日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
11 巻, 4 号
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  • 茶葉内ビタミンCの変化
    桑原 穆夫, 竹尾 忠一, 西条 了康
    1964 年 11 巻 4 号 p. 131-134
    発行日: 1964/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    摘採葉内のVCの変化について調べた。
    (1) 茶葉摘採後VCの減少が起こるが,この場合損傷部では短時間の間に還元型VCの減少と,酸化型VCの増加が著しかった。
    (2) 貯蔵中VCは時間の経過とともに減少するが,この変化には温度の影響が大きくて,15, 25℃では貯蔵1日目に残存率40%, 22%となるが,5℃では貯蔵8日目でもVCの残存率35%を示した。
    (3) 貯蔵中のVCの減少には,茶葉内の糖濃度が影響する。このため茶葉に糖をすわせ糖濃度を高めると,VCの減少は抑制される。これは糖の一部がVCに転換し,VCの減少を補うためと考えられる。
    (4) 茶葉を凍結した場合,茶葉内のVCは凍結・解凍の過程で著しく減少する。この場合ポリフェノールオキシダーゼも活性化しているところから,VCの減少はポリフェノールオキシダーゼによる酸化が関係しているように考えられる。
    (5) 茶葉を高炭酸ガス濃度の気相中で低温貯蔵した場合,貯蔵中のVCの減少は抑制されたが,この茶葉を空気中に取り出すと,VCの酸化が促進される。この原因は茶葉が高炭酸ガス濃度下に置かれたため,生理障害を起こしこれがVC酸化機能を活性化するためと考えられる。
  • 茶葉の貯蔵中における揮発成分の変化と茶の品質
    桑原 穆夫, 竹尾 忠一, 佐藤 哲哉, 西条 了康
    1964 年 11 巻 4 号 p. 135-140
    発行日: 1964/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 茶葉を5℃の低温に貯蔵した場合,茶葉温度が貯蔵温度までに低下するのに,約3時間かかった。
    (2) 茶葉を低温貯蔵する際,開放容器では貯蔵8日目には,茶葉水分が減少し28%程度の重量減が起こったが,この容器をポリエチレンで被覆したところ,貯蔵中の水分の蒸発を防ぐことができた。この場合50lの容器に1kgの茶葉を入れ,ポリエチレンフィルムで被覆すると貯蔵8~10日目には,容器内の炭酸ガス濃度は4~5%となった。
    (3) 貯蔵葉から造った緑茶で,揮発性酸とエステルの変化を調べた。低温貯蔵区では貯蔵初期一時酸は減少するが,その後再び増加した。エステルは貯蔵中に増加した。いっぽう常温貯蔵区では酸・エステルとも減少した。
    (4) 揮発性カルボニル化合物とアルコールは,低温貯蔵中茶葉内にしだいに増加していた。なおこの傾向は高炭酸ガス濃度下に貯蔵した区が著しかった。常温貯蔵区もこれら成分の増加がみられた。
    (5) 貯蔵葉から紅・緑茶を製造し,その品質を調べた。
    貯蔵温度と品質の間には大きな関係があり,25℃では48時間目,15℃では96時間目に変質が香味に認められた。
    低温貯蔵(5℃)では,貯蔵144時間目までは,香味は生鮮な状態を維持しているが,192時間目になると,若干香味に生鮮さが減り,水色もやや赤味を帯びるようになった。
  • 木原 芳次郎, 有本 安男
    1964 年 11 巻 4 号 p. 141-146
    発行日: 1964/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    大麦澱粉は小麦澱粉に比べて,糖化速度では明らかな差異を見い出すことができなかったが溶解度が低く,ゲル強度が弱いことなどが知られた。これらの性質が大麦,小麦の食味に関連してくるのだろう。また,大麦を軽く発芽させると澱粉の調製が著しく容易になることを認めた。発芽大麦の澱粉の性状について研究し膨潤度,溶解度が増し,ゲル強度も増加する傾向を示すことを知った。
  • 水野 卓, 鈴木 康彦, 阿部 洋, 金兵 忠雄
    1964 年 11 巻 4 号 p. 146-152
    発行日: 1964/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    第1図および第2図の分別法に従って茶葉から各種多糖類を調製し,それらの構成糖組成を第7表のごとく明らかにし,分別調製法の相異が,得られる多糖類の構成糖組成に反ぼす影響について考察した。また,茶葉のペクチン区分はアラビノースやガラクチュロン酸を随伴する複合ガラクタンであることを明らかにした(第8表)。
  • アルギン酸プロピレングリコールエステルの組成による影響
    西出 英一
    1964 年 11 巻 4 号 p. 153-156
    発行日: 1964/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    乳酸菌飲料安定剤にPGAを用いた場合,PGAの組成が乳酸菌飲料の安定性にいかなる影響を与えるか検討した結果,つぎの結論を得た。
    (1) PGAの組成が乳酸菌飲料の安定性に与える影響は著しく,エステル化度が高く,未反応部分が少なくても,金属塩部分が存在しないと安定性は向上しない。
    未反応部分と金属塩部分との関係は
    金属塩部分>未反応部分
    であることが必要なことがわかった。
    (2) PGAの組成がおなじでも,PGAの合成に用いたPO使用量が多いと安定性が悪化することがわかり,乳酸菌飲料安定剤としてのPGAの合成には慎重を要する。
  • 鹿児島県肝付川水系について
    山本 喜男, 冨田 裕一郎
    1964 年 11 巻 4 号 p. 157-164
    発行日: 1964/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    鹿児島県肝付川および支流串良川流域の澱粉工場のうちから,工場の規模ならびに澱粉製造工程の相違を考慮して,肝付川流域の3工場,串良川流域の2工場を選定し,これら甘藷澱粉工場の廃水および河川の汚濁の実態を調査し,つぎのような結果を得た。
    (1) ノズルセパレーターを設備している工場廃水は,5,000~6,000ppmのBODを示し,かなり汚染されたものが流出している。
    (2) 沈殿池を施設している工場廃水のBODは10,000ppm以上を示し,ノズルセパレーター廃水の約2倍の値を有する。
    (3) 廃水のCODはBODと近似の値を示し,CODを測定して,おおよそのBODを推定しうる。
    (4) 原料甘藷洗浄廃水はBOD約60ppmであるが土砂量多く浮遊性物質を約800ppm含む。
    (5) 工場廃水は,そのまま河川に放流されている例もあるが,通常,排水溝中で過剰用水や甘藷洗浄水その他で希釈されて河川に流入しており,各工場の条件によって河川に放流されている総廃水の汚染度に相当の相違が見られる。
    (6) 澱粉工場の廃水が河川に流入することにより,除々にではあるがpH, DOは低下しCODは増加する。
    (7) 河口付近ではpHは7.00を呈し中性にして,BOD約30ppmの河水が有明湾に流入している。
    (8) すり込み操業を終えた工場廃水のBODは30~160ppmで,河川に流入する際はさらに希釈されほとんど問題にならない。
  • 藤巻 正生
    1964 年 11 巻 4 号 p. 165-171
    発行日: 1964/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1964 年 11 巻 4 号 p. 172-178
    発行日: 1964/04/15
    公開日: 2009/04/21
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