Food chemistry studies on enzymatic browning and the Maillard reaction were reviewed. Enzymatic browning can broadly be categorized into immediate and delayed types. We investigated the mechanisms and regulation of enzymatic browning of apple as an example of the immediate type, and browning of lettuce and mung bean sprout as the delayed type. The Maillard reaction is the major cause of non-enzymatic browning. However, melanoidins, which are the major brown pigments formed by the reaction, are large, heterogenous, high-molecular-weight compounds with chemical structures that are difficult to elucidate. We therefore focused on the low-molecular-weight pigments formed by the Maillard reaction. We identified various novel pigments in model systems and foods based on instrumental analyses.
パルミジャーノ・レッジャーノを添加したチーズブレッドの風味に寄与する成分について,アミノ酸,脂肪酸,有機酸からなる32成分モデルチーズを用いた評価を実施した.
チーズブレッドの風味に対して,オミッションテストにより,アミノ酸,脂肪酸の寄与が大きいこと,さらに,アディッションテストにより,グルタミン酸ナトリウム,バリン,メチオニン,イソロイシン,ロイシン,フェニルアラニン,プロリン,酪酸が風味に影響していることが確認できた.これら8成分を添加することによりパルミジャーノ・レッジャーノを添加したパンの風味に関する官能特性を再現できた.
アディッションテストの結果を主成分分析で解析したところ,第1主成分は「チーズの濃厚感」,第2主成分は「パンらしい香ばしさ」,第3主成分は「発酵香」と解釈でき,これらの風味特性のバランスでチーズブレッドの風味が形成されていることが確認できた.グルタミン酸ナトリウムはうま味だけでなく,チーズブレッドの風味形成に大きな役割を果たしていた.
揮発性成分の分析結果より,バリン,メチオニン,イソロイシン,ロイシン,フェニルアラニンを添加することにより,イーストの発酵により生成するアルデヒド類やアルコール類,メイラード反応で生成するアルデヒド類が増加しており,これら成分がチーズブレッドの風味を形成していると考えられた.
本研究により,チーズブレッドの風味に寄与する8成分をパン生地に添加することで,チーズブレッドの風味を再現でき,その製パン性はチーズブレッドよりも良好であったことから,良好な品質のチーズ風味ブレッドを作成する手段を提案できた.
山形県庄内地域で温室栽培もしくは露地栽培されたメロン果実の主要な栽培品種(アンデス,グレース,クインシー)について,部位(果芯,果肉,果皮)ごとにメタボローム解析を実施した(104種の代謝物を定量分析した).その結果,果芯部位において,総じて代謝物濃度が高く,GABAやAla等のアミノ酸,Trigonelline,Choline,Pyroglutamateといった生理活性成分も他部位と比較して顕著に高い値を示した.生食時の可食部位である果肉部位において,代謝物の品種間差異は,グレースにおいて,Citrullineの含有量,クインシーにおいて,Glu含有量が他品種と比較して有意に高い値を示した.
メロン果実加工時に多量に排出され,廃棄されているメロン果芯部位を活用し,メロン果芯エキスを調製した.メロン果芯エキスは,GABAを摂取する上で有望な食品素材と推察された.
鳩麦糠床の調製条件の最適化により,日々野菜を漬けるための充分な発酵性と酸味を持つ熟成鳩麦糠床の開発に成功した.熟成鳩麦糠床は米糠床より高い酸味を発現し,スターターとしても有効な性能を発現した.以上の結果は鳩麦糠床の最適水分(52.6%)の追跡により,鳩麦糠床に特徴的な粘着性を抑制したことにより達成された.鳩麦糠床は米糠床に特徴的なプロピオン酸臭を発せず,代わって炭素数4と5の分岐のアルコールとカルボン酸がGCMS分析で検出された.酵母によるアミノ酸代謝で生成したこれらの化合物が鳩麦糠床の特徴的臭いと関係しているであろう.今後は,鳩麦糠床と米糠床の菌数と菌叢の違いを明らかし,両糠床の酸味と香気成分の違いの由来を解明し,鳩麦糠床の実用化を促進する.