日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
18 巻, 12 号
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  • (第5報) 電子線照射による温州ミカン果皮のカロチノイドパターンの撹乱とカロチノイドへの2-14C-mevalonic acidの取込におよぼす影響
    梅田 圭司, 川嶋 浩二
    1971 年 18 巻 12 号 p. 557-562
    発行日: 1971/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    柑橘のカロチノイド生合成に関する研究手段として,電子線照射によるカロチノイドパターンの攪乱,維管束部よりの標識化合物導入法が可能かどうか,また標識化合物の導入を電子線照射の前後のいずれに行なうのが妥当かを検討した。
    2.5Mrad照射した果皮の全カロチノイドは照射直後に約40%低下したが,その後徐々に増加して2日目以降のカロチノイドの増加率は未照射と同じである。これに対し12.5Mrad照射したものは放射障害の回復が遅れ,全カロチノイドの増加率も未照射,2.5Mradより低く,照射後8日目でも全カロチノイドの量は照射前より少ない。
    照射後の時間経過に伴うカロチノイドパターンの変化は2.5Mradも12.5Mradもほぼ同じである。照射直後のカロチノイドパターンは未照射と同じで,2日目からDD1, DD2の減少と,5日目からD, DM1の増加が目立つ。結局,照射によつて起こる変化はDDの極端な減少,MMの減少,D, DM, Pの増加であり,H, Mはほとんど変化をうけない。
    果皮のカロチノイドへの2-14C-MVAの取込みは,ミカン果梗部の維管束部から吸収させた。取込速度は速く,1, 3, 12日目では1日目の取込量が最も多く,以後急速に減少した。各カロチノイドグループへの取込量,取込速度,減衰速度はそれぞれ異なる。また電子線を2.5Mrad照射したミカン果皮のカロチノイドへはMVAは取込まれず,照射処理によってMVAのカロチノイドへの取込みは阻止されるものと考えられる。
  • (第9報) クリ果の脂質について
    真部 孝明, 児玉 雅信, 別所 康守
    1971 年 18 巻 12 号 p. 563-568
    発行日: 1971/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    クリ果の脂質を表層果と表層除去果に分割し,遊離脂肪酸,中性脂肪および燐脂質の3画分における,構成脂肪酸組成ならびに不ケン化物の検討を行った。
    (1) ケン化物の構成脂肪酸組成はいずれの画分においても,両部位とも,linoleic, palmitic, o1eicおよびlinolenic acidが大部分を占めていたが,全脂肪酸に対する比率としては表層果のoleic acidの占める率が高かった。表層除去果では中性脂肪画分の割合が高かったが,表層果では3画分の比率がほぼ等しかった。表層除去果肉の方が不飽和脂肪酸の比率が高いことを認めた。
    (2) 全脂質に対する表層果および表層除去果の不ケン化物の比率はそれぞれ40%および34%で表層果の方が多かった。不ケン化物中にはパラフィン系炭化水素およびβ-sitosterolを含む植物ステロールが認められた。
  • (第4報) 揮発性有機酸およびテルペンについて
    門田 利作, 中村 武彦
    1971 年 18 巻 12 号 p. 569-573
    発行日: 1971/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 日向夏の揮発性有機酸はピーク数15個のうち,蟻酸,酢酸,プロピオン酸,イソ-酪酸,n-酪酸,イソ-吉草酸,n-カプロン酸,n-エナント酸,n-カプリル酸,n-ペラゴン酸およびn-カプリン酸の存在を認め,かつ酢酸とn-カプロン酸が主成分であり,全体の約40%を占めている。これに対してレモン,グレープフルーツおよびオレンジではプロピオン酸,n-カプロン酸,n-ペラゴン酸含量が比較的多かった。
    (2) 日向夏のテルペン化合物についてはピーク数8個のうちα-ピネン,β-ピネン(ミルセン),α-フェランドレン,α-テルピネン,γ-テルピネン,P-シメン,d-リモネンの9成分を同定し,このうちd-リモネンの含量が約90%である。これに対してレモンのd-リモネン含量は著じるしく低い値(約63%)を示した。
  • (第6報) 果汁清澄化促進因子の精製と各基質に対する作用力について(1)
    福井 尚之, 野村 男次
    1971 年 18 巻 12 号 p. 574-582
    発行日: 1971/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) ヒイロタケセルラーゼ剤中の清澄化促進因子の精製を試み,精製には硫安塩析,DEAE-Sephadex A-50,G-200,Duolite A-2による処理が有効であることを認めた。
    (2) ヒイロタケセルラーゼ剤中に存在する柑橘果汁清澄化促進因子には分子量の小さい,耐酸性のキシラナーゼが含まれており,同時にムギワラヘミセルロースDを酸性領域においてよく分解する耐酸性ヘミセルラーゼの共存が要求された。
    (3) これは夏みかんじょう嚢や果汁中のヘミセルロース,柑橘ペクチン中のアラバンなどにも酸性領域でよく作用したが,これが前記のヘミセルラーゼやキシラナーゼなどと同一の酵素によるものか,アラバナーゼなど他の酵素によるものかまだ明確になしえていない。
  • (第1報) レシチン添加の効果
    新谷 勲, 守瀬 恵美子, 今村 正男, 岡田 正和, 松本 太郎
    1971 年 18 巻 12 号 p. 583-588
    発行日: 1971/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    硬化大豆油,硬化パーム核油,牛脂および豚脂にレシチンを1~10%添加して,10および30℃に熱処理し,上昇融点,S.F.I.,ポリモルフィズムおよび電子顕微鏡による表面の結晶成長の観察を行なったところ,つぎのような結果を得た。
    (1) 硬化大豆油の上昇融点はレシチン添加量の増加に従って高くなるが,硬化パーム核油は逆に低くなった。しかし牛脂,豚脂は添加による影響がほとんどみられなかった。
    (2) S.F.I.の熱処理中の変化についてみると,硬化大豆油はレシチン添加量の多いほど変化が大きく,硬化パーム核油は変化しなかった。動物脂は添加による影響がわずかであった。
    (3) X線回折の結果,硬化大豆油はレシチン添加量の多いほど転移が速く,硬化パーム核油は逆であった。牛脂,豚脂は添加による差がほとんど見られず,上昇融点,S.F.I.の傾向と対応することができた。
    (4) 電子顕微鏡で結晶表面を観察した結果,硬化大豆油はレシチン添加量の多いほど結晶成長が顕著であるのに対し,硬化パーム核油はほとんど結晶が観察されなかった。
    牛脂は結晶表面が平らで,レシチンを添加してもほとんど影響をうけず,油脂と乳化剤との相互作用が認められなかった。
  • (第2報) リンゴ酸モノグリセリドエステル,ソルビタンモノ脂肪酸エステル添加の効果
    新谷 勲, 守瀬 恵美子, 今村 正男, 岡田 正和, 松本 太郎
    1971 年 18 巻 12 号 p. 589-594
    発行日: 1971/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    硬化大豆油,硬化パーム核油,牛脂および豚脂にリンゴ酸モノグリセリドエステル,ソルビタン脂肪酸エステルを1~10%添加し,30℃に熱処理したものについて結晶成長への影響について検討した。
    (1) 硬化大豆油にソルビタン脂肪酸エステルを添加すると結晶成長を促進し,リンゴ酸モノグリセリドエステルを添加した場合は逆に成長抑制効果がみられた。
    (2) 牛脂,豚脂にこれらの乳化剤を添加しても結晶成長にほとんど影響を与えず,融点,S.F.I.もほとんど変化しなかった。
  • 1971 年 18 巻 12 号 p. 595-600
    発行日: 1971/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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