C社煮豆製造工程中の各作業所における試料並びに工場周囲の土壌中の微生物について同定を行ない0それぞれの関連性を検討した。
1. 落下菌については昭和41年5月より昭和42年1月までに採取した保存菌株を用いた。
(1) 細菌はAzotobactor, Butyribactercum, Psedomous, Kurthiaの各属が主で,これらの菌は原料倉庫,選別所だけで80%以上も占めている。
(2) カビは充填室の8.8%を除いては各個所とも約20%の割合で,Aspergillus属,Penicillium属がおもなものであった。
(3) 酵母は僅少であるがTorulopsis属,Saccharomyces属などで,とくに選別所に多かった。
(4) 耐熱菌はB. cereus, B. subtilisなどが主で,加工所に33.2%ともっとも多かった。
(5) 月別分布では5, 6月と10月に多かった。
2. 各製造場所別の試料中耐熱菌は,B. subtilis,ほか7種であった。
3. 返品の原因が「糸引き」のものについては,何れもBacillus属で6種を分離した。これらは工場内落下菌中の耐熱菌と一致していた。「膨れ」についてはSaccharomyces属とTorulopsis属が分離された。
4. 工場周囲の土壌中における微生物は東の道路側が最も多く,次に北の充填室側,西の松林側,南の原料倉庫側の順であった。
(1) 総菌数中,細菌はBacillus属が一番多く,次にAzotobactor属,Butyribacterium属,Kurthia属などであった。
(2) カビの大部分は不完全菌であつたが,そのほかにAspergillus属,Mucor属の順で,細菌や酵母とは異なり北の充填室側に多かった。
(3) 酵母は僅少であった。
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