日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
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61 巻 , 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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報文
  • 関 佐知, 清水 徹, 福岡 美香, 水島 弘史, 酒井 昇
    61 巻 (2014) 2 号 p. 47-53
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    本研究では,切断操作の違いによる切断時の荷重値の違いおよび食材へ与えるダメージの評価を行った.引張圧縮試験機に固定した包丁で試料を切断し,試料に働く荷重値を電磁式はかりで計測して仕事量を算出することで切れ味を数値化した.この時,各切断速度における仕事量に差は見られなかったため,切断に必要な仕事量は切断速度に依存しないとし,各切断速度における仕事量を平均することによって切れ味を決定した.切断荷重値測定においては,押し切り,突き切りの二つの方法でタマネギを切断した時の荷重値を測定した.切れ味の異なる2種類の包丁どちらにおいても突き切りの場合は切断時の荷重値は小さくなった.被切断面からの水分流出量についても,包丁の切れ味によらず突き切りをした場合は水分流出量が小さくなった.試料の被切断面の画像解析では各試料における3次元画像を習得し,そこから高低差の分布を示すヒストグラムを作成した.押し切りでは150~200 μmをピークに700 μmまでの範囲に分布が存在し,一方突き切りでは500~100 μmをピークに400 μm以上の高低差は観察されなかった.よって突き切りのほうが全体的に高低差は小さく,食材の被切断面へのダメージを最小限に抑えることができると考えられる.ピルビン酸生成量については,切れ味の良い包丁のほうが切れ味の悪い包丁よりもピルビン酸生成量が少なかった.また,切れ味の異なる包丁どちらにおいても押し切りより突き切りのほうがピルビン酸生成量は少なかった.このことから,食材の被切断面へのダメージが小さいほどピルビン酸生成量も少なくなり,切断エネルギーのより小さい突き切りを行うことで,切断によってタマネギ表面に生成される辛味成分量を少なくすることに有効であることが示された.
    以上の結果から,切断操作によって切断時の荷重値および食材へ与えるダメージの影響は大きく変化し,特に切断時のエネルギーが小さいほど,被切断面における構造破壊が小さく,食材被切断面からの水分流出や細胞破壊によって生じる酵素反応等が回避されるということが示唆された.押し切りに比べ突き切りは,切断時に試料に及ぼされる荷重値がより少なく,食材に与えるダメージを抑える操作であることがわかった.
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  • 一色 摩耶, 中村 哲, 高嶋 康晴, 寺田 昌市, 鈴木 彌生子
    61 巻 (2014) 2 号 p. 54-61
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    炭素,窒素,および酸素安定同位体比分析によるうなぎ加工品の原料原産地判別を検討した.酸素安定同位体比分析については,試料の酸素安定同位体比に及ぼす窒素の影響を補正する方法を検討した.分離カラム1.2 mを用いて測定し,かつ本研究で提案した補正計算を行うことで窒素の影響を軽減できることが分かった.また,うなぎ加工品の前処理である調味料洗浄過程における酸素安定同位体交換のリスクを評価し,本研究で用いた水洗浄は試料の値に影響しないことを確認した.最適化した分析方法を用いて,うなぎ加工品244件(日本産139件および中国産105件)を試料として分析した結果,全ての安定同位体比に有意差が認められた.また,同一産地の試料について収集年度による有意差が炭素および窒素安定同位体比については認められたが,酸素安定同位体比については認められなかった.分析結果に基づいて線形判別分析により判別関数を構築したところ,その予測率は日本産で97.8 %,中国産で83.8 %となった.高い予測率で判別可能であったことから,炭素,窒素および酸素の安定同位体比分析はうなぎ加工品の原料原産地表示の真正性を確認するための有効な分析法であることが示唆された.
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  • 中村 善行, 高田 明子, 藏之内 利和, 増田 亮一, 片山 健二
    61 巻 (2014) 2 号 p. 62-69
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    糊化温度が通常のサツマイモ品種・系統より著しく低いデンプンを含有する品種「クイックスイート」における加熱に伴うマルトース生成の機序を通常のサツマイモ品種「ベニアズマ」と比較検討した.50°Cから100°Cまで10°C毎に変えた温度で加熱した塊根から組織液を採取し,その糖度ならびにマルトースおよびスクロース含量を測定するとともに,同じ塊根から調製した粗酵素液の β-アミラーゼ活性を可溶性デンプンを基質として定量した.また,塊根組織細胞内のデンプン粒の形態を走査型電子顕微鏡で観察し,糊化度を β-アミラーゼ-プルラナーゼ法で調べた.「クイックスイート」では β-アミラーゼが高い活性を示す60°Cから塊根細胞内のデンプンが糊化した.また,デンプンが完全に糊化する80°Cにおいても β-アミラーゼの活性は維持されていた.他方,「ベニアズマ」では加熱温度が80°C以上からデンプン糊化が確認されたが,この温度域では β-アミラーゼ活性は大きく低下していた.両品種の β-アミラーゼに対する温度の直接的影響はほぼ同じであったことから,80°Cで加熱された「クイックスイート」塊根で β-アミラーゼ活性が未加熱塊根なみに維持されたことは当品種のデンプンが温度の低い加熱早期から糊化することと密接に関連すると推察される.すなわち,「クイックスイート」では「ベニアズマ」に比べ,より低い温度約60°Cから80°Cを超える高温に至るまでの広い温度域でマルトース生成が持続するため,「ベニアズマ」より糖度が高くなると考えられた.
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  • 山崎 浩司, 田代 卓, 白浜 慎也, 全 峻瑩, 川合 祐史
    61 巻 (2014) 2 号 p. 70-76
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    本研究ではケーシング詰めカマボコにおける腐敗原因菌の発育に及ぼすナイシンとショ糖脂肪酸エステル類の影響を調べた.その結果,カマボコへナイシンを添加することによって Bacillus 属の発育を効果的に抑制でき,シェルフライフの延長が可能となることが明らかになった.またデンプン不含カマボコでは,ナイシンとショ糖脂肪酸エステル類の併用添加によってナイシン単独添加の場合よりもBacillus属を長期に亘って抑制できた.したがって,水産練り製品の品質保持にナイシンの添加が有効な方法の一つと考えられ,既存のソルビン酸塩の添加に代わる方法であることが明らかになった.
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  • 荘 咲子, 上野 義栄, 八田 一, 成田 宏史
    61 巻 (2014) 2 号 p. 77-84
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    余剰卵白液の有効利用および高付加価値化をめざして,卵白発酵調味料(たまご醤油)の開発を行った.卵白を泡立て,強力粉とべーキングパウダーを添加して調製したスポンジケーキ培地は多孔質で麹菌の生育に適しており,菌糸の増殖が培地の内部まで観察された.本培地では中性プロテアーゼ,酸性カルボキシペプチダーゼ,グルタミナーゼ活性が対照麹より約1.4~3.5倍も高値であり,卵白スポンジケーキを用いた麹菌の高密度培養が可能であった.
    このスポンジ麹に食塩と卵白液を加え,卵白もろみを調製し,室温で24週間発酵熟成させたところ,独特の卵風味と強い旨味と薄い色調を有する新規な卵白発酵調味料(たまご醤油)の調製が可能となった.
    特定原材料表示通知法 ELISA では本液中に卵タンパク質を検出できなかった.また,プロテアーゼインヒビター活性を有し分解されにくいオボムコイドを ELISA で定量した結果,検出限界以下であった.
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技術論文
  • 村田 浩志, 嶋村 英雄, 松久 明生, 山本 啓一, 杉山 幸司, 川上 隆生, 余田 光, 植村 英俊, 戸田 隆雄, 六車 三治男, ...
    61 巻 (2014) 2 号 p. 85-94
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    低分子ヘパリン(LMWH)であるダルテパリンナトリウム(DN)の純度試験法と,その中の他のムコ多糖類(MS)夾雑物の工業的除去方法について検討した.高純度の DN (DN-W)に高分子デルマタン硫酸(DSH)および高分子過硫酸コンドロイチン硫酸(OSH)を添加して粗DN(DN-C)を調製し,2段階のエタノール(EtOH)分画処理を行い,各不純物の挙動と DN-C の精製度を確認した.加えて,商業用 DN についても同様の EtOH 分画処理を行い,EtOH 分画処理の有効性を確認した.各分画物を HPLC法と1H-NMR(NMR)法により分析した結果,全ての検体で純度が向上した.また,本試験で用いた商業用 DN 中の高分子 MS 不純物はおもに高分子 DS であることが確認された.以上の結果から,LMWH の調製工程において,亜硝酸分解抵抗性不純物を高感度で検出できる亜硝酸分解/HPLC 法による純度検査を行い,さらに,2段階の EtOH 分画処理を実施することで,高品質な LMWH 原料を安定的に調製できると考えられた.
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  • 植村 邦彦, 高橋 千栄子, 小林 功
    61 巻 (2014) 2 号 p. 95-99
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    2000 Wの短波帯の交流を包装済みの味噌600 gに適用することにより,約10分間の処理で味噌の中心温度を70°Cに昇温可能なことが分かった.短波帯処理によるプロテアーゼ活性は,従来加熱よりも40~12°C低い温度で活性が低下し,フォスファターゼは従来加熱よりも20~12°C低い温度で活性が低下し,いずれの酵素も72°Cで完全に失活した.従来加熱処理で40 gの味噌中の酵素を完全に失活させる85°Cまで昇温するのに30分間要したことを考慮すると,短波帯処理は処理時間を1/3以下に短縮し,処理温度を12°C低下することが可能になったといえる.本研究結果より,短波帯処理を用いることにより,既存の出し入り味噌よりも生味噌に近い品質を維持した出し入り味噌を製造できるようになることが期待される.
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技術用語解説
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