日本食品科学工学会誌
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64 巻 , 12 号
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報文
  • 青木 里紗, 長尾 慶子, 佐藤 吉朗
    2017 年 64 巻 12 号 p. 559-566
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    においの抑制効果があるとされる乳製品と,特徴的なにおいを持つ野菜ピーマンを組み合わせ,乳製品のピーマンの加熱臭抑制効果を検証した.ピーマンの加熱臭の指標として2-isobutyl-3-methoxypyrazine (2-I-3-MP)を選定し,ピーマンのみ加熱した場合(A)と加熱したピーマンと乳製品等を合わせた場合(B)での2-I-3-MPの強度の比較をGC-MS分析によって実施した.プロセスチーズ,ヨーグルト,牛乳,バター,植物油と合わせたピーマンでは2-I-3-MPが10%以下に抑制されたが,脱脂粉乳溶液,純水と合わせたピーマンでは2-I-3-MPの抑制は31%,42%に留まった.この結果からピーマンの2-I-3-MPの抑制効果はタンパク質より油脂成分で大きく,牛乳における2-I-3-MPの抑制は牛乳中の油脂成分による影響が大きい可能性を推察した.GC-MSによって分析した試料と同条件で調製した試料を用い,ピーマンの加熱臭の低減がヒトの鼻で感じられるかを官能評価にて検討した.Aの場合とBの場合のにおいを一対ごとに比較し,Aの場合の評点を0とした時の,Bの場合のピーマンの加熱臭の評点を1サンプルのt検定19) を用いて定数0との差を解析した.チーズ,ヨーグルト,牛乳,バター,植物油と合わせた試料Bの場合が有意にピーマンの加熱臭が弱い(p<0.05)という結果になった.脱脂粉乳溶液,純水と合わせたピーマンでは有意差はみられなかった.GC-MS分析で10%以下に2-I-3-MPが抑制された場合に,官能評価でピーマンの加熱臭の低減が感じられた.これはWeber-Fechnerの法則16) ∼18) で表されるように,においの大きさは濃度の対数に比例するため,2-I-3-MPの抑制後も閾値以上の2-I-3-MPが存在し,2-I-3-MPの量が対数的に減少した場合にピーマンの加熱臭低減として感じられたと考えられる.また,植物油よりも乳製品の平均評点が低かったことから,乳製品のにおい低減効果は大きいと判断できる.即ちピーマンの特徴的な香気成分である2-I-3-MPが抑制された状態で乳製品由来のにおいを同時に嗅ぐことにより,ピーマンの加熱臭の低減が官能的により感じやすくなると推察した.

  • 山﨑 優司, 齋藤 高弘, 阿久津 智美, 星 佳宏, 岡本 竹己, 田村 匡嗣
    2017 年 64 巻 12 号 p. 567-576
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    本研究は,豊富な機能性を持ちながら摂取量が低下している大麦に粉グルテンを添加することで大麦麺を作製し,その物性および機能性を検証した.大麦粉100gに対し,0,10および20%の粉グルテンを添加して,うどんの作製方法をもとに混捏し,寝かし,のばし,切断して大麦麺を作製し,熱湯でゆでることで大麦ゆで麺とした.大麦ゆで麺は,粉グルテンを10%以上添加することで煮崩れなく作製され,小麦麺と比べてL*およびa*が有意に低く,目視でも明らかな色の違いが認められた.好ましい食感と評価された大麦麺の最適ゆで時間は,4分間であった.ゆで麺のH-ORAC,L-ORACおよび総ポリフェノール量は,小麦麺(4.7μmol TE/g d.w.,0.41μmol TE/g d.w.および0.91mg GAE/g d.w.)よりも大麦麺(11.3μmol TE/g d.w.,1.77μmol TE/g d.w.および1.52mg GAE/g d.w.)で有意に多く,いずれのゆで麺においてもゆで初期において顕著に減少した.大麦ゆで麺のβ-グルカン量は1食あたり1.84gあり,小麦ゆで麺のβ-グルカン量よりも約14倍多く,1日のβ-グルカン推奨摂取量の60%以上であった.一方,eGIは小麦ゆで麺(62.7)よりも大麦ゆで麺(68.5)で高くなり,デンプンの消化性に及ぼすβ-グルカンの影響は,麺のようなゲル状食品中において少ないことが示唆された.

研究ノート
  • 蔦 瑞樹, 相山 怜子, 塚原 正俊, 塚原 恵子, 平良 英三
    2017 年 64 巻 12 号 p. 577-583
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    泡盛,4-ビニルグアイアコール(4-VG)およびバニリンの標準試薬の蛍光指紋を測定した.泡盛サンプルの蛍光指紋は,励起/蛍光波長が254.3/290.4,254.3/338.0および296.2/340.3nmの3つの蛍光ピークを有していた.後二者はサンプルの熟成期間の長いほど減少する傾向があった.励起波長300-350,蛍光波長400-450nm付近の蛍光強度は弱かったが,熟成期間の長いほど増加する傾向があった.蛍光指紋データの主成分分析により,新酒と古酒が主成分スコアプロット上で明確に分離された.一方,酒造所間の明確な差異は観察されなかった.減圧蒸留で製造されたサンプルは,熟成期間にかかわらず,常圧蒸留された新酒の近くに位置していた.泡盛,標準試薬の蛍光指紋とおよび主成分ローディングのピーク位置を比較すると,これらのピークは6つのグループに分類できることが明らかになった.そのうち,2つのグループは4-VGの,他の2つはバニリンの蛍光に由来することが分かった.これらの結果から,蛍光指紋により貯蔵期間等の泡盛品質を簡易かつ迅速に評価し,消費者への情報提供や工程管理に応用できる可能性が示唆された.

  • 市川 朝子
    2017 年 64 巻 12 号 p. 584-590
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    グルテンフリー米粉食パンに加えるβ-アミラーゼの添加量を変化させ,食パンの部位による物性および経時的変化に及ぼす影響について検討した.その結果,以下のことが明らかとなった.

    (1)食パンの比容積はβ-アミラーゼを粉の0.05∼0.1%添加することで有意に高くなり,この値は米粉に15%グルテンを添加した米粉食パンの良好な比容積に対応するものであった.

    (2) β-アミラーゼを添加した食パンの各部位の焼成2日後のクラムの硬さは,いずれの部位についても無添加に比べ顕著に軟らかく保たれていた.

    (3) β-アミラーゼを粉の0.05∼0.1%添加することは,食パンの凝集性や付着性を経時的に安定に保持することに寄与し,なかでも0.05%添加が適切量とみなされた.

    (4)食パンの部位においては,下2層がいずれの物性に対しても安定した傾向を示した.

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