日本食品科学工学会誌
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66 巻, 4 号
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総説
報文
  • 武曽(矢羽田) 歩, 山本 健太, 折田 綾音, 沖 智之, 太田 英明
    2019 年 66 巻 4 号 p. 118-126
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2019/04/18
    ジャーナル オープンアクセス

    輸入濃縮オレンジ果汁の品質特性を明らかにするために,色調,グルコース,フルクトース,スクロース,クエン酸,L-リンゴ酸,D-イソクエン酸,アスコルビン酸,フラボノイド類および香気成分を分析した.59項目のデータを用いた主成分分析により評価したところ,主成分負荷量は香気成分が第1主成分に大きく寄与し,糖類やフラボノイド成分が第2主成分に寄与することが示された.また,スコアプロットでは,ブラジル産とアメリカ合衆国産のオレンジ果汁は異なる2つの象限に分かれて分布するが,他の原産国の果汁はそれぞれ同一象限に分布することが明示された.そのため,ブラジル産とアメリカ合衆国産以外の輸入濃縮オレンジ果汁では原産国別に類似した成分が含まれていると判断された.なお,ブラジル産とアメリカ合衆国産では,製造工程に起因すると推察される香気成分の損失により2つに大別されると考えられた.さらに,オレンジ果汁の原産国別の特徴として,ブラジル産は糖類であるグルコースやフルクトースの含量が高いこと,アメリカ合衆国産は成分含量が5か国の中で中程度であること,メキシコ産は比較的香気成分量が多いこと,ベリーズ産はメキシコ産と同様に香気成分量が多いが糖類の組成が異なること,イスラエル産は香気成分量が少ないが有機酸量が多いことを明らかとした.

  • 若生 豊, 佐川 保乃香, 米内 真里奈, 馬 東建, 仁科 淳良
    2019 年 66 巻 4 号 p. 127-138
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2019/04/18
    ジャーナル オープンアクセス

    菊花の成分には優れた消炎や解毒などの作用が知られている.本研究では,食用菊の食品機能に関し栽培品種による相違を検討する観点から,脳内免疫の中心的役割を果たしているミクログリアに対する菊花ヘキサン抽出物の作用を阿房宮および延命楽で比較した.延命楽では,その抽出物はLPSにより刺激した細胞においてTNF-α の放出を抑制する作用が認められ,IC50 値は約35 µg/mLであった.しかし,ATPにより刺激した細胞のTNF-α 分泌に対しては有意な作用を認めることはできなかった.これに対し,阿房宮の抽出物ではLPSにより刺激した細胞のTNF-α の放出を抑制しなかったが,ATPにより刺激した細胞のTNF-α の放出を濃度依存的に高め,抽出物単独でもわずかに誘導することが示され,栽培品種によりTNF-α の放出に対する作用の特徴が質的に異なった.

    阿房宮と延命楽系統の紫菊は国内で生産が上位の食用菊であり,多くの消費者に親しまれている.培養細胞による検討ではあるが,既報の研究成果を含め両者の成分に関する,ニューロン細胞(SH-SY5Y)の酸化傷害に対する保護作用やミクログリア細胞(MG5)に対するサイトカインの放出を比較した結果,それらの作用の特徴は両栽培品種で質的に異なっていることを示しており,脳内細胞に対する食品機能が異なる可能性が示唆された.近年,野菜や果実の健康への有用性に対する関心が高まっていて伝統野菜も見直されている.しかし,生鮮食品では品種や生産地などにより健康機能が異なっていることがあり,健康維持にこれらを役立て行く際,品種などで区別した食品機能データを蓄積して行くことが重要と考えられる.

研究ノート
  • 堀江 裕紀子, 根本 英幸, 藤田 仁, 池川 繁男, 熊木 康裕, 大西 裕季, 久米田 博之, 出村 誠, 相沢 智康
    2019 年 66 巻 4 号 p. 139-146
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2019/04/18
    ジャーナル オープンアクセス

    Fermented brown rice and rice bran with Aspergillus oryzae (FBRA) is a processed food prepared from brown rice and rice bran. Although FBRA α-amylase activity is monitored as an indicator of fermentation, the evaluation of FBRA quality remains insufficient. We non-targetedly compared metabolite profiles in accepted FBRA, defective FBRA, and unfermented materials using 1H-NMR coupled with principal component analysis (PCA). Accepted FBRA was clearly separated from defective FBRA and unfermented materials. We also compared twenty-five accepted FBRA samples, where PCA showed that plotting of accepted FBRA results in dispersion that is unbiased toward different production dates and different fermentation apparatuses. These results indicated that accepted FBRA is manufactured with a consistent quality.

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