Aquaculture is a key technology in seafood production because capture fishery production remains at the same level despite increasing demand for seafood. Thus, genetic breeding is necessary to efficiently obtain fish and shellfish products in aquaculture. Although selective breeding has been the most popular and widely used method for both plants and animals, it usually takes a long time to establish strains with desirable traits. In contrast, chromosome set manipulation and genome manipulation including transgenesis and genome editing allow expression of desirable traits for aquaculture within a comparatively short period. The former can induce polyploids and artificial parthenogenesis. Triploid fish and shellfish have been used for aquaculture due to their sterility. Sterile triploids show advantages in high flesh quality during spawning season compared to fertile diploids, and in biological containment to avoid genetic contamination of wild populations. The latter can induce individuals with desirable traits by direct alteration of the genome, such as insertion of foreign genes to obtain additional traits by transgenesis and mutation of the indigenous genome to enhance desirable traits by genome editing. Here, we review applications of polyploids in aquaculture and current topics of genome manipulation in fish genetic breeding.
CPがエソ鱗から抽出された.CP試料はHypおよびProをそれぞれ約10%含有していた.CO食はAIN-93 G組成に基づきカゼインをたんぱく質源とした10%低たんぱく質食とした.CP食はCO食のカゼイン3%をCP粉末で置き換えた.これらの食餌を12週齢の卵巣摘出ラットに11週間自由摂食させた.エソ鱗由来CP摂取はラットの腰椎の骨密度および大腿骨の皮質骨厚の低下を抑制し,大腿骨の硬さを維持した.骨形成マーカーの血清オステオカルシン濃度はエソ鱗由来CP摂取において変動しなかったが,骨吸収マーカーの血清NTx濃度は上昇した.以上の結果から,エソ鱗から抽出したCPは卵巣摘出ラットの骨代謝を改善することで,腰椎および大腿骨の構造の劣化を抑え,大腿骨の強度を維持することが示唆された.
小麦粉の40%を米粉に置き換えた米粉混合パンの製パン性およびパン内相物性の経時的変化の減少を目的とし,デンプン損傷度の異なる2種類の米粉を配合して,米粉混合パンに及ぼす影響を調べた.デンプン損傷度が高い米粉は,水分保持力も高く,米粉粒子の形状,表面の微細構造に相違があった.実験室規模で製パンを行うと,デンプン損傷度が低い米粉(デンプン損傷度2.7%)のみを用いた場合より,これにデンプン損傷度の高い米粉を25%,50%配合した方がパンの内相物性の経時的変化が減少した.大量生産を想定し,実験工場規模で,それぞれの米粉を50%ずつ配合(デンプン損傷度8.2%)して製パンした結果,デンプン損傷度が高くなることで,配合した α-アミラーゼがより効果的に作用したと推察され,生地の硬化が抑制されたことで得られた米粉混合パンの内相物性(硬さ,凝集性)の経時的変化が減少したと考えられた.
小麦粉に米粉を配合した米粉混合パンの製パン加工適性とデンプン損傷度についてはさらに検討の余地があると考えられた.
近年開発された酸化防止容器は開封後の醤油の鮮度を保持できることから,急速に市場に普及している.一方で,醤油の風味形成に重要な香気成分に対し,酸化防止容器がどのような影響を与えているかについてはこれまで明らかになっていなかった.本研究では,PID,デラミ容器,PETボトルそれぞれの容器製品に充填した醤油について,開封後の香気成分変化を評価することで,酸化防止容器の各製品の香気成分維持効果の解明を試みた.酸化防止容器は鮮度維持機能が高く,香気成分の経時的な変化量は小さいことから,分析方法の工夫が必要とされた.具体的には,バイアル内を窒素置換したSPME-GC/MS,グローブボックス内で香気抽出したSBSE-GC/MSを併用して分析中の成分変化を低減させ,またSPME-GC/Oおよび多変量解析を活用して風味形成および風味変化への寄与度の高い成分を絞り込んだ.その結果,PETボトルではピラジン類(2,3,5-trimethylpyrazine等),短鎖脂肪酸(isovaleric acid等),アルデヒド類(nonanal等),含硫化合物(dimethyl trisulfide)の増加,およびエステル類(ethyl 2-methylbutanoate等)の減少が確認され,これら成分のデラミ容器,PIDにおける変化量はPETボトルより少なかった.また,2,3,5-trimethylpyrazineの経時的増加は,デラミ容器よりもPIDの方が小さく,醤油の黒色化の進行と同じ変化傾向を示していた.さらに,PETボトルで変化量の大きかった上位3成分は,nonanal(8.1倍),dimethyl trisulfide(7.5倍),2,3,5-trimethylpyrazine(4.5倍)であった.これら成分は醤油の品質変化への影響が大きいと考えられ,また清酒の老香の成分として知られるdimethyl trisulfideは醤油においても品質劣化に寄与していることが示唆された.
貯蔵中食物における害虫発生の早期検出を可能にするため,揮発性のマーカー成分の利用を検討している.玄米の害虫加害マーカー候補のうち,ガイマイツヅリガとノシメマダラメイガの指標となるプレノールとイソプレノール,コクゾウムシの指標となるDMTSについて,リアルタイム質量分析計による迅速診断の可能性を検討した.
プレノールとイソプレノールの検出にはNO+ によるイオン化によるm/z 86,DMTSにはNO+ イオン化によるm/z 126を選択し,SIMモードにより測定した.プレノールとイソプレノールは構造異性体のためプロダクトイオンでは識別できないが,プレノールはそのアルデヒドであるプレナールと濃度が同期することから,プレノール類とプレナール(NO+, m/z 83)を同時計測することでプレノールとイソプレノールの識別が可能となる.ガイマイツヅリガではプレノールがノシメマダラメイガではイソプレノールが生成したと考えられ,ガイマイツヅリガは実験開始から6日目以降に,ノシメマダラメイガでは31日目以降に卵添加なしと比べて有意な増加が認められた.DMTSでは期間を通じて低濃度で推移し,日間差と処理間差が同程度のためSIMによる診断は困難と考えられた.
マーカー成分を特定しないFSモードの全データを用いた主成分分析を1,29,36日目に行った.NO+ によるイオン化により処理区の差異が最も明瞭で,コクゾウムシについても29日目以降に識別可能であった.今後,スケールを拡大しながら実用化に向けた詳細な検討が必要である.
自然発酵ワイン沈殿物,本学キャンパスおよび市販の植物材料から野生酵母225株を分離した.この中から選抜した59株を用いブドウ灰色カビ病の病原菌Botrytis cinereaに対する抗カビ作用をin vitroで評価したところ,強い抗カビ作用を示す20株が得られた.この内,最も多くの16株が得られたSaccharomyces cerevisiae について,遺伝子多型解析による株鑑別を行い,抗カビ作用を比較したところ,株型ごとに抗カビ作用の強さが異なることがわかった.このとき,S. cerevisiaeの多型解析には自動rRNA遺伝子間多型解析(ARISA)が従来の手法に比べ極めて有用性が高いことがわかった.