日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
16 巻, 11 号
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  • (第4報)金属塩類に対するリコピン懸濁液の安定性について
    竹花 秀太郎, 綾野 雄幸, 小倉 長雄, 中川 弘毅
    1969 年 16 巻 11 号 p. 493-498
    発行日: 1969/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    非イオン界面活性剤リポノックスNCIを用いてリコピン懸濁液を調製し,これに錫,銅,鉄の粉末およびそれらの塩類を加えて,これらの金属イオンの影響と光・熱の影響を調べた。その結果
    (1) 錫は光・熱によるリコピンの減少や退色を抑制する作用がある。これは吸光曲線の変化から,酸化によるリコピンのトランス-シス異性化を軽減するためと考えられる。
    (2) 銅はリコピンの変化に対してほとんど影響が認められず,吸光曲線も無添加のものとの間に変化はない。
    (3) 鉄はリコピンにかなり顕著な影響を与えている。すなわち,光線を遮断し,低温に放置した場合においても,リコピン含量の減少は顕著であり,吸光曲線はリコピンと異なった図形となり,極大吸収波長における吸光度の低下が著しい。ことに高温に放置した場合はリコピンの酸化が急速に進むものと考えられ,エポキサイドの生成,その異性化などの反応が進むものと推論される。
  • (第4報)C社煮豆工場の微生物について
    谷村 和八郎, 松本 信二, 早坂 薫, 浅利 喬泰, 三浦 二郎, 住江 金之
    1969 年 16 巻 11 号 p. 499-503
    発行日: 1969/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    C社煮豆製造工程中の各作業所における試料並びに工場周囲の土壌中の微生物について同定を行ない0それぞれの関連性を検討した。
    1. 落下菌については昭和41年5月より昭和42年1月までに採取した保存菌株を用いた。
    (1) 細菌はAzotobactor, Butyribactercum, Psedomous, Kurthiaの各属が主で,これらの菌は原料倉庫,選別所だけで80%以上も占めている。
    (2) カビは充填室の8.8%を除いては各個所とも約20%の割合で,Aspergillus属,Penicillium属がおもなものであった。
    (3) 酵母は僅少であるがTorulopsis属,Saccharomyces属などで,とくに選別所に多かった。
    (4) 耐熱菌はB. cereus, B. subtilisなどが主で,加工所に33.2%ともっとも多かった。
    (5) 月別分布では5, 6月と10月に多かった。
    2. 各製造場所別の試料中耐熱菌は,B. subtilis,ほか7種であった。
    3. 返品の原因が「糸引き」のものについては,何れもBacillus属で6種を分離した。これらは工場内落下菌中の耐熱菌と一致していた。「膨れ」についてはSaccharomyces属とTorulopsis属が分離された。
    4. 工場周囲の土壌中における微生物は東の道路側が最も多く,次に北の充填室側,西の松林側,南の原料倉庫側の順であった。
    (1) 総菌数中,細菌はBacillus属が一番多く,次にAzotobactor属,Butyribacterium属,Kurthia属などであった。
    (2) カビの大部分は不完全菌であつたが,そのほかにAspergillus属,Mucor属の順で,細菌や酵母とは異なり北の充填室側に多かった。
    (3) 酵母は僅少であった。
  • (第6報)分画された大豆3-sn-Phosphatidylcholine各フラクションの1位および2位の構成脂肪酸
    木村 繁昭, 柴崎 一雄
    1969 年 16 巻 11 号 p. 504-507
    発行日: 1969/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    硝酸銀薄層およびカラムクロマトグラフィーで分画された大豆3-sn-phosphatidylcholineの構成脂肪酸を異にする各フラクションの1位および2位の脂肪酸組成を検討した。この結果分画されたいずれのフラクションも1位は2位に比較して飽和脂肪酸に富み,さらに不飽和脂肪酸としてオレイン酸,リノール酸,リノレン酸が比較的多く含まれていることが明らかになった。いっぽう2位の構成脂肪酸は1位と比較してエイコサモノエン酸,エイコサジエン酸,エイコサトリエン酸,アラキドン酸のような高度不飽和脂肪酸が圧倒的に多いことが特異的であった。また従来3-sn-phosphaticlylcholineの1位は大部分が飽和脂肪酸,2位は大部分が不飽和よりなると報告されているが1位にも炭素数18の不飽和脂肪酸が比較的多く含まれており注目された。
  • (第1報)「男爵」および「島原」の照射時期と発芽率
    梅田 圭司, 高野 博幸, 佐藤 友太郎
    1969 年 16 巻 11 号 p. 508-514
    発行日: 1969/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    コバルト60・ガンマ線照射によるジャガイモの発芽防止効果について,“島原”および“男爵”を用いて照射時期と発芽率,重量減などを調べた。
    (1) “男爵”と“島原”では休眠期間が異なり,収穫後の貯蔵条件によって多少の変動はあるが,前者は約100日,後者は約45日ぐらいである。この休眠期間に照射するなら7Kradで両品種とも効果的に発芽を抑制することができる。ただし発芽直前のものは,7Kradでは完全に発芽を抑制することはできず,長期貯蔵中に芽を出すが,これもほとんど伸長しないので実際面では問題にならない。また15Krad以上ではほぼ完全に発芽を抑制する。
    (2) “男爵”“島原”ともに休眠期を過ぎて若干発芽し始めたものでも,7Kradで発芽した芽の伸長を押え,かつ新しい発芽を抑制できる。発芽した“男爵”の芽の長さが0.5~1.0cm程度あるものでも,7Kradで効果的にその芽の伸長および新しい発芽を押えることができる。15Kradでは一層強く,とくに新しい発芽を抑制するが,実用化を考えた場合7Kradと15Kradの間にそれほど大きな差はない。また0.5~1.0cm発芽した芽は,7~15Kradの照射で,芽の部分のみが腐敗するが,これはジャガイモ本体に悪影響を与えるものではない。
    (3) 照射後の貯蔵温度は1℃は低温障害を起すために不適当である。5℃貯蔵は重量減,発芽率の点で室温貯蔵よりもよい結果を与えているが,冷蔵コストを考慮に入れると実用化に際しては室温貯蔵で十分目的を達せられる。
    (4) このほか照射時期による重量減少率の変化,貯蔵温度による腐敗率の変化,テキストロメーターによる物性の変化,官能検査などを調べたが,いずれも照射による影響,線量間の差異は問題にならない程度である。
    以上の結果より,“男爵”“島原”の実用化に即した発芽抑制のためには,目的とする貯蔵期間を収穫後8ヵ月と設定して,休眠期間中または若干の発芽(0.5~1.0cm程度)状態までに照射するなら,7~15Kradの照射で十分目的を達することができる。
    以上の結果より,“男爵”“島原”の実用化に即した発芽抑制のためには,目的とする貯蔵期間を収穫後8ヵ月と設定して,休眠期間中または若干の発芽(0.5~1.0cm程度)状態までに照射するなら,7~15Kradの照射で十分目的を達することができる。
  • (第2報)「農林1号」の発芽抑制線量と照射が二次加工製品に与える影響
    梅田 圭司, 川嶋 浩二, 高野 博幸, 佐藤 友太郎
    1969 年 16 巻 11 号 p. 515-519
    発行日: 1969/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    北海道産ジャガイモ農林1号について収穫約1.5ヵ月後,放射線処理を行ない発芽防止効果と放射線処理が二次加工製品に及ぼす影響を調べた。
    (1) 7Krad処理により収穫後8ヵ月以上常温で貯蔵可能であった。5℃に貯蔵した場合,7Krad処理で,収穫8ヵ月後も発芽率は10%以下に押えられた。また収穫後約4ヵ月の0.5~1cm発芽したジャガイモは,7Krad処理常温貯蔵で芽の伸長を完全に押えられた。
    (2) 重量減は,5℃貯蔵では,処理区間に差がなく常温貯蔵では約5ヵ月後まではほとんど差がみられない。
    (3) 照射処理したジャガイモから二次加工製品(ポテトチップス)を製造した。官能検査の評点は,未照射区のほうがすぐれていたが,7Krad区と15Krad区間には,明らかな差異は認められなかった。また,ジャガイモは,5℃貯蔵より常温貯蔵するほうがポテトチップスの評価は高かった。
    (4) 生ジャガイモの還元糖量は,5℃貯蔵のほうが常温貯蔵よりかなり多くまた照射量とともにいくらか減少した。
    (5) ポテトチップスの油の色を比較したが,照射条件や貯蔵条件による明らかな差は認められなかった。
    (6) ポテトチップスを脱油後粉未化し,その色調を比較した結果5℃貯蔵のほうがより着色し,また線量の高いほど着色が進んでいた。すなわち,還元糖量の多少とポテトチップスの着色度とはかならずしも一致しなかった。
  • 松橋 鉄治郎
    1969 年 16 巻 11 号 p. 520-522
    発行日: 1969/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    S細寒天工場の4製造期ごとの製品につき,同時に測定した場合のゲルの融点とジェリー強度とは高度に有意な相関(p<0.001)を示した。また,融点の工場測定による品質管理の妥当性を述べた。
  • 松橋 鉄治郎
    1969 年 16 巻 11 号 p. 522-525
    発行日: 1969/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    長野県天然寒天(細寒天)2工場の本釜における寒天抽出状況を経時的に測定し,寒天濃度と所要抽出時間,pHおよびゲル融点の動向,酸濃度,2番抽出による寒天回収率など工程管理の基本に関する知見を得た。また,原藻の種類と相対的な必要酸量について吟味し,2番返し工程が,品質管理上の一大盲点であることを示唆した。
  • 伊奈 和夫, 森下 はるみ
    1969 年 16 巻 11 号 p. 525-528
    発行日: 1969/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 嗜好食品中のカフェインの定量をGLCによって検討した。
    (2) 従来法で抽出したカフェインをGLC,無極性溶媒,内部標準法でミリスチン酸エチルを用いて定量できた。
    (3) 精度,正確さは従来法に比して劣るが,定量時間の短縮化が可能である。
    (4) プリン塩基をTMSi化することでGLCにて定性確認できた。
  • 志水 寛
    1969 年 16 巻 11 号 p. 529-537
    発行日: 1969/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 16 巻 11 号 p. 538-542
    発行日: 1969/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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