日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
20 巻, 11 号
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  • (第13報) かっ変反応物から抗酸化力の強いメラノイジンの単離とその抗酸化性
    山口 直彦, 藤巻 正生
    1973 年 20 巻 11 号 p. 507-512
    発行日: 1973/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    それぞれ2MのグリシンとD-キシローズとの混合液を100℃,2時間加熱して調製したかっ変反応物を用いて,セファデイクスG 15→G 50→G 100→TLCの各クロマトグラフィーで段階的に抗酸化力の強いメラノイジンを精製した。
    (1) G 15の分別区分のうち,抗酸化力が強く,メラノイジンが多量に含まれるフラクションをG 50によって再分別すると,溶出曲線はブロードで,抗酸化力は広い分子量の範囲にわたって存在した。PPCの結果,組成が単純で比較的抗酸化力の強い低分子メラノイジン区分をG 100による分別に用いた。
    (2) G 100によるクロマトグラフィーではメラノイジンは数フラクションに大部分が溶出した。抗酸化力は各フラクションともに,ほぼ同じ程度の効果が認められたが,しかしメラノイジンが多く含まれ,組成が単純である区分をTLCの分別に用いた。
    (3) TLCでは3つのバンドに分離した。そのうちの1つであるB区分メラノイジンは,電気泳動および超遠心沈降図パターンの結果から単一成分であると考えられる。抗酸化力は3つの成分のうち,Rf値の一番大きいC区分は弱かったが,A, B区分メラノイジンは,ほぼ等しい効力を示した。また各精製段階でのメラノィジンの抗酸化力の比較では,G 15<G 50<G 100<B区分の順序であったが,その差異は大きくなかった。
  • 松本 伊左尾, 今井 誠一
    1973 年 20 巻 11 号 p. 513-518
    発行日: 1973/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    耐塩性酵母Sacch. rouxiiの高食塩存在下におけるpHに対する挙動を精査するとともに,みそ醸造への実用性について検討した。
    (1) Sacch. rouxii株は高食塩培地における生育pH域(培養温度25℃)の差異により,Aグループ(食塩3MまではpH 3.5~6.5で一ように生育),Bグループ(2MでpH 3.5~6.0, 3MではpH 3.5~5.5にのみよく生育),Cグループ(3MでpH4.0~5.0にのみよく生育)と3つのグループに分類された。
    (2) 各グループの酵母の存在頻度を検討したところ,赤色系辛みその良品質の製品にAグループの酵母が多数存在し,しょう油もろみではCグループの酵母の頻度が高くAグループの酵母は存在しなかった。
    (3) 食塩濃度が高くなるほど,また高温になるほど生育pH域は狭まり,この傾向はCグループにおいて最も顕著であった。
    (4) 各グループの酵母はpH4.8, 5.5, 6.0のマッキルベン緩衝液50%と食塩18%を加えたカザミノ酸酵母エキス寒天培地による平板培養で分別計測が可能であった。
    (5) みそへ酵母を添加し試醸したところ,Aグループが発酵旺盛で,混合添加においても優位な増殖を示し,生育pH域の狭い酵母は抑制された。
  • (第3報)アラキンの分子形とサブユニット構造について
    四ッ橋 一公, 柴崎 一雄
    1973 年 20 巻 11 号 p. 519-523
    発行日: 1973/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    アラキンをSephadexG-200ゲルろ過とDEAE-Sephadex A-50イオン交換カラムクロマトグラフィで精製し,サブユニット構造およびその安定性を異にする単量体と二量体の分子形状について調べた。
    分子を偏長回転楕円体で水和量30%と仮定したときの軸比は,単量体(9.2S,沈降-拡散法から分子量18万)では摩擦係数f/f0=1.288から3.5,固有粘度〔η〕=0.060dl/gから4.6,二量体(14.7S,35万)ではf/f0=1.252から3.0,〔η〕=0.044dl/gから3.2と推定された。
    超遠心沈降分析,ゲル電気泳動,N末端アミノ酸分析の結果から,アラキンは平均分子量29,000(1.8S)で各々異なった種類の6本の主サブユニットからなり,そのうち3本がGly,2本が(I)Leu, 1本がValをN末端にもつと考えられた。
  • (I) カキ果実のアルコール脱水素酵素活性について
    中村 怜之輔
    1973 年 20 巻 11 号 p. 524-528
    発行日: 1973/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    カキ果肉中のアルコール脱水素酵素活性について調査した。甘ガキの場合,非常に強い酵素活性が認められたが,渋ガキの場合には可溶性タンニンによって阻害され,酵素活性を測定することができなかった。しかし,ゼラチンによるタンニン除去後や脱渋完了後の測定によって,渋ガキの場合もかなり強い酵素活性があることが推定された。
    渋ガキにエタノールの種々の量を直接注入し,果肉中のエタノール含量と生成されるアセトアルデヒド含量との関係を調査したところ,一定量以下ならばアセトアルデヒド含量は基質であるエタノール含量に明らかに支配された。このことから,渋ガキ果肉中のアルコール脱水素酵素活性は充分強いものであると思われた。
    甘ガキ,渋ガキのいずれの場合も,充分強いアルコール脱水素酵素活性があり,果肉中のアセトアルデヒド〓エタノールの平衝関係に関与しているものと考えられ,とくに,アルコール脱渋法の場合にはその意義は大きいものと思われる。
  • (II) カキ果実のアセトアルデヒド含量,エタノール含量およびアルコール脱水素酵素活性の品種間差異
    中村 怜之輔
    1973 年 20 巻 11 号 p. 529-536
    発行日: 1973/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    カキ果実の甘渋の差,あるいは脱渋速度の品種間差異などを説明するための一助として,甘ガキ8品種,渋ガキ11品種およびVariant 4品種について,果肉中のアセトアルデヒド含量,エタノール含量およびアルコール脱水素酵素活性について調査した。
    (1) 甘ガキは渋ガキに比べて約10倍量のアセトアルデヒドを含んでいた。渋ガキを炭酸ガス脱渋法およびアルコール脱渋法で脱渋すると,いずれの場合も甘ガキと同程度ないしはそれ以上のアセトアルデヒド含量が認められた。
    (2) アルコール脱水素酵素活性は,甘ガキと渋ガキおよびVariantの脱渋部分と未脱渋部分とで差は認められず,いずれも充分強い活性を持っていた。
    (3) 甘ガキの場合,渋ガキの炭酸ガス脱渋後およびアルコール脱渋後のいずれの場合も,アセトアルデヒド含量とエタノール含量とは平行的な関係があり,両者間に有意の相関関係が認められた。一方,アルコール脱水素酵素活性とアセトアルデヒド含量およびエタノール含量との間は,いずれも一定の傾向を認めることができなかった。
    (4) 渋ガキの炭酸ガス脱渋法とアルコール脱渋法の場合とで,果肉中のアセトアルデヒド含量およびエタノール含量の増加の様相が異なり,前者は後者に比べてアセトアルデヒド含量が多く,エタノール含量が少なかった。この相違は,脱渋法の相違によってアセトアルデヒドおよびエタノールの生成系にある程度の差があることが,1つの原因になっているものと推察した。
  • 村田 敏, 秋元 浩一
    1973 年 20 巻 11 号 p. 537-542
    発行日: 1973/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    農産物の予措を,表面部の乾燥として捉え
    (1) 恒率乾燥期間に入る。
    (2) 堆積農産物中を通過する空気は等エンタルピ変化をする。
    との前提から,堆積強制通風式予措施設の必要風量と乾燥空気の湿度および温度条件を算出する計算式を導いた。なお,温州みかんの実測結果を整理し,計算に必要なパラメータを示すと同時に実際装置に関する計算例を示した。
  • 慶田 雅洋, 海老根 涼子, 谷村 顕雄
    1973 年 20 巻 11 号 p. 543-548
    発行日: 1973/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    牛乳中の乳酸および乳酸塩の定量法について検討した。DAVIDSON法による操作について検討した。本法は硫酸銅および水酸化カルシウムの共力作用により脂肪およびたんぱく質などを沈殿させたのち,ろ液中の乳酸を硫酸銅の存在下で濃硫酸によって,酸化分解し,生成したアセトアルデヒドをヒドロキシジフェニルによって比色定量するものである。酸化および比色過程についてはp-オキシジフェニルの濃度と添加量,呈色の安定性および吸収極大などについて検討した。硫酸分解の際に硫酸銅触媒を添加しない場合には呈色度が約50%低下することが知られた。清澄化過程については,硫酸銅の添加を25%溶液1回のみとし,加温操作を省略し,常温で水酸化カルシウムを連続添加するように操作法を簡略化した場合についてDAVIDSONの原法と比較したところ,結果に有意の差を認めなかった。本法は牛乳,加工乳,クリーム,濃縮乳などに添加された中和剤の検出に応用することができる。中和剤の使用が許されている加糖れん乳,無糖れん乳,全粉乳,脱脂粉乳などでは,乳酸・乳酸塩含量は品質の判定のための重要な指標の一つとなる。
  • 1973 年 20 巻 11 号 p. 549-556
    発行日: 1973/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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