日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
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58 巻 , 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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総説
報文
  • 高橋 匡, 市田 淳治, 加藤 陽治
    58 巻 (2011) 2 号 p. 37-42
    公開日: 2011/04/23
    ジャーナル フリー
    リンゴ搾汁残渣をセルラーゼおよびペクチナーゼの混合酵素によって酵素糖化し,その糖化液を別の搾汁残渣に加えて再び酵素処理を行った.次いで,酵素処理によって得られた糖化物を原料として醸造酢を製造し,機能性試験および官能評価を行った結果,以下の知見を得ることができた.
    (1) リンゴ搾汁残渣の酵素処理を2回繰り返すことで,オリゴ糖量を増加した糖化物が得られ,これを発酵して醸造酢を製造しても,発酵前とほぼ同じ構成でオリゴ糖は残存していた.
    (2) 酵素処理によってリンゴ搾汁残渣から抽出されたポリフェノールは,酢酸発酵後も残存しており,2回酵素処理した醸造酢では酵素未処理酢に比べて約2.7倍に増加した.
    (3) 官能評価の結果,リンゴ搾汁残渣を2回酵素処理し,アルコール添加法によって製造した醸造酢において,市販リンゴ酢並の評価が得られた.
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技術論文
  • 北爪 雅恵, 渡辺 純, 後藤 真生, 石川(高野) 祐子
    58 巻 (2011) 2 号 p. 43-50
    公開日: 2011/04/23
    ジャーナル フリー
    スモモとウメの種間雑種である‘紅の舞’の抗酸化性をDPPHラジカル消去活性,H-ORACで,ポリフェノール総量および組成をフォーリン-チオカルト法およびHPLC法,また,アンジオテンシンI変換酵素阻害活性および脱顆粒阻害活性について測定し,それらの活性を同じく種間雑種である‘李梅’,およびウメ2品種‘白加賀’, ‘南高’,スモモ‘ソルダム’と比較した.‘紅の舞’の抗酸化性は,DPPHラジカル消去活性が15.8-20.5μmol TE/g FW, H-ORAC値が57.0-61.7μmol TE/g FWであり,‘李梅’と同程度,それ以外の品種より高かった.これら種間雑種に見られる高い抗酸化性は,エピカテキン含量がウメよりも高いこと,またアントシアニンが含まれていることに起因すると推察された.また,‘紅の舞’では成熟に伴い他品種と同様にエピカテキン含量は減少するものの,抗酸化性の高いアントシアニン含量が増加することから,抗酸化性が維持されたと考えられた.評価した2種類の抗酸化性測定値は,いずれも総ポリフェノール含量と高い相関(r=0.988)を示した.ACE阻害活性は,‘紅の舞’とそれ以外の品種に活性の差は認められず,脱顆粒抑制活性は,ウメよりも低かった
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  • 渡邊 弥生, 石原 理子, 中津 沙弥香, 坂本 宏司
    58 巻 (2011) 2 号 p. 51-54
    公開日: 2011/04/23
    ジャーナル フリー
    凍結含浸法を用いて,ジャガイモ内部に油脂を導入する方法を検討した.油脂の割合が30%の水中油滴型エマルションを含浸に用いると導入効率がよく,導入された油脂量は約3g/100gジャガイモとなった.油中水滴型のエマルションを用いて含浸操作を行っても,油脂は内部へ導入されなかった.また,含浸に用いるエマルションの油滴が小さい方が,多くの油脂がばらつきなく導入された.油脂とともに軟化酵素を添加して含浸を行うと,油脂が導入された軟らかいジャガイモができた.油脂に脂溶性成分を溶かすことで,脂溶性成分をジャガイモへ導入することができた.
    凍結含浸法により,食材の形状を保持したまま硬さを任意に調節した食材ができるだけでなく,疎水性である油脂も導入することが可能となった.
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  • 高橋 克嘉, 奥西 智哉, 鈴木 啓太郎, 柚木崎 千鶴子
    58 巻 (2011) 2 号 p. 55-61
    公開日: 2011/04/23
    ジャーナル フリー
    米粉とグルテンを85 : 15で配合する米粉パンを作成し加水,ファリノグラフ強度およびパン比容積の比較を行った.ファリノグラフの最大強度が300BUとなる加水付近において比容積が最大となる傾向が見られた.
    宮崎県産米4品種の米粉の特性と製パン特性を測定した.大型製粉機にて製粉した米粉の場合,ミズホチカラ,南海141号の比容積は4.0mL/g近く,ヒノヒカリと比べ0.2mL/gほど良好であった.小型製粉機で製粉した米粉もミズホチカラ,南海141号が良好であった.ただ,大型製粉機で製粉した米粉より比容積が0.3mL/gほど低かった.官能評価の結果,差はわずかであったが,すだちはミズホチカラが,味はタカナリが良好であった.
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  • 宮原 晃義, 赤尾 真, 櫻井 英敏, 金山 喜一, 村上 直哉
    58 巻 (2011) 2 号 p. 62-66
    公開日: 2011/04/23
    ジャーナル フリー
    凍結豚ロース肉を従来の4℃空気解凍して製造したロースハムと,あらかじめ調製した塩漬液に凍結状態で直接投入して解凍と同時に塩漬して製造したロースハムの品質と歩留りの比較を試みた.
    1. 解凍時間は凍結肉が少量の解凍では空気解凍と塩漬解凍に差は無く,凍結肉の量が増すと塩漬解凍時間は長時間を要した.
    2. ロースハムの水分含量は空気解凍法よりも塩漬解凍法の方が約5%高い値を示した.食塩含量は塩漬解凍法よりも空気解凍法の方が0.2%高い値を示した.
    3. 塩漬終了後通常の方法で製造したロースハムの製品歩留りは空気解凍法では87.9%であるのに対して塩漬解凍法では95.3%であり7.4%増加した.また,凍結ロース3本(12kg)を10日間塩漬・熟成させた後に製造したロースハムの製品歩留りは,空気解凍法では84.4%であり,塩漬解凍法では91.6%となり7.2%の増加が認められた.
    4. ロースハムの官能検査においては香り,色調,軟らかさ,塩味の4項目にはほとんど差が認められなかった.
    以上のことから塩漬解凍法で解凍し製造する方法が設備や経費の面からかなりの経済効果が期待できる.また,環境への負担が軽減されることが示唆された.
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研究ノート
技術用語解説
  • 安井 明美
    58 巻 (2011) 2 号 p. 71
    公開日: 2011/04/23
    ジャーナル フリー
    試験室は,第三者機関が行う外部質査定(外部精度管理,external quality assessment, EQA)に参加することで,自身の出す分析値の信頼性を評価し,実証する客観的手段を得ることができる.外部質査定の方法の一つが,技能試験である.技能試験は,試験室間試験(試験所間比較)の一つであるが,対象となる分析種の試験室報告値と分析種の真の値の最良推定値との比較であり,明らかに他の試験室間試験,例えば「分析法の妥当性確認のための試験室間試験」や「認証標準物質の認証値設定のための試験室間試験」とは異なっている.
    コーデックス委員会では,食品の輸出入に係わる試験所の能力評価のガイドライン(CAC/GL27-1997, 修正2006)で,(1)ISO/IEC17025(試験所および校正機関の能力に関する一般要求事項)に適合していること,(2)適切な技能試験1)に参加していること,(3)妥当性が確認された方法を用いていること,(4)内部質管理を行っていることを要求している.また,ISO/IEC17025の試験所認定を行う機関の多くが,技能試験に参加して適切な分析値を報告していることを,審査の要求事項としている.JIS Q 0043-1(試験所間比較による技能試験,第1部 : 技能試験スキームの開発および運営,ISO Guide 43-1)には,技能試験の供給者についての規格の詳細が示され,技能試験スキームの種類,実施方法,評価方法などが記述されている.技能試験の種類として,いくつかのスキームが挙げられているが,化学分析の分野で最もよく用いられるのは,共同実験スキームである.均質性が担保された試料が参加者に同時に配付され,参加者は任意の方法で参加できるので,開発した分析法の性能の確認や使用している方法の点検をすることができる.
    食品分野での技能試験は,多くの機関・組織が供給しているが,規模としては英国のThe Food and Environment Research Agency (Fera)の化学分析に関するFood Analysis Performance Assessment Scheme (FAPAS)が,最大のものと考えられる.年度毎に,新しいプログラムが示され,2010年度のプログラムでは,各種の食品試料について,栄養成分,残留動物用薬物,マイコトキシン類,金属汚染物質,残留農薬,アクリルアミド,メラミン等の試験項目が用意されているが,植物防疫,動物検疫等の法律により日本国内では利用できないラウンドもあるので,国内で利用できるラウンドは約190 (http://sid.gsi.co.jp/product/csl/fapas/program2010.pdf)である.
    共同実験スキームで行われた技能試験の評価には,zスコアが用いられることが多い.
    z=(x−X)/σp
    ここで,xは参加者の分析値,Xは参加者に配付された試料に付与された値,σpはスキームの要求事項を満たすように選ばれた適切なばらつきの推定値または規準の一つである.技能試験供給者は,参加者から報告された分析値から計算される標準偏差を,σpとすることは避けなければならない.Feraでは,σpはHorwitzの修正式2)またはこれまでの試験室間共同試験の結果から求めている.
    |z|≤2であればその分析結果は「満足」,2<|z|<3であれば「疑わしい」,|z|≥3であれば「不満足」と判定される.
    zスコアが2を超すと,試験室の技能は疑わしいと判定されるが,直ちに分析法の見直しを行うか,次回の技能試験まで静観するかの対応は,試験室の目的に適合したものである必要がある.zスコアが3以上となる状況は,試験室が目的に適合した分析システムを持っていれば,ほとんどないと考えられ,技能試験の試料を分析したときに手違いが生じたと考えるよりも分析システム自体が偏った方向に動き始めていると考える方が良い.そうした場合に,内部質管理(内部精度管理)としては,どのように対処するかの手順を文書化しておくことが推奨される.
    なお,技能試験には,定期的に継続して参加することが重要である.
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