日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
14 巻, 4 号
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  • 緑熟バナナのCA-貯蔵
    邨田 卓夫, 上田 悦範, 緒方 邦安
    1967 年 14 巻 4 号 p. 131-136
    発行日: 1967/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    緑熟バナナの貯蔵日数を延長する目的で台湾,高雄産のバナナ(仙人蕉)を用いてつぎの条件でCA-貯蔵を行ない,貯蔵中の品質,一般化学成分の変化について検討し,同時に出庫後むろ処理による追熟を行ない黄熟バナナの食味試験を行なった。
    (1) 実験条件は温度13.5±0.5℃,湿度95~100%でガス条件は(I) 対照区;普通空気,(II) 5% CO2(±1%)+10% O2(±2%),(III) 20% CO2(±3%)+10% O2(±3%)全期間ガス流通貯蔵,(IV) 40% CO2(±3%)+10% O2(±2%)48時間処理後空気中に移行の4区である。
    (2) 上の4区のうち(II), (III)区は貯蔵5, 6週にわたってかなり良好な品質を保持しバナナのCA-貯蔵の可能性が確認された。また(IV)区の40% CO2 short term treatmentも割合好成績で技術的に簡便であるので実用化が期待される。
    (3) 果皮のカロチノイド含量は貯蔵中各区ともさして変化しなかったが,CA-貯蔵区はクロロフィル含量の減少が少なく,果皮色の変化の状態とよく符合した。
    (4) CA-貯蔵区のバナナ果肉では澱粉の分解による糖の増加が顕著に抑制された。
    (5) バナナのアルコール含量は貯蔵中post climacteric stageでみられるような増大が(III)区を除いてみられなかった。(III)区は貯蔵5週間目から緑熟のままでアルコール含量が増大し,このCO2濃度で嫌気的な呼吸系への転移がうかがわれ,この意味で20% CO2はバナナのCA-貯蔵の限界濃度であるかと推定される。
    (6) 各区とも貯蔵中果肉の還元型アスコルビン酸含量が減少する。なかでも20% CO2区が1週間目に,5% CO2区は2週間目にCO2の影響をうけ果肉の還元型アスコルビン酸含量はほぼ半減した。ただこの両区ともその後還元型アスコルビン酸含量の変化が少なく,貯蔵4週間目には対照区を少し上廻る値になった。
    (7) 追熟処理果実についてのパネルテストの結果は果実の外観,食味とも(II)区がもっともすぐれた。(III)区は追熟処理後も果皮にいくらか緑色を残し,この点で外観についてのパネルテストの評点が低かった。
  • ガスクロマトグラフィーによる芳香中性化合物について
    門田 利作, 中村 武彦
    1967 年 14 巻 4 号 p. 137-140
    発行日: 1967/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    日向夏外果皮から得た中性芳香成分のガスクロマトグラフィーによる研究結果をまとめるとつぎのようになる。
    (1) 中性部に含まれる成分中炭化水素化合物としてα-ピネン,β-ピネン,d-リモネン,ミルセン,γ-テルピネンおよびp-シメンの6種が推定された。
    (2) 含酸素化合物としてn-ヘキサナル,n-オクタナル,n-ノナナル,オクチル-アセテイト,n-デカナル,リナロール,ウンデカナル,n-ノニルアルコール,シトロネリイル-アセテイト,n-デシルアルコール,ゲラニオール,ゲラニィルアセテイト,およびシトラルが推定された。
    (3) ほかの柑きつ類との香りを比較するために,市販のレモン油およびオレンジ油についても日向夏と同様に実験したが,3者の中性芳香成分を比較してみると,炭化水素化合物部のクロマトグラムはそれぞれ成分数に差があるが,香りの感じはいずれもよくにていた。しかし含酸素化合物ではそれぞれ個性のある香りを持っていた。その理由としてレモン油はとくにシトラルの含量が多く,オレンジ油,および日向夏にはリナロールが多い点などが考えられる。一般的にみて日向夏は市販のオレンジ油に近いが,レモン油とはかなり違っているもののようである。
  • pHおよび共存塩類とケイ酸のゲル化との関係
    永沢 信
    1967 年 14 巻 4 号 p. 141-147
    発行日: 1967/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 岡本 奨
    1967 年 14 巻 4 号 p. 148-153
    発行日: 1967/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    蛋白質および油脂を主成分とするエマルジョンの加熱によって,表面に皮膜を生成する現象は豆乳以外に牛乳でも日常見られる現象である。しかし筆者らの実験によるとどの蛋白質にも共通する現象とはいいがたい。たとえばカゼインは皮膜を生成するが,大豆蛋白質の場合と比べてはるかに水に分散溶解しやすい。また卵白アルブミンはこのような条件で皮膜を生成させることは困難である。ゼラチンは全く生成しない。このように蛋白質の種類により成膜可能のものとそうでないものがあり,また成膜しても膜質に大きな差異がある。大豆蛋白質について試みた上記実験結果を要約するとつぎのようになる。
    (1) 豆乳あるいは蛋白質溶液を加温し皮膜の生成が始まる温度は60℃付近であり,また60℃, 30分加温した蛋白質溶液からはその後加温をつづけなくても,蒸発だけによりユバ状皮膜を生成させることができる。
    (2) 皮膜生成には液面での蒸発が行なわれていることが必要で,液面が水蒸気飽和その他の理由で蒸発が阻害されている場合は生成しない。
    (3) 皮膜生成自体には液の濃度,pHは大きな影響がない。
    (4) 不可逆的な皮膜生成には蛋白質分子間の水素結合が必要で,液面粘度が上昇しても水素結合が阻害されると皮膜が生成しがたくなる。
    (5) 油脂の存在は蛋白質の皮膜生成を促進し,生成膜の蛋白溶解率を低める。
    複雑な蛋白質混合溶液の皮膜生成の機構を以上の事実のみから簡単に説明することは,もとより不可能であるが,若干の推論が許されるなら以下のように考えられる。
    蛋白質溶液が加熱されると,液内での蛋白質分子の動きが活発になり,加熱温度60℃付近で蛋白質の分子形態の変化が起こるであろう。大豆の水抽出蛋白質の加熱温度と蛋白質分子の形態性状の複雑な変化については,すでに渡辺ら5)により詳細に研究され,70℃, 10分で超遠心沈降図や電気泳動図が大きく変化し分子の会合が起こることを明らかにしており,また60℃, 10分で硫安塩析曲線に著しい変化があり,大部分の蛋白質が低飽和度の硫安によって沈殿するとのべている6)。蛋白質膜生成という見地からも60℃付近でなんらかの分子形の変化があることが想像される。合成ボリペプチドの研究の進展につれて,α-helix型の重合体が一定温度の水中でβ-coil型に転換する事実が認められ,ボリ-L-アラニンは60℃,ポリ-L-プロリンは40℃がそれぞれα→β転換点とされている7)。豆乳における60℃がこの点に相当すると仮定するわけにはいかないが,分子の2次構造が比較的低温度で転換する可能性があり,このような不安定な状態で分子が界面に達すると極性基,非極性基の方向を一定にするように強いられるので,容易に分子形の変化(界面変性)が起こり,表面粘度も急昇するであろう。この際液面が水蒸気で充満しておれば配向が乱されこの変化は阻害されよう。こうして液面における蛋白質分子の密度が増大し,かつ液面から水分子がとび出していく条件の下では,蛋白質分子同志が互に密に接近し,分子間に水素結合が生じやすい状態となり,ついに相連なって皮膜を生成するに到ると考えられる。したがって蒸発を阻害しても,分子間水素結合を阻害しても皮膜は生成しない。
    なお豆乳中に分散しユバ膜にとりこまれる脂肪球は前報1)のごとく0.5μ以下のきわめて微細なものであるので,これらが液面に浮上し空気と接触した状況の下では,単に油層を水面に浮べて加温している場合と全く異なり,きわめて酸化を受けやすい状態と考えられる。筆者らはこの状態で液面に比較的長時間接触していると,油脂の過酸化物価が著しく高まる現象を認めて報告8)した(第4表)。酸化を受けた油脂は豆乳加温の場合と極めて類似の条件下で蛋白質と複合体を生じ,蛋白質の溶解率を減少させることは多くの研究10)に見られるとおりである。ユバ膜蛋白質が蛋白質単独の膜より溶解しがたい1部の理由は,これに類した反応が起こるためかも知れない。
  • 内藤 信隆, 金房 和已, 木下 鶴八治
    1967 年 14 巻 4 号 p. 154-157
    発行日: 1967/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    キャンベルアーリー種ブドウを各種包装を行ない温度0~3℃,湿度80% (±2%), 85% (±2%), 90% (±1%)の条件下に1ヵ月間貯蔵し,包装方法と最適冷蔵温度,湿度の設定のための試験を行なった。この際湿度と貯蔵性との関係,貯蔵中における成分変化,熟度と貯蔵性との関係をも調査した。使用した試料が年度を異にしているので決定的な結論を出すことはやや早計かと思われるがつぎのような傾向が認められた。
    (1) 包装方法はダンボール箱詰区が最もすぐれ,1ヵ月貯蔵後も目減りも比較的少なく,貯蔵果にも欠点は少なかった。トロ箱区は目減りがやや多く,ポリ袋区は脱粒がきわめて激しく,OED処理区は操作が面倒で薬品付着のため外観を損ずるなどの欠点が認められた。
    (2) 貯蔵湿度は90%区がもっとも良好で1ヵ月貯蔵しても果梗の状態が緑色のままで脱粒もなく,目減りも最小であった。85%区,80%区の順に成績が低下したが85%区の成績もそれほど劣ってはおらず,どの区も一応貯蔵性は認められた。
    (3) 冷蔵貯蔵中における糖,酸などの諸成分は1ヵ月貯蔵ではほとんどその価を変えず,冷蔵は成分変化をも抑制することが認められた。いっぽう常温貯蔵区では2週間にしてかなりな成分低下が認められた。
    (4) 熟度の差により貯蔵性に差が出るかどうか完熟果と完熟一歩手前の熟度のものについて調査した。冷蔵1ヵ月の出庫直後はほとんど差がなかったが出庫後は「ほぼ完熟果」がいくらかすぐれていた。貯蔵原料としては「ほぼ完熟果」がよいのではないかと思われる。また粒の密着した短小な房が脱粒しがたい傾向を認めた。
  • 内藤 信隆, 木下 鶴八治
    1967 年 14 巻 4 号 p. 157-158
    発行日: 1967/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    当場で過去に行なった小規模試験によって得られた結果の実用性を見るため,相当量のブドウを実際的な包装荷造りを行ない,遠隔消費地に存在する民間営業冷蔵庫に一定条件下に委託冷蔵を行なうとともに,出庫後の日保ち度を調査しつぎの知見を得た。
    (1) 1ヵ月の冷蔵に十分に耐え,外観は新鮮果とまったく変らず重量減少率も4%以下であった。
    (2) 内容成分にもほとんど差はなく香味良好であった。
    (3) 出庫後の日保ちも良好で5日目でもほとんど脱粒しなかった。
    (4) これらの結果は1963, 1964年の小規模試験の成績をうわ廻るものである。
    (5) 冷蔵に適する一定条件とは温度0~0.5℃,湿度88~90%内外を指す。以上を要するに最盛期のブドウを消費地において1ヵ月内外冷蔵し,価格調整を計ることは可能で荷造りも普通の様式でよく,特別な配慮を必要としない。ただ実施に当り留意すべきはその冷蔵条件であってこれを厳守する必要がある。
  • 市川 収
    1967 年 14 巻 4 号 p. 159-173
    発行日: 1967/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 14 巻 4 号 p. 175-180
    発行日: 1967/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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