日本食品科学工学会誌
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71 巻, 10 号
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総説
シリーズ─地域食品研究のエクセレンス (第37回)
  • 横井 健二
    原稿種別: 地域食研究のエクセレンス
    2024 年 71 巻 10 号 p. 387-392
    発行日: 2024/10/15
    公開日: 2024/10/15
    [早期公開] 公開日: 2024/06/07
    ジャーナル 認証あり

    In this study, lactic acid bacteria were primarily collected from plant sources, and a bacterial library was constructed. To avoid duplicate isolates, the collected bacteria were classified by restriction enzyme cleavage polymorphism analysis of 16S rDNA. Most of the strains grew poorly in milk, with the exception of Lactococcus lactis, which showed good fermentability in milk, leading to the selection of L. lactis SIY8. Strain SIY8 exhibited a pronounced ability to induce interleukin 12. Furthermore, when strain SIY8 was cocultured with L. delbrueckii ssp. bulgaricus, the growth of the latter was promoted in the fermentation of milk. The resultant fermented milk had a higher free amino acid content than regular yogurt, potentially influencing its taste.

報文
  • 永田 純一, 古場 一哲, 前田 剛希
    原稿種別: 報文
    2024 年 71 巻 10 号 p. 393-401
    発行日: 2024/10/15
    公開日: 2024/10/15
    [早期公開] 公開日: 2024/04/26
    ジャーナル 認証あり

    今回我々は, 糖尿病モデルマウスであるKK-Ayマウスに沖縄自然薯 (トゲドコロ) と血糖値低下作用が知られているキクイモや沖縄で食用として用いられる里芋の一種であるタイモを含む食餌を5週間与えた時のトゲドコロの血糖および脂質代謝に及ぼす影響を比較検討した. またトゲドコロに含まれるジオスゲニンの影響を調べるため, ジオスゲニン量の異なる食餌を2週間与えた時の血糖および脂質代謝に及ぼす影響を調べた.

    その結果, キクイモの摂取は有意な血糖値の低下,盲腸重量の増加と肝臓脂質 (TGおよびコレステロール) 濃度の有意に低い値 (p < 0.05) を示した. 骨格筋においてグルコースの取り込みに関与する遺伝子 (GLUT4) の発現量も他の群と比較して有意に高い発現量 (p < 0.05) を示した. 一方, トゲドコロの摂取は血中コレステロール濃度で有意に低い値 (p < 0.05) を示した. 血糖値や糖代謝に関連する遺伝子発現量にキクイモに見られる顕著な影響は認められなかった. キクイモには低分子水溶性食物繊維が最も多く含まれ, トゲドコロはキクイモの半分程度, タイモが最も少ない含量を示し, 血糖値には水溶性食物繊維含量が反映したと考えられた.

    今回の実験では, トゲドコロ摂取は血糖値調節作用よりむしろジオスゲニンによる脂質代謝, 特にコレステロール代謝に影響を及ぼす食餌因子としての可能性が示唆され, 脂質濃度の調節作用に効果的な食材と考えられた.

技術論文
  • 河野 凜々安, 西塔 正孝, 永井 毅
    原稿種別: 技術論文
    2024 年 71 巻 10 号 p. 403-411
    発行日: 2024/10/15
    公開日: 2024/10/15
    [早期公開] 公開日: 2024/04/25
    ジャーナル 認証あり

    本研究では, 食品用酵素 (Amylase AG 300LならびにGODO AGI-EG) を用いて発酵あんの品質改良を行った. その結果, 粒子径425 µm以上の米麹粉の使用, 発酵期間3–4日間が最適条件だった. 発酵3日目と比較して, 4日目のあんの赤色度と黄色度は高くあざやかな色彩を示し, 異性化糖による褐変があんの色彩に影響した. あんのBrix%は52.3–55.3と有意に高く, 酵素添加により甘味を強化したあんを調製可能であった. テクスチャー解析から, 酵素添加あんの破断強度や付着性は改良前のそれらと比較して有意に低く, 軟らかくべたつきが弱かった. 糖組成はいずれもD-グルコースを最も多く含み, GODO AGI-EG添加あんではD-フルクトースとスクロースを含有した. また, GABA含量はグルタミン酸脱炭酸酵素活性と高い正の相関が認められた. 酵素添加の有無による遊離アミノ酸組成に大きな違いはみられなかった. 官能試験の結果, 酵素の活用により発酵あんの色調改善, 麹臭の大幅な抑制, 甘味強化ならびに口溶けが改良され, 総合的な好ましさ評価の高いあんが調製できた.

技術・用語解説
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