日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
21 巻, 10 号
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  • 中山 照雄, 佐藤 泰
    1974 年 21 巻 10 号 p. 461-465
    発行日: 1974/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    堅くて食べづらい廃鶏肉にその坐りの影響を利用し,かまぼこようのソーセージとするための基礎資料を得る目的で実際的条件を検討した。
    胸筋SMゾルおよび肢筋SMゾルを3, 20, 40および80℃で,所定時間インキュベイションしてから,80℃で30分間加熱して胸筋SMゲルおよび肢筋SMゲルを作った。胸筋SMゲルについても肢筋SMゲルについても,Shear Force Valueが高くなった場合のインキュベイション時間は,その温度が高いほどその時間が短縮された。
    胸筋および肢筋は坐りを利用してSMゲルをつくることにより軟かくなり,加熱前にSMゾルをインキュベィションすることにより,SMゲルはポークプレスハムのような歯ごたえを示すようになった。
    0.22% ピロ燐酸ナトリウム添加胸筋SSMゾルのインキュベイションによって,そのゲルのShear Force Valueが一時増加したが,これは,3mMピロ燐酸ナトリウムと3mM塩化マグネシウムの存在のもとにおいて,30℃で1.5%ミオシンB溶液が示した粘度増加に対応する現象が,ピロ燐酸ナトリウム添加胸筋SSMゾルのインキュベイションに際しても起こったものと考えられる。
  • (第1報) 胡椒の辛味の測定について
    森 一雄, 山本 泰男, 駒井 正一
    1974 年 21 巻 10 号 p. 466-471
    発行日: 1974/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    胡椒中の辛味成分の化学的定量法のうち,リン酸法,クロモトロプ酸法(ASTA修正法),紫外部吸光度法(UV法)について官能的な辛味との相関性より比較検討を行った。
    胡椒中のピぺリン定量値はつねにリン酸法,ASTA修正法がともにUV法に比し高い値を示した。純ピペリンと胡椒抽出エキスをその定量値に合わせて辛味強度を官能検査により比較したところ,ASTA法はもとよりUV法の定量値によるものですら,純ピペリンよりも辛味が弱く感じられた。
    そこで,シリカゲルG薄層クロマトグラフを用い,辛味を有しないUV定量感応物の分別検討を行ったところ,胡椒中のUV吸光度におよぼす影響が約10%あることを認めたが,その中に辛味をほとんど有しない1-ピペロイルピロリジン(ピロペリン)の存在が確認され,天然胡椒中に0.2~0.3%存在することを認めた。
    胡椒中のピペリン定量法としては,暗所内操作を条件とするが,UV法が操作も簡単で辛味強度との相関性がかなり高いことが判明した。このUV法で得られる定量値は,ピロペリンをも含むため分離定量を行うことが望ましい。
  • (第2報)ピペリンの光化学反応について
    森 一雄, 山本 泰男, 登成 健之介, 駒井 正一, 都筑 英明
    1974 年 21 巻 10 号 p. 472-475
    発行日: 1974/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ピペリン(2-トランス-4-トランス)を親水性溶媒に溶解後,多量の水中に投入して生成する微細ピペリン水中懸濁光変化物の主生成物の構造は,IR, UV, NMRおよびMSの知見から,ピペリンの頭-頭混合2量体,1-(3, 4-メチレンジオキシフェニル)-2-(3, 4-メチレンジオキシシンナミル)-シクロブタン-3-カルボン酸-4-(β-アクリル酸)-ジピペリド,と推定された。
  • (第3報)ピペリンの異性体について
    山本 泰男, 登成 健之介, 森 一雄
    1974 年 21 巻 10 号 p. 476-482
    発行日: 1974/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    胡椒末の辛味消失に関連して,ピペリン(2-トランス-4-トランスピペリン)の溶液中における光化学反応を検討した結果,シス方向への異性化現象と推定され,IR, UV, NMRのデータ及び異性体の合成結果より,光異性化物はイソピペリン(2-シス-4-トランスピペリン)を優位に含むイソシャビシン(2-トランス-4-シスピペリン)との混合物とした。
    また,このようなシス方向への異性化は従来からいわれてきた最強の辛味成分シャビシン(2-シス-4-シスピペリン)の存在と辛味性について疑問を投げかけるものである。合成したピペリン異性体(2-シス-4-トランス,2-トランス-4-シス,2-シス-4-シス)はピペリンほどの辛味を有すものではなく,胡淑中には見出せなかった。
  • (第5報)長期貯蔵中の糖およびアミノ酸の変化とポテトチップス製造への影響
    高野 博幸, 鈴木 忠直, 梅田 圭司
    1974 年 21 巻 10 号 p. 483-489
    発行日: 1974/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    発芽抑制を目的に放射線処理をした北海道産馬鈴薯“農林1号”の長期貯蔵中における還元糖とアミノ酸含量の変化を調べ,さらにポテトチップス製造試験を行ないその影響を調べた。
    (1) 10Krad照射後,常温に10ヵ月間貯蔵しても,生イモの還元糖量は0.4%以下であった。一方非照射試料は貯蔵後6ヵ月目から急激に発芽し始め,2ヵ月目以降は加工用に用いられなくなった。
    (2) 照射後5℃に貯蔵すると還元糖は,常温貯蔵区のものより2~3倍多くなるが,これを常温に2週間移すことによって常温貯蔵区のものと同程度にまで減少させることができる。
    (3) 10Krad照射で増減するアミノ酸もあったが,アミノ酸パターンの類似率でみると,照射による影響はほとんどなかった。貯蔵中のアミノ酸の変化をパターン類似率からみると,照射または貯蔵温度による差はほとんどなく,貯蔵期間の影響が大きく,長期貯蔵によってパターンは変化していた。
    (4) 貯蔵後6, 8および10ヵ月目にポテトチップスを製造し品質を調べた。官能検査の総合評価では5℃貯蔵から室温に2週間移した後製造したものが最もすぐれていた。照射後常温貯蔵した試料は,照射後8ヵ月目まではポテトチップスの品質はよかったが,10ヵ月目以降のものの品質は著しく低下した。
    (5) 生イモの還元糖含量が低いと,色の白いポテトチップスができるが,チップスの品質を考えると必ずしも還元糖含量だけに起因しているのでない。還元糖含量が低くても,発芽あるいは水分蒸散によって萎縮し表面にシワが多くみられる馬鈴薯から作ったチップスの品質は,他の試料よりも劣っていた。
    (6) 以上の結果から,照射馬鈴薯を常温に長時間貯蔵しても還元糖量は増加せず,8ヵ月間は加工原料として十分利用できる。8ヵ月以降に加工原料として用いる場合は,水分蒸散による萎縮を防止するため5℃に貯蔵し,加工する2週間前に常温に移し還元糖含量を低下させる必要がある。
    アミノ酸含量は,照射あるいは貯蔵温度による影響よりも貯蔵期間による影響の方が大きかった。しかしアミノ酸は,二次加工製品の品質に対しては影響を及ぼしていないと思われた。
  • (第2報)抽出前期における物質移動
    酒井 信, 三木 正之
    1974 年 21 巻 10 号 p. 490-494
    発行日: 1974/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    The extraction rate of oil from fish muscle with the solvent immiscible in water was investigated in the early stage of extraction. The experimental results were as follows. The penetration of solvent into fish muscle was caused by two different mechanisms like oil extraction, and the mechanism of dehydration did not change where the mechanism of oil extraction changed. And the most important result was that the ratios of extracted oil and removed water were constant through the early stage of extraction independent of time. With the results described above and our previous results, the following hypothesis of the mechanisms of extraction could be considered. Water and fish oil are extracted with constant ratio through the early stage exchanging with solvent. Oil globules dispersed in the muscle gradually grow large by absorbing the penetrated solvent and then coalesce with each other and make the continuous phase. This is the point of which mechanism changes and then extraction transfers to the late stage in which the mutual diffusion of oil and solvent occurs.
  • 原 利男, 久保田 悦郎
    1974 年 21 巻 10 号 p. 495-498
    発行日: 1974/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 茶火入れ前後の香気成分の変化を明らかにするため,減圧蒸留・エーテル抽出法で得た香気濃縮物を毛細管カラムによるガスクロマトグラフィーで検索した。その結果,火入れによって2, 5-ジメチルピラジン,フルフラーおよび1-エチルピロール-2-アルデヒドなどの加熱香気成分がわずかに生成することを認めた。
    (2) 同一温度条件で火入れした場合,上級煎茶のほうが下級煎茶よりジメチルピラジンおよびアルキルピロール-2-アルデヒドなどの加熱香気が少し多く生成することを認めた。
    (3) 室温に長期間貯蔵した茶から検出され,茶の変質臭成分の一つと推定される2, 4-ヘプタジエナールが火入れによって著しく減少することを認めた。
  • 平田 行, 石井 昭衛, 吉田 まち子, 渡辺 忠雄
    1974 年 21 巻 10 号 p. 499-501
    発行日: 1974/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    グリシシとD-キシローズの混合によるメィラード反応に対して各種の縮合リン酸塩がいかに影響するか,条件を変えて研究し,次のごとき結果を得た。
    (1) 比較的高濃度の糖とアミノ酸溶液(各1M溶液)でpHを未調整で各種の縮合リン酸塩を添加すると,全くどのリン酸塩も100℃60分後にはpHに影響されて,褐変化が進行する。
    (2) この場合pHを9に調整して同様の実験を行うと80℃, 100℃共に加熱時間の経過と共に褐変化は進行するが,加熱時間よりも加熱温度の影響が大きく影響する。
    (3) pHを2~6に調整して40時間,100℃で反応さすとpH2~4の低pH域では縮合リン酸塩の影響はあまりないが,pH5~6ではPP, TPに比較してUPは非常に褐変化度が少ない。これは添加後UPは多少pHが低いが,pHのみの影響でなく,これに高分子状の物質を含有するためと考えられる。
    (4) 高濃度の供試料にUP, PPの添加量を変え,100℃2時間処理の場合,UPは添加量の増加によりpHは減少し,吸光度も漸減するが,は添加量の増加に従ってpHは増加し,吸光度も増加して褐変化度が進行する。
    以上のごとく,UP以外の縮合リン酸塩はメイラード反応に特別の影響を与えず,単にpHの相違によって吸光度が変化するものと考えられる。
  • 1974 年 21 巻 10 号 p. 502-507
    発行日: 1974/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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