本研究では, 米麹による発酵と食品用酵素作用を活かして甘味を付与した砂糖無添加クッキーの開発を試みた. 異なる5種類の純白こうじ菌のなかでは, 白麹雪こまちがクッキーの調製に適した麹菌であった. 砂糖を添加した対照クッキーと比較して, 焼成後のクッキーの直径に差はみられないが, 厚さが小さく膨化率は低かった. 米麹による発酵クッキーは, 生地調製時の加水にもかかわらず焼成時の水分蒸発から, 重量減少率は高かった. また, クッキーの明度は低く, 赤色度や黄色度の高いあざやかな色彩を有した. 対照クッキーと比較してやわらかく, もろさには差がみられた. さらに, 対照クッキーと比べて糖組成が異なり, 遊離アミノ酸含量は約20.5–25.8倍含有しており, これらの組成も差異がみられた. また, GABA含量は対照クッキーの約1.4–1.7倍含まれており, 粗たんぱく質量が多く, 炭水化物量が少ないエネルギーの低いクッキーであった. 以上のことから, 官能評価試験による更なる検討は必要であるが, 健康を訴求できる新たなクッキーとして期待できると結論づけた.
本研究では, 急激な温度変化にさらされた密閉容器内のカットダイコンの品温予測を試みた. ここに予測モデルは, オートエンコーダおよび深層ニューラルネットワークを用いることでインキュベータ内および保存容器内の温度から品温を予測する手法を開発した. その結果, 予測した品温は測定値とよく一致した. 更に, 予測モデルの未知データでの応答を調べるため, 予測モデル開発に用いたデータと異なる温度変化条件にさらされたサンプルの品温ならびに保存積算温度の予測を行った結果, 測定値をよく表現した.
本予測モデルの特徴は, サンプルの品温の時系列データを, 予測対象の品温ではないほかの測定点のデータから予測したことである. 予測に用いる測定点として, 本稿とは別の測定点を用いて学習し, 予測モデルを構築することも可能であろう. すなわち, 本予測モデルは実際に測定できない場所にあるカット青果物の品温制御の実現可能性を示すものであり, 今後は生鮮食品の流通・保存時の温度制御にも資する知見を与えると考える.