日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
11 巻, 1 号
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  • 塩類溶液中における米と麦の膨潤速度について
    佐藤 和重, 永沢 信
    1964 年 11 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1964/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    著者らが食品の膨潤をその総体積変化によって測定する方法を用いて実験を行ない,前報までに報告した結果にひき続き塩類溶液中における精白米および精白丸麦の膨潤速度を測定し,つぎのような結果を得た。
    (1) 純水中で膨潤させたときの総体積変化の測定値は,精白丸麦については従来よく知られている形の傾向をとるが,精白米については異常を示すことは前報までに報告したが,塩化ナトリウム:17.1mM,塩化カルシウム:0.5, 1.0, 3.0mM,塩化マグネシウム:0.5,1.0, 3.0mM,塩化アルミニウム:3.0mMの塩類溶液中においても,精白丸麦では正常,精白米では異常であった。
    (2) 精白米の場合に,膨潤の初期に異常な総体積の増加がおきるが,その原因となっている体積の増加は,水に塩類が含まれていることによって影響を受けないとみられる。
    (3) ナトリウムイオン,カルシウムイオン,アルミニウムイオンはいずれも精白米および精白丸麦の膨潤を阻害する傾向を示し,マグネシウムイオンは促進する傾向を示した。また,精白米の場合について,塩類の濃度と影響の大きさとの関係はカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンにおいていずれも1mM>3mM>0.5mMの順であった。
  • 竹内 徳男, 天野 武雄, 好井 久雄
    1964 年 11 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1964/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    普通しょう油と比較して,原料配合(C/N ratio)の非常に異なる溜の緩衝能の特質を明らかにする目的で,しょう油,新式2号しょう油の緩衝能または,滴定曲線と比較を行なった結果はつぎのとおりである。
    (1) 同窒素濃度あたりの有機酸,リン酸含量は溜よりしょう油が多い。
    (2) 溜,しょう油の同窒素濃度における緩衝能はしょう油>溜の順で,かつ,同系統の試料間の緩衝能の差異も有機酸濃度に比例していた。
    (3) 醸造過程中に分解生成した窒素形態(peptidesの構成比率)の差により生ずる緩衝能の差異よりも,有機酸の示す緩衝能の影響が高いと推定され,かつ,普通しょう油と溜の緩衝能または滴定曲線の差異は有機酸含量にあり,溜に有機酸を添加すれば,しょう油の滴定曲線と一致させることができ,リン酸の添加はとくに曲線を一致させる要因とはならない。以上のことから普通しょう油と溜の緩衝能の差異は有機酸含量にあると結論した。
    (4) 有機酸の示す緩衝能はしょう油では約20%,溜では10~15%である。
    (5) 緩衝能に与えるinitial pHの影響は大きく,有機酸濃度とpH(溜:5.10,しょう油:4.70)から考えて,溜の有機酸の示す緩衝能はしょう油の50%以下である。
    (6) 緩衝能を基本とした,製成,調味の問題点,醸造管理の問題について考察した。
  • 予備凍結の条件が凍結乾燥魚肉蛋白におよぼす影響
    上岡 康達, 岡 弘康, 末光 栄充
    1964 年 11 巻 1 号 p. 12-20
    発行日: 1964/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    予備凍結の条件が凍結乾燥魚肉蛋白におよぼす影響をみるために,硬直前のスズキ肉を用い,-40℃,-20℃,に予備凍結して,凍結後,乾燥後,および貯蔵(常温,低温の2区)中における蛋白の性状を,溶出蛋白量,塩析分析によって調べ,さらに吸水率を測定して水戻りの程度を検討した。
    (1) 凍結直後のミオシン区蛋白の溶出量は,-40℃凍結区において減少し,-20℃凍結区において増加がみられたが,乾燥直後においては,両者とも生肉とほとんど変りがなかった。
    (2) 貯蔵中における蛋白の溶出量も,予備凍結の条件に影響されず,主として貯蔵温度に支配されているようである。すなわち29~32℃で貯蔵したものは40日後,そのミオシン区蛋白の溶出量は当初の1/3に減少したが,3℃で貯蔵したものでは,43日後においてもほとんど変化がみられなかった。
    (3) 水溶性蛋白は凍結によっても,脱水によっても変化せず,また凍結条件,貯蔵条件に影響なくほぼ一定であった。
    (4) ミオシン区蛋白の塩析曲線は,凍結条件のいかんにかかわらず,凍結後,乾燥後においては,硫安飽和濃度30%付近に大きな山をもっており,これはアクトミオシンと推定された。貯蔵中における曲線の変化は,蛋白の溶出量同様,貯蔵温度に影響され,常温貯蔵区では20日後に曲線のみだれが大きく,ミオシン区蛋白の質的変化が推定されたが,低温貯蔵区では43日後においても硫安の30%飽和付近に大きなピークがみられ,ミオシン区蛋白にあまり変化がないことがうかがわれた。
    (5) 吸水率は,吸水時間60分では全試料ともはなはだ悪く,-40℃凍結区は-20℃凍結区に比して蛋白の変性度の多少を問わず吸水率が低いことがみられ,溶出量,塩析曲線にみられる蛋白の性状変化との関連が認められなかった。
  • 岡田 文雄, 古谷 弘三
    1964 年 11 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 1964/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    インスタント・ティーが普通市販茶に比べて,香味の低いことが問題とされていることから,このような品質の低下が,製法のどの処理工程でもっとも起こるかを調査した。実験に当たっては,香味に関係すると思われるV.R.S.の状態を調べたが,その結果を要約すると次のごとくである。
    茶のV.R.S.は抽出液にも浸出するが,さきの場合6)と同様,茶種によって異なり,ほうじ茶でもっとも多く,ついで紅茶,煎茶の順であった。
    煎茶に比べほうじ茶にV.R.S.が多いことから,さらに同一茶(煎茶)について,ほうじたものとほうじないものの比較を行なった。その結果は,ほうじることによって,V.R.S.は著しく増加することが認められた。
    また,市販のインスタント紅茶を主に,製品におけるV.R.S.を調査した。それによると,乾燥したものにもV.R.S.がある程度は含まれている。
    これら予備調査の結果から,煎茶,紅茶,ほうじ茶を多重段浸出法によって抽出し,その抽出液とインスタント・ティー,ならびに乾燥方法の違いについて試験した。
    抽出液の濃度とV.R.S.との関係を回帰式で検討した結果は,煎茶ならびに紅茶は直線回帰と思われたが,ほうじ茶は直線よりややゆるいカープを示した。
    茶のV.R.S.は原料でもっとも多く,抽出-乾燥と工程を経るに従って減少した。さらに乾燥方法によっても異なり,真空乾燥によるものより,凍結真空乾燥の製品のほうが多い結果を得た。また,この関係を総合すると,原料の値を100とした場合,その残留率は抽出液で39.0~93.0%,乾燥方法の違いは,凍結真空乾燥によるもの約22.0~74.0%,真空乾燥によるもの7.0~12.0%と差が認められた。
    以上のような実験結果からV.R.S.が香味に関係するとした場合,インスタント・ティーとなるまでには,かなりの香味成分が失われるものと思われる。
  • 加藤 煕, 吉田 政次, 好井 久雄
    1964 年 11 巻 1 号 p. 26-29
    発行日: 1964/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 乾燥直後では,色,味,かおりとも乾燥法による差はほとんどみられず,また生みそと比しかおりはやや劣るが,色,味に差はなかった。
    (2) 生みそに対する脂肪以外の成分の回収率は,他のみその場合6)と同じく,乾燥直後で95~105%となり,ほとんど変化がないとみてよい。乾燥法の違いによる差も全くなかった。粗脂肪量,脂肪の過酸化物価,カルボニル価は乾燥により減少,とくに50℃真空乾燥の場合変化が大きかった。
    (3) 凍結真空乾燥みそをポリセロ小袋に詰め3カ月間保存し,成分変化をみたが,水分,滴定酸度Iの増加が大きく,糖の減少も大きかった。粗脂肪,過酸化物価は減少,カルボニル価にはほとんど変化がなかった。窒素成分も全く変化なかった。官能的には直後のものに比し,味,色,かおりとも劣っていた。乾燥直後の水分含量,乾燥みその包装法をさらに検討する必要があろう。
    なお,本報告の概要は全国みそ技術会研究発表会(1962年10月)において口演した。
  • ボルグストローム G.A.
    1964 年 11 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 1964/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1964 年 11 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 1964/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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