日本食品科学工学会誌
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69 巻, 9 号
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総説
シリーズ— 地域食品研究のエクセレンス (第28回)
  • 石井 貴
    2022 年 69 巻 9 号 p. 405-415
    発行日: 2022/09/15
    公開日: 2022/09/15
    ジャーナル 認証あり

    The value-added improvement of prefectural farm products is important for the development of Ibaraki agriculture as a growth industry, and investigation of the impact of storage during long-term shipment and the development of high-quality products are needed. Japanese chestnuts, which are a specialty product of Ibaraki Prefecture, were wrapped without sealing in polyethylene film during storage (packaging that was folded the mouth of the bag). Results showed that the packaging treatment could decrease desiccation of the chestnuts (floating chestnuts), and combined with storage at -1 °C, could delay browning of the fleshy interior compared to conventional storage (2 °C) for around one month. It was further clarified that fungal growth could be suppressed. In addition, by using a retort sterilizer for the purpose of cooking and sterilization concurrently, stewed sweet chestnuts characterized by a bright color and softness were produced, and the original flavor and nutritional components of the Japanese chestnuts were retained.

技術論文
  • 黒飛 知香, 干野 隆芳, 籠島 梨乃, 大本 奈摘, 甚田 なつみ
    2022 年 69 巻 9 号 p. 417-424
    発行日: 2022/09/15
    公開日: 2022/09/15
    ジャーナル 認証あり

    本研究では, 日本で市販されているイチゴジャム10種類を用いて, 官能評価および機器分析を実施し, 各試料のテクスチャー特性を明らかにした. さらに, 先行研究6) で得られた低糖度モデルイチゴジャムの官能評価に及ぼす物理的特性 (見かけ粘度) が市販イチゴジャムにも適用できるかどうかについて検討した.

    試料は, 低・中糖度タイプを対象とし, 糖度39.2~63.0と広範囲であった. また, 試料に含まれる糖類の組成もさまざまであった.

    各試料の官能評価結果より, 各試料のテクスチャー特性は大きく異なっていた. 分散分析の結果, 全テクスチャー項目 (かたさ, ねっとり, なめらかさ, 口どけ, べたつき) において全試料に有意な差が認められた.

    SBE法から得られる粘度関連特性値の結果から, σ0, K, nはジャム試料ごとに大きく異なっていた. さらに, 先行研究6) にて各テクスチャー特性と相関が高かった測定条件のこれらの値と本研究の同測定条件の値を比較した. その結果, 市販イチゴジャムであっても先行研究6) のモデルイチゴジャムの結果におおよそ含まれていた.

    モデルイチゴジャム6) の各テクスチャー特性と相関が高かった測定条件・ずり速度値を用いて, 市販イチゴジャムの見かけ粘度を算出した. 得られた見かけ粘度値と官能評価値の相関から, かたさ, ねっとり, べたつきはペクチンのみではなく, 糖度も影響している可能性が示唆された. 一方, なめらかさ, 口どけについては, 糖度の影響よりもジャムの配合 (使用糖類, ペクチン特性など) の影響が大きいと推測された.

    以上より, モデルイチゴジャム (低糖度タイプ) のテクスチャーに及ぼす物理的特性 (見かけ粘度) は, 市販イチゴジャムにも適用できることを示すことができ, これらの知見がイチゴジャムの各テクスチャー特性の指標 (物理的特性値) になり得ると考える.

  • 中山 由佳, 小川 由高, 中野 京子, 鴨志田 智之, 野田 寧
    2022 年 69 巻 9 号 p. 425-430
    発行日: 2022/09/15
    公開日: 2022/09/15
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    導電率計を用い, 味噌仕込み過程の原料中の塩の拡散挙動について検討した. また, 粒径の違いによる塩の溶解性の違いが味噌品質 (成分量, 色) に与える影響について検討した.

    1) 味噌の導電率は, 味噌のNaCl濃度が増加すると増加した. ペースト状態の味噌においても導電率計を用いることにより味噌中の塩分の挙動を簡易的に推定できると考えられた.

    2) 味噌の熟成過程における導電率は, 熟成日数により違いがみられた. これは, 原料中の塩の溶解, 拡散挙動を捉えていると推測された.

    3) 仕込み開始から15日経過後までは, 塩Bの方が塩Aよりアミノ酸は多く, 糖の含有量は少なくなった. しかし, 熟成期間が長くなり, 50日程度経過すると粒径による差は小さくなることが示唆された.

    4) 50日間熟成後の味噌の色は, 粒径の違いにより差がみられた. 粒径の大きい塩を用いると, 赤味が強い味噌を作製できる可能性が示唆された.

報告
  • 松本 隆志
    2022 年 69 巻 9 号 p. 431-442
    発行日: 2022/09/15
    公開日: 2022/09/15
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    2021年6月にHACCP制度化が施行され, 食品事業者はHACCPを運用する段階に入っていると考えられる. 本研究では, 大手の総合食品メーカー10社を対象に品質保証に関する実態調査を実施した. その結果, 品質保証体制の構築や, 品質保証部門や関連の組織の役割に加えて, 品質マネジメントを機能させるためには, 企業全体のマネジメントシステムが必要であることが示唆された. 製造においては, HACCPだけでなくGFSI承認認証規格の導入が進められていた. フードサプライチェーンにおける原材料管理や出荷後のトレーサビリティ, また品質関連のリスクマネジメントに関する取り組みについての各社の知見や情報を得た. これらの調査によって, 品質保証関連の相関図を作成し, 食品事業者がHACCP制度化後に取り組むべきことの示唆を得ることができた. 本研究が国内の食品事業者の品質保証レベルの向上に寄与することを期待する.

解説
シリーズ— 研究小集会 (第49回) 穀物部会
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