日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
19 巻, 3 号
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  • (第11報)キチンによるタンニンの吸着
    中林 敏郎, 牧田 輝夫
    1972 年 19 巻 3 号 p. 111-116
    発行日: 1972/03/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    不溶性除タンニン剤としてのキチンのタンニン吸着能を検討した結果を要約すれば次のようである。
    (1) 除タンニン率はpH3~7の間ではpHの影響をあまり受けないが,高温ほど低下する。また食塩は吸着を促進するが,蔗糖とエタノールは阻害する。
    (2) キチン量の相対的な増加に伴って除タンニン率は増加するが,水溶性除タンニン剤にみられたような一定の関係は成立しない。
    (3) キチンをセライトにコーティングすると除タンニンの効率が向上する。
    (4) キチンは低分子ポリフェノールをほとんど吸着せず,通常のタンニンをよく吸着するので,タンニン抽出液をキチン処理すると渋味のあるタンニンの大部分が除かれる。
    (5) キトサンの除タンニン能はキチンよりも大きいが,キトサンはpH4以下で溶解するので実用には適しない。
  • (第1報) 冷却温度がゼリーの物性に及ぼす影響
    石田 欽一, 志賀 一三
    1972 年 19 巻 3 号 p. 117-121
    発行日: 1972/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    乾燥寒天ゼリーの製造過程で,ゼリー原料の濃縮液を冷却,固化する工程の冷却温度条件を検討するため,冷却温度がゼリーの物性に及ぼす影響について調べた。
    (1) 10℃, 20℃および30℃の各温度で冷却したときのゼリーの破壊荷重の経時的変化を調べ,冷却の温度が低いほどゼリーの破壊荷重が一定値になる時間が早い。しかし,冷却29時間後のゼリーの破壊荷重は冷却温度30℃のゼリーが一番大きく,次いで20℃冷却のゼリーが,そして,10℃冷却のゼリーの破壊荷重が一番小さかった。
    (2) 冷却の途中で冷却温度を変える変温冷却方式について調べたところ,30℃に一定時間保ち,その後,20℃あるいは10℃に変温したゼリーは,定温で冷却したゼリーよりも破壊荷重の大きいゼリーとなる。一方,はじめに,10℃に保ち,その後20℃に変温したゼリーは,破壊荷重が小さく,冷却初期に10℃に保つことは好ましくない。また,冷却の初期に40℃に保ったときの影響についても調べ,40℃に保つ時間が長くなるに従い,ゼリーの破壊荷重は低下し,あまり高い温度にゼリーを保つこともまた,よくないことを知った。
  • (第2報) 冷却時間の短縮化の検討
    石田 欽一, 志賀 一三
    1972 年 19 巻 3 号 p. 122-126
    発行日: 1972/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    乾燥寒天ゼリーの製造における冷却工程の時間の短縮について,ガラス管中で冷却を行ないゼリー化する場合について,検討を加えた。
    (1) 冷媒として水を使用して冷却した場合ゼリーの破壊荷重およびY/G値から,冷却7時間目以後のゼリーの性質はほぼ同じになることがわかった。
    (2) 20℃の水および空気を冷媒としてゼリーの冷却速度を比較したところ,水の場合ゼリーの品温が20℃に達するのに約15分であったが,空冷では約3倍の50分程度要した。
    (3) 空冷と水冷による冷却速度の違いが,ゼリーの凝固速度,物性に及ぼす影響をゼリーの破壊試験,クリープ試験によつて調べたところ,水冷に比して空冷の方が各冷却時間において高い数値を示した。また,Y/G値ヤング率,粘性係数などの測定値から,ゼリーの粘弾性は冷却の初期に大きく変化し,冷却6~7時間目以降はあまり変化しないことがわかり,冷却時間は7時間程度でよいことを認めた。
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