2テスラの永久磁石と1辺12 cmの開口部をもつソレノイド型検出器を備えた小型MRIで測定した.水分および水分活性に有意差が認められない(p > 0.05)健全品とカビ発生品のMR画像では,NMR信号の強さをMR画像の明るさで表現した場合,両者の明るさに明瞭な違いが認められた.カビ発生品は健全品よりも中果皮,内果皮ともに明るくなるが,内果皮が特に明るくなった.T1およびT2緩和時間測定の結果,MR画像の明るい部分では運動性の高い水が増えていた.この明るさの違いは,市田柿のへた側から尻側までのどの横断面でも見られたので,2次元MRIで任意の一断面を測定すれば健全品とカビ発生品の水分分布の違いをとらえることができた.MRIは水分や水分活性ではとらえられなかった市田柿の健全品とカビ発生品の水分分布の違いを,水の運動性の違いからとらえることができたため,品質管理の手段として実用化の進展が期待される.
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研究ノート
  • 嶋田 貴志, 岡森 万理子, 深田 一剛, 林 篤志, 榎本 雅夫, 伊藤 紀美子
    58 巻 (2011) 12 号 p. 604-607
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    5週齢のBALB/c系雌マウスにスギ花粉アレルゲンを5回感作した後,腹腔内にアレルゲンを投与して好酸球を集積させるI型アレルギーの遅発相モデルを作製した.このモデルに対して,モリンガ(Moringa oleifera)の葉を3種の混合比(0.3%,1.0%および3.0%)で混じた粉末飼料を自由摂取させ,好酸球の集積および血清中の総IgE量に対する影響を調べた.通常の飼料を与えた対照群と比較してモリンガ葉を0.3%および3.0%与えた群は,総白血球数および好酸球数で有意な低値を示した.血清中総IgE量では対照群と比較して3.0%のモリンガ葉を与えた群が有意な低値を示した.以上の結果より,モリンガ葉は経口的に摂取することでI型アレルギーに対して抑制作用を有する可能性が示された.
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技術用語解説
  • 杉浦 実
    58 巻 (2011) 12 号 p. 608-609
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    疫学は,実験動物や培養細胞ではなく,実際の人口集団を対象として,疾病とその規定要因との関連を明らかにする科学であり,明確に規定された人間集団の中で出現する健康関連のいろいろな事象の頻度と分布およびそれらに影響を与える要因を明らかにして,健康関連の諸問題に対する有効な対策樹立に役立てることを目的とする.疫学研究のデザインには大きく分けると,地域相関研究·断面研究·症例対照研究·コホート研究·無作為割付臨床試験(介入研究)などがあり,因果関係を明らかに出来るという点においては一般にコホート研究や介入研究ほど信頼性の高い情報が得られると考えられる.また研究の規模や調査の精度により,得られた情報の評価は異なる.
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