The development of transportation, especially cold distribution, enables long-distance transportation of fresh produce. However, this transportation exposes the produce to vibrations, which increases the physical damage of some perishable fresh produce. Such damage can cause the appearance of the produce to deteriorate and can increase the risk of infection by biological agents, such as bacteria. Consequently, the produce may decrease in value. Therefore, measures should be taken to reduce the physical damage caused by vibration during transportation. In recent years, technological advances in equipment have enabled detailed data collection on the transportation conditions. Consequently, a large body of data and scientific knowledge has been accumulated regarding the transportation conditions, the damage to fresh produce, and the cushioning characteristics of packaging. In this paper, we review the current research concerning vibration damage to fresh produce during transportation and discuss potential solutions that could reduce distribution losses and improve the quality of fresh produce.
本研究では,トマトの品質を多面的に評価する方法を提案することを目的として,品種および収穫期の異なる生食用トマトの品質評価を行った.試料には,国内の大玉品種3品種(‘ぜいたくトマト’,‘CF桃太郎ヨーク’および‘りんか409’)およびオランダ品種2品種(‘富丸ムーチョ’および‘Endeavour RZ’)を同一条件で栽培し,3収穫期のものを用いた.主要呈味成分を測定したところ,顕著な特徴として,全収穫期で ‘Endeavour RZ’ の遊離糖含量が低く,‘ぜいたくトマト’ のクエン酸含量が高いといった品種間の違いが示された.また,遊離糖は収穫期が遅くなると高くなる傾向がみられた.
力学的特性評価では,内果皮側からの貫入試験によって,内果皮破断領域,中果皮(いわゆる果肉)貫通領域,および外果皮破断領域で構成される荷重変位曲線が得られた.全収穫時期において‘Endeavour RZ’は中果皮貫入平均荷重値が高く,すなわち果肉が硬いことが示された.また,外果皮破断荷重値は,‘ぜいたくトマト’ および ‘Endeavour RZ’ が高かったが,外果皮破断荷重値から中果皮貫入平均荷重値を除した値では,‘ぜいたくトマト’ が有意に高く,官能評価値との相関関係より,これが摂食時の皮の存在感を反映していると推察された.
官能評価では,試料片のにおいかぎ評価,口中での圧縮評価,前歯で噛み切る切断評価によって,におい,風味,テクスチャーの詳細なプロファイルが得られた.これによって,‘ぜいたくトマト’ は「イチゴの甘いにおい」や「酸味」が強く,‘Endeavour RZ’は「甘味」が弱いといった品種による官能特性の違いが示された.また,収穫時期による官能特性の変動もみられたが,その大きさは品種によって異なった.主成分分析を適用した結果,第1主成分は「甘く熟した感じ」,第2主成分は「風味の濃厚感」と解釈され,従来,国内で重要視されていた甘さだけでなく,さらに,それ以外の味や香りによる風味の濃厚感という品質の価値を見出すことができた.
道産超強力小麦「ゆめちから」の小麦粉から分離された乳酸菌Leu. citreum YMC08株を用いて発酵種を調製し,それらの添加によるパン生地の製パン性改善効果について検討した.コントロールと比較して,LC区ではパンのSLV増加,硬さの低下,有機酸量および総遊離アミノ酸量の増加が確認され,YMC08株を用いた発酵種添加により,パンの品質が改善されることが明らかとなった.また,LCS区では,さらに顕著なSLV増加や硬さの低下が認められ,より高い製パン性の改善効果を示すことが明らかとなった.この効果には発酵種中のYMC08株による生地ガス発生量の増大とデキストラン産生が要因として考えられる.一方,LCS区ではLC区と比較して,パン中の単糖・二糖(主にマルトース)類の有意な減少や顕著な酢酸含量の増加が確認された.このパン中の成分変化には,スクロース存在下で発酵種を調製することにより,乳酸菌の糖消費や有機酸生成に関する代謝が変化したことが要因として考えられる.
本研究では,生大豆粉の加熱に低級アルコールを利用することで,生大豆粉中の抗栄養因子活性(ウレアーゼ活性を指標とした)を低減するとともに,加熱温度を下げ,かつ加熱時間を短縮することの可能性を検討した.
エタノール無添加では,12℃,10分の加圧加熱処理で,生大豆粉中のウレアーゼ活性を目標値まで低減した.
105℃以上の加圧加熱処理で,生大豆粉中のウレアーゼ活性を目標値まで低減できるエタノール濃度は40%以上であった.
エタノール濃度に関わらず,10分間と5分間の加圧加熱処理は,生大豆粉中のウレアーゼ活性に同等の効果を示した.
以上より,生大豆粉へエタノールを添加することで,加圧加熱温度が低くても,抗栄養因子の活性を低減できることが示唆された.加えて,加熱時間も短縮可能であることが示唆された.
ナチュラルチーズ13種類の成分とこれらチーズを小麦粉に対して10%添加したパン生地およびパンの評価,さらにパンの風味の評価用語を選定し,各試料の官能特性を明らかにし,以下の結果を得た.
(1)ナチュラルチーズを添加したパンはクラストの焼き色が濃くなり,比容積は低下した.パン生地のガス発生量とパンの比容積の間に相関は見られなかったことより,比容積の低下は,イーストに対する発酵阻害ではなくグルテンの形成阻害であると考えられた.
(2)分析型パネルによる評価用語収集により,香り44語,味8語からなる計52語が得られた.この用語リストに基づき,分析型パネルによる討議の結果,チーズパンの官能評価に適した用語として香り9語,味5語を選定した.
(3)分散分析の結果,14語中13語に試料間の有意差が見られた.熟成期間の長いチーズを添加したパンはチーズを焼いたような香りやうま味,後味が強く,カビによる熟成を行ったチーズを添加したパンは,カビのような香りが強かった.シェーブルタイプのチーズを添加したパンはカビのような香りやグリーンな香りに加えて,エグ味も強かった.
(4)主成分分析を行った結果,第2主成分までが意味のある主成分として抽出された.第1主成分は「チーズの濃厚感」,第2主成分は「チーズパンらしい香ばしさ」,と解釈した.試料の主成分得点と因子負荷量を用いて散布図を作成し,チーズパンの風味の官能特性マッピングを得た.