日本食品科学工学会誌
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67 巻 , 7 号
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報文
  • 鬼島 直子, 砂押 諒, 真坂 知克, 石川 大太郎, 藤井 智幸
    2020 年 67 巻 7 号 p. 217-229
    発行日: 2020/07/15
    公開日: 2020/07/29
    ジャーナル 認証あり

    本研究は,ゲル状食品の力学物性の評価方法を開発することを目的に行った.市販のゲル状食品を各種用意し,3種類のプランジャーを用いて10 mm角のサンプルの弾性,破断,貫入破断を測定する圧縮測定を行った.弾性測定から得られた応力-ひずみ曲線にBST(Blatz,Sharda and Tschoegl)式を適用し,弾性パラメータEと非線形指数nを計算した.

    これらのゲル状食品のEの値は6.1×102~1.9×104 Paを示し,nの値は,約1~8の範囲に分布していた.nはゲル状食品の食感を説明するための新しいパラメータとして有用である可能性が示唆された.そしてnおよびEを用いて,二次元または三次元マップとして,様々なゲル状食品をプロファイルすることができると考えられた.

  • 高木 和子, 山崎 和幸, 水上 裕造, 早川 文代, 何 方, 平松 優
    2020 年 67 巻 7 号 p. 230-235
    発行日: 2020/07/15
    公開日: 2020/07/29
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,加熱殺菌工程が異なる各種牛乳(LTLT牛乳,HTST牛乳,UHT牛乳)をホットミルク(50~60℃程度)の状態にし,熱履歴の違いが風味特性に与える影響を官能評価で調べた.その結果,工程での熱履歴の低いLTLT牛乳およびHTST牛乳はホットミルクにしても生乳に近い風味で,「生乳感」「乳の自然な風味」「すっきり感・さっぱり感」が強く,「加熱臭」が弱いことが確認された.

    さらに同地域,同工場で同時期に製造されたLTLT牛乳UHT牛乳から香気エキスを抽出,GC-MSおよびGC-O(におい嗅ぎ)に供し,各牛乳の特徴的香気成分をAEDA(希釈分析法)で明らかにした.そして,LTLT牛乳の特徴的香気成分trans-4,5-epoxy-(E)-2-decenal,UHT牛乳の特徴的香気成分sotolonの牛乳への添加試験を行い,LTLT牛乳の風味特徴にフルーティで甘い香気成分trans-4,5-epoxy-(E)-2-decenalが,UHT牛乳の風味特徴にカラメル様の香気成分sotolonが関与していることが示唆された.

    また,香気成分の添加のみで熱履歴の異なる牛乳の風味特性に近づくことが確認され,特にLTLT牛乳の特徴的香気成分trans-4,5-epoxy-(E)-2-decenalを加熱臭が生じているUHT牛乳製品に添加し,加熱臭が軽減できたのは興味深い.

    本研究では牛乳の熱履歴が風味に与える影響を調べたが,今後は餌,土壌,環境,牛種,製造工程等の違いと風味の関係を精査し,原因成分の同定まで試みたいと考えている.それら成分と消費者嗜好の相関を調べ,嗜好多様性に応える牛乳を市場に提供できれば,消費者の選択肢が拡がり牛乳市場の活性化が期待できると思われる.

研究ノート
  • 韓 宝祥, 原 崇, 城 斗志夫
    2020 年 67 巻 7 号 p. 236-241
    発行日: 2020/07/15
    公開日: 2020/07/29
    ジャーナル 認証あり

    糠を有効に活用して米の機能性を向上させるために,玄米を原料に3種類の麹菌Aspergillus oryzae(AO),Aspergillus sojae(AS),Aspergillus luchuensis(AL)の種麹を用いて玄米麹と玄米塩麹を調製し,抗酸化活性を調べた.3種類の玄米麹の抗酸化活性は玄米より高く,中でもAL玄米麹で最も高かった.また,玄米塩麹の抗酸化活性は玄米より高いが玄米麹に比べ低かった.米に含まれる代表的抗酸化成分であるフェルラ酸を定量したところ,AL玄米麹はフェルラ酸を玄米の約250倍多く含み,これが玄米麹の抗酸化活性が高い一因であることが示された.また,そのフェルラ酸含量はAL白米麹に比べ1.3倍多かった.米中のフェルラ酸の大部分は細胞壁に結合して存在し,フェルロイルエステラーゼ(FAE)の作用により遊離する.そこで3種類の玄米麹のFAE活性を測定した.その結果,AL玄米麹で著しく高い活性が検出され,玄米麹のフェルラ酸含量の結果と一致した.一方,AL玄米塩麹のフェルラ酸含量はAL玄米麹より低く,ALのFAEが食塩により阻害されたことから,玄米塩麹のフェルラ酸が少ない理由は塩麹の発酵中にFAEが失活するとともにフェルラ酸が分解されたためと推察された.以上より,玄米をFAE産生能が高い麹菌で発酵させることにより,白米を用いた時に比べ,機能性成分であるフェルラ酸を豊富に含む麹を調製できることが明らかにされた.

解説
  • 小宮 恵理子
    2020 年 67 巻 7 号 p. 242-244
    発行日: 2020/07/15
    公開日: 2020/07/29
    ジャーナル 認証あり

    Washoku, the traditional dietary cultures of the Japanese, was inscribed on the UNESCO’s Intangible Cultural Heritage List in 2013. While Washoku is popular worldwide, the rise of the nuclear family and the globalization of food in Japan has made Washoku less common in households and decreased the number of transmitters of regional dishes; thus, Washoku’s presence and viability in Japan has waned. In light of this, the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries of Japan has taken various measures with a view to promote the protection and inheritance of Washoku, mainly targeting children and parents, whose awareness of improving eating habits has tended to increase. Since the momentum is rising for transmission of Washoku, the Ministry will continue to take such measures in cooperation with relevant organizations.

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