日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
20 巻, 5 号
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  • (第11報)大豆蛋白質の糖類による変性の安定化
    柴崎 一雄, 蜂屋 巌, 阿部 敬彦, 大久保 一良
    1973 年 20 巻 5 号 p. 175-181
    発行日: 1973/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ショ糖,エチレングリコール,グリセリンによる大豆蛋白質の安定化について検討した。その結果,低イオン強度(0.1)ではその効果が少なかったが,高イオン強度(0.5)では,水抽出蛋白質の酸凝集に対して20%ショ糖>20%グリセリン>20%エチレングリコールの順に,その凝集阻止効果が認められ,とくにショ糖の効果が著るしかった。また,水抽出蛋白質の酸性領域での加熱凝集(80℃, 30分)に対して20%ショ糖がかなりの阻止効果を示した。
    アルカリ領域における11S成分の7Sへの解離が20%ショ糖添加により押さえられたが,酸性領域での3Sへの解離に対してはその効果がみられず,むしろ解離後の再重合が押さえられた。また,紫外吸収差スペクトルにより,ショ糖添加が11S成分の三次構造的酸変性をかなりの程度に保護した。
  • (第3報) 飽和モノグリセリド添加の効果
    新谷 勲, 丸山 武紀, 今村 正男, 岡田 正和, 松本 巍, 松本 太郎
    1973 年 20 巻 5 号 p. 182-190
    発行日: 1973/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    硬化大豆油,硬化パーム核油,牛脂および硬化鯨油に4種の飽和モノグリセリドを0.5~5%添加し30℃に放置し,上昇融点,S.F.I., DSC,多形の転移現象および電子顕微鏡による表面の結晶成長の観察を行なったところ,つぎのような結果を得た。
    (1) 硬化大豆油,硬化パーム核油の上昇融点はモノグリセリドを0.5~3%添加すると時間の経過とともに高くなり,しかも短い分子鎖のものほどその傾向が大であった。しかし牛脂,硬化鯨油は添加による影響がほとんどみられなかった。
    (2) 硬化大豆油,牛脂および硬化鯨油にMP, MS,MBを5%添加すると上昇法による測定は不可能と思われ,融点はバラツキ時間の経過とともに著しく低くなる。DSCの測定結果もこれらは時間の経過とともに低融点部と高融点部が分かれ融解帯の広いピークが観察された。
    (3) 硬化大豆油,硬化パーム核油のS.F.I.の放置中の変化は短分子鎖のモノグリセリドほど変化が大きく,動物油脂は添加による影響がほとんどみられなかった。
    (4) X線回折の結果,硬化大豆油および硬化パーム核Fig. 17. Hardened whale oil油は,添加により転移が促進されているものの顕著な差はみられない。動物油脂は添加による差がほとんどみられない。
    (5) 電子顕微鏡で結晶表面を観察した結果,硬化大豆油,硬化パーム核油に添加した場合結晶成長が顕著であった。しかも短分子鎖のモノグリセリドほど大きく成長した。牛脂はモノグリセリドを添加してもほとんど影響がみられず,硬化鯨油はやや結晶化の傾向がみられた。終りにのぞみ分析に協力を得た東海大学の滝川君に深謝する。
  • (第4報)プロピレングリコール脂肪酸エステルおよび不飽和モノグリセリド添加の効果
    新谷 勲, 丸山 武紀, 今村 正男, 岡田 正和, 松本 太郎
    1973 年 20 巻 5 号 p. 191-198
    発行日: 1973/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    硬化大豆油,硬化パーム核油,牛脂および硬化鯨油にプロピレングリコール脂肪酸エステル(ホモテックス),モノオレイン(MO),モノリノレン(MLn)を0.5~5%添加して30℃に熱処理し,上昇融点,S.F.I., DSC,多形の転移および電子顕微鏡による結晶成長の観察を行なったところつぎのような結果を得た。
    (1) 硬化大豆油,硬化パーム核油にホモテックスを添加すると放置中の融点変化は小さくなる。しかし牛脂,硬化鯨油の場合は放置中の変化がみられない。
    (2) 硬化大豆油にMO, MLn を添加した場合,240時間までは融点は急上昇するが以後急激に低くなり,測定値はバラつく。硬化パーム核油に添加した場合はいずれも放置中著しく低くなる。
    牛脂,硬化鯨油の場合は硬化大豆油同様,放置中融点は急上昇するが240時間以後極端に低くなる。DSCの測定結果も融解帯の広い曲線が観察された。
    (3) 硬化大豆油,硬化パーム核油にホモテックスをFig. 13. Hardened palm kernel oil added5% MO添加すると添加量の増すに従ってS.F.I.の熱処理中の変化は小さくなるが,MO, MLnを添加すると逆にS.F.I.値は増加する。牛脂,硬化鯨油は添加による影響がほとんどみられなかった。
    (4) X線回折の結果,硬化大豆油にMOを添加した場合転移を促進していることがわかり,S.F.I.測定結果と対応できた。硬化パーム核油,牛脂はMO添加による差がほとんどみられないが,硬化鯨油の場合はやや転移を促進していることがわかる。
    (5) 電子顕微鏡による結晶表面観察結果,硬化大豆油,硬化パーム核油にMO, MLnを添加した場合結晶成長が顕著であった。ホモテックス添加では成長がみられず,S.F.I.測定結果と対応できた。
    牛脂,硬化鯨油の場合添加による影響がほとんどみられず,X線,S.F.I.測定結果と対応できるが,融点の傾向とは必ずしも一致しなかった。
  • (第5報)蔗糖脂肪酸エステル添加の効果
    新谷 勲, 丸山 武紀, 今村 正男, 岡田 正和, 松本 太郎
    1973 年 20 巻 5 号 p. 199-207
    発行日: 1973/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    硬化大豆油,硬化パーム核油,牛脂および硬化鯨油に親油性の2種の蔗糖脂肪酸エステル(SE-1, SE-2)を0.5~5%添加して30℃に放置し,上昇融点,S.F.I.,DSC, X線回折による多形の転移,ミクロ針入度による硬度および電子顕微鏡による結晶成長の観察を行なったFig. 18. Hardened whale oil added 5% SE-1.ところつぎのような結果を得た。
    (1) 硬化大豆油,硬化パーム核油にSE-1を添加すると放置中の融点変化は少なくなるが,動物脂に添加すると著しく融点が上昇する。トリエステル含量の少ないSE-2はSE-1に比べてそのような傾向が少なかった。
    (2) SE-1を添加した植物脂は,添加量の増すに従って放置中のS.F.I.の変化が少なくなり,融点と対応することができたが,動物脂は添加による影響がほとんどみられなかった。
    (3) DSC測定結果,SE-1添加硬化大豆油は放置中の変化がみられなくなり,硬化パーム核油は添加量が多いほど高温側の融解ピークが小さくなり成長抑制効果が認められた。
    動物脂は添加量が多くなると高温側にピークが観察された。
    (4) X線回折の結果,SE-1を添加した硬化大豆油は転移が遅く,牛脂,硬化鯨油の場合は変化はほとんどみられないが,添加量の多いほどわずかではあるが促進する傾向がみられた。
    Fig. 19. Hardened whale oil added 1% SE-2.
    (5) ミクロ針入度による硬度測定結果は,SE-1を添加した植物脂は添加量に応じて柔かく,動物脂の場合は逆に硬くなる傾向を示し,融点測定結果と対応することができた。
    (6) 電子顕微鏡による結晶表面観察結果,SE-1を添加した植物脂はほとんど結晶化していないが,SE-2を添加したものは小さい単結晶が観察された。
    牛脂に添加した場合は,結晶成長が観察されず,融点測定結果と対応することができなかったが,これはそのものの影響かまたは他の原因によるものと思う。硬化鯨油の場合はやや結晶化の傾向がみられた。終りに分析に協力された東海大学前田宗厚君に深謝する。
  • 山野 善正, 山下 哲男, 福井 義明
    1973 年 20 巻 5 号 p. 208-213
    発行日: 1973/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    スパゲティのゆで時間によるテクスチャーの変化,およびゆでたスパゲティを包装・加熱殺菌したもののテクスチャーをテクスチュロメーターで測定したところ,次のような結果が得られた。
    (1) ゆでたスパゲティのテクスチャーはテクスチュロメーターで測定できる。特性カープには,付着性は現われず,弾力性のばらつきは大きいが,硬さ,凝集性およびガム性は測定数を10とすることにより有効なパラメーターとなる。
    (2) 硬さおよびガム性は,ゆで時間の増加とともに双曲線的に減少し,その減少がかなりゆるやかになるところが商品指示ゆで時間に一致している。また凝集性は,ゆで時間にかかわらずほぼ一定値を示す。
    (3) 両対数で表わした,ゆで時間-硬さ,ガム性の関係は直線となり,この直線の勾配,縦軸截片は,異なるスパゲティのゆで時間によるテクスチャー変化の指標となり得ることが示唆される。
    (4) 適正ゆで時間と考えられる時間だけゆで,フィルム包装し,加熱殺菌したスパゲティの硬さ,凝集性およびガム性は,同時間ゆでただけのものより大きい値を示すが,12分ゆでたものについてみると,20日間室温保存した結果,115℃30分,120℃20分および30分殺菌のもの(すなわち高温で短時間殺菌したもの)が,同時間ゆでただけのものの値に近く,かつ値の変動が小さく安定性を示した。
    (5) 包装スパゲティの硬さ,ガム性も,ゆで時間の増加とともに減少する傾向にある。テクスチュロメーターによる測定値が包装・保存における最適テクスチャー保持条件を予知するのに役立つと考えられる。また,ゆで時間と殺菌条件の最適条件を得るためには,これらのバラメーターと製造上の経済性を考慮して,それぞれのスパゲティーに適当な組合せを選べばよい。
  • 今戸 正元
    1973 年 20 巻 5 号 p. 214-221
    発行日: 1973/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 20 巻 5 号 p. 222-229
    発行日: 1973/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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