湧きの発生した,たくあん漬小袋の漬液より,変質に関与すると思われる酵母6株,細菌1株を分離し,酵母については同定を行ない,これらの菌の耐塩,耐熱およびソルビン酸に対する耐性を試験して次の結果を得た。
(1) LODDERらの方法により酵母を同定したが,産膜性のものは,Hansenula anomalaで,湧きに関与するものとしては,2株は,明らかにTorulopsis sakeとみなされ,他の3株は,Torulopsis属で,T. sakeに類似のものであった。細菌は乳酸菌と思われた。
(2) 分離したH. anomalaとT. Sakeは18%,細菌は17%以上の食塩濃度で阻止され,T. sakeについて,ワールブルグ検圧計により,ガス発生量をみたが,塩分濃度が低いほど発生量多く,17%以上では全く発生がなかった。
(3) 酵母は,55℃ 30分,60℃ 20分,65℃ 10分で,乳酸菌と思われるものは,50~55℃ 20分,60℃10分の加熱処理で発育をみなかった。
(4) これらの菌に対するソルビン酸の抗菌性は,培地のpH,塩分濃度により左右され,pHが低く,塩分が高い程発育阻止効果が認められた。
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