日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
12 巻, 4 号
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  • 追熟に伴う呼吸ならびに化学的成分の変化
    邨田 卓夫, 古 衡山, 緒方 邦安
    1965 年 12 巻 4 号 p. 121-125
    発行日: 1965/04/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    (1) バナナは収穫後典型的な呼吸のclimactericriceの現象を示す。climacteric riseの開始は貯蔵温度が高いほど早く,climacteric peakに達するに要する日数は30℃で約9日,20℃で13日,15℃で18日である。
    (2) 追熟に伴って糖が増加し,アスコルビン酸は減少する。
    (3) アルコール,アルデヒド含量は追熟に伴って増加する。
    (4) 果皮,果肉ともに7種類の有機酸が検出されるが,このうちリンゴ酸とクエン酸の含量が多い。
    (5) 18種類のアミノ酸が検出され,このうちヒスチジン,アスパラギン酸およびグルタミンは追熟に伴って増加する。
    (6) カタラーゼ,アスコルビン酸オキシダーゼの活性は追熟に伴って増大するが,とくにカタラーゼの活性はpost-climactericの段階で増大する。
    おわりに本実験に熱心な助力を戴いた松山詔三,大亦郁子両君に感謝します。なお本研究の要旨は1962年園芸学会秋季大会で発表した。
  • 包装資材による真空度保持の比較
    渡辺 渉, 小林 晃, 竹村 邦夫, 久末 寿昭
    1965 年 12 巻 4 号 p. 125-128
    発行日: 1965/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    圧力型通気性測定法により,フィルムの通気量を測定,比較して,それぞれのフィルムでのウレタンフォーム角材の真空包装を行ない,包装物の真空度を減圧空間中での平衡減圧を測定することによって求め,乾燥,吸水状態での真空度の変化を観察した結果,つぎのことが判明した。
    (1) 圧力型通気性測定装量は,通気性の大きなフィルムの通気性の比較には,使用可能である。
    (2) 内部に空間を保持するような真空包装では,通気性大なるフィルムは,真空度低下が著しい。
    (3) 通気性小なるフィルムによる真空包装では,いずれの場合も,よく真空度を保持する。
    (4) 内部の空洞を水で充満させて,減少せしめると,通気性大なるフィルムでも,真空度低下はきわめて微弱である。
  • Aerobacter cloacaeの培養液組成と果糖生成力との関係
    津村 信蔵, 小松 克巳, 佐藤 友太郎
    1965 年 12 巻 4 号 p. 129-133
    発行日: 1965/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ブドウ糖異性化酵素を得る目的で,Aerobacter cloacaeを培養する培養液組成を検討した。
    (1) 鉄およびマグネシウムイオンは菌体の収量,活性ともに好結果をもたらし,とくにマグネシウムは不可欠と考えられる。ともに培地に添加する適量を定めた。
    (2) 食塩の添加が菌体活性を促進する著しい効果のあることを見い出した。また食塩によって,亜鉛イオンの活性促進効果は消去される。
    (3) 培地の炭素源と窒素源の比率の影響を調べ,適量を定めた。
    (4) 有機窒素物およびビタミンの添加効果を調ベ,CSL,酵母エキス,カザミノ酸などの添加が有効であることを認めた。ビタミン類の添加は必要でない。
    (5) 以上の結果にもとづき最終的に培養液組成を設定し,これを用いて培養の経時変化を追究した。
  • Aerobacter cloacaeの培養方法について
    津村 信蔵, 小松 克巳, 佐藤 友太郎
    1965 年 12 巻 4 号 p. 133-137
    発行日: 1965/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    A. cloacaeを培養してブドウ糖に対する異性化活性を有する菌体を収得するには,キシロースのみを炭素源として終始使用する必要はない。はじめにグルコース培地において菌体を増殖させ,つぎにキシロース培地で短時間培養する2段培養法が可能である。第1次のグルコースによる培養は16時間,第2次のキシロース培養は6時間が適当とみとめられた。
    この2段培養はキシロース使用量を節減し,異性化活性を増進する効果がある。また,精製したグルコース・キシロースの代わりに,廃糖蜜,稲わら加水分解物を有効に利用できることを明らかにした。
  • 凍結乾燥ニンジンの組織と復水について
    柴崎 一雄, 浅野 三夫
    1965 年 12 巻 4 号 p. 137-143
    発行日: 1965/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    厚さ1, 3, 6mmに輪切りしたニンジンを,緩(-20℃)急(-78.5℃)および超急速(-195.5℃)に凍結して凍乾したものと対照に熱乾および真空乾燥したものを試料とし,これらの組織の状態を検鏡比較し,20, 50および100℃の水中に浸漬して吸水量を測定し,これらの関連性についてつぎのような結果を得た。
    (1) 凍結温度により凍乾品の組織が非常に異なり,緩速凍結品は変化はなはだしく,氷の結晶の成長によるものと思われる空孔が多いが,急速凍結品は生のものとほとんど同じ細胞構造のままで乾燥していた。
    (2) 熱乾品に比べて凍乾品はいずれも復水率良好であったが,厚さが薄い物,緩速凍結品ほど復水率がよく,また減圧復水すると全般的に向上したが,ことに緩速凍乾品においてその差が著しかった。
    (3) 組織の状態と復水について考察を行なった。
  • 三沢 光展, 松原 弘道
    1965 年 12 巻 4 号 p. 143-149
    発行日: 1965/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    1963年長野県更埴市雨宮産のナガイモを試料として,新食品開発の目的をもって,熱風および凍結乾燥によって粉末を作り,生イモならびに「山芋の粉」との化学的組成,ビタミンC含有量,β-アミラーゼ活性および粘度などについて比較検討し,つぎの結果を得た。
    (1) ナガイモは乾燥しやすいので乾燥は容易であるが,前処理中時間が経過すると褐変しやすい。とくに首部が早く褐変しやすいのですみやかに処理することが大切である。外観的に熱風と凍結両乾燥製品を比較すると,凍結のほうが褐変少なく柔らかで,粉末にした場合,容積比重小さく多孔質で軽い。
    (2) ナガイモの一般的化学組成については,産地その他の影響が比較的少なく,類似の成分組成をもっている。各部組成の相異点としては,首部より尻部に向い次第に水分が少なく組織が密になるが,乾物としては可溶性無窒素物を除いて,他の諸成分はいずれも尻部より胴部,首部の順に増加する。
    (3) 還元性ビタミンCは,生イモで約5mg%含むが,乾燥によって失われる量がきわめて少ない。相当量失われることを予想した熱風乾燥法でも,低温で処理がよければ損失が少なく,凍結乾燥法とほとんど変らない。
    (4) β-アミラーゼ活性は乾物1g当たり10~25単位で,同じイモ類のサツマイモ,サトイモなどに比しきわめて少なく,乾燥による減少もまたわずかで,熱風と凍結乾燥についての差はほとんど見られない。
    (5) 静岡産寒製「山芋の粉」について,還元性ビタミンC,β-アミラーゼ活性を測定したが,本実験によるナガイモの乾燥物より,それぞれきわめて低い測定値を得た。これは乾燥の方法および時日の経過による貯蔵中の変化と考えられる。
    (6) 回転粘度計を用いて,生イモと両乾燥法による粉末に加水したものの粘度を比較したところ,粘度は乾燥により著しく減少し,とくに熱風乾燥の場合ははなはだ低くなる。凍結乾燥の場合はそれでも,生イモに対する水分比0.9ぐらいで,実際のとろろ汁の粘度と同程度に止まることが認められた。しかしここで数量的に測定できなかった曳糸性ともいうべき粘度は,乾燥によって失われるようである。
    (7) 乾燥粉末に加水して,とろろ汁と似たものを作り食味した結果,とくに粉っぽさ,辛味などに少しく難点を持ち,色や香気よりも味に問題を残している。今後この点を研究して行きたい。
  • わが国食品包装の問題点と対策
    向野 元生
    1965 年 12 巻 4 号 p. 150-153
    発行日: 1965/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1965 年 12 巻 4 号 p. 154-159
    発行日: 1965/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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