日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
13 巻, 8 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 荻原 和夫, 永沢 信
    1966 年 13 巻 8 号 p. 317-321
    発行日: 1966/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    酸味料を含むCMC-Na液を加熱処理したときの粘性の変化について検討した。結果はつぎのようであった。
    (1) クエン酸を含むCMC-Na液の加熱処理後のpH,滴定酸度はともにこの実験の範囲内では加熱前とほとんど変化しない。
    (2) CMC-Na液が加熱処理によって粘性が低下することはすでに知られているとおりであったが,クエン酸を含むものを加熱処理すると,酸による粘性低下よりもさらに大きく粘性が低下する。また加熱による低下の割合は,CMC-Naの濃度が高くなるにつれて大きくなる。
    (3) クエン酸による粘性低下は酸そのものというよりpHの変化によるものであるが,比粘度低下率とpHとの関係曲線の形は加熱処理によっても変わらず,低下率の高いほうへ平行移動した形になる。
    (4) 加熱処理条件による粘性の変化については,加熱のはじめに粘性低下が大きく,その後は徐々に粘性が低下する。また温度が70℃までは変化が少ないがそれ以上では粘性低下が大きい。
  • 市販ハルサメの物理化学的諸性について
    山村 頴, 河野 利治, 本坊 慶吉
    1966 年 13 巻 8 号 p. 322-328
    発行日: 1966/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    市販ハルサメの物理化学的性質をは握し,ハルサメ製造方法の改良に関する研究に発展させるため上記の実験を行なった。その結果
    (1) ハルサメの外観上白く濁った製品は,その断面の顕微鏡写真によって多数の空洞を認めた。サツマイモ澱粉を用いたハルサメは顕微鏡写真で,未糊化の澱粉粒の残存が認められた。これは澱粉の糊化特性と加熱時間や糊化温度によって支配されるものであろう。
    (2) ハルサメの線径は0.6~1.3mmの範囲でメーカー間あるいは同一メーカーの1本のハルサメの各部位でもかなりの差が認められた。
    (3) ハルサメの引張り強度は,上記めん線の径の部分的不均一さによって生ずる部分的相違が影響しているようである。したがって著者らの求めんとするハルサメの強度(しなやかさ)とは無関係のようであった。
    (4) ハルサメのα化度は,サツマイモ澱粉を用いたものは25~30%,緑豆およびジャガイモ澱粉を用いた場合は40~50%で,かなりの相違が認められた。
    (5) ハルサメの粘性は原料とする澱粉の粘性よりかなり低い。ハルサメ原料として最適であるとされている緑豆澱粉では,アミログラムの粘性ははなはだ低く,かつ粘性発現温度がサツマイモ澱粉より高いところにある。したがって従来のサツマイモ澱粉に示された適性条件とはかなり異なったもののようである。
    (6) 透明度
    ハルサメ製品の外観上の透明さや美しさは緑豆とジャガイモ澱粉がすぐれており,サツマイモ澱粉は若干劣る。この原因を種類別澱粉糊の透明度と関係があるように考えたが,十分な結論を得ていない。
    (7) ハルサメ調理時の膨化と澱粉の溶出
    ハルサメを5分間煮沸して調理した場合,1~4%の範囲で澱粉の溶出が認められた。澱粉の種類では,ジャガイモ澱粉からつくられたハルサメが溶けやすく,もっとも膨化率が高い。緑豆澱粉からのハルサメは膨化も大きいが,澱粉の溶出は少なく,すぐれた物性を有することを認めた。サツマイモ澱粉はハルサメの線径の小さいほど澱粉の溶出量が多かった。
  • 採取時期別カキ(貝)の貯蔵中における色調および脂肪の変化
    山崎 濶, 砂川 満男, 今井 寛
    1966 年 13 巻 8 号 p. 329-333
    発行日: 1966/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    採取時期を異にしたカキを用いて凍結乾燥品を試作し,その貯蔵性について色調および脂肪の変化の面から検討しつぎの結果を得た。
    (1) 凍結乾燥直後のカキの色調および脂肪の性状は採取時期によって異なり,エーテル抽出物量はカキの肥大生長に伴って経時的にぜん増するが,酸価は1月採取試料までは低く5月採取試料は著しく増大した。またヨウ素価は10月採取試料はもっとも少なく,11月以降やや増大しほぼ同じ値を示した。
    (2) 凍結乾燥カキ貯蔵中の酸価の上昇は著しいが,10月採取試料の変質はもっとも少なく,5月採取試料は11月および1月採取試料に比べ酸価の上昇は少ない。
    (3) 抗酸化剤で処理したものは,採取時期のいかんにかかわらず無処理のものに比べ色調は良好であり,脂肪の変質もある程度抑制し得た。
  • 離水に及ぼすアルギン酸ナトリウムの影響
    西出 英一
    1966 年 13 巻 8 号 p. 334-338
    発行日: 1966/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    澱粉ノリの離水を防止する一方法として,分散媒によく溶けて,アミロースと澱粉分子との結合を防ぎ,その構造のなかに十分の液体を保つようにするならば,よいのではないかと考えられる。
    そこで,水和性の強い高分子電解質であるアルギン酸ナトリウムを添加して,澱粉ノリの離水に及ぼす影響について究明した結果,つぎの知見が得られた。
    (1) 澱粉ノリにアルギン酸ナトリウムを添加すると,澱粉ノリの離水が防止されることがわかった。これは,アルギン酸ナトリウムの添加による澱粉ノリ中の水の移動が阻止されたことを意味し,前述の推論の正しいことが証明された。
    (2) アルギン酸ナトリウムの粘度が澱粉ノリの離水に及ぼす影響については,高粘性品が有効であることがわかり,この理由については高粘性品ほど,水和性が強いためである。
    (3) 澱粉の種類によってアルギン酸ナトリウムの添加量が異なり,
    小麦澱粉の場合 5%
    サツマイモ澱粉の場合 8.3%
    トウモロコシ澱粉の場合 10%
    の添加で澱粉ノリの離水が防止される。なお,アルギン酸ナトリウムを添加すると澱粉ノリはベトつかなくなる。
    (4) つぎに,低濃度澱粉ノリほど,離水率が高いため,これを防止するためには,低濃度澱粉ノリほど,アルギン酸ナトリウムの添加量が多くなることがわかった。
    (5) 澱粉ノリのノリ化の程度による影響はアルギン酸ナトリウムの添加により最少限度に防止されるとともに,ノリ化時間が短縮されることがわかった。
    (6) アルギン酸ナトリウム添加澱粉ノリは多量の砂糖を加えても離水せず,また,砂糖の浸出もなく実用上きわめて有効である。
    (7) アルギン酸ナトリウム添加澱粉ノリに若干量の塩化ナトリウム,酢酸を加えても離水は認められないことがわかった。
  • プラスチツクス・フィルム法の適用
    堤 忠一, 小泉 英夫, 宮崎 芳子, 海老根 英雄
    1966 年 13 巻 8 号 p. 339-343
    発行日: 1966/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 赤みそ,白みそ,豆みそを試料とし,プラスチックス・フィルム法ならびに砂法の2つの乾燥方法を用い,減圧60°, 70°, 80°, 90°,および100℃,ならびに常圧100°および105℃において乾燥時間をかえて水分定量を行なった。みそは加熱によって成分の分解がおこり,とくに白みそ,赤みその順に激しく,豆みそは一番少ない。砂法は予備乾燥に時間がかかり,加熱による分解がおこり,かつ操作が繁雑であるので用いないほうがよい。フィルム法による乾燥は簡便でかつ正確であり,みその水分定量には,フィルム法が適していると考えられる。
    (2) みそを薄くのばし,シリカゲルデシケーター中で減圧下,常温で乾燥みそを調製し,これを試料としてカールフィッシャー法と減圧60℃乾燥フィルム法によって定量し,両者の定量値を比較したところ0.1~0.2%以内で一致していた。このことから減圧60℃, 17~20時間乾燥して得られる定量値は,一応みその真の水分に近いものと考えられ,この乾燥条件を基準的方法とした。
    (3) 減圧70℃, 5時間乾燥で得られた定量値は,基準的方法で得た基準値と等しく,平行試験,再現性の結果とも0.2%以内の差で一致しており,満足すべき条件と考えられる。減圧80℃ 2時間乾燥で得られる定量値は,平行試験の値が0.3~0.5%フレるが,平均すると基準値に近い値が得られた。
    (4) 常圧100℃および105℃による乾燥では,30分間の乾燥でも基準値より高い定量値が得られ,また再現性悪く,1%近くフレるので,正確を期す場合の水分定量には用いられない。
  • 樋口 亮一
    1966 年 13 巻 8 号 p. 344-349
    発行日: 1966/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    食品,製剤中ソルビン酸定量には通常蒸留と紫外部吸収を組み合わせた方法が行なわれているが,該法では糖類の多い試料には5-ヒドロキシメチルフルフラールなどの生成によって定量値が影響を受け不向きである。そこでこの欠点を除くため水蒸気蒸留法につき検討し定量条件を確立した。すなわちソルビン酸として0.5~5mgを含む試料液約10ml, 85%リン酸2mlおよび食塩5gを100mlナス型フラスコに入れ通常の水蒸気蒸留を行ない,初留から150mlまでの留液を採取する。これをソルビン酸として2μg/ml前後になるように希釈する。この希釈液にはM/10酢酸緩衝液pH 5.2を10%加える。256mμ紫外部吸収を測定し,E1%1cm=2270で含量を算出する。
    本法を応用して2, 3食品中ソルビン酸含量を測定した。また本法を蒸留法と比較すると糖,アミノ酸の多い試料にもブランク値が低く,これらの試料中ソルビン酸の定量にはよりすぐれていることを認めた。
  • 中村 武次郎
    1966 年 13 巻 8 号 p. 349-351
    発行日: 1966/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 山田 正一
    1966 年 13 巻 8 号 p. 352-358
    発行日: 1966/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 13 巻 8 号 p. 359-364
    発行日: 1966/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
feedback
Top