日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
16 巻, 6 号
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  • (第3報)凍結乾燥食品における香辛料と野菜の抗酸化性について
    藤尾 秀治, 日吉 明, 浅利 喬泰, 住江 金之
    1969 年 16 巻 6 号 p. 241-246
    発行日: 1969/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    凍結乾燥食品に配合される香辛料と野菜類の抗酸化効果を知るため,ラードとCMCからなるモデル食品および豚肉にそれぞれマスタードなど6種の香辛料精油およびそれらの主要精油成分12種,ネギ,ニンニク,ショウガの3種を別個に加えて凍結乾燥した試料を保存し,その間における酸化の動向を求めた。また,ネギ,ニンニク,ショウガは上記のように混合せず同一乾燥室内で分置乾燥したモデル食品および無処理の凍結乾燥肉に乾燥ネギなどをそれぞれ同封保存したものについても上記と同様に実験を行なった。
    (1) 香辛料精油では,クローブ,タイム,ナッツメッグなどに強い抗酸化性を認め,ペッパー,マスタードにはほとんど認められなかった。
    (2) 香辛料に含まれる各種精油成分の抗酸化性は,チモール,オイゲノールなどのフェノール系化合物が強く,リナロール,シネオール,カンフェンなどは弱かった。
    (3) ニンニク,ネギの揮発成分は,分置乾燥した場合にも移行によると思われる酸化抑制効果が認められ,かつ,同封保存の場合には,さらにその効果は強く,とくにニンニクにおいて顕著であった。また,,これらの揮発成分のうち,ニンニクのアリルジサルファイド,およびネギのアリルサルファイドを混入した場合,著しい抗酸化性が認められた。
    (4) ショウガを分置乾燥した場合は,ほとんど酸化抑制効果が認められなかったが,同封保存の場合には,かなりの効果を示した。また,ショウガの辛味成分であるジンゲロン,ショーガオールを混入した場合,著しい抗酸化性が認められた。
  • 深津 修一, 原 利男
    1969 年 16 巻 6 号 p. 247-251
    発行日: 1969/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    貯蔵温度,茶の水分,包装容器内の酸素含量などが茶の品質およびアスコルビン酸含量などにどのような影響を与えるかを明らかにするため,L32直交表にこれらの因子をわりつけ,茶の貯蔵試験を行ない,その結果を統計的に解析し,次の結果を得た。
    (1) 茶の表面色のかっ変には温度および水分の影響が大きく,この実験の範囲内では容器内の酸素量はほとんど影響が認められなかった。
    (2) 香気の変化には温度および水分の影響が大きく,ついで酸素もかなり大きく影響していた。
    (3) 浸出液の色および味の変化には,温度および水分の影響も大きいが,酸素の影響も香気の場合よりは大きく現われた。
    (4) アスコルビン酸含量の変化は浸出液の色および味の変化によく一致し,温度および水分の影響も大きいが,酸素の影響もかなり大きかった。
  • 中川 致之
    1969 年 16 巻 6 号 p. 252-258
    発行日: 1969/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 上級,中級,下級煎茶,玉露の1煎,2煎,3煎液を調製し,15人のパネルによる滋味の評価を行なったところ,5%の有意水準で玉露,上級,中級煎茶の1煎がうまいこと,3煎はすべてまずいこと,上級煎茶の2煎はうまいと考えられることが判明した。
    (2) 個々のパネルの評点についてみると,判定ミスではないかと思われるばらつきがみられたが,総合した結果ではきわめて妥当な線が得られた。また,パネルの滋味評価を全体的にみると一致度が高かった。
    (3) われわれがうまいと思う煎汁は,カテキン,アミノ酸類,カフェインを多く含み,しかもアミノ酸類の比率の高いものであることが認められた。
    (4) 従来,緑茶の滋味に悪い効果を与えるといわれていたエステル型カテキン(ガレート)は,通常およびそれ以下の濃度の煎汁では,滋味を高めることが示された。
    (5) 原料の茶と,その煎汁の化学成分組成は,一般によく似ているが,カテキンの浸出状況にはばらつきがあった。
  • 梶田 武俊, 千田 貢
    1969 年 16 巻 6 号 p. 259-265
    発行日: 1969/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    AAおよびEAの分解に及ぼす(Fe3+イオンの)影響について検討し,次のごとき結果を得た。
    (1) AAまたはEA水溶液にFe3+を溶かしたHCl溶液を触媒液として加え,これにO2をふき込みながら反応させると,EAはAAよりも分解が速く,反応20分後に約76%の差を生じ,この差には再現性のあることを認めた。
    (2) AAまたはEAのFe3+イオンによる触媒酸化は,反応液のpHによって強弱があり,pHが低下するに従って分解はすみやかとなり,触媒活性は大となる。しかし触媒なしでは,たとえ反応液のpHが低下しても分解はほとんど進行しないことを認めた。
    (3) 共存する塩類が,AAまたはEAの分解に及ぼす影響について検討したところ,イオン濃度が高くなると,AA, EAとも幾分分解は阻害された。
    (4) AAまたはEAの濃度変化と残存率との関係をみたところ,両酸とも高濃度となるに従って,残存率もわずかに増加する傾向がみられた。なお,混合割合と残存率との間には,一定の濃度範囲内では直線的関係が成立することを認めた。これらの結果よりみて,この分解差を利用して,ある範囲内でAAとEAの同時定量が可能と考えられる。
  • 中川 致之
    1969 年 16 巻 6 号 p. 266-271
    発行日: 1969/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 外国産および国産紅茶の高,中,下級品35点についてテアフラビン,テアルビジンの分析と官能検査を行なった結果,テアフラビン含量と水色,滋味の間に高い相関関係のあることが認められた。ただし滋味との関係は間接的なものと考えられる。
    (2) 紅茶中のテアルビジン含量は高級品でも下級品でもほとんど差がなく,テアフラビンに対するテアルビジンの比率の高いものは一般に品質がよくなかった。
    (3) テアフラビン,テアルビジンに対する水色の重回帰式から計算した値と水色審査評点のずれが小さいことから,主としてこの2者によって水色が支配されていると考えられた。
  • (第2報) リン脂質の自動酸化生成物;カルボニル化合物について
    柴崎 一雄, 木村 繁昭
    1969 年 16 巻 6 号 p. 272-276
    発行日: 1969/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    凍豆腐は長く保蔵すると褐変しまた強い変敗臭を発生し,リン脂質はわずかにphosphatidylcholineのみが検出されるにすきずほとんど完全に分解していた。
    分解物がいかなるものか明らかにするため,リン脂質の自動酸化生成物についてまずカルボニル化合物を検討した結果,n-alkanalとしてethanal (acetaldehyde)が同定されカルボニル化合物中でもっとも多かった。2-alkenalは3種類検出され,そのうちの1種類は2-bute-nal (crotonaldehyde)と同定され,他は炭素数5以上のものと考えられた。2-alkanoneは3種類検出され,そのうちの2種類は2-nonanone, 2-octnoneと同定され,他は炭素数10以上のものと考えられた。dienalは1種類が検出された。
  • (第3報) リン脂質の自動酸化生成物;揮発性脂肪酸,アルコール類について
    柴崎 一雄, 木村 繁昭
    1969 年 16 巻 6 号 p. 277-281
    発行日: 1969/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    リン脂質自動酸化生成物として揮発性脂肪酸およびアルコール類についてガスクロマトグラフィー,TLCで検討した。この結果揮発性脂肪酸として酢酸,プロピオン酸,イソ-酪酸,酪酸,バレリアン酸が同定され,酢酸が全体の94%と圧倒的に多かった。いっぽうアルコール類としてメタノール,エタノール,プロパノール,イソ-ブタノール,ブタノール,イソ-ペンタノール,ペンタノールが同定され,エタノールが全体の98%以上で圧倒的に多かった。
  • 梶田 武俊, 堤 喜代子, 富永 育子
    1969 年 16 巻 6 号 p. 282-283
    発行日: 1969/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    3種の展開溶媒について検討した結果,ベンゼン系とアセトニトリル系の場合は,一次元法ではAAとEAの分離は不能で,メチルエチルケトン水飽和液のみ分離確認を行なうことができた。しかし展開時間は,ベンゼン系およびアセトニトリル系に比し多少,長い時間を要した。なお,メチルエチルケトン水飽和液を展開溶媒とし,AAおよびEAの濃度変化による分離度を調べたところ,分離限界の濃度範囲は,30~75mg%であり,分離能などの点から最適濃度は40~50mg%であった。
    従来のペーパークロマトグラフ法では,展開に約5時間を要するが,本法によると約2時間に短縮することができた。
  • 1969 年 16 巻 6 号 p. 285-288
    発行日: 1969/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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