日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
17 巻, 6 号
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  • (第5報)鉄イオンによる発色
    中林 敏郎
    1970 年 17 巻 6 号 p. 231-236
    発行日: 1970/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    鉄イオンによるタンニンや低分子ポリフェノールの発色について検討した結果,
    (1) 発色は第2鉄イオンによって起こり,アスコルビン酸で第1鉄イオンの酸化を防止,または第2鉄イオンを還元すれば発色しない。
    (2) タンニンやポリフェノールの種類によってその発色の可視部吸収スペクトルのλmax・と吸光度は異なり,pHの影響を強く受ける。また温度が高いほど発色は強くなるなどの理由から,この反応はタンニンの一般的な定量法には適しない。
    (3) ミカン,ブドー酒などクエン酸や酒石酸といったキレート能をもつ多塩基性酸を多く含む食品は鉄イオンで発色しにくい。
    (4) 発色防止剤としてのキレート剤が有効に作用するpH領域は,キレート剤の種類によって著しく異なり,その防止能にも差がある。
    またこれらの実験結果からタニンを含む食品の鉄イオンによる発色は,アスコルビン酸の添加,多塩基性酸を用いるpHの低下,およびその食品のpHで作用するキレート剤の使用によって充分に防止できるものと考えられる。
  • (第2報)缶詰かきの緑色色素の分離と物理化学的性質(2)
    長田 博光, 大塚 滋
    1970 年 17 巻 6 号 p. 237-241
    発行日: 1970/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    缶詰かきの緑色色素をシリカゲルカラムクロマトグラフィー,セファデックスLH-20によるゲル濾過,キレート剤およびペーパークロマトグラフィーにより精製し,石油エーテル,エーテル,アセトンおよびクロロホルムにて分別した結果5成分に分けられた。これらの色素の可視および赤外線吸収スペクトル,薄層クロマトグラフィーのRf値,溶剤に対する溶解性ならびに構成元素について調べた結果,緑色色素1と2はほぼ同一の色素であり,緑色色素4と5も同一であると考えられるので,缶詰かきの緑色色素は三成分より成り,それらはクロロフィルの誘導体であろうと考えられる。
  • (第7報)現行加工法における2, 3の問題点に対する考察
    真部 孝明
    1970 年 17 巻 6 号 p. 242-246
    発行日: 1970/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    現行のクリ加工工程における2, 3の問題点について検討し,得られた結果を要約すると次のようになる。
    (1) 手剥ぎにおいて果肉歩留りの高いものは,第1図における3の部位を除く厚みをできるだけ少なくし,全体をほぼ均一な厚みで除いた場合に集中しており,1,2の部位の厚みは歩留りにあまり大きな要因となっていないことを知った。
    (2) 手剥ぎ歩留りは全果に対してよりも果肉量に対して比較するほうが加工技術上からは,より適確であると考えられる。またクリ果を球形とみなして果肉の表層除去厚みを検討すると品種間でかなりの差が認められ,剥皮技術の改善の余地の多少が判定できた。
    (3) 予備加熱における果肉内からのガス発生量は温度の上昇とともに増加するが,50~60℃間の差が大きく,脱気の目的からは65~65℃が適当であると考えられる。
  • (第8報)薬品による渋皮および果肉表層剥離に対する試み
    真部 孝明
    1970 年 17 巻 6 号 p. 247-251
    発行日: 1970/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    クリ甘露煮製造工程中の渋皮剥離について現在の手剥ぎ方法に形態的に近い方法を見い出す目的で,薬品処理によって渋皮のみならず果肉最外層をも併せて除く方法を検討した。本報で得られた結果を要約すると次のようになる。
    (1) まず果肉各部位の成分の相違をみるためにクリ果肉を外層,中層および内層に3分割してそれぞれの部位の成分を分析した。その結果,表層ほど水分少なく,その他の成分は高い傾向にあり,ことにでんぷん,全窒素および灰分含量は明らかに表層に向うに従って多かった。
    (2) 渋皮とともに果肉の表層を除くには過塩素酸,塩酸および硝酸の3種の鉱酸が有効であったが,処理温度を50℃以下にする必要があり,53℃を超えると表層の硬化が起こり,表層除去が不可能となる。渋皮とともに表層を酸を用いて除去するための条件として,酸濃度2%, 50℃,約30分処理して渋皮を除き,同条件で約15分処理して表層を除くのが適当と考えられた。
    (3) 酸による表層除去に当たっては形態からみて,全果に対する歩留りを60%以下にする必要があると思われる。
    (4) 酸処理を行なうと果肉が硬化しやすい傾向があり,pHの低下と果肉の硬化は水溶性蛋白質が一部関与しているものと推察された。したがって本法で処理した果肉を軟化させる方法をさらに検討する必要がある。
  • 渡瀬 峰男
    1970 年 17 巻 6 号 p. 252-256
    発行日: 1970/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    弱酸性濃厚ペクチン溶液中に常温でアルコールを拡散させてゲル化した試料ゲルについて,鎖式応力緩和計を用いて応力緩和実験を行なった。ペクチン5.4~8.5%の濃度範囲の5種の試料ゲルについて,約9.0~25℃の温度範囲で2時間までの緩和曲線を求めた。
    これらの緩和曲線を3個のMaxwell模型を並列にした力学模型で解析した。その結果,15℃における瞬間弾性率E0および弾性定数E1の濃度依存性は,それぞれペクチン濃度の1.7乗,1.8乗に比例する。最長緩和時間τ1はペクチン濃度に依存することなくほぼ同じ値を示した。τ1およびE1の温度変化から求めた見かけの活性化エネルギーΔH1およびΔH1'はペクチン濃度に関係なくほぼ7kcal/molおよび8kcal/molを示した。
  • 高橋 重作
    1970 年 17 巻 6 号 p. 257-259
    発行日: 1970/06/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    豚の肝臓単用,または小腸との混用による塩辛の調製法は次のように要約される。
    (1) 肝臓磨砕物に,肝臓切片または小腸磨砕物を種々の割合に配合して塩辛の基質とし,これらの基質100g当り20gの食塩を添加し,発酵のため毎日1~2回かくはんしつつ30℃で7日間保ち,最後に,トキソプラズマ症予防のため65℃で50分間の低温殺菌を行なった。
    (2) 総計22の塩辛試製品中で,肝臓56%,小腸24%,食塩16%,およびショ糖4%からなる塩辛が風味のうえでもっとも好ましいことを確かめた。
    (3) 低温殺菌などによる塩辛のカッ変を改善するために,フロキシンの5~7ppmの添加がもっとも有効であった。
  • 西内 豊道, 進賀 允一
    1970 年 17 巻 6 号 p. 260-262
    発行日: 1970/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食品添加物としてのCMCの作用は,無水グルコース単位における各水酸基へのカルボキシメチル基(CM基)の分布に関係することが多いので,溶媒法で製造する場合のセルロースの第1級および第2紙水酸基の反応性を検討するために,種々のエーテル化度(DS)のCMCのNaIO4による酸化生成物の酸化度(ジアルデヒド基量)を定量した。
    その結果,すくなくとも本反応条件ではDSが大体1.0付近までは主としてセルロースの第1級水酸基がCM化されるが,DSが0.9付近から第2級水酸基も反応をうけるようになり,さらに1.1以上になるともっぱら第2級水酸基が反応することが考えられる。
  • 食品添加物と問題点
    石居 昭夫
    1970 年 17 巻 6 号 p. 263-273
    発行日: 1970/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1970 年 17 巻 6 号 p. 274-277
    発行日: 1970/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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