日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
16 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • (第3報)寒天に残留する燐酸量について
    松橋 鉄治郎
    1969 年 16 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1969/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ポリ燐酸塩を含む寒天ゲルから,凍結・融解・乾燥によって再製した寒天の灰分,およびその組成を分析し,つぎの結果を得た。
    (1) h, m両寒天ともHポリ燐酸塩の添加量が200ppm以下の場合,灰分量の変動は僅少であった。しかし200~500ppm以上を添加した場合,灰分はH塩の添加量とともに明らかに増加した。また,灰分中,熱塩酸水可溶性灰分の変化は全灰分と平行し,不溶性灰分はH塩添加量に関係なくほぼ一定値を保った。
    (2) 可溶性灰分中,P2O5はH塩の添加量とともに増大し,灰分の増量は添加したH塩によるものと認められた。H塩添加量に対する灰分増加量の比-(H塩残留率と考えてもよい)-は最大の場合で11%(h寒天),ないしは17%(m寒天)であった。
    (3) 可溶性灰分中,Fe2O3(またはFe3+)はH塩の添加量と逆行してその無水寒天中含有率が減少し,MgO(またはMg2+)も同様の傾向を示した。
    (4) h寒天にH塩200ppmを添加し,1/2~12時間煮沸溶解した場合,煮沸溶解時間が長くなるほど再製寒天の灰分は減少する傾向を示した。また,可溶性灰分中,SO3が,長時間煮沸のものほど減少した。
  • (第4報)工場実験結果とその考察
    松橋 鉄治郎
    1969 年 16 巻 1 号 p. 5-9
    発行日: 1969/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    細寒天または角寒天の製造工場において,煮熟工程中に食品添加用ポリ燐酸塩を使用した場合,寒天におよぼす諸作用を検討した。
    (1) Hポリ燐酸塩30~100ppmの添加により,生天(ナマテン)ゲルおよび製品(細寒天または角寒天)の増白効果が認められたが,用水中に鉄が存在した場合は,海藻煮熟前の水質状態から計算しただけの鉄分封鎖所要量では増白が不十分であった。
    (2) この実験条件の範囲内では,一般にポリ燐酸塩は製品の凝固力に影響しないと認められた。
  • (第3報)酸沈殿蛋白質の凍結保存中の溶解度の変化
    橋詰 和宗, 北 進一郎, 渡辺 篤二
    1969 年 16 巻 1 号 p. 10-14
    発行日: 1969/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 大豆蛋白質を凍結し,-1~-3℃に保存すると稀カセイソーダ溶液に対する溶解度が次第に低下するのが認められ,とくにあらかじめ熱処理したもので著しい。
    (2) 稀カセイソーダ溶液に対する溶解度の低下は-20℃のような低温ではわずかであり,また,-1~-3℃でもエチレングリコールのような化合物により氷結晶の生成を防いでおくとさらに低下は抑えられる。
    (3) 大豆蛋白質とくに加熱大豆蛋白質の低温による上記の変化は分子間の新たな結合によることが,尿素,メルカプトエタノールなどに対する溶解度の低下から推定される。
  • (第1報)生ニンジンの乾燥および乾燥ニンジンの復元性におよぼす電子線の影響
    梅田 圭司, 高野 博幸, 佐藤 友太郎, 菅原 利昇
    1969 年 16 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 1969/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    生ニンジン,乾燥ニンジンを1Mevの電子線で処理して,乾燥速度,吸水速度,膨脹速度,膨脹機構,硬度,ペクチン物質の分解などを検討した。
    (1) 生ニンジンを0.19~3.06Mrad照射すると,線量の増加に伴い硬度は指数函数型の低下を示す。生ニンジンの乾燥速度は照射後のブランチング処理の有無にかかわらず比較的低線量(0.21, 0.43Mrad)で未照射より速く,高線量(0.86, 1.71Mrad)では逆に遅くなる。照射生ニンジンより作った乾燥ニンジンの吸水速度は,線量の増加とともに速くなるが,ブランチング処理を行なったものは,0.21Mradを除き未照射と同じか,または遅くなる。
    (2) 乾燥ニンジンの復元後の硬度は線量の増加に伴い指数函数型の低下を示す。乾燥ニンジンの吸水速度は線量の増加に伴って速くなり,7g/gの吸水量に達する時間は1.71Mradでは未照射の1/2である。
    乾燥ニンジンを減圧下で,35℃の水中で復元させ,時間経過とともに全容積の減少を測定し,膨脹速度の変化を分析した。照射試料は未照射試料よりも,全容積減少速度も速く全減少容積量も多い。しかし同条件下での吸水速度は照射によってそれほど促進されず,乾燥ニンジンの膨脹機構が変化していることを示している。つまり全容積減少速度と吸水量の関係から,照射ニンジンでは水分子とミセルの結合,それに伴う化学反応が促進され,全容積減少速度は速くなるが,吸水による膨脹はそれほど促進されないことがわかった。
    (3) 生ニンジン,乾燥ニンジンともに照射線量の増加に伴い全ペクチン,プロトペクチンが減少し,ペクテート,ペクチンの多少の増加が認められる。
    (4) 0.21Mradから1.7Mradの照射処理を行なったが,全試料,試験区間に有意な差は認められなかった。またクッキングタイムは0.25Mradで2/3, 1.0Mradで1/2に短縮できる。
  • (第5報)脱脂大豆の蒸気加熱による不溶化蛋白質成分について
    柴崎 一雄, 大久保 一良, 小野 武彦
    1969 年 16 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 1969/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    脱脂大豆の蒸気加熱処理による蛋白質各成分の挙動を検討するために,蒸気加熱(RH 100, 100℃)後,W, B,BM, BUMでの蛋白質の溶出率,同溶媒での段階溶出区分を調製し,デンプンゲル電気泳動法で検討した結果,W<B<BM<BUMの順に溶出率が増し,D>A>C蛋白質成分の順に不溶化することがわかった。また,BMでの溶出率に及ぼす尿素,グアニジン濃度の影響を調べた結果,尿素濃度の増加につれ,バンド1, 2, 3, 4>7, 8,9>5, 6>10の順に溶出した。これらの結果と各溶出溶媒の性質から蛋白質の不溶化について考察した。
  • 岡本 奨
    1969 年 16 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1969/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    蛋白質の変性度を簡易迅速に測定する目的で,大豆蛋白質を用いて,種々の程度に湿熱あるいは溶液加熱処理し,これらの変性蛋白質をDNP化し,赤外分光光度計によってDNP-NOの吸収/アミド-Iの吸収比を求め,変性の程度を判定する方法を考案した。その結果,
    (1) 固体の湿熱変性,溶液の加熱変性ともその変性度をDNP化度を目安として判定しうること
    (2) 蛋白質を凍結乾燥するとNSIは著しく低下するが,DNP化度からみると変性度が小さいこと(3) 凍結乾燥蛋白質は凍結乾燥の条件にもよるが,一般に湿熱変性を受けやすい状態になっていること
    (4) 分離蛋白質のみならず,他成分が混合している場合も適用しうることなどがわかった。
  • パン生地の条件†との関連における2, 3の性質について
    田中 康夫, 杉田 文江, 佐藤 友太郎
    1969 年 16 巻 1 号 p. 32-38
    発行日: 1969/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    マルターゼに対する食塩の影響を検討するとともに,パン生地の温度,pH,生地中に存在する糖類およびパン用改良剤の,マルターゼに対する影響について検討した。その結果はつぎのとおりである。
    (1) 中種生地の条件は,温度の点ではマルトース醗酵およびマルターゼの作用をかなり抑制する条件であり,pHの点ではマルトース醗酵にはやや高目であるが,マルターゼにとってはやや低目である。
    (2) シュクロース醗酵が5%までの食塩添加であまり影響を受けないのに対し,マルトース醗酵は食塩量の増大とともに著しい阻害を受ける。この影響をマルターゼとインベルターゼの酵素レベルで検討した結果,醗酵の場合とよく一致した傾向が認められ,マルターゼが著しく食塩の影響を受けやすいことがわかった。
    (3) KIO3, ADAのマルターゼ阻害作用は著しいが,KBrO3の影響はこの実験条件下では認められなかった。システイン,G・SHはいずれもマルターゼ活性を著しく増大した。
    (4) これらの酸化,還元剤の醗酵に対する影響はマルターゼの場合と異なり,システインが阻害的に働く反面,ADAは促進的に働く。これは生細胞の場合には,これらの影響がマルターゼにまで及んでいないためと考えられる。
  • ホルムアミドを溶剤とするカールフィッシャー法とフィルム法の比較
    室井 要, 堤 忠一, 小泉 英夫
    1969 年 16 巻 1 号 p. 39-41
    発行日: 1969/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 試料の溶解にホルムアミドとメタノールの2:1の混合溶剤を用いるKF法は,従来の方法より,迅速性,再現性,正確さにおいてすぐれている。キャラメルは55~60℃で溶解し,KF試薬で直接滴定し,所要時間25~30分で,相対誤差±0.1%で定量できる。飴菓子は常温で溶解し,直接滴定することにより,所要時間10~20分で,相対誤差±0.02%で定量できる。
    (2) フィルム法は,水銀柱20mmの減圧下,100℃で,キャラメルは2時間,飴菓子は4時間乾燥することにより,相対誤差±0.05%の正確さで定量できる。
    (3) KF法とフィルム法を比較した結果,両方法によるキャラメルの定量は,0.1%以内でよく一致した。しかし,フィルム法の飴菓子の定量値は,試料によってKF法よりも高く,飴菓子の水分は,KF法が正確であると考えられる。
  • 今戸 正元
    1969 年 16 巻 1 号 p. 42-49
    発行日: 1969/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 16 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 1969/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
feedback
Top