温度制御のできる実験室規模のほうじ機を試作し,焙焼条件がほうじ茶の品質および化学成分に及ぼす影響を検討し,次の結果を得た。
(1) 茶の品質からみて,ほうじ茶の焙焼条件としては,ほうじ機のドラム内壁温度160~180℃で焙焼するのがよいようであった。
(2) 茶を焙焼することによってタンニン,可溶分およびビタミンCが減少し,とくにビタミンCの減少が著しく,ほうじ茶として品質のよいものはビタミンCの残存率が50~55%であった。
(3) カテキン類の組成をペーパークロマトグラフイーで調べた結果,焙焼することによって煎茶に含まれていた4種の主要カテキン類が減少し,ほうじ茶特有のポリフェノール類が3~4個生じていた。
(4) Head space vaporをガスクロマトグラフィーで調べた結果,ほうじ茶特有のピークが数種類認められたが,同成分を同定するまでにはいたらなかった。
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