日本食品科学工学会誌
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58 巻 , 4 号
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総説
  • 船見 孝博
    58 巻 (2011) 4 号 p. 137-149
    公開日: 2011/05/31
    ジャーナル フリー
    The main function of hydrocolloids in food systems is to control and modify texture via changes in physical and geometrical properties. Texture is important in terms of both food palatability and eating safety, and hydrocolloids play a dominant role in controlling food texture. Hydrocolloids are thus the base ingredients for the development of food products. Research activities on food hydrocolloids have increased recently in terms of texture modifiers for nursing-care foods and also dietary fiber with physiological effects for an aged society, where the number of people with mastication and swallowing difficulties as well as patients with lifestyle-related disease are increasing. The author has aimed to analyze the fundamental properties of various food polysaccharides in terms of colloidal science and to obtain practical knowledge regarding food applications. Target materials for studies on gelling polysaccharides include gellan gum, carrageenan, curdlan, and methylcellulose, while pectin from sugar beet, gum arabic, and soybean soluble polysaccharide are targeted for those on emulsifying polysaccharides. Polysaccharides that control the gelatinization and retrogradation behaviors of starch have also been investigated, including galactomannan, soybean soluble polysaccharide, and gum arabic. This article reviews a part of these studies.
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報文
  • 小野寺 允, 深江 亮平, 加藤 陽二, 西成 勝好, 吉村 美紀
    58 巻 (2011) 4 号 p. 150-158
    公開日: 2011/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究では平均分子量および分布状態の異なる4種類の豚皮由来コラーゲンペプチドを寒天ゲルに添加したとき,豚皮由来コラーゲンペプチドの分子量が寒天ゲルの力学的および熱的特性に及ぼす影響について検討を行った.
    Mw=1.1×103のCPを添加した場合,高濃度でゲル強度がやや増加し,離水が抑制された.Mw=1.9×103では,破断特性の結果がMw=1.1×103の結果と異なり,ゲル強度にやや減少傾向が見られたことから,Mw=1.1×103と異なる高い分子量側の成分が影響を及ぼしたと推察される.一方,離水量の結果は,Mw=1.1×103と同様の傾向が見られたことから,低分子量側の成分が影響を及ぼしたと推察された.Mw=5.4×103Mw=1.0×104は,Mw=1.1×103Mw=1.9×103の結果とは大きく異なり,寒天ゲルの物性に大きく影響を及ぼし,ゲル強度は減少し,離水量は抑制され,寒天1mgあたりの融解や凝固に伴うエンタルピーが減少したことから,寒天ゲルの架橋構造の形成を強く阻害したと推察される.これらの結果から,CPが寒天ゲルの力学的および熱的特性に影響を及ぼすかどうかは分子量に依存し,本研究では,Mw=5.4×103Mw=1.0×104のCPの分布の中でも高分子量側の成分が影響を及ぼし,寒天の架橋構造の形成を阻害したと推察された.本研究で使用したCPは,Mw/Mnの値が4.6~6.6という高い値であった.また,CP1000とCP2000の分子量分布は重なり合っている部分が多かったため,今後,Mw/Mnの値が低い純粋な試料を作成し,さらに平均分子量と力学的特性および熱的特性の関係について検討する必要がある.
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  • 佐藤 三佳子, 岩井 浩二, 鬼塚 英一郎, 高畑 能久, 森松 文毅, 佐藤 雄二
    58 巻 (2011) 4 号 p. 159-163
    公開日: 2011/05/31
    ジャーナル フリー
    ブタ大動脈を原料としてエラスチン加水分解ペプチド(エラスチンペプチド)を調製し,その摂取がヒトの皮膚弾力性にもたらす影響について検討した.はじめに,エラスチンペプチド経口摂取後のヒト血液中のアミノ酸濃度の変化を観察した.成人男性5名を被験者として,12時間絶食後にエラスチンペプチドを摂取させた.その結果,エラスチンペプチド経口摂取後に血中の総アミノ酸量が増加し,増加したアミノ酸の組成は,摂取したエラスチンペプチドのアミノ酸組成に類似していた.また,ハイドロキシプロリンおよびアルギニンがそれぞれペプチド態として血中に検出され,エラスチンペプチドの少なくとも一部はペプチド態として血中に移行していると考えられた.次に,39名の中高齢者を3群にわけ1日量0, 100, 200mgのエラスチンペプチドを8週間継続摂取させ皮膚弾力性を測定した.100mg, 200mg摂取群において摂取開始8週目に摂取前と比較して有意に皮膚弾力性が上昇した.またその変化率は0mgと比較して200mg群で有意に高値を示した.以上より,エラスチンペプチドの経口摂取はヒトの皮膚弾力性を向上させることが示唆された.
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研究ノート
  • 東野 英明, 木下 孝昭, 栗田 隆, 濱田 寛, 江藤 浩市, 福永 裕三
    58 巻 (2011) 4 号 p. 164-169
    公開日: 2011/05/31
    ジャーナル フリー
    経済的余裕や農業生産技術の普及・発展により食質と食量が豊富で過剰となり,それによって生活習慣病が増加し,現今ではその克服が現代人の最大関心事になりつつある.生活習慣病の中でも,治療困難性と致死的続発症から糖尿病治療が緊急の課題になってきている.2型糖尿病は原因遺伝因子保有者の過食による肥満が原因で,高血圧,動脈硬化,心筋梗塞,腎障害,脳卒中などの続発症を招来する.食後の血糖値をα-グルコシダーゼ阻害薬を用いて上昇抑制すると,ある程度改善できるが副作用の報告も多い.その点,古くから食物の色付け,匂いつけ,食欲増進,防腐,抗酸化,抗アレルギー,心臓血管保護作用物質として用いられてきた安全性の高いシソには,α-グルコシダーゼ阻害作用を持つロスマリン酸が含まれている.そこで,ロスマリン酸を多含有するシソ抽出物製造法を工夫し,正常および糖尿病誘発ラットを用いてin vitro, in vivoで酵素学的,生理学的にその糖代謝に及ぼす影響を総合的に実験観察した.その結果,ロスマリン酸多含量シソ抽出物希釈液は,生体に悪影響を与えずに,α-グルコシダーゼ阻害作用,直接的なブドウ糖吸収抑制作用,遷延的作用で有意な食後血糖値上昇抑制作用を示すことが証明された.この結果は,シソ抽出物のこれまでの単純な食品添加物以外の利用,つまりは健康維持面での利用拡大が図れることを示唆している.
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  • 上山 英夫, 青塚 康幸, 大川 雅史, 小倉 洋子, 筌口 桃江, 帆足 和憲, 金城 順英
    58 巻 (2011) 4 号 p. 170-172
    公開日: 2011/05/31
    ジャーナル フリー
    大麦(Hordeum vulgare L. var. nudum Hook)の若葉から,ルトナリンを分離した.ルトナリンのin vitroにおける抗酸化効果を検討した結果,DPPHラジカルの消去活性に対して,B環のカテコール構造の関与が示唆され,またサポナリンとアピゲニンの比較から,6-C-位および/または7-O-位のグルコシル基の関与も示唆された.Fenton反応によるリノール酸エチルの酸化に対するルトナリンの抗酸化活性に対しては,6-C-位および/または7-O-位のグルコシル基による妨害が示唆された.
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  • 上野 八重子, 水谷 理絵, 工藤 卓伸, 原 崇, 城 斗志夫
    58 巻 (2011) 4 号 p. 173-177
    公開日: 2011/05/31
    ジャーナル フリー
    様々な植物性食品素材から乳酸菌を分離し,豆乳発酵性および大豆イソフラボン配糖体のアグリコンへの変換能を調べた.58種類の果物,野菜,植物性発酵食品,食用花から137株の乳酸菌を分離した.37株は48時間の発酵により豆乳をしっかりと凝固させ,乳由来の乳酸菌より高い豆乳発酵性を示した.そのうち17株はイソフラボン配糖体のアグリコンへの変換能が高く,その多くは果物と野菜由来であった.一部の菌の同定結果より,本研究で得られた菌にはLeuconostoc属の菌が多く含まれると推察され,アグリコン変換能は乳酸菌の属や種とは関係なく各株の特性であることが示された.
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  • 三宅 義明, 井藤 千裕, 糸魚川 政孝
    58 巻 (2011) 4 号 p. 178-181
    公開日: 2011/05/31
    ジャーナル フリー
    マイヤーレモンは,レモン類とマンダリン類の自然交配種と考えられ,これのフラボノイド,クマリンの含有量の特徴をユーレカレモン,ウンシュウミカン,ネーブルオレンジとの比較により調べた.マイヤーレモンのフラボノイドの特徴は,eriocitrin, hesperidin, nobiletinの含量がウンシュウミカン,ネーブルオレンジに類似し,narirutin, 6,8-C-diglucosylapigenin, 6,8-C-diglucosyldiosmetin, diosminはユーレカレモンと類似していた.各果実のフラボノイド含量を主成分分析したところ,主成分第一と主成分第二の散布図ではマイヤーレモンは,ユーレカレモンとマンダリン類(ウンシュウミカン,ネーブルオレンジ)の中間位置であった.クマリンの5-geranyloxy-7-methoxycoumarin, 8-geranyloxypsoralen, 5-geranyloxypsoralenはユーレカレモンに特有に存在し,マイヤーレモンには含まれていなかった.5,7-dimethoxycoumarinはマイヤーレモンに特徴的に高含有であり,果皮緑色の未熟果実に多く含まれていた.
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  • 渡部 保夫, 鳥居 枝里子, 大野 一仁, 前田 耕作
    58 巻 (2011) 4 号 p. 182-185
    公開日: 2011/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究は,愛媛県が生産量1位である裸麦類に属するもち麦を食品原料としての利用を活性化するためにGABA機能付加を試みた.精麦した精麦もち麦粒とグルタミン酸溶液を混合して浸漬後,水切りして湿った精麦もち麦をもう一度保温することで,高含量のGABAを含むもち麦粒が製造できた.0.3%から1%グルタミン酸溶液(pH4から8)に浸漬するが,もち麦の表皮を剥いだ精麦もち麦粒を用いることが重要であった.
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技術用語解説
  • 高橋 陽子
    58 巻 (2011) 4 号 p. 186
    公開日: 2011/05/31
    ジャーナル フリー
    繊維質とは,自然に放置しても分解されにくく,動物によっても消化されにくい成分のことを指す.本来,ヒトの消化酵素で消化されない繊維質は,生理的意義が低い非栄養素とされてきたが,難消化性の繊維質はヒトの健康維持に重要な役割を果たすことが次第に知られるようになった.食物繊維とは多糖類のひとつであるが,日本食品標準成分表2010では「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総体」と定義されている.ヒトの炭水化物消化酵素であるアミラーゼは,デンプンを構成している糖分子のα結合を分解できるが,食物繊維を形成しているβ結合を分解する能力がない.従来,食物繊維はエネルギー源にならないと考えられていたが,実際は,消化されない食物繊維の一部が腸内細菌により発酵分解されて短鎖脂肪酸とガスになるため,エネルギー量はゼロにはならない.また,食物繊維はタンパク質,脂質,炭水化物(糖質),ビタミン,ミネラルに次いで,ヒトに不可欠な第六の栄養素として数えられるようになっている.
    食物繊維は水に溶けない不溶性(water-insoluble dietary fiber ; IDF)と水に溶ける水溶性(water-soluble dietary fiber ; SDF)に大別される.一般的に食物繊維は,食物の咀嚼回数や消化液の分泌を増加させたり,便通や腸内環境を改善したりするが,不溶性と水溶性で異なる生理作用もある.不溶性食物繊維は保水性が良く,便量の増加や腸の蠕動運動の促進,脂肪や胆汁酸,発がん物質等の吸着・排出作用がある.水溶性食物繊維は,糖の消化吸収を緩慢にして血糖値の急な上昇を抑える糖尿病予防効果,胆汁酸の再吸収を抑えてコレステロールの産生を減らす脂質異常症の抑制効果が期待できる.また,水分を吸収してゲル化するため,胃腸粘膜の保護や空腹感の抑制作用がある.
    不溶性食物繊維には植物体を構成するセルロース,ヘミセルロース,リグニン,エビやカニ類の外骨格成分であるキチン・キトサンがある.セルロースは植物の細胞壁の主成分で,野菜や穀類の外皮に多く含まれる.グルコースがβ-1,4結合により直鎖状に連なってリボン状に折り重なる構造をしているため,力学的に強固な物質である.ヘミセルロースも細胞壁を構成する不溶性食物繊維であるが,セルロースを構成するグルコースが他の糖で置換された多糖類である.糖分子の種類によって水溶性が異なり,マンナン(グルコマンナンとも呼ばれるコンニャクの成分.グルコースとマンノースがβ-1,4結合したもの),β-グルカン(キノコ類や酵母類に含まれる.グルコースがβ-1,3または-1,4結合したもの),キシラン(細胞壁の成分であるキシロースがβ-1,4結合したもの)等がある.リグニンは果物や野菜の茎,穀類の外皮に含まれる木質の繊維である.キチンはセルロースに構造が似ているが,N-アセチル-D-グルコサミンが連なるアミノ多糖であり,キトサンはキチンからアセチル基が除かれたD-グルコサミン単位からなるものである.水溶性食物繊維にはガム質,ペクチン,藻類多糖類等が分類される.ガム質は植物の分泌液や種子に含まれている粘質物で,代表的なものにグアー豆に含まれるグアーガム(マンノース2分子に1分子のガラクトースの側鎖をもつ多糖類)がある.ペクチンはガラクツロン酸がα-1,4結合した構造をしており,腸内細菌では分解できるがヒトの消化酵素では分解できない.果物類に多く含まれ,水分を吸収してゲル化する性質があり,砂糖と酸を加えて加熱調理するジャムやゼリーの製造に利用されている.藻類多糖類には渇藻類に多いアルギン酸,紅藻類に多いフコイダン,寒天の主成分であるアガロース等がある.この他に,トウモロコシを原料として人工的に合成されるポリデキストロースや難消化性デキストリンも食物繊維として使用されている.
    食物繊維の摂取目標量は,日本人の食事摂取基準(2010年版)によると,18歳以上では1日あたり男性19g以上,女性17g以上とされている.日本人の食物繊維摂取量は,食生活の欧米化や穀類,芋類,野菜類,豆類の摂取減少の影響を受けて第二次世界大戦後から年々減り続けており,実際の摂取量は若い世代を中心に目標量を満たさない状況が続いている.
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