In Northern Japan, mackerel is a popular fish, but there is no culture of consuming it as sashimi. The present study aimed to establish a handling method for frozen mackerel that would make full use of freezing technology, give root to a culture of consuming mackerel as sashimi, and improve the value of mackerel. The influence on the freshness of raw materials from being kept in frozen storage conditions over a period of time on K-value1) and rate of inosinic acid was investigated. The proper thawing method was also examined. As a result, it was revealed that eating mackerel in a sashimi state was possible after defrosting at low temperatures in running water, if highly fresh material was frozen quickly, kept at -30°Cand stored less than 10 months. It might not be easy if only established techniques are used, but we think that the flavor of the Hachinohe mackerel is appealing enough to enable a change in the culture.
熱安定性の異なる2種類の混合タンパク質(熱凝固性タンパク質として市販の乳ホエータンパク質または大豆タンパク質,熱安定性タンパク質としてカゼインナトリウム)およびグリセロールからなる複合型フィルムの調製を試みた.まず,フィルム調製溶液の性質を超音波分光分析の温度依存性測定により解析したところ,カゼインナトリウム添加は熱凝固性タンパク質の初期の変性を促すもののそれに引き続く凝集を抑制する効果を示した.更に,フィルムの数種の物理化学的性質を調べた結果,混合タンパク質フィルムは熱凝固性タンパク質のみからなるフィルムに比べ,強度・伸展性ともにより高く,より親水的な性質を有していた.以上の結果から,カゼインナトリウム添加は,共存する熱凝固性タンパク質および可塑剤である多価アルコールと相乗的に相互作用し,新規なテクスチャーを有するフィルムの創出を誘導することが判った.
グリアジンを主成分とする酸可溶性小麦タンパク質(ASP)の大型製パン機械による米粉混合パンへの添加の影響を以下のように調べた.小麦粉の40%を米粉に置き換え,小麦タンパク質(グルテンおよびASP)の添加を10%に設定し,グルテンの20~40%をASPに置換することによって試験を行った.中種法では,ASPを添加することにより中種のガス保持性が向上し,本捏時には生地形成時間が短縮された.加えて,大量生産の際,分割工程中におけるフロアタイムの時間差で生じる生地の物性変化を抑制することでモルダによる成形性が向上した.また,生地内部の微細構造を観察するとグルテンネットワークが一定方向に伸びていることからASPによる伸展性向上効果が認められた.その結果,焼成後の内相は気泡の不均一性が改善された.さらに内相の硬さの経時的変化(2℃,24~96時間)が減少した.結論として,ASPの添加は大型製パン機械による米粉混合パンの製造工程の安定化および品質の向上をもたらした.
ビート(Beta vulgaris L. var. saccharifera Alefeld)種子に含まれる2種類のフェノール性アミド化合物(N-trans-フェルロイル-3-O-メチルドーパミン,N-trans-フェルロイルチラミン)の生理作用について検討した.その結果,これらのアミド化合物は3T3-L1脂肪細胞でのトリグリセリド蓄積やin vitroでの膵リパーゼ活性を阻害した.特にN-trans-フェルロイルチラミンはN-trans-フェルロイル-3-O-メチルドーパミンに比べてより強いトリグリセリド蓄積抑制作用と持続性を示した.さらに本研究により,N-trans-フェルロイル-3-O-メチルドーパミンのトリグリセリド蓄積抑制作用が初めて明らかとなった.本研究の結果から,ビート種子由来フェノール性アミド化合物には膵リパーゼ活性阻害や脂肪細胞へのトリグリセリド蓄積抑制作用があることが明らかとなった.
中国産の市販魚醤油11種類を対象に各種成分分析を行った結果,塩濃度は22.7%から26.9%の範囲内であり,既報の範囲内であった.pHは4.5から6.3の範囲内であり,既報よりも多様であることが示された.滴定酸度と全窒素,ホルモール窒素は日本産魚醤油と比較して多様であることが示された.有機酸は日本産と同様に乳酸や酢酸が優占であったが,一部クエン酸量が多いものが複数存在した.中国産魚醤油には総遊離アミノ酸に対するグルタミン酸の割合が著しく高いものが複数存在した.また,呈味に影響するヒスチジン量が少ないものも存在した.以上の結果より,中国産魚醤油は日本産魚醤油と比べ成分特性が多様であることが認められ,これは原材料,製造方法,加水量の違いに加え,副原料の添加などが影響するものと推察された.