日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
16 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • (第1報)豚肉水抽出物および各種食品成分と鉄との反応による硫化水素の生成
    藤巻 正生, 蔡 順仁, 森田 牧朗
    1969 年 16 巻 12 号 p. 545-548
    発行日: 1969/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 硫化水素は豚肉水抽出物に1級試薬の鉄粉を混ぜた場合に発生する悪臭の重要な一成分であり,悪臭にとってenhancer的な重要な役割を果していると考えられる。
    (2) 硫化水素の発生機構については,そのprecursorの一部は不純物として鉄粉中に含まれている硫黄成分であると推定される。
  • 藤巻 正生, 五十嵐 脩, 浅野 克彦
    1969 年 16 巻 12 号 p. 549-554
    発行日: 1969/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    凍豆腐のアンモニア処理の際にみられる膨軟性の改善について検討を行なった結果,次のような知見が得られた。
    (1) 凍豆腐の水戻し時の膨軟性の改善は水戻し液へのアンモニアの溶出によって生ずる。
    (2) 凍豆腐をアンモニア処理後放置するとアンモニアが凍豆腐に結合し,非溶出性となり,このアンモニアは水戻し時の膨軟性の改善には関与しない。
    (3) 凍豆腐を種々のアルカリ(NH4OH, NaOH, Ca(OH)2)で水戻しすると濃度が大きくなるほど,膨軟性が改善され,0.1Nでは著しく体積増加率が大きくなることが認められた。
    (4) 0.01, 0.1Mの緩衝液(pH 6~11)で水戻しすると,膨軟性はpH 9以上で改善され,濃度が0.1Mのときに著しいことが認められた。なお,緩衝液間の差は小さかった。
    (5) 凍豆腐を酸→アルカリ,アルカリ→酸で処理すると,その体積増加率の変化曲線は異なったカーブを描き,同一の曲線を示さなかった。これより,アルカリまたは,酸の前処理が,膨軟性に影響することが認められた。この現象は,膨軟した凍豆腐を水戻ししても大した体積の減少を示さない現象を説明するものと考えられる。
    (6) アンモニア処理凍豆腐を放置してアンモニアを蒸散させたのち,アンモニア再処理しても,アンモニア処理の効果に差はみられなかった。
    (7) アンモニア無処理凍豆腐を37℃で貯蔵しても56日後で著しい膨軟性の低下は認められなかった(76%)。
    (8) 凍豆腐たん白質のアンモニア処理,無処理試料でSH基数,ペプシン消化性に大差は認められなかった。
  • (第4報)果汁清澄化促進因子について
    福井 尚之, 野村 男次
    1969 年 16 巻 12 号 p. 555-559
    発行日: 1969/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    In the previous paper, it was reported that the clarifying activity of the commercial pectinase preparation for citrus juice was caused by the joint action of polygalacturonase and pectinesterase, and pectinesterase activity was more effective than those of any other enzymes for the clarification. But, it was found in this study that a fraction which was free from polygalacturonase and pectinesterase activities in commercial cellulase preparation contained an accelerating factor for the clarification.
    This factor has a property of hydrolizing hemicellulose. The result suggests that the accelerating factor is a certain kind of hemicellulase. This hemicellulase has more acid stable and more thermostable characters than other enzyme preparations which have no accelerating property. Hydrocellulase also showed an accelerating effect for clarification, but its detailed role has not been revealed exactly.
  • 阿部 輝雄, 露木 英男
    1969 年 16 巻 12 号 p. 560-563
    発行日: 1969/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 酸性エーテル抽出法およびクロロホルム,n-ブタノール混合溶媒を展開剤とするシリカゲルクロマトグラフィーを用いて,「しよっつる」中の有機酸組成を調べた。
    (2) 「しよっつる」中には揮発酸として,酪酸,イソ酪酸,プロピオン酸,酢酸,オキザル酢酸,不揮発酸としてピルビン酸,フマル酸,コハク酸,乳酸,ピログルタミン酸の10種類の有機酸の存在を確認した。
    (3) 熟成期間の長い「しよっつる」ほど,多量の有機酸を含んでいた。イソ酪酸および酢酸はそれぞれ全有機酸の30%以上を占めてもっとも多く,次いで,酪酸,乳酸,コハク酸が多く,プロピオン酸,ピルビン酸,ピログルタミン酸がこれらにつづいていた。
  • (第7報) 3-sn-phosphatidylcholineの自動酸化生成物について
    柴崎 一雄, 本木 正雄, 木村 繁昭
    1969 年 16 巻 12 号 p. 564-568
    発行日: 1969/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆リン脂質の主成分である3-sn-phosphatidylcholineを50℃,一週間自動酸化させた場合の生成物を種々検討した結果,揮発性脂肪酸として酢酸が圧倒的に多く,他にはイソ酪酸,酪酸が検出された。アミンとしてはトリメチルアミンだけが検出され,アルコール類はエタノール,ブタノールが多く。ほかにはメチルアルコール,アミルアルコールなどが検出された。このアルコール類は生成したカルボニル化合物がさらに還元されたものと推定される。カルボニル化合物については定性と定量試験を行なった結果,飽和カルボニル87.0%,不飽和カルボニル13.0%が検出された。飽和カルボニルとしてはアセトアルデヒドが36.0%と多く,これが酸化されて安定な酢酸になったものと推測された。その他の飽和カルボニルとしてはn-propanal, n-butanal, n-hexanal, 2-pentanone, 2-nonanoneが検出された。不飽和カルボニルはその不安定性のために,はっきり同定はできなかったがアクロレインが含まれているものと考えられた。
  • 梶田 武俊, 詫間 清江, 千田 貢
    1969 年 16 巻 12 号 p. 569-571
    発行日: 1969/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 蒸溜水試料またはオレンジジュース試料いずれの場合も,AAおよびEAの濃度と吸光度との間には比例的関係を有するが,蒸溜水試料よりもオレンジジュース試料のほうがAA, EAともわずかに高値となって現われた。したがって蒸溜水試料で得られた検量線を用いて,オレンジジュース中のAAおよびEA量を求めることは困難であり,添加法によるほうが適当と考えられた。
    (2) 天然食品中のEA存在有無について検討したところ,定性実験すなわちRf値からはEAの存在を認めることができなかった。定量実験においてもEAの存在を確認するまでには至らなかった。
    (3) ビタミンC強化特殊栄養食品のAA検出量は,実験範囲内では標示量を上回っていた。
  • 山中 良忠, 古川 徳
    1969 年 16 巻 12 号 p. 572-574
    発行日: 1969/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    市販大豆粉の一般成分組成は各試料間の差が大きく,とくに蛋白質含量と脂肪含量において顕著であった。また,全窒素に対する水溶性窒素の割合(NSI)においても同様に各試料間の差が大きく,溶解度は一般にアルカリ側で高く,pH 8.8でもっとも高い値を示し,NSIが50%以上のものは溶解度も高い傾向を示した。
    大豆粉そのままを添加してヨーグルトよう食品を製造した場合に,添加量が20%以上に増加すると溶解度,NSIの80%以下の大豆粉は沈殿した。この沈殿は溶解度,NSIの低いものから順に形成し,大豆粉の添加量の増加に伴いヨーグルトよう食品の組織は対照区に比べ荒くなる傾向を示し,黄色に着色し,大豆特有の臭気が強くなる傾向を認めた。
  • 1969 年 16 巻 12 号 p. 575-577
    発行日: 1969/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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