日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
66 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
報文
  • 本間 以祝, 伊藤 彰, 上田 玲子, 早川 文代, 丸山 健太郎
    2019 年 66 巻 2 号 p. 33-40
    発行日: 2019/02/15
    公開日: 2019/02/23
    ジャーナル フリー

    本研究では市販されている玄米10品種を用いてQDA法による官能評価を実施し,各試料の官能特性を明らかにした.

    (1)パネルによる用語収集,仮評価の結果,玄米飯の評価項目として18語を決定した.

    (2)多重比較の結果,18語すべての評価項目で2品種間以上の有意差が認められた.試料No. 1,2は「全体の色み」,「外皮の色み」,「雑味」,「青臭い風味」,「プチプチ感」が有意に高値であり,試料No. 10は「全体の光り具合」,「もちもち」が有意に低値,「口に入れた瞬間のパラパラ感」,「細かい破片になるボロボロ感」が有意に高値であった.

    (3)クラスター分析の結果,試料No. 1,2の低アミロース含量の巨大胚米,試料No. 3の低アミロース米,試料No. 4から9の中アミロース米,試料No. 10の高アミロース米の4グループに分かれた.

    (4)因子分析より,第1因子のテクスチャーに関する因子,第2因子のぬか,胚芽に起因したテクスチャーおよび風味に関する因子,第3因子の甘さに関する因子,第4因子の色みに関する因子の4因子が抽出された.

    (5)第1,2因子軸座標による評価項目の因子負荷量および因子得点の散布図より,試料No. 1,2はもちもちしたテクスチャーで,且つぬかおよび胚芽の特性因子が強い玄米飯,試料No. 10は硬さのテクスチャーが強い玄米飯,試料No. 3はもちもちしたテクスチャーでごはんの香りが強い玄米飯,試料No. 4から9は硬いテクスチャーでごはんの香りが強い玄米飯と,官能特性を表現することが可能となった.

    以上より,定量的記述分析(QDA)法を用いることで玄米飯の官能特性を定量的に把握し表現することができ,この方法が玄米飯を評価するうえで有効であると言える.

研究ノート
  • 大瀧 直子
    2019 年 66 巻 2 号 p. 41-46
    発行日: 2019/02/15
    公開日: 2019/02/23
    ジャーナル フリー

    可食部のビタミンC,カリウムイオン,葉酸の濃度は,可食部の硝酸イオン濃度と負の相関,さらに非可食部の基部の硝酸イオン濃度とも負の相関関係,基部の糖度とは正の相関関係にあり,基部の硝酸イオン濃度および糖度の測定により栄養成分量の推定が可能である.

  • 吉田 充, 市川 水音, 富田 樹, 知久 和寛, 八戸 真弓, 濱松 潮香, 岡留 博司
    2019 年 66 巻 2 号 p. 47-51
    発行日: 2019/02/15
    公開日: 2019/02/23
    ジャーナル フリー

    放射性セシウムを含む玄米をとう精加工し,さらにそれを炊飯した際の放射性セシウムの濃度と残存割合Frを調べた.精米歩合99.5%および98.8%の場合の放射性セシウムの除去率は3%および8%で,とう精により除かれた糠の質量の割合よりも米の放射性セシウムの濃度の低下割合が大きかった.また,とう精・洗米・炊飯後では,玄米に比べた放射性セシウムの除去率は,それぞれ21%および27%で,とう精以上に洗米による放射性セシウムの除去効果が大きいことが示された.放射性セシウムの濃度としてみると,精米歩合99.5%および98.8%の低とう精加工では,加工係数Pfは0.97および0.92であったが,炊飯までを含めると玄米を炊飯した場合の加工係数Pfの0.46に対して,0.38~0.34にまで低下した.既報の結果を合わせると,とう精による加工係数Pfは精米歩合99.5%の低とう精米から91%の精白米まで,炊飯まで含めた加工係数Pfは精米歩合99.5%の低とう精米から97%の3分づき米まで,精米歩合に比例して低下した.この実験結果は,放射性セシウムを含む玄米やとう精米の摂取による内部被ばく量の推定に役立ち,食品からの放射性セシウムの摂取に関するリスク評価やリスク管理に利用できるものである.

報告
  • 久米 大祐, 深水 愛理沙, 藏屋 英介, 島尻 佳典, 伊東 昌章
    2019 年 66 巻 2 号 p. 52-56
    発行日: 2019/02/15
    公開日: 2019/02/23
    ジャーナル フリー

    本研究では,我々が開発したシマグワ葉パウダーの血糖値上昇抑制効果を明らかにすることを目的とした.実験の結果,シマグワ葉パウダーは,その製造過程において,1-DNJ含有量は低下,スクラーゼに対するIC50 値は増加するものの,スクラーゼ阻害活性を保持していることが示された.また,同パウダーを摂取することで,スクロース負荷後の血糖値上昇を抑制でき,それに伴い,インスリン分泌を節減できることが示唆された.本研究から,シマグワ葉パウダーの血糖値上昇抑制効果が明らかとなった.

技術用語解説
feedback
Top