日本食品科学工学会誌
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66 巻, 6 号
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報文
  • 吉田 幹彦, 奥村 雅人, 渕上 賢一, 中里 孝史, 五十嵐 友二, 安井 明美
    2019 年 66 巻 6 号 p. 187-194
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    日本食品標準成分表における適切な食物繊維分析法を選択するための調査目的として,21食品に対し2011.25法,改良法および変法+HPLC法の3法を用いて定量を行った.個別の食品において画分ごとの測定結果に差が認められるものもあったが,全体的に方法間に大きな差が認められなかったことから,LMWSDFの分析は必要であるが,既存の成分表収載データの有用性も確認できた.一方で国際的観点から見た成分表の食物繊維の分析法としては,現状ではCACでTypeⅠMethodとして採用されている2011.25法が望ましいと考えられるが,改良法についてもその妥当性が確認されており,同等の評価が得られた場合,2011.25法と同様に適用可能であると考えられる.

技術論文
  • 内藤 宙大, 山田 千佳子, 和泉 秀彦
    2019 年 66 巻 6 号 p. 195-200
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    乳加工食品中のタンパク質の組成はその加工工程によって変化することが考えられる.本研究では乳加工食品であるヨーグルトおよびチーズのタンパク質の組成について解析した.

    まず,タンパク質の定量解析を行った.次に,2種類のヨーグルトおよび5種類のナチュラルチーズからPBSにて塩溶性タンパク質,SDS溶液にて不溶性タンパク質を抽出し試料とした.その試料をSDS-PAGE,イムノブロット,および輝度解析にてタンパク質の組成を解析した.

    ヨーグルトは,牛乳のタンパク質の組成と似ていた.セミハードおよびハードタイプのチーズは,塩溶性のタンパク質が検出されなかった.フレッシュタイプ以外の熟成の工程があるチーズは,未分解の αs1-CNが低値を示した.フレッシュタイプのチーズは牛乳のタンパク質の組成と似ていたが,乳清が排出された分,タンパク質量に対する αs1-CNの割合が増加した.また,各種チーズ中の β-LGは牛乳中より低値を示した.

    このように,乳加工食品中のタンパク質の組成が加工によって受ける影響は,加工工程によって異なることが明らかとなった.これらの結果は食事指導の基礎資料として,タンパク質量だけでなくタンパク質組成を理解するために有用だと考えられる.

  • 松下 耕基, 寺山 采花, 五嶋 大介, 高田 兼則, 山内 宏昭
    2019 年 66 巻 6 号 p. 201-209
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    標準的食パン配合のノータイム法で作成した角形食パンについて,精白粉のみの対照(C),Cの精白粉の40%を全粒粉(W)で置換した区(C+W),C+Wにさらに最適量の2種の酵素(α-アミラーゼ,へミセルラーゼ)を添加した区(C+W+E)の3水準の食パンの製パン実験を行った.そして,それぞれの生地の各種製パン性評価と各生地から作成したパンの外観,内相評価,3日間の保存経時における各種物性評価を行った.その結果,C+W,C+W+Eの生地において,Cと比較して高いGPを示した.この主要因としてはWに含まれる栄養成分がイーストの発酵を促進したことが考えられた.また,Wに含まれる表皮やふすま等の色の影響によりWを使用したパンはCのパンと比較して暗い色相を示した.さらに,Wに含まれる過剰量の食物繊維が生地中の良好なグルテンネットワークの形成を阻害したことによりWを添加した生地のGRDはCと比較して有意に低下した.一方で,C+W+Eの生地ではGRDの有意な改善が見られた.また,最適量のE添加による製パン性改善効果は保存経時の物性評価においても見られ,パンクラム中のデンプンゲルの老化アミロペクチンエンタルピーの老化速度の低下,それに伴うパンの老化遅延効果,破断応力の低下,破断歪率の増加,各粘弾性係数の減少が確認された.C+W+Eのパンの物性等における改善効果は,α-アミラーゼとへミセルラーゼがそれぞれ生地中の製パン性を低下させる要因である損傷デンプンや不溶性食物繊維等を低分子量の糖類へ分解したことが主要因であると考えられた.

    以上の結果から,Wと最適量のEの添加がパン生地の製パン性,角形食パンの各種品質,物性に与える影響が明らかとなった.また,最適量のE添加により高い機能性と製パン性を兼ね備えたW添加角型食パンの製造が可能であることが判った.

研究ノート
  • 神力(長友) はるな, 近藤 知巳, 永濵 清子, 福井 敬一, 黒木 勝久, 水光 正仁, 榊原 陽一
    2019 年 66 巻 6 号 p. 210-214
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    鶏肉各部位のイミダゾールジペプチド含有量を分析した,またササミ肉の加熱処理および保蔵期間がイミダゾールジペプチド含有量及ぼす影響について検討した.アミノ酸分析の結果,アンセリンおよびカルノシンは,ムネ肉,ササミ肉,手羽元に多く含まれていた.ササミ肉を食塩水とともに封入したレトルトパウチを100℃~130℃で30分間加熱調理した結果,パウチ内の肉とスープ全体のイミダゾージペプチド含有量は,加熱温度に関わらず加工前後でほぼ同じだった.また121℃,30分のレトルト加工後に常温で12ヵ月保蔵した後も,レトルトパウチ内のイミダゾールジペプチド含有量は変わらなかった.レトルト加工は常温で長期間保蔵できる利点があるだけでなく,イミダゾールジペプチド含有量を保持する加工技術として有用であることを確認した.

シリーズ—研究小集会(第39回)穀物部会
  • 福留 真一
    2019 年 66 巻 6 号 p. 215-216
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー
  • 都築 毅
    2019 年 66 巻 6 号 p. 217-225
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    This study used senescence-accelerated prone mice (SAMP8) to examine the effects of a carbohydrate-restricted diet on aging and skin senescence, to determine how long-term carbohydrate restriction affects the aging process. Three-week-old male SAMP8 mice were divided into three groups after one week of preliminary feeding: one was given a controlled diet, another was given a high-fat diet, and the third was given a carbohydrate-restricted diet. Mice were fed ad libitum until they reached 50 weeks of age. Before the end of the test period, a grading test was used to evaluate visible aging in the mice. After the test period, serum and skin samples in mice were obtained and submitted for analysis. Results of the grading test demonstrated a significant progression of visible aging in the carbohydrate-restricted group, as well as a decreased survival rate. Histological examination of the skin revealed that the epidermis and dermis in the carbohydrate-restricted group had become thinner. Analysis of the mechanisms involved demonstrated an increase in serum interleukin-6, aggravated skin senescence, inhibition of skin autophagy, and activation of skin mTOR. Therefore, this study proved that a carbohydrate-restricted diet promoted skin senescence in senescence-accelerated mice.

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