日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
17 巻, 10 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • (第1報)白粉中の糖類と生成条件について
    中嶋 昭雄
    1970 年 17 巻 10 号 p. 431-436
    発行日: 1970/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    蒸し切り干しいもの表面に着生する白粉は,原料甘しょ中のでん粉の水解物であり,最終生成物であるぶどう糖などの単糖類およびペクチン質系の多糖類であるとの推定で実験を行なった。要約すると次のとおりである。
    (1) 赤外線吸収スペクトル法その他により,白粉中の糖類は麦芽糖であることを確認同定した。
    (2) 白粉着生とβ-アミラーゼ活性は直接,平行関係は認められなかった。
    (3) 3種の品種については,関東22号が,色沢,食味とも良好であり,次に関東54号である。
    (4) 白粉着生には,貯蔵温度は5, 15, 30℃のうち15℃が最適であり,半製品は25~30%の含水量がよく,これらは蒸し切り干し製造の要因となっていることを知った。
  • (第1報)分離菌の同定とその性状
    小川 敏男, 青木 睦夫, 小崎 道雄
    1970 年 17 巻 10 号 p. 437-442
    発行日: 1970/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    湧きの発生した,たくあん漬小袋の漬液より,変質に関与すると思われる酵母6株,細菌1株を分離し,酵母については同定を行ない,これらの菌の耐塩,耐熱およびソルビン酸に対する耐性を試験して次の結果を得た。
    (1) LODDERらの方法により酵母を同定したが,産膜性のものは,Hansenula anomalaで,湧きに関与するものとしては,2株は,明らかにTorulopsis sakeとみなされ,他の3株は,Torulopsis属で,T. sakeに類似のものであった。細菌は乳酸菌と思われた。
    (2) 分離したH. anomalaとT. Sakeは18%,細菌は17%以上の食塩濃度で阻止され,T. sakeについて,ワールブルグ検圧計により,ガス発生量をみたが,塩分濃度が低いほど発生量多く,17%以上では全く発生がなかった。
    (3) 酵母は,55℃ 30分,60℃ 20分,65℃ 10分で,乳酸菌と思われるものは,50~55℃ 20分,60℃10分の加熱処理で発育をみなかった。
    (4) これらの菌に対するソルビン酸の抗菌性は,培地のpH,塩分濃度により左右され,pHが低く,塩分が高い程発育阻止効果が認められた。
  • 井戸 豊, 今関 英雅, 瓜谷 郁三
    1970 年 17 巻 10 号 p. 443-446
    発行日: 1970/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 西洋ワサビ結晶ペルオキシダーゼ(HRP)を用いて,酸素電極による酸素吸収から,種々の基質によるオキシダーゼ活性を調べたところ,sulfite, IAA, OAAが,この順序で触媒されることがわかった。
    (2) サツマイモ組織から抽出した粗ペルオキシダーゼ標品についても,同じようにsulfite, IAA, OAAを基質として触媒することが確かめられたが,sulfiteに対する活性の強さがHRPと異なっていた。
    (3) 微量のエチレン存在下で,サツマイモ組織薄片を放置することにより,ペルオキシダーゼが形成された。そのさい,オキシダーゼ活性もペルオキシダーゼ活性も24時間前後から増加した。
    また,経時的に調べたところ,前者が後者よりも増加が大であった。
  • 東野 哲三
    1970 年 17 巻 10 号 p. 447-450
    発行日: 1970/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) ナガイモのメタノール抽出液について,2次元ペーパークロマトグラフィーを行なった結果,ドーパーミンおよびタンニン類を検出した。
    (2) 抽出液をAmberlite CG 120樹脂のカラムに添加し,pH 7のリン酸緩衝液を流下してドーパーミン以外のポリフェノール成分を溶出させたのち,樹脂を塩酸にて抽出し,抽出液を濃縮後結晶を分離した。結晶はRf値,m.p.,呈色反応,元素分析値,紫外部および赤外部吸収スペクトルなどすべてドーバーミン塩酸塩と一致した。
    (3) ナガイモより粗酵素液を調製し,その性質を調べた結果,ポリフェノールオキシダーゼは分離したドーパーミンに対して,とくに高い活性を示した。
    以上から分離された結晶はドーパーミンであり,これがナガイモの酵素的褐変の主基質と考えられるが,検出された他のポリフェノール成分も,これに関与してナガイモの黒褐色変色を起こすものと推定される。
  • 萬田 芙美, 佐藤 和夫, 福田 佐和子, 金田 尚志
    1970 年 17 巻 10 号 p. 451-455
    発行日: 1970/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    牛乳中のphospholipaseについてはまったく知られていないが,牛乳オフフレーバーの発生に本酵素が関与しているのではないかと考え検討を行なったところ,つぎの結果が得られた。
    (1) 牛乳を一定条件のもとに放置すると,lysophosphatidylethanolamineが増加し,牛乳中にphospholi-paseの存在が認められた。
    (2) 本酵素は,牛乳そのものに含まれるものではなく,牛乳中に繁殖した細菌より出される。
    (3) 牛乳を放置してもlysophosphatidyl cholineの増加は認められず,lysophosphatidyl ethanolamineのみを生ずるところから,本phospholipaseはphosphatidylethanolamineにのみ作用するという基質特異性を有すると思われる。
  • (第2報)大豆乳の添加が乳業用乳酸菌の酸生成とヵードにおよぼす影響
    山中 良忠, 古川 徳
    1970 年 17 巻 10 号 p. 456-461
    発行日: 1970/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆乳と脱脂乳を混合した発酵乳製品よう食品の製造に関する基礎的条件の検討を行った。
    (1) 脱脂乳と大豆乳を混合し,63°, 75°および80℃でそれぞれ30分,15分,5分間の加熱処理をしたのちの粘度は大豆乳の割合が50~60%でもっとも高く,75℃と80℃との加熱による粘度差が他の加熱に比べ大であった。
    (2) しょ糖の添加は63℃と75℃との加熱による粘度の差を大きくし,80℃での粘度を低下させた。
    (3) 乳酸菌による酸生成は大豆乳の割合が60~75%で高く,ぶどう糖の添加によりLactobacillus属の酸生成を促進した。また,しょ糖の添加ではL. acidophilusでこの傾向が認められたのみであった。
    (4) 大豆乳のみではStr. faecalis, str.thermophidusおよびStr. lactisで酸生成が認められた。
    (5) カードの硬度は大豆乳の混合割合が20~30%で低く,65~75%で高い値を示し,ぶどう糖の添加はLactobacillus属をスターターとして用いたとき高くなり,しょ糖では全ての菌種において低い値を示した。
  • (第8報) 追熟加工の方法と果実の品質
    邨田 卓夫
    1970 年 17 巻 10 号 p. 462-466
    発行日: 1970/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    近年陸上のおかむろを利用したバナナの追熟加工が増加する傾向にある。このおかむろによる加工法と旧来の地下むろによる加工法について検討しバナナ(Musacavendishii, cv cavendish)の品質との関係を論じた。
    (1)地下むろの追熟加工の条件は温度17~21℃,相対湿度82~95%,エチレンガス4,400~4,700ppmで,おかむろは14~19℃, 80~90%, 2,950~3,250ppmであった。
    (2) 上の条件では地下むろの果実のほうがでん粉の糖化速度が早く,出庫当日全糖含量は地下むろの13.9g/100gに対し,おかむろは12.1g/100g, 4日目にそれぞれ15.7g/100g, 13.1g/100gであった。また滴定酸度についても地下むろのバナナのほうが高いことが観察された。
    (3) 出庫後保蔵期間のバナナの品質について果実の外観と食味を官能検査によって評価したところ,保蔵期間を通じて外観,食味とも地下むろのバナナの方が高い評点を得た。
    両加工法のバナナの品質に差異が生じる原因として本研究の範囲内では冷却送風法の差異が大きく影響すると考えられ,この点おかむろによる加工法では今後検討を要することが示唆された。なお追熟加工中のむろの換気の時期はむろ内の炭酸ガス濃度をメルクマールにすれば非常に容易に判断できることがわかった。
  • 吉川 誠次, 木村 進, 西丸 震哉, 宮崎 基嘉, 田村 真八郎, 加藤 清昭, 石間 紀男
    1970 年 17 巻 10 号 p. 467-482
    発行日: 1970/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1970 年 17 巻 10 号 p. 483-484
    発行日: 1970/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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