農産加工技術研究會誌
Print ISSN : 0369-5174
7 巻, 3 号
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  • みそ・しょうゆの色の生成と2, 6-ジクロルフェノールインドフェノール還元性物質との関係
    鎌田 栄基, 桜井 芳人
    1960 年 7 巻 3 号 p. 105-111
    発行日: 1960/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) みそ・しょうゆにおけるIR物質の生成はアミノ酸と糖による褐変反応に基くものと考えられる。みそ・しょうゆに存在する程度のIR物質ならば,微生物の働きを考えずに,アミノ酸と糖の反応だけでその生因を十分説明できる。
    (2) みそ・しょうゆの色の非酵素的な生因はかなり単純で,アミノ酸(あるいは蛋白質)と糖による褐変が中心になるものと考えられる。
    現在,非酵素的な褐変現象として,アミノ酸-糖,アミノ酸-レダクトン,アミノ酸-活性カルボニル化合物の3つの反応が考えられている5)。しかし前報12)のようにみそ・しょうゆの色の生成には,アミノ酸-活性カルボニル化合物の反応はあまり重要でない。(新式2号しょうゆやアミノ酸しょうゆを除く)。
    そして前報12)のように,みそ・しょうゆにアスコルビン酸程度の反応力を持つレダクトンがたとえ100mg%ぐらいできたとしても,色の生成にほとんど影響がなくこの報告にあげたように,みその搾り汁やしょうゆ,あるいはアミノ酸-糖混合液などを貯蔵すれば,着色の場合とは違って酸素があってもなくても物質が同じようにふえることなどから,アミノ酸-レダクトンの反応が起こる可能性もごく少ないと思われる。
    もっとも,HODGEら19)やANETら20)の報告にあるように,アミノ酸と糖が褐変を起こすさいに,中間体として無色のレダクトンができるという事実もあるから,レダクトンの問題はアミノ酸-糖の反応あるいはアミノ酸-レダクトンの反応などとは分けないで,アミノ酸-糖の反応いっぽんで新らしい見地に立って追求することが必要である。なお,オレンジジュースなどの褐変には褐変の程度や成分がひじょうに違うから,こういう考え方は通用しない。
    (3) しょうゆをペーパークロマトグラフで調べるとIR物質と褐色色素のスポットはだいたい重なるが,くわしい関係はまだわからない。
    褐色色素のRfを文献値と比べると第4表のようになる。褐変したグリシン-糖混合液に食塩を加えて展開すると褐色色素のスポットは1個ふえて2個になるが,これは色素が塩析されて起こる現象だと思う。大亦ら16)や三井・児玉15)も,しょうゆの色素は2成分からできていると報告しているが,どちらもしょうゆをいったん活性炭カラムに通し,色素をカラムに吸着させてよけいな成分を除き,そのあと苛性ソーダで色素を溶出し,塩酸で中和しているからやはり色素が塩析されているのであろう。
    (4) しょうゆと褐変したグリシン-フルフラール混合液のペーパークロマトグラムを比べると,後者にはしょうゆには見られないRfの高い,あい色の螢光スポットがある。また,褐変したグリシン-フルフラール混合液に限って,食塩を加えると褐色色素がかなり沈澱し,グリシン-糖混合液よりも,色の着き方に比べてIR物質のでき方が少ない。こうした事実からもみそ・しょうゆの色が
    糖→分解→フルフラール
    フルフラール+アミノ酸→褐変
    という径路をとらずにできることが考えられる。
  • タカジアスターゼによる大豆の水不溶糖類の分解
    鎌田 栄基, 桜井 芳人
    1960 年 7 巻 3 号 p. 111-114
    発行日: 1960/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 大豆を強く蒸すと色の濃いみそができるわけは,蒸したときに色が濃く着くことももちろんだが,大豆の水不溶糖類が分解されやすくなって,みその色の生成のカギをにぎるアラビノースが1)2)できやすくなるせいもある。
    (2) 蒸した大豆にスクラーゼやスピターゼを混ぜるとみその色のできる9)わけは,スクラーゼやスピターゼが大豆の水不溶糖類を分解する酵素を持っているためである。
    (3) 大豆を蒸すときに加える水の量が水不溶糖類の分解に影響するので,大豆を蒸すときに加える水の多寡が熟成中のみその色の生成に影響することが考えられる。
    (4) 大豆の子葉-はい乳部の水不溶糖類は種皮のものよりも酵素によって分解されやすい。
    (5) タカジアのペントサン分解酵素はpH5~6でいちばんよく働く。
  • みその色の生成に及ぼす塩化アルミニウムの影響
    鎌田 栄基, 桜井 芳人
    1960 年 7 巻 3 号 p. 114-118
    発行日: 1960/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 塩化アルミを加えると色の薄いみそができる理由は,塩化アルミがみその色の生成に重要な関係を持つ,こうじのなかの大豆の水不溶糖類を分解してアラビノースにする酵素を阻害するためだと考えられる。
    それはつぎのような理由による。
    i) 塩化アルミを加えると,大豆の水不溶糖類が分解されにくくなる。
    ii) 2の(1),(2),(4)の結果のように,塩化アルミにはアミノーカルボニル反応を押える効果がない。iii) 2の(3)の結果のように塩化アルミは,アミノ態窒素や還元糖などの,褐変現象の主役となるような成分の生成にはほとんど影響しない。
    (2) 海老根ら5)6)は塩化アルミの効果として,(イ)大豆の色素と反応して,みその色をあざやかにする現象のほか,(ロ)酸化酵素による表面着色を押えること,(ハ)アミノーカルボニル反応を押えることなどを推定している。しかし,これは信州みその場合の結果であるから,著者の調べている,赤みそや豆みその場合とは区別して考える必要がある。たとえば,信州みそはいわゆる褐変がほとんど起きていない状態だから,(イ)の反応は見落とすことはできないが,赤みそや豆みそではほとんど問題にならないと見てよい。(ロ)についても同様で,赤みそや豆みその場合には,表面着色はあまり問題になった例がない。(ハ)については,(1)に書いたような,もっと複雑な機作が妥当であると思う。
    (3) 塩化アルミを加えて仕込むと,堅いみそのできる傾向がある。その原因は2の(3),(4)の結果から大豆の水不溶糖類が分解されにくくなるためと考えられる。
  • 白しょうゆの貯蔵中の着色
    鎌田 栄基, 桜井 芳人
    1960 年 7 巻 3 号 p. 118-120
    発行日: 1960/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 白しょうゆは酸素のない状態で貯蔵するとかなり着色が押えられる。ただし淡口しょうゆのように完全に押えることはできない。
    (2) 着色は温度によってかなり影響され,また光によってもわずかながら影響される。
    (3) グリシン,βアラニン,リシンを加えると,貯蔵中にかなり色が濃くなる。
    (4) 重亜硫酸ナトリウムや亜硫酸ナトリウムを加えると着色は押えられるが実用には向かない。
    こうしてみると白しょゆの着色を防ぐことは,淡口しょうゆの場合と比べてかなりむずかしいことがわかる。今のところそれには,びんに詰めた製品を涼しいところにおいて,なるべく色が濃くならよいようにするという消極的な手以外にはなさそうである。
    試料の入手についてお世話いただいた愛知県食品工業試験所の好井久雄氏,試料を送っていただいた愛知県のヤマシン醤油合資会社に感謝いたします。
  • 小川 敏男, 小畑 正行, 倉橋 聡
    1960 年 7 巻 3 号 p. 121-124
    発行日: 1960/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 乾燥ワサビの酵素系の変化
    木村 進, 貝沼 圭二
    1960 年 7 巻 3 号 p. 124-127
    発行日: 1960/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    酵素を活性の状態で貯蔵しなければ,その食品の特性を消失するような乾燥食品(本報においては凍結乾燥ワサビ)の貯蔵条件を検討する目的で,乾燥食品の水分含量が貯蔵中にいかに酵素系に関係するかについて検討を行なった。
    1. 乾燥製品の水分が低い場合,貯蔵中酵素系は安定である。乾燥ワサビの場合1%程度の水分含量であれば,食品の貯蔵温度として比較的高い温度においても比較的安定であった。
    2. 酵素作用の結果生ずる芳香も,低水分の状態で貯蔵されたものでなければ,復元後の芳香は少ない。
    3. 酵素系を安定な状態で,乾燥食品を貯蔵する場合,不活性ガス中に貯蔵することは効果的な方法である。
    以上乾燥ワサビの酵素系の変化の抑制には製品を低水分に保ち,不活性ガス中に貯蔵する必要のあることを知り得た。
  • 松田 好祐, 加藤 鉄二, 近藤 陽子
    1960 年 7 巻 3 号 p. 128
    発行日: 1960/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 妹尾 芳郎
    1960 年 7 巻 3 号 p. 129-130
    発行日: 1960/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1960 年 7 巻 3 号 p. 131-135
    発行日: 1960/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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