脱脂大豆の60%エタノール抽出液をアセトンで沈殿させたものを,SephadexG-100ゲル濾過とDEAE-SephadexA-25カラムクロマトグラフィーで分離し,F
1,F
2,F
3-I,F
3-II,F
4およびF
5の6種類のトリプシンインヒビターとF
3-II,F
4およびF5の3種類のα-キモトリプシンインヒビターをえ,F
4インヒビターについて諸性質を調べた。
(1) F
4インヒビターは電気泳動的,超遠心的に均一であり,トリプシンおよびα-キモトリプシンを強力に阻害した。
(2) 分子量は8000,沈降係数は1.85だった。
(3)N末端アミノ酸はアスパラギン酸,C末端は,ーグルタミン酸-アスパラギンのアミノ酸配列をなしていた。
(4) 熱に耐して非常に安定であり,酸性溶液を100℃で20分加熱しても,酵素阻害活性は低下しなかった。
(5) トリプシンとα-キモトリプシンとでは阻害作用機作が異なった。
(6) トリプシンとの反応はpHおよび塩濃度の影響を強くうけた。
(7) F
4インヒビターの諸性質は,Bowman-Birkインヒビターおよび1.9Sインヒビターとよく一致した。
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