日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
21 巻, 1 号
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  • (第4報)落花生膨満処理による過酸化水素液の変化
    川端 昭子, 竹内 芳一
    1974 年 21 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1974/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    落花生を膨満に最適な作用条件で過酸化水素処理し,処理液の過酸化水素消費量,液の減量および汚染度について検討した。
    (1) 膨満処理による処理液の過酸化水素の分解は,一次反応でなされた。
    (2) 膨満処理により消費される過酸化水素の量は,落花生の処理量に比例し,落花生1kg当り10~12g(過酸化水素の分解により6~7g,吸収と付着により4~5g)であった。
    (3) 過酸化水素の消費量は,pH2~3,低温の処理液中で最少量であった。中性から弱アルカリ性中,および処理温度が高いと消費量は増加した。
    (4) 落花生1kgの処理により,120~130mlの処理液が種子に吸収され付着して減少した。
    (5) 膨満処理により,処理液中の汚染物質量は落花生処理に比例して増加した。しかし着色は,処理回数10回以上では一定となった。
    (6) 処理液の着色は,pH3以上,温度60℃以上で著しく,30~60℃の間では一定であった。
  • (第14報)精製メラノイジンの抗酸化性および精製メラノイジンと市販抗酸化剤との効力の比較
    山口 直彦, 藤巻 正生
    1974 年 21 巻 1 号 p. 6-12
    発行日: 1974/01/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    かっ変反応物の窒素含量と抗酸化力との関係を知るため,窒素含量の異なるメラノイジンを精製し,リノール酸に対する抗酸化力を試験するとともに,数種の市販抗酸化剤との効力の比較および相乗性について検討した結果はつぎのとおりである。
    1) 2Mキシローズに対して2M, 4M, 10Mのアンモニアと,その割合を変えて調製したメラノイジンの抗酸化試験においては,各メラノイジンの窒素含量の差異が1%程度と少なく,3者はほとんど等しい抗酸化力を示した。このことは基質が同じで,しかも同じ程度の窒素含量のメラノイジンの効力は等しく,さらに消極的ではあるが,桐ケ谷らの窒素含量がますと抗酸化力が増大するとの説を支持していると考える。
    2) 2Mギシローズに対して2Mのアンモニアおよび数種のアミノ酸を反応させて調製したメラノイジンの抗酸化試験において,各精製メラノイジンはその窒素含量によって大きく2つのグループにわかれた。すなわち,グリシン・キシローズ系,リジン・キシローズ系のメラノイジンでは窒素含量が約6%と低いが,アルギニン・キシローズ系,ヒスチジン・キシローズ系およびアンモニア・キシローズ系のメラノイジンでは約11~12%と高い窒素含量であった。窒素含量と抗酸化力との関係では,6%台のグリシン・キシローズ系,リジン・キシローズ系メラノイジンの抗酸化力は11~12%台の他の3者に比較して著しく弱かった。しかし同じ6%台のリジン・キシローズ系とグリシン・キシローズ系メラノイジンとの間には大きな効力の差があり,また12%台のアルギニン・キシローズ系より,11%台のヒスチジン・キシローズ系のメラノイジンの方が抗酸化力は強かった。これらの結果から窒素原子がメラノイジンの抗酸化力に影響する重要なる因子であると考えられるが,量的な問題だけでなく,メラノイジン中の窒素の結合様式なども関係していることが推察される。
    3) メラノイジンと市販抗酸化剤との単位還元力あたりでの抗酸化力の比較では,メラノイジンは他の抗酸化剤に比べて非常に強力な抗酸化力を示し,メラノイジンの還元性にもとづくラジカル・インヒビター的作用が抗酸化性の主因であるとは考えられない。また単位重量あたりの効力の比較ではBHAと同程度の抗酸化力を示したが,BHTよりは劣った。さらに,BHAとの間には相乗性が認められたが,クエン酸との併用による効果は示されなかった。
  • (第15報) 精製メラノイジンと各種トコフェロール同族体との抗酸化力の比較および相乗性
    山口 直彦, 藤巻 正生
    1974 年 21 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1974/01/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    メラノイジンとトコフェロール同族体との抗酸化力の比較および相乗性,さらに銅,クエン酸の存在下でのメラノイジンの金属封鎖作用について試験した結果はつぎのとおりである。
    1) メラノイジンとトコフェロール同族体との抗酸化力の比較では,dl-α-, dl-β-, d-γ-およびd-δ-トコフェロールのいづれよりもメラノイジンの効力が大きかった。またメラノイジンはdl-β-, d-γ-およびd-δ-トコフェロールとは相乗性を示したが,dl-α-トコフェロールとの間には相乗性は認められなかった。OLCOTT,H.S.3)はトコフェロールとオクタデシルアミンとの相乗性の研究において,β-,γ-およびδ-トコフェロールの3者はオクタデシルアミンと相乗性を示したが,α-トコフェロールとは著者らのメラノイジンの場合と同様に相乗効果がなかったことを報じている。
    2) メラノイジンまたは天然トコフェロール・ミックスともに銅の添加区にクエン酸を加えるとリノール酸の酸化安定性は増大し,クエン酸の金属封鎖作用にもとづく相乗性が認められた。また銅無添加区においてもトコフェロールとクエン酸との間には相乗性が示されたが,メラノイジンとはそのような相乗性は認められなかった。したがってメラノイジンの金属封鎖能力以上の金属が存在する際には,クエン酸とメラノイジンは相乗性を示すが,それ以下の量の場合には相乗効果を示さないと推察される。このような結果からメラノイジンの油脂に対する抗酸化性の1つの原因として金属封鎖性が考えられる。またメラノイジンとトコフェロールとの相乗性,さらに,さきに報告したBHA, BHT, NDGAなどとの相乗性もメラノイジンの金属封鎖作用が関係していると思われる。
    (3) メラノイジン,トコフェロールおよびクエン酸の2者ずつの組合わせによる相乗性を銅の存在下で試験した結果,トコフェロールとメラノイジンとの組合わせ区が最高の抗酸化力を示した。さらに3者併用区の効力はトコフェロール+メラノイジン区よりも著しく強かった。
  • (第5報)膨満落花生および大豆の過酸化水素残存性とラットの体重および臓器に与える影響について
    川端 昭子, 竹内 芳一
    1974 年 21 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 1974/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    落花生および大豆を過酸化水素処理により膨満させ,膨満種子の過酸化水素残存性および同処理を行なった種子がラットの体重増加と臓器にいかなる影響を及ぼすかについて検討した。
    (1) 膨満落花生および大豆の胚乳における過酸化水素の残存は,膨満所要時間の2~3倍内の処理では認められなかった。また,より長時間の処理により胚乳表面に検出された過酸化水素を処理後30~65分後には消失した。
    (2) 固型飼料摂取量の40%相当量を過酸化水素処理膨満種子に入替えてラットに28週間投与した。
    落花生投与群では,体重増加,肝臓,脾臓,心臓,精巣および副腎の重量に試験群と対照群に大差は認められず,腎臓は0,1>Pの有意差で試験群が小さかった。
    大豆投与群では,体重増加,肝臓,脾臓,腎臓,心臓,および副腎の各臓器とも群間の差は認められず,精巣は0.1>Pの有意差で試験群が大きかった。
    臓器の解剖所見では,処理落花生および大豆投与とも,試験群に確定的な変異は認められなかった。
  • (第8報)温州ミカンの果肉のカロチノイドパターンとジュースの純度判定について(2)
    多田 幹郎, 梅田 圭司, 平野 裕二, 白石 正英
    1974 年 21 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 1974/01/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    温州ミカンジュースの製造工程中におけるカロチノイドの量的,質的な変化を実際に稼動中の工場において,おもな製造工程ごとに採取した果汁について調べ,ジュースの純度判定のための指標としてカロチノイドが利用できるかどうかを検討した。
    (1) 現在わが国で用いられているジュース製造工程のどの工程を経たとしても,カロチノイドの質的変化はほとんどないものと思われる。
    (2) カロチノイドパターンはhydrocarbonが7~10%を占め,monolが65~75%を占めている。このパターンは温州ミカン果汁における普遍的なもので,分析した試料は全て同様のパターンを示した。
    (3) カロチノイド含有量は製造工程中にかなり減少する。この減少は主としてパルプ除去工程で起こり,とくに第2回パルプ除去工程における遠心分離操作に大きく左右され,またパルプ粒度にも関係しているものと考えられる。一方加熱処理,濃縮工程における減少はきわめてわずかであった。
    (4) 温州ミカンジュースのカロチノイド量はパルプ含有量と密接な関係があり,パルプ量の多いものほどカロチノイド量も多い。またパルプの単位重量当りのカロチノイド量はほぼ一定値を示した。
    以上の結果よりジュースの純度判定のため前報で提案したカロチノイド量を規定するには,さらに製品別の工程と単位操作の操作条件を検討する必要がある。しかしカロチノイドパターンはどのような工程を経ても変化しないことが明らかなので,カロチノイド系の着色剤の添加の有無を判別することは可能である。またパルプの単位重量当りのカロチノイド量はほぼ一定値を示し,純度判定のさらに一つの目安となりうるものと思われるが,これに関しても,製品別の工程,原料の品種および熟度などについてさらに多数の試料の分析を行なう必要がある。
  • (第1報) リノレン酸の自動酸化におよぼすシステイン誘導体,メチオニンエステルおよびジチオカルバメートの効果
    小嶋 操, 末次 良子
    1974 年 21 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 1974/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    含硫アミノ酸,L-システインおよびその誘導体,L-メチオニンおよびそのエステル類およびジチオカルバメート誘導体について,それらのリノレン酸ナトリウムに対する抗酸化性について実験検討した。
    システイン誘導体では,メチルエステルおよびエチルエステルが,システインよりすぐれた抗酸化価を示し,TBA価はpH 7.0の条件下で59.4および60.0,システインは79.5であった。
    メチオニンエステルでは,メチル,エチル,iso-プロピルおよびn-ブチルエステルが,pH 7.0で74.5, 64.5および59.0を示し,メチオニンは80.9で,いずれもメチオニンよりよい価を示した。
    ジチオカルバメート誘導体では,ジ-iso-プロピルおよびジ-iso-ブチルジチオカルバメートが,pH 7.0で64.6および69.7を示し,比較的よい価を示した。
    システインメチルエステル,システインエチルエステル,メチオニンメチルエステルおよびメチオニン-iso-プロピルエステルについてはPOVも測定し,TBA価と同様の傾向を示す結果を得た。
  • 小崎 道雄, 北原 覚雄
    1974 年 21 巻 1 号 p. 38-41
    発行日: 1974/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 醤油麹は一般に3ないし4日経過の全麹が採用され十分に胞子も着生しているので,醤油を仕込むときは菌体もまた原料となっていると考え,麹中に含まれる麹かび菌体の量を調べた。
    (2) 供試した脱脂大豆,小麦および麹,麹かび菌体のうち,後の二者にグルコサミンが顕著に含まれることがわかった。
    (3) グルコサミン定量における前処理の分解条件は,各試料ともに6N・HClを10倍量加えた場合,100℃で30時間が最適であった。
    (4) 3日麹,4日麹,6日麹および10日麹のグルコサミンはそれぞれ2.2%, 2.6%, 3.0%, 3.7%と製麹時間の延長とともに多くなった。また菌体,菌糸体および胞子のグルコサミンは9.9%, 9.9%, 9.2%とほぼ同等であった。
    (5) 製麹時間を異にする麹に含まれる菌体の比率は3日麹12.6%, 4日麹16.6%. 6日麹20.7%, 10日麹27.8%であって老ね麹になるに従って菌体の割合は多くなった。
    (6) 通常醤油仕込時の原料麹には14~18%の麹菌体が含まれていることがわかった。
  • 食品の香りの熟成について(第3報)
    伊奈 和夫, 衛藤 英男
    1974 年 21 巻 1 号 p. 42-44
    発行日: 1974/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 香りの熟成の1つの要因と考えられる自動酸化の機構を知るため,三重項酸素酸化反応が応用できることを知った。
    (2) ヨノンの酸化におよぼす添加物の影響を知るためGLCによる,生成エポキショノンの量と残存ヨノンの量を知ることで調べることができた。
    (3) ヨノンの酸化に対しては高級脂肪酸または高級アルコールが強い保護作用を有していた。
  • 1974 年 21 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 1974/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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