Recently, the environmental impact of large amounts of waste and by-products generated from agricultural products has become a serious issue. Food waste, in particular, presents not only environmental challenges but also economic concerns. As part of the Sustainable Development Goals (SDGs), a target has been set to halve per capita global food waste by 2030. In this context, ongoing research aimed at the effective utilization of unused plant resources, including food waste, non-edible parts of agricultural products, and by-products, has been carried out. For over 20 years, the author has conducted various studies, primarily from an analytical chemistry perspective, focusing on unused food resources often discarded or underutilized. The research has specifically targeted unused plants, analyzing their components (including polyphenols) and evaluating their functional properties to provide scientific evidence for their biological activities. This article highlights some of these research findings. In particular, the studies have focused on unused agricultural products such as wasabi leaves, fruit peel of akebi, anthocyanin-rich food materials like berries, and bee products such as propolis and bee pollen.
本研究では, 官能評価の設計および品質情報の共有の際に参照できる米飯用語体系を構築することを目的とし, 以下のように官能評価, 文献調査, 討議を行い, 米飯の官能評価用語を広く収集, 整理して, 体系化し, その有用性を確認した.
まず, 32品種の炊飯米を試料とし, 食品全般の官能評価を専門とするパネルと米飯の品質評価を専門とするパネルを組み合わせた記述パネルを用いて自由記述式の官能評価を行い, 278語を得た. 次に, 36種類の業務用米飯を試料とし, 専門パネルによる官能評価および討議で25語を追加した. さらに, 用語の網羅的な収集を補完するため, 米飯の官能評価に関する学術論文等252報から114語, 専門書等26冊から141語を収集し, これらの文献調査から新たに26語を追加した. 以上の過程で得た329語について, 専門パネルの討議を繰り返すことにより整理, 分類, 定義づけし, 最終的に, 外観31語, 香り23語, 味・風味31語, テクスチャー35語から成る120語の米飯官能評価用語体系を構築することができた.
構築した用語体系の有用性を確認するために, 米飯に関する訓練を受けていない分析型パネルを用いて, 品種・加水率の異なる米飯9試料, 種々の業務用米飯6試料, 合計15試料について, 構築した用語体系を参照資料として提示し, 120語を選択肢としたCATA法による官能評価を行った. データにコレスポンデンス分析を適用したところ, それぞれの試料の特徴を反映したデータ空間を得ることができた. このことから, 用語体系を参照することで, 米飯に関する訓練を受けていないパネルでも妥当な評価が可能であることが確認された. すなわち, 本研究で構築した用語体系は, 効果的かつ効率的な官能プロファイルの作成に機能すること, 専門家でなくても品質情報の共有を容易にすることが示唆された.
牛乳の長期常温保存中に発生するゲル化の有無を保存初期に予測できる方法を見出した. 牛乳を各温度 (5, 25, 37 ℃) で保存し, SDS-PAGEまたはHPLCでカゼイン分解度を分析した. その結果, 長期常温保存後にゲル化する殺菌前加温保持なしの直接加熱殺菌牛乳は, 25 ℃と37 ℃で2–4週間保存後, SDS-PAGEおよびHPLCでカゼイン分解が確認された. カゼイン分解は, 2週間保存後よりも4週間保存後, 25 ℃保存よりも37 ℃保存で顕著であった. これらの結果より, 牛乳を25–37 ℃で2–4週間保存し, SDS-PAGEまたはHPLCでカゼイン分解度を分析することで長期常温保存後のゲル化の有無を早期に予測できることを示した. また, 従来報告されていなかった直接加熱殺菌牛乳の加温保持条件 (80 ℃ 2分間, 80 ℃ 5分間, 85 ℃ 2分間, 85 ℃ 5分間) が長期常温保存後のゲル化抑制効果を有することを明らかにした.